2019年1月23日17時43分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が想定震源域の図解付きでネット配信されていた。
北海道南東沖の千島海溝で起こる「超巨大地震」が注目されている。
国の地震調査研究推進本部は一昨年末、「切迫性が高い」とする見解を公表。
東日本大震災の前にみられたような地震活動の変化を指摘する研究者もいる。
もし起これば、大津波が沿岸を襲う。
専門家には危機感がにじむ。
「今度は後出しジャンケンでなく、徹底的にやってもらいたい」――。
地震研究者が集まった昨年8月の地震予知連絡会。
松浦律子・地震予知総合研究振興会解析部長は、東日本大震災で受けた衝撃と後悔を振り返りつつ、千島海溝の戦略的な研究を呼びかけた。
8年前の震災では、それ以前に見られた地震活動の変化をめぐり、「前兆だったのでは」との指摘が後になって相次いだ。
少なくとも過去に大津波があったことは分かっていたが、防災に十分生かせなかった。
千島海溝でも、同じような大地震や大津波が起きるおそれがある。
地震本部が2017年12月に公表した「長期評価」は、マグニチュード(M)8.8以上の超巨大地震が切迫している可能性が「高い」とした。
直近で起きたのは17世紀前半。
津波堆積物を元に推定した発生間隔は平均340~380年で、すでに「満期」を過ぎている。
【切迫の兆し?】
松浦さんは、付近の地震活動の変化からも切迫感を感じている。
1965年以降のM5.7以上の地震を分析すると、08年10月ごろから、これまでにないレベルで静穏化。
15年後半から回復傾向にあるという。
東日本大震災の前にも、同様の変化が起きていた。
大地震前の静穏化は、ほかにも事例がある。
関係は未解明で、静穏化後に大地震がなかった例もあるものの、不気味な状況が続く。
地殻変動からも、切迫性が指摘される。
付近の陸地は沈降が続き、十勝沖地震などM8級の地震後も、その傾向は変わらない。
一方、昔の海岸地形は高い位置にあり、いつか隆起しないと、つじつまが合わない。
そこで、「超巨大地震の後に大きく隆起する」との仮説が提唱されてきた。
今は地震直前の沈降速度が速い時期と解釈すると、観測事実の説明がつく。
実際、地震後に隆起が続いたことを裏付ける堆積物も見つかっている。
東北の被災地が地震後に隆起に転じた状況とも似通う。
津波堆積物を研究してきた産業技術総合研究所の宍倉正展研究グループ長は、「震災前の東北と同じ状況にある。当時と違うのは経験があること。地震が来るときは来るととらえ、備える必要がある」と話す。
【揺れたら、とにかく高い所に】
超巨大地震の震源域は長さ300km以上とされ、十勝沖から北方領土の先に及ぶ。
過去には4km内陸まで浸水した。
東北地方沿岸も、津波被害のおそれがある。
千島海溝で巨大津波を起こす地震は、00年代半ばから、国や道が被害想定を公表してきた。
国の中央防災会議は、千島海溝や南に連なる日本海溝の地震の被害想定を見直し中で、結果を受けて道も対応するという。
いつ発生するかは分からない。
予知連は昨年、2回にわたって千島海溝の地震を議論した。
平原和朗会長(京都大名誉教授)は会見で、「我々に危機感があるということを伝えないといけない」と話した。
松浦さんは、「沿岸の人は、揺れたらとにかく高い所へ避難してほしい」と呼びかける。
東京電力は昨年12月、福島第一原発に新設する防潮堤の詳細を公表した。
千島海溝の長さ1400kmの震源域でM9.4の超巨大地震を想定。
海面から11m、主要施設の敷地から2.5mの高さの防潮堤を20年度までに造るという。
東電は事故後、誘発地震に備えた仮設防潮堤を一部に設置。
止水などの対策を進めるが、敷地を囲む防潮堤はないままだ。
再び津波が襲えば、汚染水の流出や廃炉作業の停滞を招くおそれがある。
東電は「長期評価の切迫性の指摘を踏まえた」としている。
出典
『研究者にじむ危機感、「切迫」する北海道沖の超巨大地震』
https://digital.asahi.com/articles/ASM1L4DVGM1LULZU001.html?rm=616
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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