2019年5月17日5時0分に琉球新報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
発がん性などのリスクが指摘される有機フッ素化合物PFOSについて、京都大医学部の小泉昭夫名誉教授、原田浩二准教授が沖縄県宜野湾市大山の住民を対象に4月に実施した血中濃度調査で、全国平均の4倍の値が検出されたことが16日分かった。
PFOSは米軍嘉手納基地や普天間飛行場周辺の河川で高濃度で検出され、基地が汚染源だと指摘されている。
また、コレステロール値や肝機能への悪影響が指摘され、規制に向けて国際的な議論が進んでいる有機フッ素化合物「PFHXS」に関しては、全国平均の53倍に上る血中濃度が検出された。
有機フッ素化合物のPFOSとPFOAは、国内の使用が原則、禁止されている。
宜野湾市大山では、農業用水にも使われてきた湧き水からも高濃度で検出されたことから、小泉、原田両氏は住民の要望を受けて、4月13、14日に調査した。
宜野湾市大山の住民44人と、比較するための対照地域として南城市民61人に対してPFOS、PFOA、PFHXSの血中濃度を測定した。
その結果、宜野湾市でPFOSが全国平均値の4倍に当たる1mℓ当たり13.9ngが検出された。
PFHXSは、宜野湾市が全国の53倍の16.3ng(※)に上り、南城は全国の12.5倍の3.9ng(※)だった。
PFHXSは2021年春にも、世界的に製造や輸出入、使用などの禁止が決まる可能性がある。
PFOS、PFOA、PFHXSによる汚染は、米軍の泡消化剤との関係が指摘されている。
宜野湾市では、PFOS、PFOA、PFHXSの全てについて、水道水を日常的に飲む人たちの血中濃度が飲まない人よりも高かった。
それに比べて南城市は、水道水を飲む人と飲まない人の値に大きな差はなかった。
宜野湾市の水道水は、嘉手納飛行場を通る河川水を使う北谷浄水場(7市町村に給水)が水源。
南城市の水道水は西原浄水場(9市町村に給水)が水源。
小泉、原田両氏は、「健康に与える影響は不明だが、全国との差からしても、宜野湾市の水道水の源泉(北谷浄水場の水源)は汚染されている」と指摘。
「国が責任を持つ基準の策定と順守が必要だ。汚染源は基地内と考えられ、国内法の下で厳重に管理する必要がある」とした。
出典
『水道水が汚染? 宜野湾市民の血中有害物質、全国の4倍 京大が調査 「米軍基地内に原因」』
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-919643.html
※印)
原文ではナノミリグラム表示になっていたが、それは聞いたことがない単位。
また、沖縄県HPの記事などを参照しても、測定結果は全てナノグラム。
(2019年4月26日 沖縄県HP
『平成30年度有機フッ素化合物環境中実態調査の冬季結果報告について』
https://www.pref.okinawa.jp/site/kankyo/hozen/mizu_tsuchi/water/pfos-pfoa_h30-winter-result.html
(2019年5月21日10時27分 琉球新報)
『有機フッ素化合物が嘉手納・大工廻川で最高値 沖縄県が数値を初公開 宜野湾市民からの血中高濃度検出で』
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-921902.html
よって、報道された原文はナノグラムの誤植ではないかと思い、本記事ではナノグラム表示とした。
(ブログ者コメント)
偶然?にも、この報道の2日前、5月15日夜のNHKのクローズアップ現代でも、この問題が放映されていた。
以下は、そのダイジェスト。(多数の写真付き)
焦げつかないフライパン、水をはじく衣類、消火剤・・・。
こうした便利な製品にかつて使われていた「有機フッ素化合物」の一つPFOA。
環境への蓄積性や発がん性などがあることが分かり、今月、国際条約で禁止された。
いま、日本の各地で河川などから検出されているが、基準がないために対策が遅れている。
便利な生活と隣り合わせの化学物質の問題とどう向き合えばよいのか考える。
今、ある物質によって飲み水が汚染される事態が世界各地で相次いでいます。
今月(5月)開かれた国連の会議。
汚染の原因となる物質の製造と使用の禁止が決議されました。
有機フッ素化合物の1つ「PFOA(ピーフォア)」。
20年ほど前まで、焦げ付かないフライパンや、水をはじく服など身近なものから、自動車、半導体まで、幅広い用途に使われていました。
自然界ではほとんど分解されないため、工場などから漏れ出したこの物質が、今も環境中に残り、水を汚染。
それを長期的に飲んだ人の中に、がんなどの健康被害を訴える人が出てきています。
水や油をはじく性質を持ち、熱に強いPFOA。
ご覧のような幅広い用途にかつて使われていました。
こうした製品からの人体への影響は小さいとされていますが、分解されることがほとんどないことから、永遠の化学物質「フォーエバー・ケミカル」とも呼ばれ、今も環境中に残っていることが問題になっています。
有機フッ素化合物は数1000種類あり、その中で特に毒性が明らかになったPFOAは、今月、国際条約で製造、使用が原則禁止されました。
同じような物質には、10年前に禁止された「PFOS(ピーフォス)」というものもあります。
今、その影響が国内外に広がっています。
今回の有機フッ素化合物、PFOAの禁止のきっかけの1つとなったのが、2000年にアメリカで起きた健康被害です。
大手化学メーカー「デュポン社」。
かつて、調理器具などを作るために、大量のPFOAを製造していました。
排水に混ざったPFOAが川に流され、飲み水を汚染。
周辺の住民の体内に取り込まれていったのです。
・・・・・
アメリカで深刻な健康被害をもたらした有機フッ素化合物、PFOAによる水の汚染。
日本国内ではどうなのか。
・・・・・
水道水にも影響が及んでいる地域があります。
沖縄です。
浄水場の取水源となっている河川で、PFOAなどの有機フッ素化合物が、最大でアメリカの勧告値の10倍近く検出されています。
沖縄県が汚染源の可能性があると考えているのが、アメリカ軍基地。
基地の周辺に濃度の高い場所が集中しているからです。
航空機事故に備えて基地に貯蔵されている、有機フッ素化合物を含む消火剤。
消火訓練などの際に、環境中に大量に放出されます。
さらに、消火剤がタンクから漏れ出す事故も繰り返し起きています。
那覇市などに飲料水を供給する沖縄最大の浄水場。
3年前から1億7,000万円をかけて、独自にPFOAなどの除去を行っています。
使っているのは活性炭です。
「活性炭というのは、無数の穴があいていて、その穴にPFOS・PFOAが入り込むことで除去される。」
こうして水道水に含まれる2つの有機フッ素化合物を、アメリカの健康勧告値のおよそ半分にまで減らしています。
・・・・・
出典
『化学物質“水汚染” リスクとどう向き合うか』
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4280/index.html
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。