2022年3月1日20時59分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が地図付きでネット配信されていた。
1日午後1時50分ごろ、宮崎県延岡市水尻町にある旭化成のグループ会社「カヤク・ジャパン」東海(とうみ)工場で爆発が起きた。
男性社員(24)が行方不明、協力会社の30代男性社員が膝に軽傷を負った。
周辺の住宅などでも衝撃で窓ガラスが割れる被害が出た。
県警や消防が行方不明者を捜索するとともに、爆発の原因を調べている。
カヤク・ジャパン(東京)は、旭化成と日本化薬が共同出資する会社。
県警やカヤク・ジャパンによると、工場は旭化成東海工場の敷地内にあり、鉱山などの発破作業に使う爆薬を製造している。
爆発した建物は、25メートル四方の敷地に建ち、原料となるニトログリセリンを扱っていた。
建物は全壊し、近くにある施設も屋根の一部がはがれるなどした。
工場の従業員は約30人だが、当時、建物に何人いたかは不明という。
県によると、危険物の流出など、2次被害は起きていない。
現場はJR延岡駅の北東約4・5キロ。
爆発音が広い範囲に届くなどしたため、住民らからは119番が相次いだ。
工場と川向かいにある同市二ツ島町の自宅にいた島田さん(男性、68歳)は、「ドンという激しい音がしたので地震かと思った。最初は茶色、その後に白い煙が上がった」と話した。
工場の北西約1・8キロにある市立川島小学校では、校舎1階の家庭科準備室の窓ガラスが1枚割れた。
当時は教頭ら2人がいたがけがはなかった。
教頭は、「ドーンというものすごく大きな音の直後に窓ガラスが割れて、慌てて外を見た」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20220301/k00/00m/040/184000c
3月2日20時35分にNHK宮崎からは、爆薬原料の液体をタンクから容器に移す作業を3人で行っていた、移し終えた容器を2人が運び出し200mほど進んだところで爆発が起きたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
一夜明けた2日。
爆発が起きた建物は、四角形の土の壁の中にあったということですが、跡形もなく吹き飛んでいます。
この事故で、旭化成の別のグループ会社の30代の男性社員がひざにけがをしたほか、工場の作業員で門川町川内の黒木さん(24)の安否がわからなくなっています。
また、消防や県によりますと、工場の敷地の外にある、旭化成とは関係のない事業所に勤める50代の男性が、爆風で転倒して手に軽いけがをしていたことが新たにわかりました。
さらに、敷地内にいた旭化成の関連会社の50代の男性従業員が耳にけがをしていたこともわかり、この事故によるけが人は合わせて3人になりました。
会社によりますと、この工場では採石現場などで使用される爆薬を製造していて、事故はその作業中に起きたということです。
爆発が起きた建物には、当時、爆薬の原料となる2種類の液体の火薬類、およそ3100キロがタンクに貯蔵されていました。
ここで安否不明になっている黒木さんを含む3人が、火薬類をタンクから容器に移す作業にあたり、黒木さんは計量を担当していました。
火薬類を詰め終わった容器をほかの2人が建物の外に運び出し、200メートルほど進んだ時、突然、爆発が起きたということです。
会社によりますと、事故の原因は現時点でわからないということですが、タンクに貯蔵されていた2種類の火薬類は、外部から強い摩擦や衝撃、熱が加わると爆発する恐れがあるということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20220302/5060011911.html
3月2日6時36分に読売新聞からは、3人のうち1人が計量担当で2人が運搬担当だった、(膝に)軽傷を負った人は歩いていた際に破片が当たったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
爆発で全壊したのは、「第一洗浄工室」と呼ばれる施設。
同社によると、黒木さんはこの日、ほかの従業員2人と作業をしており、黒木さんが火薬類の計量、残る2人が運搬を担当していた。
爆発は黒木さん以外の2人が運搬のため同室を離れた際に起き、2人にけがはなかった。
爆発当時に黒木さんが同室内にいたかは不明という。
軽傷を負った「旭化成エンジニアリング」社員の30歳代男性は、工事の関係で工場敷地内を歩いていたところ、飛んできた破片が当たったという。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220302-OYT1T50077/
3月2日7時18分に朝日新聞からは、爆発した施設ではダイナマイト3万本にあたる量の原料を貯蔵していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故は1日午後1時50分ごろに爆薬を貯蔵する施設「第一洗浄工室」で発生。
施設では、ダイナマイトの原料のニトログリセリン約2千キロと、同じ液体の爆薬「ジエチレングリコールジナイトレート」約1100キロを貯蔵していたという。
合計でダイナマイト約3万本分の量にあたるという。
