2019年10月16日11時17分にNHK群馬から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
来年春の完成を前に試験的に水をためる「試験湛水」が行われている長野原町の八ッ場ダムで、台風19号による大雨で急激に水位が上がり、貯水率が100%に達したと工事事務所が発表しました。
八ッ場ダムはダム本体のコンクリートの打設工事がことし6月に終了し、今月1日から試験的に水をためてダムの強度や安全性を確かめる「試験湛水」という最終工程が進められてきました。
八ッ場ダム工事事務所によりますと、今月1日の時点では、ダムの水位は標高481.5メートルの地点でしたが、15日午後6時ごろに貯水できる最高位の標高583メートルに達し、貯水率が100%になったということです。
当初、満水までは3か月から4か月かかる見通しでしたが、台風19号による大雨で今月12日から13日にかけて急激に水位が上がりました。
工事事務所によりますと、13日の午後4時ごろからは水位を調整するための放流操作が行われましたが、これまでのところ下流の自治体への影響は確認されていないということです。
八ッ場ダムでは、今後は水位をゆっくりと下げて、のり面の強度などダムの安全性を確認し、建屋などの工事を年度内に終えて、来年度から本格的な運用が始められるということです。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20191016/1060005687.html
10月15日21時26分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
国が来春の完成を目指し、利根川上流の吾妻川で試験貯水中の八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)が12日から13日にかけ、一昼夜でほぼ満水になった。
台風19号による記録的な大雨の影響。
ダムの一夜城のような変貌(へんぼう)ぶりに、周辺には観光客らの人だかりができた。
前橋地方気象台によると、ダム上流の同県嬬恋村田代で11日午後2時ごろからの48時間に、年間降水量の3分の1相当で観測史上1位の442ミリを観測するなど、記録的な雨が降った。
国土交通省の発表では、八ッ場ダムには11日午前2時から13日午前5時の間に約7500万立方メートルの水が流入した。
この結果、水位は54メートル上昇。
その後も水量が増え、15日午後6時ごろ、満水位に達した。
今月1日からの試験貯水では3~4カ月で満水位まで水をためる予定だったが、半月で満水になった。
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https://www.asahi.com/articles/ASMBF55ZJMBFUHNB01N.html?iref=comtop_rnavi_arank_nr02
10月13日15時21分に読売新聞からも同趣旨の記事が、10月11日と13日の比較写真付きでネット配信されていた。
国が来春の運用開始を目指し、今月1日に貯水試験を始めた八ッ場ダム(群馬県長野原町)の水位が、台風19号による大雨で急上昇した。
国土交通省関東地方整備局の速報によると、13日午前5時現在の水位は標高573・2メートルとなり、満水時の水位(標高583メートル)まで10メートルほどに迫った。
台風によるダムの被害は確認されていない。
今月11日、水位が急上昇する前の八ッ場ダム。
JRの旧吾妻線の鉄橋が見えるが、13日には完全に沈んだ(群馬県長野原町で)
八ッ場ダムでは、満水にした後に最低水位の536メートルまで下げていき、ダム本体や周辺の斜面の安全性を確かめる試験湛水が始まっている。
国交省は、最高水位に達するまで「3~4か月かかる」とみていたが、周辺では11日未明から13日朝までに累計347ミリの雨が降り、山間部から流れ込んだ水でダム湖の水位は約54メートルも上昇した。
水没予定地に残された鉄橋も11日時点では見えていたが、完全に水の底に沈んだ。
満水時の水位に近づいたことから、国交省は「今後は水位維持の操作に移る」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20191013-OYT1T50060/
10月16日15時58分に時事ドットコムからは、紆余曲折のあった八ッ場ダムだけに、その効果について国会でも取り上げられたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
16日の参院予算委員会で、自民党が台風19号の被害拡大を食い止めたとされる八ツ場ダム(群馬県長野原町)を取り上げ、「コンクリートから人へ」を掲げた旧民主党政権が同ダム事業を一時中止しようとしたことを皮肉る場面があった。
質問に立った自民党の松山政司参院政審会長は八ツ場ダムが今回果たした効果を政府に確認。
赤羽一嘉国土交通相は八ツ場ダムを含めた上流のダム群が機能して洪水を回避できたとし、「住民の安全な暮らしに大きく寄与する」と述べた。
