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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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(2010年10月26日 旧ブログ掲載記事)
 
記憶というものは曖昧なものです。思い出そうとしている時に、「こうではなかったですか?」などと誘導されると、実際はそうでないのに、「そうそう!そうなのですよ!」などと答えてしまう・・・・・そういったことが、ままあります。
 
たとえば、車がモノにぶつかった時の映像を見せ、その車のスピードを推定してもらうのに、「車がモノに接触した時のスピードは?」と聞くのと「車がモノに激突した時のスピードは?」と聞くのとでは、回答者の答えは、後者のほうが大きなスピードになる傾向があるそうです。
また、時計とも蟹とも見える曖昧図形を見せ、数時間後に、先ほど見せた時計の絵を思い出して描いてくださいなどと仕向けると、いかにも時計らしい絵を描く人が出るそうです。私も、安全教育の一環としてこの話をした時に試してみたことがありますが、数10人の中で、数人に、そのような傾向がみられました。
 
自分の記憶に頼るだけでなく、現場現物を確認することが大切だと言われているのには、こういったことも関係しているのでしょう。
また、重要な判断を下す場合、周りから、記憶を変化させるような余計なこと、誘導尋問的なことは言わないように注意する、といったことも必要なのでしょう。
 

 
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(2010年10月22日 旧ブログ掲載記事)
 
なぜ忘れるのか・・・、なぜ覚え間違いするのか・・・、そのメカニズムについて考える場合、それは記憶検索が失敗したからだ、という説明も可能です。
 
 脳の長期貯蔵庫の中には、記憶のネットワークが張り巡らされており、思い出すということは、キーワードを手掛かりとして、そのネットワークの中の、大きなジャンルから中ジャンル、小ジャンルへと検索していき、最後に目的とする記憶にたどりつく、ということです。このような仕組みから考えれば、忘れるということは、この検索ルートが途中で遮断されること、記憶違いということは、検索中に誤って別のルートを辿ってしまうことだという説明が可能でしょう。
 
しかしながら、こういった現象は、われわれが意識しないうちに脳の中で起きてしまうものですので、いかんともし難いところがあります。
それゆえ、記憶だけに頼ることなく、忘れてならないことはメモしておく、あるいは指示を受けた人に確認してから実行する、といったことが大切になるのでしょう。
 

(記憶検索の失敗例;2011年5月18日追記)
 
5月15日放映の「笑点」で、司会の歌丸さんが小遊三さんに向かい「小円遊さん」と呼び掛け、座を大いに沸かせていた。歌丸さんいわく、「先ほどまで楽屋で小円遊さんの話をしていたもので・・・」。
これは、記憶検索失敗の典型的な例だ。
小遊三さんの名前を思い出すのに、顔を頼りに記憶ネットワークの中で「落語家」→「三遊亭」とジャンルを絞り込んでいき、最後に「小」で始まる名前を検索中に、間違って「小円遊」のほうに行くルートをたどってしまった。
これは、さきほどまで楽屋で検索していた「小円遊」ルート上に、まだ当時検索した際の香りが残っていたので、つい、そちらのルートに導かれたためだと説明できる。


 
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(2010年10月13日 旧ブログ掲載記事)
 
記憶は、時間の経過によって薄れてきます。その理由を説明する学説としては、時間とともに記憶の痕跡が薄れてくるからだという減衰説や、他の記憶痕跡によって邪魔されるからだという干渉説などがあります。
 
忘れるまでの時間には、当然、個人差がありますが、覚えておこうとする努力を一切しない場合、1時間で5割程度、8時間で6割程度は忘れるという実験結果(下図に示すエビングハウスの忘却曲線など)がありますので、おそらくは、その程度なのでしょう。

9215f25d.png






 
 
 
口頭で指示を受けている時は分かったつもりになっていても、いざ、実行という段になると忘れてしまっている・・・。そこには、こういったメカニズムが関係しているのかもわかりません。
 
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(2010年10月3日 旧ブログ掲載記事)
 
