2013年4月6日に掲載した「第2報修正5」の元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を「第3報修正6」として掲載します。
第1報は下記を参照願います。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2319/
第2報は下記を参照願います。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/2775/
(2014年3月25日 修正6 ;追記)
2014年3月18日12時59分に時事ドットコムから、規定を定めず製造作業を行わせたとして副所長らが書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
兵庫労働局は18日、労安法違反の疑いで、同社(大阪市)と当時の同製造所副所長(55)、タンクを管理していた化成品製造部第2課長(58)の2人を書類送検した。
容疑は、爆発を起こしたタンクを含む五つのアクリル酸中間貯蔵タンクについて、事故のあった12年9月29日までの少なくとも1カ月間、爆発や火災を防止するために必要なバルブ操作や攪拌操作についての規定を定めずに製造作業を行わせた疑い。
出典URL
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014031800372
3月18日19時27分にNHK神戸からは、下記趣旨の表現でネット配信されていた。
姫路労基署によると、工場では設備のテストを行うため、貯蔵タンクに通常の2倍を超える量のアクリル酸を入れていたが、発熱を伴う化学反応が急激に進み、爆発が起きたという。
一定の量を超えるアクリル酸を入れる場合、循環装置を稼働させてタンクを冷却させる必要があるが、会社には冷却の具体的な手順などを記したマニュアルがなかったということで、同署は2人を書類送検した。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2023052952.html?t=1395177436698
(2016年4月4日 修正7 ;追記)
2016年3月31日19時39分に神戸新聞から、当時の課長ら3人が在宅起訴された、タンクへのアクリル酸大量貯蔵は蒸留施設能力向上テストの一環だったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3月31日18時36分に産経新聞westから、4月1日付で毎日新聞西部版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
(新情報に基づき、第1報第2報ともども、タイトルも修正した)
神戸地検は、31日、業務上過失致死傷の罪で、当時の同製造所化成品製造部製造第2課長(60歳、労安法違反の罪で公判中)ら3人を在宅起訴した。
ほかの2人は、当時、同課長を補佐した主任技術員(58)とアシスタントリーダー(46)。
起訴状などによると、課長と主任技術員はアクリル酸蒸留施設の能力向上テストを発案し、アシスタントリーダーは計画を策定、実施する立場だった。
2012年9月25日から、同施設にアクリル酸を供給するタンクに約60m3を貯留。
25m3を超える場合、冷却装置を適正に稼働させて高温での滞留による爆発を防ぐ注意義務があったのに、作業員らへの指示などを怠り、29日午後2時35分ごろ、タンクを爆発させて消防士(当時28歳)を死亡、作業員らにけがを負わせたとされる。
地検は3人の認否について、明らかにしていない。
業務上過失致死傷の疑いで兵庫県警に書類送検された当時の副所長兼化成品製造部長(57)と別の主任技術員(55)については、「テスト計画を具体的に把握しておらず、実施への関与も乏しい」として、不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
出典URL
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201603/0008946026.shtml
http://www.sankei.com/west/news/160331/wst1603310063-n1.html
http://mainichi.jp/articles/20160401/ddp/041/040/034000c
(ブログ者コメント)
テスト中だったことは修正6版で記載しているが、テスト内容が報道されたのは、ブログ者の知る範囲では初めてだ。
見落としていたかと思い、最終報告書を確認したところ、以下の記述があった(V-3138が爆発した中間タンク)。
(最終報告書URLは、第2報修正3参照)
5.1.3. 事故要因の背景
(3)要因 b)-2) 天板リサイクルバルブ閉(T-6701 能力アップテスト)
③ 2009 年度テスト実施時
V-3138 へ液溜めを行う理由は、T-6701 能力アップテストのためであるが、 V-3138 へ意図的に液を溜める作業は、通常は行わない非定常作業であり、ま た、T-6701 能力アップテストは一時的な条件による運転マニュアル外の操作であった。
T-6701 能力アップテストの目的は留出品の品質を確保できる稼動条件の見極めであったが、T-6701 テスト条件は、蒸留塔の負荷としては過去に実績の ある範囲内であったこと、また、V-3138 の貯蔵液量も公称容量内であったこ とから、設備の能力範囲内における調整と認識されていた。
したがって、 T-6701 テスト方法・条件・予定等を記載したテスト実施計画書が作成されたが、 V-3138 液溜めに付随するリスクは未検討であった。
テスト計画書は課長承認を得て発行されたが、指示書は発行されていない。
ただし、この時は、V-3138 暫定使用方法の確認中でもあり、タンク液溜め後 に天板リサイクルが実施された。
④ 2012 年度テスト実施時
T-6701 能力アップテストに対する基本的な認識は 2009 年度実施時と同様であり、V-3138 液溜めに付随するリスクは未検討であった。
また、V-3138 液溜 め作業は「V-3138 基本管理方法」に沿って実施されるべきであるが、本内容 はマニュアルに未反映であり、指示書も発行されなかったため、運転員へ再度 周知することができなかった。
2014年1月10日付で山口朝日放送から、1月10日19時46分にNHK山口から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
山陽小野田市の化学工場で薬剤が爆発し、研究員2人が軽いケガをした。
爆発事故がおきたのは、山陽小野田市郡の化学メーカー日本化薬厚狭工場内にある、爆薬などの製造会社「カヤク・ジャパン」の研究室。
カヤク・ジャパンなどによると、1月10日の午前10時ごろ、コンクリートや岩石を砕く薬剤の開発実験として、酸化銅とアルミニウムを混ぜ合わせていたところ、突然爆発したという。
この事故で、女性研究員(45)が両耳の鼓膜を損傷し、男性研究員(28)が肩から頭にかけてやけどを負った、いずれも軽傷。
カヤク・ジャパンの中村工場長は「もう一度、安全作業の見直しをして、安全確保をやっていきたいと思う」と話している。
この会社では、この薬剤の開発実験をしばらくの間中止し、事故の原因究明に務めるとしている。
この工場では、主にダイナマイトなど産業用の火薬を製造していて、平成14年にも火薬の製造中に作業所が爆発し従業員2人がけがをする事故が起きている。
また、1月9日に三重県四日市市での工場爆発をうけ、周南市消防本部は市内すべてのコンビナート企業に対し、安全管理を徹底するよう文書で注意喚起を行うことにしている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4064401161.html?t=1389395578756
2013年11月22日19時1分にチューリップテレビから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午後3時半すぎ、砺波市千代(せんだい)の環境調査会社「K理研」で爆発があったと消防に通報があった。
現場に消防が駆けつけ、火はおよそ15分後に消し止められたが、50代の男性と30代の女性の2人の従業員が病院に運ばれた。
消防によると、女性は意識があったということだが、男性も含めてケガの程度は詳しくわかっていない。
爆発事故がおきた当時、会社の機械室では試薬の実験が行われていたとみられ、警察などでは現在、事故の原因を調べている。
出典URL
http://www.tulip-tv.co.jp/news/detail/?TID_DT03=20131122190200
また、11月22日19時6分に日テレNEWS24から、下記趣旨の補足的記事がネット配信されていた。
現場は3階建ての建物で、2階で何らかの作業中に爆発事故が起きたとみられる。
この会社では大気や水質などの測定を行っており、社屋の2階には大気や水質を分析する部屋があるという。
出典URL
http://news24.jp/articles/2013/11/22/07240793.html
2013年9月24日付で朝日新聞神戸版(聞蔵)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
22日午後9時40分ごろ、神戸市西区高塚台の「S半導体材料」の工場で、「火災報知機が鳴り、煙が出た」と119番通報があった。
工場内で有害ガスが発生した可能性があるとして、計19台の消防車両がかけつける騒ぎとなったが、けが人はいなかった。
