2019年12月17日14時46分に読売新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
東京都中野区などで今月4日に発生したシステム障害について、クラウドサービスを提供する「N電子計算」(千代田区)の山田社長が16日、都内で記者会見し、複数の不具合の解消に時間がかかっているとして、「完全復旧の見通しは立っていない」と述べた。
障害は都内10市区町村で起こっていたことも判明。
バックアップが見当たらず、復元できていないデータもあるという。
一連のシステム障害は、全国の1県47市区町村など計53団体で発生。
住民票や戸籍証明書といった行政書類の発行システム、自治体ホームページ(HP)閲覧などに用いるシステムのほか、メールの送受信で利用するデータサーバーなどに障害が起きた。
同社によると、都内では中野区や練馬区など10市区町村で発生したという。
会見で山田社長は、「自治体や住民に大変な迷惑をおかけしている」と陳謝した。
同社の説明によると、自治体向けクラウドサービス「Jip‐Base」で、データを保管する外部記憶装置(ストレージ)を動かすプログラムに不具合が起きたのは4日昼。
同社幹部は、「ストレージの保守業務を担う別の会社から修正プログラムの提供がなかったために不具合を防げなかった」と述べた。
同社は6日の時点で「9日頃に復旧の見通し」と発表していたが、作業を進める中で複数の不具合が連続して発生し、16日時点で「作業量が膨大で追いついていない」(出席した幹部)状態で、復旧のめどは立っていない。
また、クラウドで管理していたデータについて、バックアップが見つからず復元できていないものもあり、一部は復元不可能の恐れもあるという。
中野区では16日現在、住民票や戸籍証明書の発行業務の障害は解消されたが、要介護認定の進行確認や結果通知ができないなど、一部のシステムが稼働できない状態が続いている。
要介護者と要支援者は区内に計約1万4000人おり、同区では、「手続きを待たせてしまっている。
システム障害がさらに長引く恐れも考え、代替手段の検討を始める」としている。
練馬区でも約3分の1のシステムがダウン。
区立全98小中学校が利用するネットワークにまだ障害が残っており、16日現在、全校のHPが閲覧できない。
授業風景や外部講師による講演会、給食の内容などを日々アップしていた中学校の教員は、「外部への情報発信ができず残念。早い復旧をお願いしたい」と漏らした。
同区教委によると、通知表を作成するシステムに障害が出た影響で、全小中学校で通知表の配布が年明けに延期される。
区教委の谷口・教育指導課長は、「学期末に渡せず、児童や生徒、保護者に申し訳ない」と話した。
あきる野市でも4日午前から、ネットへの接続や、メール受信などができなくなった。
数日後にネット利用やメール確認は可能になり、16日に「一部受信ができないシステム障害も解消した」と発表。
ただ、支障が出ていた間のメール受信への影響などは、今のところ不明だという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191216-OYT1T50216/
12月16日18時10分に日経TECHからは、下記趣旨の専門技術的な記事がネット配信されていた。
N電子計算は2019年12月16日、自治体向けIaaS「Jip-Base」を利用中の自治体でシステム障害が発生している問題について記者会見を開き、山田社長が「大変申し訳なく思っている」と謝罪した。
同社によると、15%のデータはIaaS内のバックアップも見つからず、単独での復旧が不可能。
残りの70%は復旧、15%は復旧作業中であることが明らかとなった。
これまで「50自治体」としていたのは、正確には47自治体と、6の広域事務組合や図書館であることも説明された。
バックアップが見つからない15%には、このうち33自治体のデータが含まれるという。
システム構成も一部が明らかにされ、仮想環境で1318の仮想OSが稼働していたことが判明した。
N電子計算は復旧作業に当たって、IaaS内からOSやアプリケーション、業務データを含む仮想環境のイメージデータを復旧したり、イメージデータを同社のバックアップから取り出したりしている。
その過程でバックアップ機能にも一部不具合が見つかり、これが原因で復旧できないデータが15%あるという。
ただし、この15%分は完全に復旧できないわけではなく、「IaaS内にはデータがないが、自治体が独自に持っているバックアップデータから復元できるものもある」(N電子計算の神尾公共事業部基盤サービス統括部部長)という。
障害の経緯も説明された。
12月4日に仮想環境で異常事態を知らせるアラートが上がり、利用できなくなった。
ストレージのファームウエアの不具合が原因で、ストレージの記憶領域にアクセスできなくなったためだった。
N電子計算は、重要なファームウエアのパッチ情報の提供を受け、緊急時にはリモートでパッチを適用してもらう保守サービスの契約も結んでいたことから、EMCジャパンと協力して原因を分析。
その過程で判明したという。
ただ、今回のファームウエアの不具合は、「EMCジャパンにとっては既知だったそうだが、事前に知らされておらず、障害分析の際に告げられた」(神尾部長)。
もっとも、EMCジャパンが事前に知らせていれば防げたかどうかについては、「EMCジャパンもクリティカルなバグだとの認識ではなかった。重要度の低いものとして知らされていたのであれば、N電子計算側で適用していなかっただろう」(同)とした。
N電子計算は、ファームウエアを修正すれば復旧できると考えていたが、論理的にデータの不整合が発生している部分があり、バックアップデータなどから復旧が必要なことが判明。
その結果、多くの自治体システムで復旧に手間取ることになった。
N電子計算の責任については、「まずは復旧に全力を尽くしてから」(山田社長)とし、EMCジャパンの責任問題についても、「まだ復旧作業中であり、責任を問う段階にはない」(同)と明言を避けた。
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/news/18/06709/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。