事故原因に占めるヒューマンエラーの割合はかなり大きく、間接原因も含め、突き詰めて考えると、全ての事故の原因はヒューマンエラーだと言っても、過言ではないでしょう。
そういったヒューマンエラーはなぜ起きるのか、それを、認識、記憶といった切り口から研究しているのが、認知心理学という学問です。
したがって、認知心理学に関する知識を持っておけば、今後の事故防止に役立つかもしれないとの思いで、産業安全に関係ありそうな部分を抜粋して紹介します。
 
まずは、短期記憶と長期記憶についての話しから。
 
われわれは、3つの記憶貯蔵庫を持っています。
その第1は、眼や耳といった感覚器官です。
外部からの情報は、まず最初に感覚器官に入ってきて、そこに一時的に蓄えられます。具体例で説明すれば、コマ送りの画像が、あたかも連続して動いているように見えること、つまり残像は、眼の中に一時的に記憶が残っているために起きる現象なのです。
ただ、感覚器官に貯蔵されるのは、ごく短時間。眼の場合で50ミリ秒程度、耳の場合で5秒程度という研究報告がありますので、ここは、記憶力を司る場所ではありません。
 
第2は、脳の中にある短期貯蔵庫です。
外部からの情報は、感覚器官を経て、この短期貯蔵庫に送られてきます。この短期貯蔵庫は、最近、脳サイエンスなどと銘打ったテレビ番組で「海馬」として紹介されている部位であり、無数に入ってくる情報のどれを記憶するか選別する器官です。つまり記憶と言うものは、この「海馬」という短期貯蔵庫で作られているのです。
しかし、この短期貯蔵庫は容量に制限がありますので多くの情報を溜めておくことはできません。また長く溜めておくこともできません。具体的には、ここでの貯蔵可能量は5~9チャンク程度(チャンクとは情報のかたまり)、貯蔵期間は数10秒程度といわれています。よって、とても、次から次へと入ってくる大量の情報を溜めておくことはできず、ここも、記憶力を司る場所ではありません。
 
第3は、脳の中にある長期貯蔵庫です。
一旦、短期貯蔵庫に入った情報は、そこで、覚えておくべき情報と、そうでない情報とに仕分けされ、必要な情報のみ長期貯蔵庫に移されます。そして、そこに長い間、保管されることになります。つまり、この長期貯蔵庫こそが、記憶力を司る場所なのです。
したがって、外部からの情報を記憶として長く留め置くには、長期貯蔵庫に移すための仕掛けが必要。何も努力しないと記憶としては残りません。
 
仕掛ける方法にはいくつかありますが、代表的なものが「リハーサル」、つまり、同じことを何度も繰り返して覚える方法です。受験の時、覚えにくい英単語を何回も繰り返して覚えた人も多いでしょう。そういった覚え方が「リハーサル」です。
また、「コーディング」といって、何かに関連づけて覚えておく方法もあります。たとえば、初対面の人の顔を覚えておくのに、俳優のA氏に似ていた人と覚えておくと、忘れにくくなるでしょう。そういった覚え方が「コーディング」です。
 
産業現場では、「復唱復命」という安全活動が行われることがあります。その第一の目的は、指示したことを相手が正しく理解しているか、指示した側が確認することですが、それ以外、指示された側に対し、指示したことを口に出させることで頭の中に「リハーサル」状態を作り、もって情報を長期貯蔵庫に移しやすくする、という目的も持っているのです。
 
しかし、リハーサルあるいはコーディングを行っても、それで万全ということはありません。そのようにして当座は覚えたつもりになっていても、ちょっと時間が経つと忘れてしまう・・・・、そういったことが、多々あります。
したがって、どうしても忘れてならないことは、メモするなど、自分の記憶だけに頼らない方法で記録しておくことが大切です。
 
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(2010年9月30日 旧ブログ掲載記事)
 
下の図を見てください。どのように見えますか?