23日現在、工場付近で異状は確認されていない。
警察などによると、男性従業員が工場1階の作業室で、固体状のヒ素と液状のガリウムを炉(高さ約2m)の中で加熱・気化させ、混ぜ合わせる作業をしていたところ、「バン」という爆発音がして白煙が上がった。
ヒ素と空気中の酸素が反応すると有毒な亜ヒ酸が発生する恐れがあるため、作業室のドアを閉め、テープで密閉。工場の換気装置を使ってガスを除去した。
24日以降に同社が警察などの立ち会いの下で、室内を調べる。
2011年11月17日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正7として掲載します。
(2013年9月13日 修正7 ;追記)
2013年9月5日22時14分にNHK山口から、9月6日付の朝日新聞山口東版(聞蔵)から、当時の製造部長らが不起訴、起訴猶予になったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
おととし11月、「東ソー」の周南市の工場で爆発を伴った火災が発生し社員1人が死亡した事故で、業務上過失致死などの疑いで書類送検された当時の製造部長ら3人について、山口地検は「過失を認めうる十分な証拠がない」として5日までに不起訴にした。
処分の理由について地検は「爆発について予見の可能性を認めることは困難で、過失を認めうる十分な証拠がない」としている。
また、この事故では火災の際に、適正な処理を怠って基準を超える有害物質を含む水を海に流出させたとして、会社と汚水の回収作業を指示していた部長ら2人が水濁法違反の疑いで書類送検されているが、山口地検は「当時、多量の雨が降ったことや、会社が再発防止策をとっている」などを考慮して起訴猶予にした。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4064322251.html?t=1378426023839
(ブログ者コメント)
元記事は、下記を参照ください。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/983/
2013年5月8日18時50分にmsn産経ニュースwestから、同日21時49分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午後5時ごろ、滋賀県湖南市の工業用化学薬品製造販売「N社」滋賀工場で、硝酸入りのステンレス製タンク(縦1.7m、横2m、高さ2m、容量1トン)が爆発し、近くにいた従業員の男性(34)が硝酸を浴びるなどして、顔や上下の右半身にやけどを負って重傷。
病院に搬送されたが、命に別条はないという。
警察などによると、男性が半導体の製造装置を洗浄するため、天井から吊るしたステンレス製のかごに装置を入れてタンク内の硝酸に浸していた際、何らかの原因で爆発が起こったという。
男性は保護服などを装着し、1人で作業に当たっていた。
爆発に伴ってタンクが横に傾き、火災も発生したが、約40分後に鎮火。
水槽の真上にある工場の天井部分には、爆発によるとみられる直径約2mの穴があいた。
警察などが、事故の状況や爆発の原因などを詳しく調べている。
当時、同工場敷地内で別の作業をしていた男性従業員は、「ドーンという大きな音が聞こえ、何が起こったのかと思った」と話していた。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130508/waf13050818510026-n1.htm
http://mainichi.jp/select/news/20130509k0000m040090000c.html
また5月9日23時41分にmsn産経ニュースwestから、同日18時59分にNHK大津から、事故原因に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同社によると、男性従業員は半導体の製造装置の部品に付着した化学物質の汚れを、硝酸をためたタンクの中に入れて洗浄する作業を1人でしていた。
この際、汚れの中にチタンなどの物質が一定量より多く含まれていた場合、硝酸と急激な化学反応を起こし「突沸」が発生する。
その弾みでタンクが倒れて中に入っていた硝酸が漏れ出した可能性が高いという。
また、水素などのガスが大規模に生成され、タンクの爆発につながった可能性が考えられるという。
現場の工場では、タンクで洗浄する部品に付着した物質を確認し、急激な化学反応を防ぐように作業していたという。
この突沸と呼ばれる現象は、埼玉県にあるN社の工場で3年前に起きていて、この時は硝酸が作業員の目にかかり、視力が低下する被害が出たという。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130509/waf13050923420042-n1.htm
http://www.nhk.or.jp/lnews/otsu/2064440951.html?t=1368133395441
(2014年10月24日 修正1 ;追記)
2014年10月21日19時52分にNHK大津から、所長はタンクの定期点検や警報装置設置義務があることを認識していなかったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東近江労基署は、21日、タンクの定期検査を怠っていたなどとして、この工場を運営する会社と工場の所長を、労安法違反の疑いで書類送検した。
書類送検されたのは、神戸市中央区にある化学薬品などの製造販売会社「N社」と、工場を運営していた事業所の58歳の所長の男。
同署によると、事故があったタンクは法律で2年に1度の定期検査が義務づけられているが、会社と所長は、平成8年にタンクを設置してから一度も検査を行っていなかったほか、タンクの異常を知らせる自動警報装置や温度計などの計測装置を付けていなかったとして、労安法違反の疑いがもたれている。
調べに対し、所長は容疑を認め、「定期検査や装置の設置が必要だという認識がなかった」と話しているという。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/otsu/2065567511.html?t=1413925849177
10月21日17時39分に産経新聞WESTからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
送検容疑は、労安法で定められたタンクの定期自主検査や自動警報装置の設置などを怠った疑い。
事業所長は「法律をよく分かっていなかった」と説明している。
事故は昨年5月8日午後5時ごろ発生。
従業員は全身に硝酸を浴び、頭や足をやけどする重傷を負った。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/141021/wst1410210051-n1.html
2012年10月7日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正3として掲載します。
(2013年3月31日 修正3 ;追記)
2013年3月30日0時28分にNHK大阪から、最終報告書がまとまったという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
会社の事故調査委員会は、爆発したタンクには温度計が設置されていなかったうえ、事故が起きた際のマニュアルも整備されていなかったとする最終報告書をまとめた。
それによると、タンクの中で「重合反応」と呼ばれる発熱を伴うアクリル酸の化学反応が急激に進んだことが爆発の原因とした上で、タンクには温度計が設置されていなかったため、異常な温度の上昇に気づくのが遅れたことが被害をより深刻にしたと指摘した。
また、タンク全体の冷却装置を作業員が社内の取り決めどおりに使用していれば爆発を防げたとした一方、使用しなかった理由については、会見した池田社長は「警察の捜査が続いていて明らかにできない」と述べるにとどまった。
さらに、社内のマニュアルは事故を予防する対策が中心で、事故後の判断や対応が整備されていなかったため、作業員が適切に対処できなかったとしている。
日本触媒は、マニュアルの整備や社員教育を進めた上で、工場の再稼働を目指したいとしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20130330/3519231.html
また2013年3月29日20時53分にmsn産経ニュースwestからも、下記趣旨でネット配信されていた。
同社の事故調査委員会は29日、最終の調査報告書を公表した。
事故原因に温度計が設置されていないなどタンクの温度監視の不備を挙げ、「長年の安定生産の継続が安全意識のゆるみを招いた」と事故の背景を指摘した。
調査委員長の田村昌三・東京大名誉教授らが大阪市の本社で会見。
報告書では、再発防止対策として、危機管理教育の徹底や、第三者による定期的な検証の実施などを求めた。
会見で池田社長は、事故当日に消防隊員に提供した爆発の危険性についての情報量を「不十分だったとは考えていない」と説明。「当時の状況では精いっぱい。(異常を)早く通報しても爆発は起こったかもしれない」とした。
また、「技術力への自負から過信につながり、足下の安全が揺らいだ。真に信頼される化学会社として再出発したい」と話していた。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130329/waf13032920550031-n1.htm