https://www.asahi.com/articles/ASQ322D0JQ32TNAB003.html
3月2日18時46分にNHK宮崎からは、周辺の70の建物で被害が出た、最も遠い場所は1.8㎞離れているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故のあと、旭化成が周辺の住宅地を巡回したところ、2日午後6時現在で、住宅や公共施設など合わせて70の建物で、窓ガラスが割れたり、シャッターがゆがんだりする被害が確認されたということです。
このうち、爆発が起きた建物から950メートル離れた延岡市白石町の公民館は、入り口の扉がめちゃめちゃに壊れるなど、多くの建物に被害が出ました。
また、公民館の近くに住む75歳の女性の自宅でも、網戸が吹き飛んだということです。
女性は当時、自宅にいたということで、「体調が悪くて寝ていましたが、びっくりして飛び起きました。外にいたらけがをしていたかもしれないと思うと怖いです」と話していました。
旭化成によりますと、現時点で最も遠い被害地は1.8キロ離れた小学校で、今後、被害が拡大する可能性もあるということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20220302/5060011898.html
3月1日18時47分に産経新聞からは、同社は平成20年に2社の産業火薬事業を統合する形で発足したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
旭化成やカヤク社によると、同社は平成20年1月に旭化成ケミカルズと日本化薬が、それぞれの産業火薬事業を統合し発足。
ニトロや硝安油剤(しょうあんゆざい)爆薬を製造しており、ダムやトンネル掘削、採鉱で使われている。
現場はJR延岡駅の北東約4・5キロの工業地帯。
https://www.sankei.com/article/20220301-2OO3M37OX5OURBQ5DEBCEPTHP4/?924047
3月1日15時0分に朝日新聞からは、キノコ雲や爆発現場の空撮写真など9枚が掲載されていた(記事は転載省略)
https://www.asahi.com/articles/ASQ314WFJQ31TNAB00M.html
(2022年3月15日 修正1 ;追記)
2022年3月15日11時53分に朝日新聞からは、計量作業をしていた従業員の死亡が確認されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
宮崎県警は15日、行方不明だった同社社員の黒木さんの死亡を確認したと発表した。
延岡署によると、産業火薬製造会社「カヤク・ジャパン」(本社・東京)東海(とうみ)工場の爆発現場付近で、8日までに遺体の一部や衣服の切れ端などが見つかった。
県警はDNA型鑑定を進め、14日に黒木さんの遺体と確認した。
(2023年1月28日 修正2 ;追記)
2023年1月28日7時0分に朝日新聞からは、負傷者は7人だった、低温でニトログリセリンの一部が結晶化し感度が高くなっていた、作業や漏洩時の衝撃で爆発した可能性が高いとする報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
旭化成グループ会社「カヤク・ジャパン」(本社・東京)の宮崎県延岡市にある東海工場で2022年3月、爆発が起きて作業員1人が死亡し、住民を含む7人が負傷した事故について、同社が27日に調査報告書を発表した。
火薬の原料であるニトログリセリン(NG)の一部が低温で結晶化していたところに衝撃が加わったことが爆発の原因になった可能性が高いとしている。
発表によると、事故は22年3月1日、火薬の原料を洗浄する洗浄工室内で、NGを貯槽から濾過(ろか)槽に移すための作業中に発生。
低温の影響で一部結晶化して感度が高くなっていたNGに、作業や床への漏洩(ろうえい)に伴う衝撃が加わって爆発が起きた可能性が高いとした。
一方、室内を前日から暖めていたことなどから、作業者がNGが結晶化していると考えることは困難だったという。
https://www.asahi.com/articles/ASR1W6VVNR1WTNAB00K.html
1月28日12時22分に読売新聞からは、事故前日まで約10日間設備工事のため生産を停止していたことで貯槽のニトロが外気温の影響を受けた、ニトロは液体と結晶の混在状態では感度が高まるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同社の調査結果によると、工場では事故前日まで約10日間、設備工事のため生産を停止した。
これにより、貯槽に保管されていたニトログリセリンが外気温の影響を受け、低温のため一部が結晶化した可能性がある。
ニトログリセリンは、液体と結晶の混在状態では結晶同士がこすれあうため、打撃や摩擦への感度が高まるという。
東海工場は事故後、生産活動を停止している。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230128-OYT1T50121/
※以下は、1月27日付で該社HPに掲載されていた報告書の抜粋。