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ほぼ全ての人が、円の上に四角が重なった状態に見えるでしょう。 
しかし、実際は、下図のように、扇型と四角とが組み合わさっているのかもしれません。

a7b083ee.png







これは、ゲシュタルト心理学でいうところの補完と分節という現象です。
つまり、上側の図では、四角で円の4分の1の部分が隠されてしまっていると認識し、隠された部分を補完して、円が存在するように見えてしまうのです。
下側の図のように分節された状態に見えることは、まず、ないでしょう。
 
このような現象が生じるのは、われわれは、円形のモノが四角形のモノの後ろに隠れることは、日常的によく目にすることですが、扇型と四角形の組み合わせは、滅多に見ることがないからです。つまり、目で見て、ある形をとらえた場合、脳の中で、それが一般的にいってどんな形であるか、数多くあるパターンの中から選んでいるための現象だと考えられています。
 
ヒューマンエラーの一つである「思い込み」も、ブログ者は、この補完の一形態ではないかと思っています。
例えば、扇型に相当する作業手順書を、自分の経験という四角形の立場を重ね合わせて見た場合、どうも書かれていない部分がありそうなので、そこは、こうしたほうがいいだろうなどと自分勝手に思い込んでやってしまう・・・・。あまりよい喩えは浮かびませんでしたが、そんなこともありそうな話しです
 
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(2010年8月14日 旧ブログ掲載記事)


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上の図は、サッチャーさんの顔写真を上下反対にしたものです。
ですが、よく見てください。右側の写真はサッチャーさんそのものですが、左側の写真はなんとなくおかしく見えませんか?
それでも、サッチャーさんみたいだ、と思う人は多いでしょう。
 
ところが、この写真を上下逆転してみると、下の図のようになります。
上の図では何となくサッチャーさんらしいと認識した写真ですが、下の図になるとサッチャーさんだと認識する人は、まず、いないでしょう。形相すさまじく、まったくの別人です。

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形相すさまじいほうは、実は、サッチャーさんの目や口といったパーツを逆向きにした合成写真なのです。
したがって、上側の図では、髪型や顔の輪郭は逆になっているものの、目や口は普段見慣れたサッチャーさんのものなので、なんとなくサッチャーさんに見えたのです。
普段見慣れている、聞き慣れているものが、なんとなく違って感じられる・・・・。
そんなことがあったら、それは、その部分の秩序が狂い始めているというシグナルかもわかりません。気のせいだと放っておかず、確認してみることも、また、安全確保の第一歩になろうかと思います。


 
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(2010年8月12日 旧ブログ掲載記事)

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上の図は、錯覚図形の代表的なもので、ミュラーリヤー錯視と呼ばれています。
同じ長さの横線であると分かってはいても、誰しも、下のほうが長く見えることでしょう。

それには以下の2つの理由があります。
理由下のほうの図形は、矢印の長さが加わった分、全体が長くなり、それに影響されて横線も長く見えてしまう。
理由②部屋にたとえると、上の図形は出っ張った角、下の図形は奥まった隅。人は、遠くにあるモノを大きく見ようとする性向があるため、奥まったところにあるかのように見える下の図の横線のほうが長いと認識してしまう。
 
このように、人間の目というものは、周囲の状況(この場合は矢印)に惑わされやすいものです。
自分の目で見たから絶対だ、と思っていても、間違っていることがあるのです。
大事な場面では念には念を入れて確認する、ひと呼吸おいて確認する、複数の目で確認する、といったことが、事故防止を図るうえで大切です。
 
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2010810日 旧ブログ掲載記事)
 
北斗七星状に並んだ点を見て、ひしゃく以外の形に見える人はいないと思います。
これは、人間というもの、近くにあるモノ同士を関連付けて認識するという性向があるためです。
したがって、たとえば、A機とB機の2つのポンプがあって、A機の吐出バルブがB機の直近に配置されているような場合には、いつか、B機の吐出バルブを開けようとしてA機のバルブを開けてしまう、そういったトラブルが起きる可能性があります。
そのようなところがあれば、修正しておくにこしたことはありませんが、予算やスペースの関係など、事情が許さない場合は、せめて、「間違えるな、これはA機のバルブだ」といった、具体的な注意表示をしておいたほうがよいでしょう。


 
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201088日 旧ブログ掲載記事)
 