最終報告書は下記参照。
http://www.shokubai.co.jp/ja/news/file.cgi?file=file1_0111.pdf
(ブログ者コメント)
報道された内容以外、報告書には以下のようなことも記載されている。
P39/70)
低温ではアクリル酸凍結などが、高温では重合の懸念があったが、貯蔵液量は少なく、コイルで冷却され、安定剤を多く含んでいたことから、常時温度を監視・制御する必要性は、主要工程に比べ低く認識されていた。
P41/70)
漏洩、火災に対する初期対応手順は整備を進めているが、暴走反応については作成されていなかった。
(2013年11月13日 修正4 ;追記)
2013年11月6日2時7分にmsn産経ニュース兵庫から、姫路市がこの事故を教訓に防災計画を修正した(連携強化など)という下記趣旨の記事が、ネット配信されていた。
昨年9月の事故を教訓に、県は「石油コンビナート等防災計画」を修正し、コンビナート内の各事業所に消防などとの「連携責任者」を設置するよう求めた。
昨年の事故でタンクの爆発の危険性が消防隊員にうまく伝わらず、被害を拡大した反省から、「情報共有の徹底」が狙いだ。
県は事故後、消防や警察と神戸市や姫路市など沿海部にコンビナートを抱える自治体などの「県石油コンビナート等防災本部」会議を2回開催。日本触媒から調査結果の説明を受け、防災計画の修正を検討した。
その際、タンク内が化学反応で異常な高温となるなど兆候があったにもかかわらず通報が遅れたことや、爆発の危険性が消防隊員に伝えられず、隊員がタンクに近づきすぎたことなどの反省点が挙がった。
このため、防災計画の修正は
(1)異常現象の判断基準の明確化と、迅速・的確な通報の徹底
(2)化学物質の取り扱いに関する教育・訓練などの充実
(3)災害時の事業所と消防など関係機関の連携強化
を柱に行った。
特に「連携強化」を重視し、神戸、姫路臨海など4コンビナートで危険物を扱う計38事業所は連携責任者を定め、ふだんから消防に、必要な情報を提供することとした。
さらに、事故発生時はあらかじめ決めた安全な「アクセスポイント」に指揮本部を開設し、設備の概要など情報共有を徹底することにした。
県は「日本触媒のケースでは、(消防隊員が)危険な所まで入ってしまった結果、事故につながった。連携強化をしながら、現地の指揮系列を一本化できるよう修正した」としている。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/region/news/131106/hyg13110602070004-n1.htm
(2013年12月15日 修正5 ;追記)
2013年12月12日14時3分にmsn産経ニュースwestから、停止命令が解除されるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
姫路市消防局は11日、今月中旬にも同製造所への緊急使用停止命令を全施設で解除する方向で調整を進めていることを明らかにした。
同局によると、同製造所は事故の発生したアクリル酸を扱う2施設で、アクリル酸の廃液をためるタンクを廃止したほか、製造ラインに緊急安定剤投入設備を整備するなどの対策を取ったという。
命令の解除は、施設への立ち入り検査の結果を受けて決定される。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131212/waf13121214100026-n1.htm
26日午後3時35分ごろ、大阪府枚方市出口のメッキ液製造「K工業」の枚方工場排水処理棟でガス爆発が起きた。
男性作業員(61)が左胸を強打するなどして病院に運ばれ、重傷。他に男性作業員(38)が耳鳴りがする程度の軽傷という。
警察が事故原因を調べている。
警察などによると、2人が工場で出た廃液をポリ容器からステンレス製貯蔵タンク(縦1.9m、横3.8m、高さ1.8m)に移し替えていたところ、ガス爆発が起きたという。
タンクは破裂しなかったが、ふたが吹き飛び、棟の南側と西側の一部壁が崩れ、鉄骨がむき出しになった。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130326/waf13032621390029-n1.htm
19日午後10時半ごろ、長崎市の三菱重工長崎造船所内にあるリチウムイオン電池工場から白煙が上がっているのを警備員が発見した。
リチウムイオン電池の耐熱試験をしていた電気炉(高さ141cm、幅68cm、奥行き74cm)が焼損し、約3時間後に鎮火した。
当時、操業時間外のため人はおらず、けが人はなかった。
同社によると、工場は充電して繰り返し使えるリチウムイオン電池の量産化を目指し、生産効率や安全性を高めるための実証工場。
19日午後7時35分ごろから、温度100℃の電気炉内に厚さ3cm、幅10cm、高さ15cmのリチウムイオン電池96個を入れ、8時間後に止めて変形やガスの発生の有無を調べる実験をしていた。
リチウムは水と化学反応を起こす危険性があるうえ、煙が充満して工場の中の様子が確認できなかったことなどから、消火方法の検討に時間がかかり、現場は多くの工場関係者が詰めかけるなどして一時騒然となった。
出典URL
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130321-00000211-mailo-l42
2013年1月23日12時23分にNHK大阪から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
きょう午前6時半すぎ、大阪・鶴見区の「荒川化学工業」の大阪工場で「煙が出ている」と近所の住民から消防に通報があった。
煙は、ドラム缶に保管されていたアクリル性の薬品から大量に発生していて、消防などが風を送るなどして冷却作業を行った。
煙は、およそ30分後に止まったが、発生したガスが皮膚に触れると、かゆみなどを引き起こすおそれがあったため、工場の従業員が屋外に避難した。
現場は、大阪市営地下鉄、今福鶴見駅から南におよそ500mの国道沿いで、周辺の道路も一時、封鎖された。
けがをした人はいなかったという。
警察によると煙が出た薬品は、テレビの液晶パネルなどの材料として使われる「光硬化型樹脂」の原料で、アクリル酸エステル系の化学物質だという。
この薬品はふだんは液体の状態で保管されているが、けさ、薬品が固まっているのに従業員が気付き、液体に戻そうと加熱した際に煙が出たため、冷却しようと水を注いだところさらに大量の煙が発生したという。
警察などは工場側から事情を聴くなどして煙が出た原因や、対応に問題がなかったか調べている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20130123/4989861.html
一方、1月23日11時22分にmsn産経ニュースwestからは、若干ニュアンスの異なる下記趣旨の記事がネット配信されていた。
前日から約200ℓの接着剤を専用の装置の中でドラム缶ごと加熱していた。
23日早朝になって装置の排気口から煙が出てきたという。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130123/waf13012311230018-n1.htm
また、荒川化学HPには、1月25日付で第2報として、下記趣旨のニュースリリースが掲載されていた。
製造に使用するため加温中であった原料アクリル酸エステルのドラム缶1本からの発煙を発見。
重合反応による発熱のため、水による冷却を開始した。
出典URL
http://www.arakawachem.co.jp/jp/ir/document/news/20130123jiko2.pdf
9日午後4時55分ごろ、東大阪市の化粧品メーカー「M化粧品」の研究所で、化粧品の試験中に突然、試験管が爆発。従業員の男性(36)と女性(26)が頭や首を切る軽傷を負った。
警察によると、ハンドクリーム、エタノール、発煙硝酸を混ぜて試験管で熱したところ爆発し、天井の蛍光灯も破損したという。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130109/waf13010923160025-n1.htm
また同社HPに下記趣旨のおしらせが掲載されていた。
医薬部外品の確認試験(酢酸dl-αトコフェロール)(1)を実施中に試験管が破裂し、研究開発課員2名が腕や額などに裂傷を負いました。
当時、試験室内には2名のほか6名も作業をしておりましたが6名に被害はございません。
作業自体は、化粧品原料基準の「酢酸dl-αトコフェロール」の確認試験(1)に記載の通りに進めており、原因解明には検証が必要ですが、試料であるクリームの成分と反応をおこし破損・事故に繋がったのではないかと考えられます。
出典URL
http://milliona.jp/index3.html
(ブログ者コメント)
確認試験(1)の方法を調べた結果、以下の資料の7ページに下記記載があった。
「本品0.05gを無水エタノール10mℓに溶かし、硝酸2mℓを加え、約75℃で15分間過熱するとき、液がだいだい~赤色を呈する」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0928-5d.pdf
新聞記事ならびに同社おしらせと、内容は合致する。
公的試験方法どおりに試験していて爆発した?・・・そんなことがあるのだろうか?
それとも、不純物の存在とか試験手順のミスなどといったことが原因だったのだろうか?
