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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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202522681分にYAHOOニュース(現代ビジネス)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

道路陥没という大事故は今後も、いつどこで起きても不思議ではない。

実は長年の間、多くの医療機関から強酸性排水が流されていたのだ。

 

'17年末、世田谷区で事故は起きた

'1611月、博多駅前で起きた道路陥没事故のニュースには国民全体が大きな衝撃を受けた。

地下鉄の延伸工事が原因とされていたが、そこに疑義を呈した人物がいたという。

A氏が続ける。

「日本透析医学会の理事長だった中元秀友さんです。

昨年、惜しくも亡くなられましたが、中元さんは『透析排水が事故の要因のひとつになっているのではないか』と懸念していた。

その後、中元さんの元には、厚労省からも、透析排水について調査してほしいと相談があったそうです」

その翌年の'17年末、中元氏の憂慮は現実のものとなってしまう。

透析医療機関からの酸性排水による下水道管の損傷事故が発覚したのだ。

「医療施設が入っている世田谷区のビルで下水のつまりが発生したのです。

東京都下水道局の職員が確認すると、ビルの排水設備と下水道管をつなぐコンクリート製の取り付け管が崩れてなくなっていた。

都の調査によると、基準を大幅に上回る強酸性排水が、決まって深夜に流れ込んでいました。

このビルには複数の医療施設が入っていましたが、深夜に稼働していたのは透析クリニックのみ。

日中、患者に透析を行い、深夜に装置の洗浄をしていたのです」(A)

 

■透析排水の実態とは

事故発覚後、東京都下水道局から調査依頼を受けた順天堂大学医療科学部臨床工学科特任教授の峰島三千男氏が振り返る。

「この一件を受け、東京都下水道局長から『ほかのクリニックは大丈夫だろうか』と相談を受けました。

'18
年に東京都下水道局から、『透析システムからの排水調査』を依頼され、都内323ヵ所の透析施設から回答がありました。

その結果、適正な処理がなされていない施設は200施設、約64%でした。

そうした未処理施設のうち、155施設(79)は透析排水に基準があることを知りながら、何ら対策を講じていなかったのです。

認識が甘かったのは事実です。

透析排水に基準があることを知らなかった施設さえありました。

そこで東京都と協力して、基準を満たすよう啓発活動を展開しました」

日本透析医学会、日本透析医会、日本臨床工学技士会という3つの業界団体からなる透析排液管理ワーキンググループのリーダーとして透析排水に関する啓発活動を続けている峰島氏は、こうした背景を踏まえ、今回の事故についてどう捉えているのか。

 

■八潮市の事故と透析排水の因果関係

「八潮市の事故と透析排水には因果関係はありません。
メカニズムがまったく異なります。

硫化水素は気体ですから、下水道管の上部が損傷します。
一方、透析排水の場合、酢酸などによって下部が損傷します。

もっとも、過去に透析排水による事故が起きたのは事実です。

'17
年末の事故が起きるまで、私を含めた医療従事者は、患者に対して効果的な治療を行うことへの思いが強く、『患者さんの体内にある悪いものをもっと取ろう』として、結果的に強酸性の洗浄剤を使用してしまった。

これによって下水道管の一部を損傷させてしまった。

この点は反省すべきです」

峰島氏らの尽力により、'247月には23区内にある透析施設のすべてが基準を達成したという。

だが、見方を変えれば、全国的に基準が達成されたわけではない。

前出のA氏は、道路陥没と透析排水を切り離して考えることは難しいと話す。

'249月、広島市西区の市道で長さ約40m、幅約15mにわたって陥没や隆起、出水が発生した事故がありました。

周囲には複数の透析医療機関がありました。

私には偶然とは思えません。

今回の八潮市の現場周辺にも透析医療施設が複数あります。

こうした一連の道路崩落事故に、透析排水が関係している可能性は否定できないはずです」

 

■国と自治体の無為無策

また、先述した中和に関してはこんな問題もある。

そもそも、中和装置のサイズが大きく、ビルに入居するクリニックなどの場合、スペースの問題に加え、ビルの所有者の許可が下りないというケースもあるという。

23区内では、その場合、薬剤の変更を促しているという。

懸念と疑いが拭えない全国民にかかわる重大事。

八潮市のような大事故につながる可能性は十分にある。

はたして埼玉県は対策を講じていたのか。

埼玉県下水道管理課に聞いた。

Q.今回の八潮市の道路陥没について、透析排水が影響している事実、あるいは可能性はありますか?

A.「透析排水が影響している事実、あるいは可能性についてはわかりません。
今後、今回の陥没事故に係る原因究明を行うための委員会を立ち上げ、調査を進めていく予定です」

 

■埼玉県の透析排水管理

.'17年末に都内で発生した透析排水による下水道管損傷事故を受け、東京都では様々な対策が進められました。透析排水管理について、埼玉県ではどのような対策をしていますか?

A.「本県では透析排水管理に係る対策は行っておりません」

八潮市の事故は決して偶然起きたわけではない。

インフラの老朽化、透析排水……国や自治体が無責任な対応を続けてきたため起きた必然といえるだろう。

全国には約34万人の透析患者がいる。

彼らの命を守るのはもちろん、国民全体の安全を守るのが、国と自治体の責務であるはずだ。

 「週刊現代」202522231日合併号より

https://news.yahoo.co.jp/articles/930c5ae0094afb6ffd50f52dd30cd836d1c8048d  

 

※東京23区内の透析施設は全て透析排水の基準をクリアーしたとのことだが、他の自治体でも、例えば京都市や大阪市、神戸市などでは、透析医療機関に対し、排水管理の注意喚起を行っている。

以下は京都市の例。

『透析医療機関の方へ』  

(京都市上下水道局 お知らせ)

透析装置の洗浄排水を公共下水道に排出する場合には、特に水素イオン濃度(pH)の排水基準に気を付けていただく必要があります。

透析装置の洗浄に使用される酢酸や過酢酸により、下水道施設の損傷が近年京都市においても発生しています。

当局では、下水道の施設や機能を守るために、工場・事業場に対して、排水基準を守るよう監視や指導を行っています。

その一環として病院や透析診療所からの排水の水質検査を行っています。

水素イオン濃度の基準は、酸性側とアルカリ性側があります。

酸性側の基準は「5を超えるもの」であり、5以下が基準超過となります。

詳細は本ページ下部に記載しています。

酸性排水は次のような悪影響を及ぼします

下水道管を溶かします。

酸性排水は下水道管を溶かします。
溶けた下水道管から水が流出すると周囲の土が流され、道路や敷地の陥没の原因となり、ひいては重大な事故を引き起こすおそれがあります。

他の水と混ざると危険です。

酸性排水が他の排水と混ざることで、有毒ガスを発生させることがあります。 

酸性排水は規制の対象です

下水道における排水基準は以下の表のとおりです。

酸性薬品の取扱いには十分ご注意ください。

酸性排水は中和し、排水基準を遵守した上で下水道へ排出してください。

なお、中和処理を行う場合は届出が必要です。

https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000263427.html

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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