松山氏はわが意を得たりとばかりに「インフラ整備はキャッチフレーズだけで語るものではなく、着実に計画的に実施することが極めて重要だ」と語り、安倍晋三首相にも答弁を求めた。
首相は「大変な財政的負担もあったが、後世の人たちの命を救うことにもなる。緊張感の中で正しい判断をしていくことが大切だ」と語った。
これに対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で、「大型公共事業をやめようとマニフェスト(政権公約)に書き政権を取ったが、検証の結果、八ツ場ダムの必要性を認めて(事業を)再開したのも旧民主党政権だ」と反論した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019101600560&g=pol
10月16日19時5分に産経新聞からも同趣旨の記事が、周辺の決壊河川が記された地図付きでネット配信されていた。
今回の台風19号では、民主党政権時代に建設凍結問題で揺れた八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)が効果を発揮したといえそうだ。
赤羽一嘉国土交通相は16日の参院予算委員会で、下流の利根川で大きな氾濫を防ぐのに役立ったとの認識を示した。
八ツ場ダムは調査開始の昭和27年以降、利根川流域の関東1都5県の利水、治水機能を担うため、国と群馬県が計画を推進。
民主党政権下で費用対効果が疑問視され、一時凍結されたが、政権交代後の平成27年に着工された。
総事業費は約5320億円に上る。
国交省関東地方整備局によると、来春の本格運用前に安全性を確認する「試験湛水(たんすい)」を今月1日から始めたばかりで、3~4カ月で満水になる予定だった。
台風19号通過後の13日午前5時の水位は標高573・2メートルで、通過前の11日午前2時と比べて約54メートル上昇。
最大流入量は毎秒約2500トンで、13日までに約7500万トンをため、通過後には満水まで10メートルに迫った。
今回、利根川水系では栃木県内7河川9カ所で堤防の決壊が確認されたが、いずれも八ツ場ダムの下流ではない別の支流だった。
赤羽国交相は16日の答弁で今年度中にダムを完成させる考えを強調。
貯水容量の大きさなどに触れ、「利根川流域の住民の安全な暮らしに大きく寄与する」と述べた。
京大防災研究所の角哲也教授(河川工学)は「今回は全く放流していないこともあって大きな治水効果を発揮した。流入量などの検証が必要だが、適切に行えば運用開始後も効果を発揮できる」と評価した。
https://www.sankei.com/affairs/news/191016/afr1910160069-n1.html
10月17日18時9分にJ-CASTニュースからは、同ダムの効果に関する識者などの見解などが、下記趣旨でネット配信されていた。
台風19号に関連し、ネット上では「八ッ場ダムのおかげで利根川が助かった」「利根川氾濫を抑えたのは間違いなく八ッ場ダムのおかげ」など、ダムを「称賛」する声が相次いでいる。
一方、八ッ場ダムをめぐっては、「利根川への洪水調節効果はほとんどないものと思われる」など否定的な意見も出ている。
実際、どれだけ治水効果があったのだろうか。
識者らに話を聞いた。
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ダム建設への反対運動に取り組む「水源開発問題全国連絡会」の遠藤保男共同代表によると、八ッ場ダムの治水効果は、河川の下流に行くほど「どんどん薄れる」という。
「本当にどのくらい効果があったのか数値的に言うのはなかなか難しい」とした上で、「今まででわかっていることからすると、何トンぐらいの流量で放流したかにもよるが、せいぜい首都圏に対しての効果は、3パーセントぐらいしか調節した効果にしかなっていない」と指摘する。
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環境史・土地開発史・災害史を踏まえた上での災害リスクマネジメントが専門の、立命館大学環太平洋環太平洋文明研究センター・高橋学教授は、「今回はたまたま実験貯水段階で、ほとんど空だったラッキーさもあった」と指摘する一方、「八ッ場ダムが果たした役割は評価してもいいんじゃないか」と語る。
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https://www.j-cast.com/2019/10/17370325.html?p=all
(ブログ者コメント)
空っぽに近かった大きなダムが、一昼夜のうちに満水になった。
政治的なことは別にして、今回の豪雨がいかにすさまじかったかを示す、一つの事象として紹介する。
以下はNHK映像の3コマ。
画面左側にある岩の上の木を見ると、どれほど多くの水が一気に溜まったか実感できる。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。