1.事故の概要
29日午後2時35分ごろ、兵庫県姫路市網干区の「日本触媒姫路製造所」で、紙おむつの原料となるアクリル酸の入ったタンクが爆発した。
消防隊員1人が死亡し、従業員や消防隊員、警察官の計30人(ブログ者注;その後36人)がやけどなどの重軽傷を負った。
爆発したのとは別に、トルエンなどが入ったタンク2基も焼けた。
同製造所では、76年3月にもアクリル酸の貯蔵タンクで爆発事故が起きていた。
http://www.asahi.com/national/update/0929/OSK201209290036.html
2.爆発に至る経緯
1時ごろ :アクリル酸の中間貯蔵タンクのベント弁から白煙が出ているのを偶然、従業員が発見。
※推定;この数時間前には異常反応が起こり、温度上昇が始まったか?
(時間不明):自衛消防隊がタンクに放水して冷却開始
1時50分頃: 姫路市消防局に「アクリル酸の異常反応の可能性がある」とホットラインで通報
(時間不明):市の消防車が自衛消防隊の消防車近くに停車し放水準備
2時25分頃:タンク下部から黄色い液体がザーッと流れ出て、タンク上部からは噴水のように黄色い液があふれていた。
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0005414696.shtml
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120930/dst12093021120021-n1.htm
http://www.asahi.com/national/update/1001/OSK201210010076.html
3.爆発時の状況
□横たわる負傷者、やけどをした体をホースの水で冷やす消防隊員−−。爆発の前後に現場に出動した消防団員らが30日、火災現場の壮絶な状況を明らかにした。
消防団員の男性は製造所に着いて間もなく、タンクの爆発に遭遇した。
「けが人がたくさんいるから運んでほしい」。誰かが大声を上げたため、タンク近くに駆け付けた。
消防隊員ら数人が地面に横たわり、接着剤のような黄色いアクリル酸が服に付着していた。服を脱いでホースの水を体にかけ、バケツに手を浸していた。
別の消防団員の男性は、両手をやけどした消防隊員に「服をめくってくれ」と頼まれた。薬品で所々焦げたシャツを脱がすと、背中がやけどで赤く腫れていた。
周囲では「熱い」「痛い痛い」の声。男性は「薬品は接着剤みたいで、無理に取ろうとすると皮がめくれそうになった。恐怖を感じ、ぼうぜんとするしかなかった」と振り返った。
http://mainichi.jp/select/news/20121001k0000m040079000c.html
□爆発したタンクから飛び散った高温の化学物質で消防隊員の防火服が溶けていたことがわかり、警察は、タンクの中で化学反応が急激に進んで180℃以上に温度が上昇し爆発に至ったとみて調べている。
防火服は、180℃の温度でも、5分間耐えられるように設計されているという。
http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025406261.html?t=1349128386721
□焼死した消防隊員の防火服のほとんどが黒く炭化していたことがわかった。この防火服は500℃の熱にも耐えられるパラ系アラミド繊維でできていた。
死亡した隊員らが500℃以上のアクリル酸を全身に浴びたとみて当時の状況を調べる。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/121003/waf12100308590002-n1.htm
4.中間タンクの安全管理状況
□タンク内の温度は通常、約60℃に保たれていた。
□温度計はタンク横に設置され、巡回して目視で確認することになっていたという。
会社は「内部のアクリル酸の温度については、タンクに近づけず、白いものが出ているということは、かなり上がっていると推察した」と述べた。
http://www.asahi.com/national/update/1001/OSK201210010076.html
□中間貯蔵タンクについて「爆発の危険性は低い」と判断し、温度を常時監視する態勢にしていなかった。中間貯蔵タンクは数時間ほどアクリル酸を保管するだけで、急激な温度変化や化学反応は想定しにくいと証言する関係者もいる。
http://www.asahi.com/national/update/1002/OSK201210020062.html
□タンクの酸素濃度は7%に管理されていた。
http://mainichi.jp/select/news/20121006k0000m040108000c.html
(関連情報)
○アクリル酸を製造する化学メーカーは「うちは貯蔵タンクでも異常反応が起きないよう、温度や酸素濃度などは管制室で常にモニタリングしている」と説明した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121005/dst12100522070015-n1.htm
5.対応上の問題点
□消防への通報が遅れた点に関し、会社は会見で「自分たちで(冷却が)できると判断したと思う。結果的に事故が起きてしまい、重大性を読めなかった」と釈明した。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120930/hyg12093021580010-n1.htm
(関連情報)
○爆発の約1時間半前にタンクから上がった白煙が、法令で定める消防に通報すべき「異常現象」だったのか。その判断、認識をめぐり意見が割れている。
同業他社などからは「即座に通報すべき異常事態」とする意見がある一方、自助努力で冷却しようとした姿勢に一定の理解を示す関係者もいる。
ある関係者は「消防を呼ぶと、経緯などの社内説明に膨大な労力がかかる。大ごとにならないよう、自助努力で収めようという潜在意識はある」と打ち明ける。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005423573.shtml
□市消防車の停止位置がタンクに「近すぎたのでは」と疑問視する声もあるが、消防局は「危険な場所からは距離を開けるべきという考えは当然あるが、10~15mだった自衛消防組織とタンクの距離が目安になったはず」と説明。
その上で、化学物質が燃えるような特殊な事情の場合、「事業所側(の情報)に頼らざるを得ない」と述べ、情報の提供が不十分だったとの、認識を示した。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/121001/waf12100108330001-n1.htm
(関連情報)
○現場に入った消防士談「所内では、日本触媒幹部から「煙はアクリル酸、炎はトルエンによる」と燃焼物の説明を聞いた」
http://mainichi.jp/select/news/20121001mog00m040039000c.html
○別の消防士談「日本触媒との連携については、「私には何をすればいいのかなど具体的な指示はなかった。普通の火事と違って、化学薬品は、どういう状態になれば危険なのかという認識がないので消火が難しかった。」
http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025406262.html?t=1349128471656
○製造所側は、到着した市消防局の隊員に具体的な危険性に触れず、「最悪の場合は爆発の可能性がある」との説明にとどめたという。
http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0005421099.shtml
6.会社、同工場の概要
日本触媒は、紙おむつなどの原料となる高吸水性樹脂で年間47万トンの生産能力を持ち、世界シェアはトップの25%。
このうち同製造所は同32万トンを生産。高吸水性樹脂の原料、アクリル酸についても同製造所で同46万トン生産し、世界シェアは1割に上る。
30日の記者会見では、在庫について「高吸水性樹脂は1カ月弱分、アクリル酸が2週間分」とし、いずれも構内にあるため同命令の解除まで出荷が不可能という。
海外拠点もほぼフル生産で代替生産にも限界があり、供給先への影響は「調査中」とした。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005417539.shtml
7.その他の情報
□同製造所が9月中旬から、電気系統のメンテナンスのため、全設備を順次いったん停電させて復旧させる作業を実施していたことが分かった。
最初に爆発したタンクでは事故の6日前に作業が終わり、その翌日にアクリル酸を入れ始めた。
同社は、影響について「考えづらい」としているが、県警は今後、作業の手順などに問題がなかったかも調べる。
火災が起きた29日も、別の設備の復旧作業をしていた。
http://mainichi.jp/area/news/20121001ddf041040014000c.html
□定期検査後、事故の6日前にタンクにアクリル酸を入れ始めたことから、まだ安定稼働には至っておらず、プロピレンの酸化工程で発生した副生成物がタンクに注がれた、という可能性を指摘する専門家もいる。
http://mainichi.jp/select/news/20121006k0000m040108000c.html
(ブログ者コメント)
□原因としては今のところ、①冷却不足②重合防止剤注入量不足③酸素濃度管理不備④異物混入、といったことが考えられる。
□いくら中間タンクとはいえ、重合反応が起きる危険性を予測して各種対策をとっていたはず。
一旦重合反応が起きれば、暴走する危険性は少なからずある。
なのに、なぜ、温度を計器室で監視できるようにしなかったのだろうか?
各種対策をとっていることで、重合反応が起きることはないと安心し、現場温度計だけでヨシとしたのだろうか?
