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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2011年12月3日11時12分に千葉日報から、12月2日11時47分にmsn産経ニュースから、12月2日13時9分に朝日新聞から、また12月3日付の読売新聞千葉版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

2日午前9時55分ごろ、千葉市の「JFEケミカル」で、硫酸タンク(直径6m、高さ16m、最大容量305トン)が爆発し、タンクの補修作業をしていた59~20歳の作業員男性3人が重傷を負った。
爆発の衝撃でタンクの上ぶたが約100m吹き飛び、周囲の建物6棟の屋根や窓ガラスが破損した。
警察や消防が詳しい原因を調べている。

警察などによると、重傷を負ったのは、タンクの修理を請け負っていた設備工事会社の作業員3人。いずれも熱風で顔面にやけどを負い、男性一人(59)は腰骨も骨折。近くで作業していた別の男性(38)も病院に搬送されたが、けがはなかった。

作業は、同日午前9時ごろから、高さ約8mの部分に穴が2ケ所開いて一部ににじみが出ていたタンクを修復するため、3人が補修に当たり、1人が下で監視していた。
重傷を負った男性(20)が高さ8~9m付近で、パテを埋めやすいように表面をグラインダーで研削した際、爆発したという。
研削作業で出る火花がタンク内に充満していた可燃性ガスに引火して爆発した可能性もあり、警察は慎重に捜査している。

タンクには硫酸が104トン入っていたが、外部への流出はなく大気に与える影響もなかったという。
硫酸は、化学肥料の原料として保管されていた。


出典URL■■■
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(ブログ者コメント)

「硫酸タンクが爆発した」・・・。ブログ者は、まず、この言葉にビックリした。
そして次に頭に浮かんだのは、硫酸蒸気が爆発する筈がない、硫酸は金属と反応して水素を発生するので、その水素が爆発したのではないか?ということだ。

爆発した硫酸タンクは、腐食防止上、タンクの内側にライニングしていたのだろうか?
もしそうなら、そのライニングが剥がれた部分に穴が開き、そこからの漏れを防止するために、今回、工事していた・・・・そういったことが考えられる。

とすれば、ライニングが剥がれた部分の鉄材と硫酸が反応し、発生した水素がタンク気相部に溜まっていた可能性も考えられるのだが、いかんせん、200m2ほどある気相部に爆発範囲(4~74%)の水素が溜まるには、相当量の水素が必要になる。
この点、とても局部腐食で発生した水素が原因とは思えない。

一方、該社のHPで見ると、この工場では、コークス炉ガス中のアンモニアを硫酸で吸収し、硫酸アンモニウムを製造しているとのこと。
そのような、原料として使う硫酸タンクに可燃性ガスの配管がつながっていたとも考え難い。

いろいろ考えたが、何が爆発したのか、推定することはできなかった。




(2012年3月8日 修正1 ;追記)
 
2012年3月3日付の毎日新聞千葉版ならびに東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。また3月2日付でJFEケミカルからプレスリリースされていた。
 
JFEケミカルは2日、濃度が80%未満の硫酸は、鉄と反応して水素ガスが発生するため注意が必要だったにもかかわらず、作業ミスでタンク内部の消泡板を希硫酸に浸してしまったことが原因だったと発表した。
 
もともと、タンクには濃度98%の硫酸が223トンあった。
そこに、設備停止で21%濃度の希硫酸8ンが発生した。
両者を混ぜても濃度は95%。
混ぜて問題ないと判断し、21%硫酸をタンクに入れたが、タンク内部にあった消泡板という鉄製の棚板が障害物となってうまく混じり合わず、またちょうど液面は消泡板付近にあり、消泡板自体が21%硫酸の層に浸ったことで、水素が発生したという。
 
このためタンク内にたまった水素に、補修作業時のサンダー掛け作業で発生した火花が引火、爆発したという。
 
同社は「作業時の危険予知が甘かった」と話している。
 
なお、当該タンクは当初、脱硫処理用の設備であり、消泡板が残ったまま硫酸貯蔵用タンクとして使用していた。

 
出典URL
http://mainichi.jp/area/chiba/news/20120303ddlk12040109000c.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20120303/CK2012030302000055.html
http://www.jfe-chem.com/news/20120302.pdf
 
 
 
(ブログ者コメント)
 
□いつ混ぜたかは明らかにされていないが、混ぜた時に231トン、事故時は104トンだったことから考えると、混ぜてからしばらく時間が経っていたのだろう。
それは、タンク気相部に爆発範囲に入るだけの水素が溜まるのに十分な時間だったはずだ。
 
□「危険予知が甘かった」・・・。
それは、消泡板の存在を知っていて混ぜたことに対する危険予知のことだろうか?もしそうなら、確かに「甘かった」の一言に尽きる。
 
□しかし、消泡板の存在を知らないで混ぜたのなら、それは、既存設備を他目的に転用する場合の変更管理の問題にもなる。
既存設備では必要だったものが、転用後は無用の長物となり、まれに今回のように事故の引き金になることがある。
設備転用時は、極力、余計なものは撤去しておくことだ。
転用にあたって検討した内容を知っている人が、いつまでも現場にいるとは限らない。
 

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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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