本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。 それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。 本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。 一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。 (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2011年12月16日20時8分に、朝日新聞から図解付で下記趣旨の記事がネット配信されていた。また同趣旨の記事が、16日16時18分に読売新聞から、17日付の毎日新聞からもネット配信されていた。
九州電力玄海原発3号機の1次冷却水が漏れていた問題で、九電は16日、冷却水の放射性物質を取り除く系統へ水を導く充填ポンプの主軸が折れていたと発表した。
これで主軸が正常に回転しなくなり、主軸を覆う水漏れ防止用のメカニカルシールが破損したとみられる。
主軸を支える軸受け部の油切りと呼ばれる一部も変形していた。
水漏れは9日10時48分に起き、1次冷却水を浄化する充填ポンプ内の軸受け温度計が80℃以上になり、警報が鳴って判明した。
放射性物質を含む冷却水約1.8トンが漏れた。
九電がポンプを解体して調べたところ、16日になって直径約6~8cm、長さ2.5mの主軸が折れていることを確認した。
折れた原因は特定できていないが、金属疲労のほか、分解点検後の組み立てに問題があった可能性が考えられるという。
主軸は1994年の運転開始時から使用しており、2008年の定期検査では異常は見つからなかった。
軸の損傷は、04年3月に四国電力の伊方原発3号機、08年4月には九電の川内原発1号機でも起きている。
出典URL■■■
■■■
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ちなみに、当時の状況については、12月10日付の朝日新聞(聞蔵)から、下記趣旨でネット配信されていた。
玄海原発3号機で9日、放射性物質を含む1次冷却水約1.8m3が漏れるトラブルが起きた。
九電は「冷却水は受け皿に収まっている。原子炉建屋の外への影響はない」と説明している。
九電によると、午前10時48分、冷却水をきれいにするポンプの軸受けの温度が上がったという警報が鳴ったため、ポンプを手動で止めた。
3号機は昨年12月から定期検査で運転停止中だが、冷却水の水質を管理するために、常にポンプを動かしていたという。
九電が佐賀県に連絡したのは午後5時ごろ。3号機のポンプに不具合があったことは連絡したが、冷却水の漏れには触れなかった。
九電は「よく起きている範囲の冷却水漏れだったので、連絡する必要はないと判断した」と説明している。
(ブログ者コメント)
上記の毎日新聞には、「防止策不全が問題」というサブタイトルで、以下のような記事も掲載されていた。
旧三菱原子力工業で玄海3号機と同型の原子炉設計などに携わった原子力安全基盤機構元検査員(62)は「ポンプの主軸が折れるのは大きな事故だが、過去にも例があり、驚きはない。
むしろ川内1号機で同様の事故があったのに、再発防止策がきちんと機能していない」と述べ、九電の安全管理に問題があると指摘する。
しかし、川内1号機と同じ原因で起きたトラブルかどうか不明な現状、「再発防止策が機能していない」というのは言い過ぎだろう。
(2012年4月27日 修正1 ;追記)
2012年4月23日22時56分にNHK佐賀から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州電力は、ポンプの軸に使われている部品が設計とは異なり、折れた部分に力がかかりやすい状態になっていたことが原因だとする調査結果をまとめた。
ポンプの軸には高い圧力で水を押し出すために羽根がついているが、九電は調査の結果、羽根を固定する部品が設計よりもわずかに大きかったことで、軸との間のすき間が狭くなり、軸に圧力がかかりやすくなっていたとしている。
こうした状態で、1次冷却水の量を調整するタンクから水の流れ込みで、軸の振動が大きくなり、軸に亀裂ができて折れたとしている。
九電は再発防止のため、同じ型のポンプを使っている玄海原発の3号機と4号機のあわせて6台のポンプの軸を交換することにしている。
出典URL
http://www.nhk.or.jp/lnews/saga/5084646581.html
なお、九電HPには、経緯ならびに原因が下記趣旨でプレスリリースされていた。
定期検査をおこなっていたところ、運転中のC充てんポンプ軸受温度高の警報が発信したことから、予備機に切り替え、C充てんポンプの分解点検を実施した。
その結果、ポンプ主軸が折損していることを確認し、専門の調査施設で詳細調査を実施することとした。
調査の結果、主軸折損の原因は、主軸に以下の応力が重畳することにより疲労限度を超え、初期き裂が発生し、その後も振動による応力で進展し折損したものと推定される。
○主軸製作時の加工方法により、主軸折損部(割りリング溝部)のコーナR部の曲率半径が小さく、応力が集中する状態であったこと及び割りリングと主軸の接触により主軸に応力が発生した。
○今回の定期検査では、充てんポンプの上流にある体積制御タンクが、低水位の状態でポンプを長期間運転した。このため、ポンプ入口の水平配管部にガス溜まりが発生し、このガスの流れ込みで生じた振動により主軸に応力が発生した。
対策として、ポンプ主軸の割りリング溝部のコーナR部について、曲率半径の寸法公差(許容される最小値)を定め、加工方法の見直しなどにより応力低減を図った対策品に取り替える。
また、ポンプへのガスの流れ込みを防ぐため、体積制御タンクを低水位で長期間運転しない運用とするとともに、ポンプ入口にベントラインを設置することとする。
出典URL
http://www.kyuden.co.jp/press_120423-1.html
(ブログ者コメント)
九電HPのプレスリリース添付資料に、過去に発生していた四国電力伊方発電所と九電川内1号機の主軸折損事例に対し、玄海3号機でどのように評価したかが述べられている。
(2012年5月25日 修正2 ;追記)
2012年5月24日2時7分にmsn産経ニュース福井から、この事例の横展開として大飯原発でも同型ポンプの部品取替を実施した旨、ネット配信されていた。
関西電力は23日、大飯原子力発電所3、4号機の早期の再稼働に向けて、1次冷却水の浄化後に注水するポンプ4台の主軸部品を交換したと発表した。
九州電力玄海3号機で昨年12月、ポンプの主軸部品が、加工不良と空気が混じって揺れたため破損。経産省原子力安全・保安院が今年4月に各事業者へ同型ポンプの点検と、5月23日までの報告を指示した。
関電は、大飯など3発電所で、同型ポンプ16種類383台を保有。
このうち、高浜原発2号機のポンプ3台に振動の可能性が見つかったが、破損しないことを確認。念のため空気を抜く配管をとりつけるとした。
一方、大飯原発3、4号機のポンプ4台は今年4月までに、主軸部品を取り換えたとしている。
日本原電の敦賀原発2号機では、問題のあるポンプ2台に空気を抜く配管を設置中。
日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」では、ポンプに問題はなかった。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/region/news/120524/fki12052402070003-n1.htm
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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。
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