あなたは、街で見かけた人が知人かどうか、どのようにして判別していますか?
目、鼻、口など、各パーツを一個一個確認しているでしょうか?おそらくは否。顔全体をパッと見て瞬時に判別していることと思います。
ゲシュタルト心理学とは、このように、モノを見る場合、われわれの脳は、対象となるモノを、いろんなパーツの組み合わせとしてではなく、一つの全体像として認識する仕組みになっている、ということを研究している学問です。
そして、このような仕組みがあるがゆえに、その必然として、人は間違いを犯す可能性を有しているのです。
ここでは、そういった仕組みの中の「図と地」について説明します。
 
下の図を見てください。白黒まだら模様の中に何かが見えませんか?よく見ると、頭を垂れた左向きの犬がいることに気がつくでしょう。そして、一旦、犬が見えると、犬だけが目立ち、周囲の白黒模様は、周りの風景として後退して、目立たなくなってしまいます。
このような場合、目立って見えるものを「図」、「図」の後ろに後退して目立たなくなるものを「地」と呼びます。


たとえば、ベルトにひっかかったゴミをとろうとして、回転しているローラーに手を挟まれる事故が起きたとします。そこには、不注意とか、ローラーが10°の視角範囲から外れていたということだけでなく、ひょっとしたら、「図」となったゴミにだけ注意が向けられたためローラーは「地」となってしまい、眼の網膜には両方とも映っていたものの、ローラーを認識することができなかった・・・という理由が隠れているのかもしれません。



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(2010年8月3日 旧ブログ掲載記事)
 
ヒューマンエラー、それは人間である限り、誰もが間違いを起こす可能性がある、ということです。
換言すれば、間違いは、人間であるがゆえの必然なのです。
 
広い世間には、「全ての事故は防ぐことができる」という立派なポリシーを掲げている会社もありますが、私が考えるに、それはポリシーの域を出るものではなく、現実問題、ヒューマンエラーによる事故を完全にゼロにすることは不可能だと思います。
私たちにできることといえば、事故発生確率を可能な限りゼロに近づける、ということだけでしょう。
 
これまで、産業現場では、ヒューマンエラーを起こさせないための対策とか、万一、ヒューマンエラーを起こした場合でも被害を最小限に食い止めるための対策などを工夫し、また実践してきました。たとえば、危険予知活動や指差呼称運動などのソフト対応、識別表示の徹底、インターロックシステムの構築などのハード対応が、それに当たります。
しかしながら、どの方策も一長一短あり、これさえ実施していればヒューマンエラーによる事故を防げる、といった特効薬はありません。
 
これまで編み出された様々な対策を、自職場の実状に合わせ、組合わせて実施すること、かつ、それらの活動をマンネリ化させないことが、ヒューマンエラーによる事故を防ぐ上でのポイントであろうと思っています。
マンネリ化・・・・。そうです。「慣れ」ほど怖いものはありません。
同じことを何の工夫もなく毎日のように行っていると、それが習慣となり、惰性化して、本来の目的とする効果を発揮できなくなる恐れがあります。したがって、同じ安全活動を十年一日の如く続けるのではなく、ある程度時間が経てば少し目先を変えてみる、ということが必要でしょう。
それは、別に新たな安全活動を始めるというのではなく、複数ある活動のいづれかに対し強調月間を設けることでもいいのです。要は、安全活動に変化を与えることです。
 
しかし、そうはいっても、できることなら新しい安全活動に取り組んだほうが、気持ちもフレッシュになり、緊張感を持続しやすいでしょう。
そういった意味で、何か目新しいネタがないかと探した結果、従来とは少し違った切り口からヒューマンエラーについて考える材料がありました。
それはゲシュタルト心理学と認知心理学というもので、錯覚とか記憶について研究している学問です。
内容的には日を改めて掲載しますが、人間は間違うようにできている、その点を作業員一人ひとりがしっかりと理解していれば、それが心の中で一つの歯止めとなり、ヒューマンエラーの防止に役立つのではないかと思っています。
 
 

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20101112日 旧ブログ掲載記事)
 