(2013年1月25日 修正1 ;追記)
2013年1月18日21時2分にNHK神戸から、同日21時44分にmsn産経ニュースwestから、また19日付で毎日新聞大阪版から、事故原因などに関する中間報告が公表されたという下記趣旨の記事がネット配信されていた。
18日、日本触媒が設置した事故調査委員長の田村東大名誉教授らが会見し、中間報告を公表した。
それによると、事故直後の会見で「タンクの横に設置した温度計を従業員が巡回して確認し、温度管理をしていた」と説明していたタンク横の温度計について、池田社長は「設置していなかった」と訂正。「情報が錯綜し間違った情報を伝えた。タンク設置時に申請し当局から許可されていたが、必要ないと考えていた」と訂正した。
また、このタンク(70m3)では、貯蔵するアクリル酸の温度が上昇しすぎると、重合反応が急激に進み、爆発につながることから、タンクの下の部分で冷却水が入ったコイルでアクリル酸を冷やし、再びタンクの上に循環させて、全体を冷却する装置が備え付けられていたが、当時、現場にいた作業員は、社内の取り決めどおりに装置を使用していなかったという。
報告によると、同28日、液体を60m3貯蔵した際、上部の液体をポンプで混ぜて温度を下げる操作をしなかった。
25m3以上ためた時には、この操作がマニュアルに定められていた。
その後、タンク内では化学反応が起きて温度が上昇、分子が結合する「重合反応」に至って液体が沸騰するなどし、29日に蒸気爆発した。
事故調査委員会は、こうした温度監視の不備が積み重なり事故が起きたとしていて、再発防止策として、遠隔監視などの温度管理の強化、冷却作業の常時実施や教育の徹底を提言。さらに調査を進め、年度内に最終報告書をまとめることにしている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2024875101.html?t=1358545670785
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130118/waf13011822010034-n1.htm
http://mainichi.jp/area/news/20130119ddn041040018000c.html
ちなみに同社HPには図解付の中間報告書が掲載されており、報告書中、60m3貯蔵操作については以下のように記されている。
9月25日 9時30分頃 タンクへの液溜め開始
9月28日14時00分頃 60m3に到達
9月29日13時20分頃 タンクベントからの白煙を確認(最高温度160℃程度と推定)
9月29日14時35分頃 タンクに亀裂が発生、タンク内圧力が急降下して蒸気爆発が起きた
http://www.shokubai.co.jp/ja/news/update/file2_0101.pdf
(ブログ者コメント)
□中間報告書の内容からすると、平衡破綻型の蒸気爆発が起きたようだ。
□「(温度計は)タンク設置時に申請し当局から許可されていたが、必要ないと考えていた」という報道、ちょっとわかりにくい表現だ。
中間報告書や他の報道を調べたが、具体的にどういうことだったか書かれている記事は見つからなかった。
ブログ者思うに、これは『許可申請時に当局に提出したP&Iには温度計の記載があったが、その後の検討で温度計は不要と判断し設置しなかった。しかしP&Iからは削除せず、旧版のP&Iを使い続けた』・・・といった意味ではないのだろうか?
このように考えると、事故直後の会見で会社側が間違った説明をした理由が理解できる。なぜなら、現場が壊滅状態になっている時、温度計があったかどうかはP&Iで確認するのが一番だからだ。
□P&Iは装置運転の基本だ。今回の事例がそうだったかどうかは別にして、設備を変更した時は、都度、変更内容をP&Iに反映しておかねばならない。
(2013年2月15日 修正2 ;追記)
2013年2月7日19時3分にNHK神戸から、この事故の損害額は215億円にのぼるという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
この事故の影響について、日本触媒は、ことし3月期の決算で
□生産の減少などによる営業利益の減少が130億円
□プラントの運転停止などによる損失が85億円
と、あわせて215億円の影響が出る見通しだと発表した。
これを受けて、ことし3月期の最終黒字についても、当初の予想より95%少ない10億円に下方修正した。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/kobe/2025367011.html?t=1360283031969
18日午後4時10分頃、池田市の独立行政法人「産業技術総合研究所関西センター」の電池実験棟(鉄筋3階建て)の2階実験室から出火。
この部屋や廊下など約60m2を焼き、約2時間後に消えた。けが人はなかった。
消防によると、現場に駆け付けた時、実験室から爆発音が数回聞こえ、窓から黒煙が上がったため、建物周辺を立ち入り禁止にして、センター周辺の住民に避難を呼び掛けた。
実験棟ではリチウムイオン電池の開発研究をしており、出火した実験室では午後3時30分頃まで電池を試作し、出火当時は実験を終えて無人だったという。
午後4時すぎ、無人の棟内で火災報知機が作動し、職員が煙を確認。その後、同40分ごろから4、5回爆発音がした。
実験器具が燃えたことでリチウムや実験用の液体などが高温となり、爆発した可能性がある。
警察が原因を調べている。
この影響で、同センター東隣の池田中学、高校では、生徒が教室で一時待機した。
同センターは、阪急宝塚線池田駅の東約1.5km。15棟の研究施設があり、約160人が研究に携わっている。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120618-OYT1T01283.htm
29日午前9時半ごろ、四日市市の三菱マテリアル四日市工場第2プラントにある機器の洗い場の排水ピット(縦横深さ約1m)で爆発事故が発生、鉄製の枠がはまった塩化ビニール製のピットのふた(縦横約1m、厚さ約5mm、重さ推定30kg)が飛散し、周辺の配管の一部が破損した。
付近にいた作業員2人にけがはなかった。
同社によると、洗い場はコンデンサーなどの機器を手洗いする場所。
消防は、ピット内の化学反応で水素が発生し、爆発したとみて調べている。
同工場は、半導体に使われる多結晶シリコンを製造している。
2012年1月24日19時29分にNHK静岡から、また25日付で読売新聞静岡版から写真付で、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
24日午前9時過ぎ、富士市にある化学薬品メーカー、「イハラケミカル工業」の建屋で爆発が起きた。
火災は起きず、爆風で1600m2の鉄骨スレート造りの建屋の屋根や壁が吹き飛ぶ被害が出た。
また当時、この建屋の中で作業をしていた従業員の(57)が顔と両足首に薬品がかかって軽いやけど、子会社の社員(58)が避難中に転倒して軽いけがをして、病院で手当てを受けた。
警察などによると、事故のあった建屋は「第10プラント」と呼ばれ、除草剤の原料を製造中だった。当時、3人で反応缶に過酸化水素水を入れる作業を行っていたという。
この反応缶内の圧力が異常に上昇していたことが別の棟にある制御室で確認されており、現場の作業員に伝えようとしたその直後に爆発が起きたということで、警察が事故の原因を詳しく調べてる。
工場長は夕方、報道各社の取材に応じ「爆発事故により近隣の住民の方をはじめ多くの方に迷惑をかけお詫びします。原因については警察などが調査中で詳しいことは分かりませんが、会社としても事故調査委員会を作り再発防止に努めます」と謝罪した。
また、おととし3月にも廃液をためるタンクが爆発する事故が起きたことについて「前回の事故以降に設備の見直しや安全管理に関する社員教育に力を入れたが、不十分だったと反省している」と述べた。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/3035485752.html
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20120124-OYT8T01198.htm
(2016年3月16日 修正1 ;追記)
見つけるのがかなり遅くなったが、該社HPに2012年4月27日付で事故報告書が掲載されていた。
ポイントのみ転記する。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
「事故の状況」
第 10 プラント内の R-501 反応缶には、実際は前班の作業員によってアミンが仕込まれていたが、前班の作業員が誤って「空」であると引き継いだ。
本件事故時の作業員は、R-511 反応缶に、35%過酸化水素水を滴下するという作業を行う予 定であったが、誤って 35%過酸化水素水を R-501 反応缶へ滴下してしまった。
その結果、本来であれば混合されることのなかったアミンと 35%過酸化水素水が混合することとなり、急激に反応が進行し、R-501 反応缶が爆発した。
「原因」
・高濃度のアミンと 35%過酸化水素水が混合された結果、過酸化水素の分解反応が急激に進行するとともに、発熱を伴うアミンの分解反応も同時に進行し、短時間に多量の気体(酸素) が発生し、本件爆発に至ったと推測される。
・プラント内の設備がマルチ対応であったため、使用しない配管・バルブ等が多かった。
・滴下作業者がバルブを順番通りに開けず、滴下の状況確認も疎かであった。
・作業前の安全衛生教育において、使用する各原料の個別の危険性は説明されていたが、それらが混合した場合の危険性についての説明はされていなかった。
・滴下ラインの増設に際し、社内手続きが実施されない等、ルールが不徹底であった。
また、 班長(又は代行者)の指名が不明確であったため、作業のリーダーとしての自覚が薄く、班員の指導監督が不十分であった。
http://www.iharachem.co.jp/news/pdf/2012_04_27.pdf
11日午後2時50分ごろ、大垣市の石灰採掘・加工会社「河合石灰工業」の開発実験棟(木造平屋225m2)で爆発があり、作業をしていた従業員の男性(60)が全身やけどの重傷を負った。
警察などによると、男性が商品開発のため1人で石灰とアルミニウム粉などを混ぜる実験をしていて突然爆発したという。
この爆発で実験棟の窓ガラスが吹き飛んだが、他にけが人はなく、周辺の住宅にも被害はなかったという。
河合石灰工業は地元の金生山(きんしょうざん)の石灰石を採掘し、工業用や肥料などに加工している。
担当者は、開発実験棟での作業内容を「調査中なので回答できない」と話しているが、この実験棟では、ふだん、アルミと石灰を混ぜて火薬を作る実験をしていたという。
出典URL
http://mainichi.jp/area/gifu/news/20120112ddlk21040218000c.html
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012011190205923.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120111-OYT1T01021.htm?from=navr
(ブログ者コメント)
石灰とアルミ粉を混ぜただけで本当に爆発するのだろうか?