工室内が温められていたこと、貯槽の温度が所定の温度を示していたことから作業者は一部結晶化に思い至らなかったと考えられるなどと記されている。
・・・
3.発生工場および発生設備の概要
東海工場では無煙火薬の原料である NG および DEGN の火薬類を製造しており、事故が発生した第1洗浄工室では、下図<工室の流れ>で硝化工室から移送されたNGまたは DEGNを温水およびソーダ水によって洗浄していました。
その後、NG および DEGN はそれぞれ定められた貯槽に移され、サンプル採取による耐熱試験で安定度の確認を経て、同じ工室内にある貯槽から濾過槽に移送されることとなっていました。
濾過槽では所定の払い出し温度に調整した後、ゴムホースを通して計量し、所定のアルミ容器に収納して次の配合工室に運搬されていました。
4.爆発した火薬類の性状
(1)ニトログリセリン(NG)
・・・・
(2)ジエチレングリコールジナイトレート(DEGN)
・・・
7.爆発原因の可能性
これまでの調査結果および原因の解析により、爆発原因は以下2点である可能性が高いと考えます。
(1)貯槽から濾過槽に NG を移送する準備の際に、低温のため一部が結晶化して感度が高くなったNGに、移送準備作業により生じた衝撃。
(2)貯槽から濾過槽にNG を移送するゴムホースを取り外した際に、一部が結晶化して感度が高くなったNGが床に漏洩した時の衝撃。
または、この漏洩したNGの処理を行っている時に加わった衝撃。
NG の一部が結晶化した理由は、冬季に10 日以上(2 月18 日~28 日)貯槽に保管し、外気温の影響を受けたことと推定されます。
しかしながら、前日から工室内を空調して暖めていたこと、貯槽温度計が所定の温度を示していたとの作業者の証言があることから、作業者はNGの一部が結晶化していると考えることは困難であり、通常の作業等を実施したことから爆発が発生したと考えられます。
8.今後の事故再発防止
NGおよび DEGNの製造について設備面および管理面から下記の再発防止策を検討しました。
(1)設備面
・温水温度、貯槽温度、濾過槽温度、室温等の温度管理の強化
・作業者の安全第一とした安全作業環境の強化
・貯槽、濾過槽の殉爆防止と存置量の最小化
(2)管理面
・火薬類の性質に応じた作業工程毎の温度管理の強化
・火薬類の存置ルールの見直し
・凍結、漏洩の可能性がある場合の処理についての基準見直しと教育の徹底
https://www.kayakujapan.co.jp/whats_new_data/pdf/20230127_01.pdf
(2024年11月3日 修正3 ;追記)
2024年11月1日21時1分に毎日新聞からは、工場長ら2人が適切な温度管理をしていなかった容疑で書類送検された、工場では設備工事のため電源を落としていて空調が利いていなかった、ニトロは1910kg貯蔵されていたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警は1日、当時の工場長と火薬製造課長で、いずれも50代の男性幹部ら2人を業務上過失致死容疑で宮崎地検延岡支部に書類送検した。
2人は工場や課の保安管理責任者で、「適切な管理をしなかったのは間違いない」と容疑を認めているという。
書類送検容疑は22年3月1日午後1時50分ごろ、工場内で貯蔵されていた爆薬の原料「ニトログリセリン」(1910キロ)を適切な温度で管理する注意義務を怠り、何らかの衝撃で大爆発を起こさせ、近くで作業していた黒木さん(当時24歳)を爆死させたとしている。
県警によると、ニトログリセリンは完全に液化している15度以上だと状態が安定するため、通常はエアコンを使って貯蔵施設内の温度管理をする。
ところが、工場では設備工事のため事故の前日まで生産を停止し、電源を落としていた。
県警は、これにより空調が利かず、ニトログリセリンの温度が外気で下がったことで状態が不安定となり事故につながったと断定。
別の場所で温度管理をしたり予備電源を持ち込んだりすれば事故は防げたと判断した。
https://mainichi.jp/articles/20241101/k00/00m/040/300000c
11月1日19時12分にNHK宮崎からも、同趣旨記事がネット配信されていた。(記事の本文は転載省略)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20241101/5060019717.html
11月1日18時16分に産経新聞からは、爆発が起きた建屋ではダイナマイト3万本に相当する爆発原料を保管していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同社によると、爆発が起きた建屋で保管していた爆発原料は約2千キロのニトログリセリンを含め、ダイナマイト約3万本分に相当する量だったという。
ニトログリセリンは結晶化すると摩擦などで爆発しやすいため、通常は一定の室温で管理し液体の状態にしている。
https://www.sankei.com/article/20241101-62ZKB6TGJZMOFI5VZV6VE2G2BU/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。