もうすぐ冬。毎年この季節、静電気が原因で生じる電撃に悩まされている人も多いかと思いますが、今回は、その話し。

電撃とは、人体に溜まっていた静電気が人体から放電する、あるいは何かに溜まっていた静電気が人体に向けて放電する際に、人体側の部位、多くは指先が痛みを感じる現象です。
電撃を受けたからといって死ぬようなことはありませんが、ビックリして飛び退いた時に、たとえば工場なら、そこに回転機があったり、駐車場なら、そこに車が来たりすると、事故になる可能性があります。よって対策をとっておくに越したことはありません。

電撃の中で一番多いのは、人体から放電するケースです。なぜなら、私たちの身体には、動きまわるたび、衣服や地面と接触することで静電気が溜まっていくからです。
たとえば、車に乗り込もうとドアに手をかけようとした瞬間に電撃を受ける、ホテルの部屋のドアノブに触れようとした瞬間に電撃を受ける、こういった現象は、人体に溜まっていた静電気が、手の指先から放電することが原因です。
したがって対策として、まずは、人体に静電気を溜めないようにすることが大切です。

そのためには静電靴を履く、リストストラップを装着する等の方法があり、実際、工場の中とか、さほど動きまわることのない作業場では、そういった対策が数多くとられています。もっとも、それは電撃防止というよりは、火災防止、品質低下防止といった目的からですが・・・。

しかし、一歩、仕事場から出ますと、自前の靴を履き、アチコチ動き回り、場合によってはフカフカ絨毯など、人体に静電気が溜まりやすい物の上を歩いたりしますので、そういった対策は現実的ではありません。
したがって日常生活では、人体から直接、放電させないための対策をとるとよいでしょう。
具体的には、何かに触れる場合、手で直接触れるのではなく、車の鍵など、電気を通しやすい物を手に持って、事前に一度だけ触れるようにすることです。そうすれば、人体に溜まっていた静電気は鍵などの先端から放電しますので、人体が電撃を受けることはなくなるでしょう。
ただ、鍵などで触れた後、モタモタしていると、また静電気が人体に溜まってしまい、電撃を受ける可能性がありますので、注意が必要です。

一方、静電気が溜まっている物体から人体に向けて放電を受けるケースは、日常生活では、さほど経験することはないでしょうが、工場では、しばしばあります。というのは、帯電した物体の近くで作業しなければならない場面があるからです。特に多いのが、電気を通し難い性質のゴムやプラスチック類を取り扱う現場、作業の時です。この場合は、作業者に絶縁手袋を着用させるとか、作業場所近傍にイオン風を吹き付けて帯電部分を電気的に中和させる、といった対策が考えられます。

この電撃というもの、人によって感受性に大きな差があり、全く感じないという人から、少しの放電でもすぐに感じてしまう人まで千差万別です。その原因ははっきりしませんが、体質的なものではないか?という説もあります。
 
 
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201073日 旧ブログ掲載記事)
 
過去に起きた様々な静電気火災のうち、類似事例が複数ある事例として以下のようなものがあります.
同様な作業をしている場合は、要注意です。
 
1.プラ容器の上に金属製ロートを置き、バケツからガソリンを注いでいる時に着火
 これは、金属製ロートがアースされていなかったために起きた事例です。
着火に至るメカニズムを説明しますと、ガソリンを注ぐという作業によって、まず最初に、ロート付近に可燃性のガソリン蒸気が漂います。
次に、注がれたガソリンはロートやプラスチック容器と接触することでお互いに摩擦を受け、ガソリンならびにロート、プラスチック容器のそれぞれに静電気が溜まります。
そのような状況下、作業者がガソリンを注ぎ続けると、どうなるでしょう?
そうです。ロートに溜まっていた静電気が、接近してきたバケツあるいは作業者の手に向けて放電する恐れがあるのです。
そして、この場合の放電形態は、作業者に向けての放電、バケツが金属製だった場合のバケツに向けての放電であれば火花放電、バケツがプラスチック製だった場合のバケツに向けての放電であればブラシ放電となりますが、両放電ともに、可燃性蒸気に着火させるだけのエネルギーを持っていますので、ロート付近に漂っていたガソリン蒸気に火がつくことになります。
ただ、実際の火災事例では、火がついた時の作業者の記憶は、どうしても曖昧になりますので、どちらのメカニズムで着火したかは、断定するのが困難なことが多いようです。
また、当然のことながら、こういった危険性はガソリンに限った話しではなく、ヘキサンなどの可燃性溶剤を使っていても、同様な事例が起こる恐れがあります。
要は、可燃性のガス、蒸気が付近に漂うような作業を行う時は、金属製の道具はアースして使用すること、また、できるだけ、プラスチックのような電気を通し難い物質でできた道具は使わないようにすることです。
 
