2018年7月3日7時0分に福井新聞から下記趣旨の記事が、穴の開いた屋根の写真付きでネット配信されていた。
7月2日午後1時45分ごろ、福井県若狭町の若狭テクノバレー内にあるPケミカル(本社東京都)の福井工場で、鉄骨平屋の化学工場が爆発したと119番通報があった。
化学製品の製造中に、何らかの理由で、薬品を混ぜていた容器が爆発したらしい。
この爆発により、同社社員の男性1人が死亡、男性1人が重傷。
近くの別会社の従業員や住民ら計10人が、目やのどの痛みを訴えるなどして救急搬送された。
警察は、業務上過失致死傷容疑を視野に、原因などを詳しく調べる方針。
死亡したのは同県小浜市の同社社員Mさん(男性、39歳)。
事故後、病院に搬送されたが、約1時間後に死亡が確認された。
同市内の同社社員男性(18)が、顔などにやけどを負う重傷を負った。
ほかに、同社の男性社員3人と、北側にある別会社の40~50歳の男女従業員5人、近隣に住む58歳と86歳の女性2人が搬送された。
警察によると、Mさんと重傷男性社員の2人は工場の中2階で、機械で液体を混ぜ合わせる作業をしていた。
爆発により、工場の屋根などに穴が開き、オレンジ色の煙が周辺に拡散した。
警察による同社への聴取から、煙は窒素酸化物で、人体に大きな影響はないとみられる。
事故後、工場内を見た同町職員によると、建物内には爆発したとみられる樽形の攪拌設備があったという。
Pケミカル東京本社によると、爆発した福井工場はOEM(相手先ブランドによる生産)により、他社からの依頼を受けて、医薬品や電子材料の原料を生産している。
日によって製造品目が違うため、「事故当時、どういう薬品を使っていたか、現時点では分からない」と説明。
電気火花が飛ばない処理などが施された防爆施設で、混ぜて爆発するような薬品はないとし、「なぜ爆発が起きたのか見当がつかない。爆発原因を把握し発表したい」としている。
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同町によると、同社は1999年4月に若狭テクノバレーに進出し、今年4月時点での従業員は23人。
警察によると、爆発当時は工場内に22人がいた。
出典
『工場爆発、薬品を混ぜる作業中に 男性1人死亡、男性1人重傷』
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/613682
7月2日21時50分に日本経済新聞からは下記趣旨の記事が、オレンジ色の煙の写真付きでネット配信されていた。
警察によると、Mさんと男性が化学材料をタンク容器に入れる作業中に爆発が起きた。
出典
『工場爆発で男性1人死亡 福井・若狭』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3250676002072018000000/
7月3日7時24分に読売新聞からは、近隣への影響に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
近隣の工場の従業員らは流出した物質を体に浴び、「顔が痛い」と口々に訴えていたという。
「ドスーンという雷のような音で外を見たら、夕焼けのような色の煙が流れ出ていた」。
約100m北にある別の工場の従業員男性(66)は、異変に気づいた。
隣の工場の屋根に大きな穴が開き、ガラスや壁の一部が吹き飛んでいた。
しばらくすると、裏口のシャッターのすき間から粉のような物質が流れ込み、従業員の顔や衣服に付着。異臭が立ち込めた。
女性のパート従業員らが「熱い」、「目が痛い」と、体調不良を訴えた。
一部は救急搬送され、残る20数人はマスクを着けて近くの公園に避難。
「エアコンを止めてシャッターを閉め、被害が広がるのを防いだ」とパート女性(54)は振り返った。
出典
『夕焼けのような色の煙、物質浴び「顔が痛い」』
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180703-OYT1T50008.html
7月4日7時20分に福井新聞からは、混ぜ合わせていた3種類の化学物質名などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
Pケミカルの飯田社長(49)が7月3日、同工場前で取材に応じ、事故当時、硝酸とバナジン酸アンモニウム、ターシャルブチルシクロヘキサノールの3つの薬品を酸化反応させ、電子材料の原料となるものを製造していたと説明した。
飯田社長らによると、事故当時に行っていたのと同じ薬品を使った作業は、若狭テクノバレーに進出した1999年から800~900回続けており、これまで事故はなかったという。
ただ飯田社長は、「化学反応なので、加熱しすぎると中にたまったものがドンと出たりするような可能性は否定できない」とした上で、「そのためマニュアルにして、何℃以上には上げずに、そこから冷却するというようなことはしっかりしている」と説明。
「なぜこういう状況になったのか」、困惑した様子で話した。
有機化学に詳しい福井大工学部の吉見泰治准教授によると、爆発時に作業していた3種の薬品は、混ぜ合わせただけでは安定しており、火をつけても燃えるだけで、爆発はしないという。
ただ、一部の薬品に不純物が混じっていると硝酸と反応したり、圧力と加熱が過度になったりすると爆発する可能性はあるとしている。
出典
『工場爆発で社長、同作業してきた 3薬品を酸化反応させ原料製造』
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/614394
7月4日付で中日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
飯田社長と警察によると、事故当時、死亡したMさんと大やけどを負った男性社員の2人が、円筒形のかくはん機(直径約2m)に、酸化作用が強い硝酸と、アルコールの一種の有機化合物、化学反応を促す触媒を手作業で入れ、半導体の材料を合成していた。
この工程について、福井大工学部の吉見泰治准教授は、「反応をコントロールできなくなった可能性もあるが、あれほどの爆発を起こすような化学反応ではない」と分析し、不純物が混入した可能性を指摘。
濃度の高い硝酸が不純物と反応すると、火薬のような物質ができたり、大量の二酸化窒素が発生したりすることがあるという。
出典
『不純物混入の可能性、専門家が指摘 若狭工場爆発』
http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20180704/CK2018070402000027.html
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。