2019年12月18日16時58分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
9月の台風15号で2次冷却塔が倒壊した日本原子力研究開発機構の原子炉「材料試験炉(JMTR)」(茨城県)で、冷却塔を支える木材に腐食が見つかったことが18日、機構への取材で分かった。
腐食が原因で木材が強風に耐えられず、倒壊に至ったという。
機構は過去の点検で、腐食の進行を把握していなかった。
多数の原子力施設を保有しており、管理態勢を問われそうだ。
冷却塔は、炉心で発生した熱を大気に放出する木造の設備で、高さ16・5メートル。
台風15号で観測された強風には耐えられる設計だった。
だが、柱の間に木材を斜めに交差させる「筋交い」で、複数の腐食が見つかった。
強度が低下していて強風の負荷で筋交いが破損し、倒壊したとみられる。
冷却塔は1968年に建設。
腐食のあった木材は98~99年度に交換したものだった。
JMTRは2006年から停止しており、機構は冷却塔の上部や壁を外観検査し、塔の中は可能な範囲での目視確認だけだった。
それ以外に木材内部での腐食の様子を把握する検査をしていなかった。
点検計画で冷却塔の特殊な構造を考慮していなかったことも要因だという。
冷却塔は9月9日朝に倒壊。
環境への影響はなかった。
周辺では午前7時ごろ、地上10メートルで最大瞬間風速30・9メートルを観測した。
JMTRは06年以降、再稼働せず、17年に廃炉が決まった。
(共同)
https://mainichi.jp/articles/20191218/k00/00m/040/187000c
12月18日11時18分にNHK茨城からは、設計風速の半分程度で倒壊したことがシミュレーションで確認されたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
茨城県大洗町にある原子力機構の大洗研究所では、ことし9月の台風15号で研究用原子炉を冷却する高さおよそ17メートルの建物が全壊しました。
当時、敷地内の最大瞬間風速は、この建物の設計基準のおよそ半分の30メートル余りしかなかったことから、原子力機構で倒壊の原因を詳しく調べていました。
その結果、建物を支える木製の筋交いの一部が腐食していたことが分かり、それを基にシミュレーションしたところ、基準を下回る風で倒壊することが確認されたということです。
施設は昭和43年に完成し、51年がたっていて、すでに廃止が決まり放射性物質はありませんでしたが、外壁にアスベストが含まれ、倒壊時、微量が飛散したおそれもあります。
定期的に点検はしていたということですが、木材の表面が金属に覆われていたため、腐食に気づかなかったということです。
原子力機構によりますと、全国で89の施設が老朽化し、その7割が建設から40年以上たっているということで、今後、点検方法の見直しなど、再発防止策を検討したいとしています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20191218/1070008509.html
12月20日19時14分にNHK茨城からは、報告書が県などに提出されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原子力機構は20日、倒壊した原因などをまとめた報告書を原子力規制委員会や茨城県、それに大洗町を含む10の市町村に提出しました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20191220/1070008530.html
12月21日10時25分にNHK茨城からは、機構は全国の研究拠点で腐食の恐れがある箇所を特定し打音検査を年1回行うなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
原子力機構は点検で腐食を見つけられなかったとし、全国にある研究拠点に対し、腐食するおそれがある箇所を特定して目視での点検に加え、たたいて音で問題がないかを確かめる打音検査を年一回行うことを決めました。
また、必要なら超音波を使った検査も行うとしています。
原子力機構によりますと、全国で89の施設が老朽化し、その7割が建設から40年以上たっているということで、今週、菅官房長官は老朽化対策と安全確保のため、必要な予算を確保していく考えを示しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20191221/1070008535.html
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の1コマ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。