ネットで調べても、それらしい記事は発見できなかった。
それどころか、アルミ粉の火災時の消火剤の一つとして石灰が挙げられている。
どのメディアでも、単に石灰としか報道されていないが、生石灰ということはないのだろうか?
生石灰であれば、混触危険の相手の一つに金属類があるのだが・・・。
以下は、上記コメント作成に当たり参照した、厚労省公表のMSDSモデル。
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1388.html
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0739.html
(2012年12月25日 修正1 ;コメント修正)
読者の方から以下の指摘をいただいた。
「作業内容の詳細を知らない部外者が、推測で情報を発信してはならない。」
ご指摘の通り。
これまで、推測コメントは推定調、疑問調で書いてきたつもりだったが、言われてみれば「生石灰であろう」という表現は断定調だ。
全コメント、見直すようにした。
また、改めてこのコメントを見直した結果、ブログ者の思考経緯を省略していたことも不具合だったかと思い、前段に追記した。
以下に、17日朝までに報道された主だった記事の骨子を紹介する。
「事故発生」
2011年11月13日22時08分 読売新聞 (写真付)
13日午後3時25分頃、周南市の総合化学メーカー「東ソー」の南陽事業所から「爆発音があった」と110番があった。
警察などによると、同事業所内のプラント「第2塩ビモノマー」で2度爆発が起き、火災が発生し、従業員1人と連絡が取れなくなっているという。
消火活動にあたった消防団員1人が目に痛みを訴えて病院へ搬送された。
午後10時現在も消火活動が続いている。
同事業所によると、連絡が取れなくなっているのは、塩ビモノマー課第2係長(52)。
13日朝、プラントに不具合が見つかり、従業員10人が停止させて、パイプに残っていた塩ビモノマーなどをタンクに移す作業をしていた。
9人とは連絡が取れ、けがの報告はないという。
爆風で事務所の窓ガラスが割れるなどの被害も出た。
同事業所は「爆発の影響でプラントから、のどや目などに刺激を与える塩化水素が漏れている恐れがある」として、周南、下松市全域で、窓を閉めるよう広報車で注意を呼びかけている。
同事業所がプラント近くの定置測定器で塩化水素ガス濃度を調べたところ、許容濃度5ppmの10分の1以下で、事業所の敷地境界では検知されなかったという。
事業所は住民への注意喚起について「念のための措置」としている。
出典URL■■■
「鎮火」
2011年11月14日19時6分 朝日新聞(時事通信)
火災は、14日午後3時半に鎮火した。発生から鎮火まで約24時間かかった。
安全を確認し次第、県警は原因究明のため、炎上したプラントの現場検証を開始する方針。
事業所によると、炎上したプラントは、塩化ビニール樹脂の原料を製造する施設で3階建て。 最も損傷が激しかったのは、2階に設置されていた塩ビ原料を一時的にプールするタンク周辺だった。
同社は、このタンクに亀裂や配管の異常が生じ、静電気などで着火した可能性が高いとみている。
出典URL■■■
「市に連絡せず独断で住民に避難を呼びかけたことを東ソーが謝罪」
2011年11月15日 読売新聞
この爆発事故で、市と事業所の災害時の連携不足が浮き彫りになった。
事業所は独断で住民に屋内退避を呼びかけ、市が呼びかけたのは、事故から4時間以上後。 情報が共有されていなかったためで、市と事業所には混乱した市民から苦情や問い合わせが相次いだ。
「市に相談せず、先走った形で広報して混乱させてしまった」。14日午後に記者会見した副所長は、独自に周南、下松市全域を対象に屋内退避の呼びかけを行ったことについて謝罪した。
事業所などによると、爆発が起きた午後3時25分から間もなく、事業所は工場外周の検知器で塩化水素を検知しなかったことから、住民に影響はないと判断。 周南市も午後4時前に事業所で塩化水素の濃度を確認し、市側も影響はないとみていた。
ところが、事業所に「目がぴりぴりする」などと健康被害を訴える電話や、情報が遅いなどとする苦情が寄せられたため、事業所は市に報告せずに午後5時前から屋内退避の呼びかけを始めた。
事業所は午後6時過ぎに行った記者会見で、塩化水素漏出の事実を初めて公表。会見資料でそれを知った市が広報車を出したり、ホームページに掲載したりして屋内退避を呼びかけ始めたのは午後8時過ぎ。事故から4時間以上たっていた。
14日までに、市と事業所には事故の状況や影響についての問い合わせや苦情が、計200件以上あった。
県の石油コンビナート等防災計画では、災害発生時の通報などは規定しているが、広報態勢など情報伝達の在り方は定めていない。
県防災危機管理課は「屋内退避の呼びかけは、共有すべき情報だった」と指摘。市の防災建設部長は「情報の収集や提供の方法を見直さなければならない。もっと大きな事故が起きれば、市民の安全は守れない」と対応の不備を認め、市長も「今回の事例を詳しく分析し、最善の方法を探りたい」と述べた。
事業所に隣接する自治会の会長(65)は「工業地帯は危険と隣り合わせなのに、今回のような対応では、住民が望む情報提供は期待できない」と話した。
知事は14日の定例記者会見で、「塩化水素ガスが住宅に流れ込めば大変なことになった」と指摘。「事故原因を究明し、再発防止に努めていただきたい」と述べた。
出典URL■■■
一方、若干ニュアンスの違った記事が、15日22時52分に毎日新聞からネット配信されていた。
事故に伴い有毒ガスが漏出していたことについて、東ソーが周南市に連絡していなかったことが分かった。
市が独自に情報を入手し、住民に注意を呼びかけたのは事故発生から4時間半が経過した後だった。
同社の社長は15日、市長を訪ね、謝罪した。
東ソーによると、事故発生から約2時間半後の13日午後6時ごろ、記者会見を開き、有毒な塩化水素ガスが漏れ出した恐れがあるため、同市と下松市の全域に家の窓を閉め外出を控えるよう要請すると発表した。
しかし、両市にはガスの発生や退避要請について連絡せず、周南市の場合は同午後6時前に事業所に出向いた職員が会見資料で状況を把握。市が広報車で市民に注意を呼びかけたのは午後8時過ぎ、防災メールで登録市民に情報を発信したのは発生から約6時間たった午後9時20分になった。
下松市には午後8時過ぎに同社からファクスで連絡があったという。
社長は市長に「連絡が遅くなってしまったことを反省している」と頭を下げた。
同社と市の間では、事故時に通報するような協定などがなく、市長は「事故発生時の役割分担と体制を改めて見直したい」と述べた。
事故当時、同社には「目がチカチカする」など市民からの訴えが4件あった。 また、市長への謝罪に先立って同事業所で会見した社長は「近隣住民などにご迷惑とご心配をおかけし申し訳ない」と謝罪した。
約7割が焼失した第2塩ビモノマープラント(約2万5000m2)について「100億円単位」をかけて再建する意向を示した。
出典URL■■■
「塩ビ樹脂の供給に支障が生じる可能性」
2011年11月15日6時55分 msn産経ニュース
この事故で、塩ビモノマーが原料のプラスチック素材「塩化ビニール樹脂」の供給に支障が生じる可能性が出てきた。
都内で14日、会見した社長は「当面は影響が出る」とした上で、塩ビ樹脂は東日本大震災の復興需要が予想され、「安全を大前提に間に合わせたい」と説明した。
南陽事業所の塩ビモノマーの生産能力は年120万トンで国内全体の3割強。だが、火災で山口県などから停止命令を受けた1基は55万トンで約半分を占める。