2.金属製バケツをバルブにひっかけた状態で可燃性液体を採取中に着火
 金属製のバケツを金属製のバルブにひっかけているのでアース状態は問題なし、などと安心して作業していることはありませんか?
もし、あるなら、それは危険です。なぜなら、バケツの取っ手がプラスチック製であることが多いからです。そのようなバケツをバルブにひっかけて可燃性液体を採取すると、採取中にバケツに溜まった静電気が逃げていかず、火災になる恐れがあります。また、仮に取っ手が金属製であったとしても、バルブと取っ手とは、点でしか接触していない可能性があり、もし、その部分に油やゴミなどが付着していたり、あるいは電気をあまり通さないペンキが塗られていたりすると、静電気は逃げていきません。
可燃性液体をバケツに採取する時は金属製バケツを使い、かつ、そのバケツから直接、アースをとっておくことが大切です。
 
3.フレコンからタンクに粉体を投入中に爆発
可燃性溶剤の入ったタンクにフレコンから粉を投入中に爆発、という事例が何件かあります。
この場合、爆発したのはタンク開口部付近に漂っていた溶剤蒸気あるいは投入時にタンク開口部付近にモヤモヤっと立ち上った粉による粉じん爆発と推定されています。
着火源としては、粉体が落下する時に強く摩擦されたフレコン、あるいはアース状態になかった作業者のことが多く、そのどちらかからタンク本体などに向け、着火性の放電が起きた可能性が高いようです。
そういった作業を行う時は、開口部からタンク外に可燃性蒸気を出さないよう、投入口をしっかりシールしておく、あるいは作業者の除電対策を確実に行っておくなどの対策をとっておくことが望まれます。

(2010年12月4日 修正1;具体的な事例を追記)
コメント対応として、以下の2事例を追記しました。
両事例の共通点は、タンク内に可燃性蒸気が存在していたということ、タンク内への空気侵入を許してしまったということです

4.セルフのGSで、給油途中に給油以外の行動をしたために着火
 たまにテレビで、ビックリ映像などとして給油時の着火シーンが放映されることがありますが、このケースでの着火源は、ほとんどの場合、給油者です。
給油ノズルを握った時点で人体はアースされ、安全に給油できるのですが、それが、給油終了後、すぐにキャップを閉めず、たとえば助手席まで行って別の用事を済ませ、その後、戻ってキャップを閉めようとした時に着火しています。
これは、給油ノズルを手から離した時点で、人体はアースされていない状態になってしまい、その状態で助手席まで歩いたことにより人体に静電気が蓄積。キャップを閉めようとした時に、指先から給油口に向けて放電したことが原因です。
 

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201071日 旧ブログ掲載記事)
 
モノとモノとが接触したり擦れあったりすると、静電気が発生します。
しかし、単に静電気が発生したからといって、それが必ず着火源になるとは限りません。以下の4つの条件がすべて揃って、はじめて着火源となるのです。
 静電気が発生する
   発生した静電気がどこかに溜まる
 溜まった静電気がどこかに向けて放電する
 放電した時のエネルギーが、可燃性ガス、蒸気、粉じんに着火させることができるほどに大きい  
 
そして、それらの条件にも増して、「運」というものが大きく影響します。

なぜなら、静電気による火災発生は、確率論の世界だからです。
同じ作業を10万回、100万回実施していて、1度だけ着火源になる・・・。それは、静電気の世界では特別なことではなく、当たり前のことです。
過去10年間、毎日作業していて火災にならなかったから今後も安全だ、ということは言えません。明日、火災が起きるかもしれないのです。
 
しかしながら、静電気対策を検討するうえで、「運」に頼ることはできません。
とるべき対策としては、上記4条件のいずれかを無くしてやること、中でも、実際に管理できるが対象となります。
その具体的な方法については、「静電気トラブル防止対策」をご覧ください。