東ソーは塩ビ樹脂で国内最大手の大洋塩ビにも出資し、「塩ビ関連で国内最大のメーカー」で、国内外の塩ビ樹脂生産拠点は原料調達で対応を迫られる。
出典URL■■■
「事故発生時のやや詳しい状況]
2011年11月16日 中国新聞 (工場レイアウト図付)
塩ビモノマーの重大事故は、企業の厳重な管理もあり、全国的にもほとんど例がない。
現場は大規模爆発で大きく損傷もしており、前例や証拠に乏しい中で捜査は今後どう進むのか。ポイントを整理した。
【事故現場】
爆発場所は3階建ての塩ビモノマー精製工程施設のうち、塩ビモノマーや塩化水素などが入るタンクがある2階部分とみられる。周囲が爆発で激しく損傷していることから東ソーも位置はほぼ特定している。
沸点マイナス13℃の塩ビモノマーは常温で気体となる、火災爆発の危険性が極めて高い物質。
東ソーも最も厳重な管理をしている場所の一つであり、簡単に空気中に漏れ出すとは考えにくい。何かに引火したとみられるが、現場検証で有力な物証が見つかるかどうかが大きな鍵になる。
【直前の状況】
東ソーによると、爆発場所から約100m離れたオキシ反応工程の制御弁補修のため、13日午前6時に稼働を停止。事故で死亡した同事業所塩ビモノマー課第二係長(52)たち10人でプラント内の原料を貯蔵タンクに移す「移液作業」を進めていた。
ところが、作業開始から9時間半後の同午後3時22分に爆発現場近くで塩化水素ガスが大気中に漏れているのを検知。同24分に火災報知機が作動し、それとほぼ同時刻ごろに大爆発が2回起きた。
事故直前に塩化水素ガスが周囲に漏れていたとすれば、塩ビモノマーのタンク内にも通常時より大量の塩化水素が流入していた可能性を否定できない。
その結果、タンク内で塩ビモノマーが過剰反応し、タンクの圧力が想定外に高まって何かの原因で外に漏れ、引火したとも考えられる。
【証言】
亡くなった係長は通常は従業員の管理を受け持つ、現場に出ない立場。その係長が現場に駆け付けて犠牲になった。 東ソー関係者の一人は「移液作業はめったにないこと。(係長が現場で犠牲になったのは)事故直前に相当深刻なトラブルがあったからではないか」とみる。
早朝から続いていた移液作業の過程でトラブルが起き、塩化水素ガス漏れにつながった可能性もあり、事故前後の関係者の証言も大きな手掛かりになる。
出典URL■■■
(ブログ者コメント)
コンビナート関係の大事故が久しぶりに起きてしまった。
ガス漏れを検知してほとんど時間をおかず爆発したとみられることから、大量の塩ビモノマーが一気に漏れた可能性がある。
運転停止操作中に、何がどうなったのだろう?
原因解明が待たれるところだ。
(2011年12月1日 修正1 ;追記)
2011年11月23日付で毎日新聞山口東版から、事故による水質汚染に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故による有害物質の二塩化エタン流出問題で、県は22日、同事業所の周辺海域から、環境基本法の環境基準を上回る二塩化エタンを検出したと発表した。
ただちに健康への影響はないという。
県によると、21日に徳山湾の4カ所で海水を採取したところ、同基準(1ℓあたり0.004mg以下)を4カ所とも上回った。
同事業所の排水口に一番近い200mの海域で0.011mg、もっとも遠い3.5kmの海域でも0.01mgを検出した。
21日には排水口でも測定したが、水濁法の基準(1ℓあたり0.04mg以下)を下回る0.009mgだった。
県は「21日までに水濁法の基準を上回る量を排水した可能性が高い。新たに同法の基準を上回る排水が出る可能性は低いが、状況を見守りたい」とし、徳山湾での測定地点を9カ所増やして対応する。
また火災で塩ビモノマーが大量に燃えたため、ダイオキシン類についても調査を進めている。
二塩化エタンの環境基準は、基準の濃度を70年間飲んで100万人に1人に発がんの恐れがあるレベルとされる。
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また、11月30日付で毎日新聞山口東版から、土壌と大気のダイオキシン調査に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故を受け、県は29日、土壌と大気でダイオキシン類などの調査をすると発表した。
県によると、大気中に広がったダイオキシン類が地上に落ちるまで約2週間かかるため、30日から調査を実施する。
同事業所から2~6.5kmにある市内の公園6カ所で土壌を採取。
大気では、二塩化エタンやダイオキシン類などを12月1~14日に調査。
結果は同中旬~来年1月中旬に判明するという。
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(2011年12月3日 修正2 ;追記)
2011年12月1日18時20分にNHK山口から、周辺海域の水質が基準を下回ったと、下記趣旨でネット配信されていた。
有毒物質の二塩化エタンを含む排水が海に流出した問題で、県はこれまで2回、周辺の海域で水質を調査し、このうち先月24日の調査では排水口から4.5km以内の13地点のうち3つの地点で国の環境基準を超える二塩化エタンが検出された。
これを受けて県は30日、前回の調査で国の基準を超えた3つの地点を含む5つの地点で水質を調査した。
結果、いずれの地点でも基準を超える二塩化エタンは検出されなかった。
火災のあとの県による水質調査で、基準を超える二塩化エタンが検出されなかったのは今回が初めて。
県では今回の調査結果について「工場から排出される二塩化エタンが減ったことや時間がたったことによって有毒物質が拡散したことが原因ではないか」と話していて、今月9日にもさらに地点を増やして水質調査をすることにしている。
(2012年1月29日 修正3 ;追記)
2012年1月25日7時54分にNHK山口から、この事故で防災計画が修正されることになった旨の記事がネット配信されていた。
この火災を受け、県や市などでつくる協議会は火災や爆発が発生した場合、関係機関が情報を共有できるよう事業所内に「現地連絡室」を設置することなどを盛り込んだ防災計画の見直し案をまとめた。
この火災では、有毒な塩化水素ガスが発生したとして、会社側が周南市と下松市の市民に、屋内待機を呼びかけた際、自治体への連絡が遅れ、混乱を招いた。
これを受けて、県や市、企業などでつくる協議会が防災計画の見直しを進めていたもので、24日見直し案がまとまった。
この中では、今後、コンビナートで火災や爆発が発生した場合、
□関係機関がすばやく情報を共有できるよう事業所内に「現地連絡室」を設置する
ことや、
□自治体ごとに作られていた連絡網を一本化する
ことなどが盛り込まれている。
県では、今回の見直し案をもとに、コンビナートを抱えるほかの地域の意見も踏まえてことし3月中に、防災計画を修正することにしている。
県防災危機管理課は「新たな取り組みを県全体に広めたい」と話していた。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4065497701.html
(2012年3月13日 修正4 ;追記)
2012年3月9日付の山口新聞ならびに中国新聞から、事故の原因が下記趣旨でネット配信されていた。
同社の事故調査対策委員会は4回目の会合を終え、8日同事業所で会見した。
委員会によると、事故の約12時間前に塩ビモノマー製造の一部工程で弁の不調があり、工程の1系列が停止したことで他の工程にも影響が及び、原料の塩化水素を取り出す蒸留塔内の温度が低下した。
蒸留塔の温度を調整した際、塔上部の温度をマニュアルで決められている数値より異常に上昇させたことが原因で、上部から取り出される塩化水素に塩ビモノマーが混入したという。
結果、通常だと塔から塩化水素だけを送られる枕タンクに塩ビモノマーが混入し、鉄さびから生じた三塩化鉄を触媒として可燃性化合物である二塩化エタンが生成されたが、現場ではその認識がなく、枕タンクを密閉状態にしていた。
委員会では、枕タンクの中で二塩化エタンの反応速度が上がり、圧力が急上昇して枕タンクが破裂し、漏れた塩ビモノマーや二塩化エタンに何らかの着火源が触れて爆発したと推定している。
委員長は、「基本的な化学知識が十分現場関係者に理解されておらず、会社の教育不足も原因」と話した。
出典URL
http://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2012/0309/6.html
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201203090050.html
また、3月9日付の朝日新聞(聞蔵)からは、下記趣旨の委員長コメントがネット配信されていた。
「化学反応が起きうることを誰も知らなかった。運転員だけの問題というより、会社全体の問題。長い歴史があり、油断があったのではないか」
(ブログ者コメント)
□おおよその状況はわかったが、不明点も多々ある。
そこで東ソーのHPにアクセスしたが、本件はプレスリリースされていなかった。
情報は早目に公表するが、正式には報告書待ちということだろう。
□塩ビモノマーの性質をkis-netで調べた結果は下記。
結構、反応性に富む物質のようだ。
『熱、火炎、酸化剤に曝されると発火する危険性あり。気体で熱、火炎に曝されると激しい爆発の危険性あり。放置すると空気中で過酸化物を作り爆発することがある。』
(2012年6月21日 修正5 追記;)
2012年6月14日付で中国新聞から、事故調査委員会が報告書を公表したという記事がネット配信されていた。
東ソーの事故調査対策委員会は13日、報告書を公表した。
社内で事故防止に向け、事業所ごとに安全戦略を立てるなどの対策を提言した。
報告書は、プラントの安全管理を製造現場に任せ、プラントの設計などについて運転員の知識も十分でなかったと課題を指摘。
・知識、技術の伝承方法
・専門家による保安活動の定期的な評価
・周辺住民への情報発信
などを検討し、事業所ごとに安全戦略を立てるよう提言した。
委員長は「事故が起きた背景に多くの反省点があった。社内全体で具体的な施策を検討し、一つ一つを実行していきたい」と述べた。
同事業所に3基ある塩ビモノマープラントは事故で全面停止。うち1基は5月に再稼働し、もう1基は7月上旬に再開の予定。第2プラントの復旧は未定。
出典URL
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201206140011.html
以下は、プレスリリースされた報告書。
http://www.tosoh.co.jp/news/pdfs/20120613001.pdf
(ブログ者コメント)
報告書の序文ならびに本文p37に以下の記載があるが、本件、単に東ソーだけの問題ではなく、広く他山の石とすべき内容であろう。
□今回の事故の特徴として、発端事象から爆発までの12時間の間に、複数の直接要因、間接要因が複雑に絡み合っていることが挙げられる。
□・・・事業所、さらに東ソー全体の安全文化や保安を最優先する組織風土の更なる醸成を喚起すべく、この面についても提言する。
□塩ビ製造設備は、これまで大きな事故を起こすこともなく長期間にわたって運転されてきたこと、装置面、運転面からの検討が従来から加えられており技術的には確立されたと信じられてきたことが、安全意識の低下、安全推進体制の緩みに繋がり、今回の爆発火災事故を引き起こしたとも言える。
報告書によれば、事故に至った概略の経緯は下記。
□オキシA系の緊急放出弁が故障して突如「開」状態になったため、インターロックが作動して同系が停止。
□大幅なロードダウンにより、下流にある塩酸塔の運転が変動。
□塩酸塔中段温度が低下したため、加熱器蒸気量を増加、還流量を低減した。
□しかし塔頂、塔底温度の制御を意識しなかったため、塔頂の塩酸系に塩ビモノマーが混入。
□混入が原因でプラント緊急停止。
□塩酸塔還流槽に塩酸と塩ビモノマーが通常より高い液レベルで長時間保持されているうちに、気相部に存在していた、定期修理時にジェット洗浄した際に発生したとみられる鉄錆等が触媒となって、1,1-二塩エタンが生成する発熱反応がはじまった。
□ある時点から急激に反応が進行し、爆発に至った。
塩ビモノマーと塩酸が鉄錆触媒の存在下、発熱反応を起こして1,1-二塩化エタン(EDC)が生成することを誰も知らなかったという点については、以下のように記されている。
p25)塩酸塔還流槽での内容物の異常反応に関して、文献調査、ラボ反応実験を行ったところ、VCMとHClから1,1-EDCが生成する反応については、FeCl3等の触媒存在下では、容易に起こり得る発熱反応であることが判明した。また、鉄錆成分であるFe2O3、Fe3O4がHClと反応すると触媒作用を有するFeCl3を生成することも判明した。
p28)プラント全停止後、部長、課長、係長が、DCS上のトレンドデータにて塩酸塔の塔頂温度異常に気付き、塩酸塔還流槽へのVCM混入の可能性を想定したが、1,1-EDC生成の異常反応に関する知識がなかったため、特別な作業は必要ないと考えた。
分解工程で1,2-EDCを熱分解し、生成したVCMとHClならびに未反応の1,2-EDCの混合物が塩酸塔にフィードされるというプロセスだが、まさか生成した物質同士が反応するとは思ってもみなかったのかもしれない。
反応性の高い物質を取り扱う場合は、あらゆるケースを想定し、検討しておかねばならないという教訓であろう。
(2013年3月16日 修正6 ;追記)
2013年3月15日16時39分にNHK山口から、製造部長らが書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察は、爆発を防止するのに必要な措置がとられていなかったとして、プラントを監督していた製造部長ら3人を業務上過失致死などの疑いで書類送検した。
書類送検されたのは、南陽事業所の49歳の塩ビ製造部長と48歳の当時の課長、それに44歳の主席技師の3人。
警察の調べによると、このプラントでは装置が誤作動したことをきっかけにプラント全体を停止させようとしていたところ、塩酸が入ったタンクに誤って塩化ビニールモノマーが流れ込み化学反応を起こして爆発したという。
この際に、タンクの中に塩化ビニールモノマーが流れ込んでいたことが計器などで確認されていたにもかかわらず、タンク内の圧力を下げたり、冷却したりといった爆発を防ぐ措置がとられていなかったという。
このため警察では、当時このプラントを監督し、施設の保安を担当していた製造部長ら3人を業務上過失致死などの疑いで書類送検した。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/yamaguchi/4063216061.html?t=1363381880132
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101105-OYT1T00560.htm
(ブログ者コメント)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。