 
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2010629日 旧ブログ掲載記事)
 
ある物体に静電気が溜まり続け、もうこれ以上、その物体には溜めておけなくなった、あるいは放出するための条件が揃ってしまったという時に、静電気は空気中に放出されます。この現象を、放電と言います。
放電現象には、静電気が溜まっている物体の材質や形状などに応じ、以下のようなパターンがありますが、静電気トラブルの防止上、特に押さえておくべきは、「火花放電」と「ブラシ放電」の2つです。
 
1.火花放電
  金属などの電気をよく通す物質(導電性物質)に静電気が溜まった場合、そのごく近くに同じ導電性物質があれば、そこに向け、バシっという音とともに、一条の閃光を伴って放電することがあります。
それが火花放電であり、そのエネルギーは非常に大。「静電気安全指針」によれば、その値は1ジュール程度にまで達し得るということですので、可燃性ガスや蒸気はもちろんのこと、可燃性粉じんの着火源にもなります。
 
2.ブラシ放電
  火花放電は導電性物質同士の間で起きる放電でしたが、ブラシ放電は、導電性物質と非導電性物質(電気を通し難い物質)との間で起きる放電です。
たとえば、帯電したプラスチック容器から人体に向けて放電が起きる、その時の形態がブラシ放電です。この放電は、片方の物質が非導電性ゆえ、溜まった静電気の一部しか放電されず、その分、放電エネルギーは小さくなりますが、それでも、「静電気安全指針」によれば1~3ミリジュールになることがありますので、可燃性ガスや蒸気の着火源になり得ます。しかし、この程度のエネルギーですと、一般的な可燃性粉じんの着火源にはなりません。ただし、最小着火エネルギーが非常に小さい、ごく一部の粉じんに対しては、着火源になり得ることに注意が必要です。
 
3.沿面放電
  帯電した薄い非導電性物体の背後に、アースされた導電性物体が存在している場合に起きる放電です。
帯電した物体の表面を強烈な火花が走りますので、エネルギーは非常に大。「静電気安全指針」によれば10ジュール程度にまで達し得るということなので、火花放電と同様、可燃性粉じんの着火源にもなります。
印刷機稼働中に印刷ローラー付近で火が出た、という事例を耳にしたことがありますが、その着火源は沿面放電だった可能性があります。もしそうだとすれば、帯電した薄い非導電性物体が塗料、背後にあるアースされた導電性物体がローラー、ということになります。
そして、もしそれが原因だとすれば、印刷インクの中に添加されているであろう帯電防止剤の種類あるいは添加割合を変えることが、対策となります。
 
4.コーン放電
  ペレットなど、数mm程度の大きさの非導電性物質の粒を、高速でサイロに配管輸送するような場合に起きる放電です。
サイロ内にできた粒の山の表面を火花が走り、そのエネルギーは「静電気安全指針」によれば数10ミリジュール程度とされていますので、この放電も、可燃性粉じんの着火源になります。
したがって、そのような放電が起きる恐れのあるサイロなどでは、内部に可燃性ガスが存在しないことを確認しておくのはもちろんのこと、万一の崩落をも考え、内部に大量の粉が溜まったままにならないよう、定期的に清掃しておいたほうがよいでしょう。
コーン放電が原因だったかどうかは不明ですが、サイロ内壁に大量に付着していた粉が一気に崩れ、粉じん爆発を起こした、という事例が実際にあります。
 
5.コロナ放電
  帯電した物体に針のように尖った部位があれば、帯電電圧が低い時点で、その部位から弱い放電が起きます。それがコロナ放電です。
そのエネルギーは非常に微弱であり、「静電気安全指針」に値は見当たりませんが、グロー博士の本では0.1ミリジュール以下と示されています。したがって、水素など特別に着火しやすいガスは別にして、普通の可燃性ガスに対しては、着火源になりません。
産業界では、この特長を利用して、さまざまなところで、わざとこの放電を起こさせて帯電電圧の上昇を阻止し、もって危険な放電が起きることを防いでいます。
 

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2010627日 旧ブログ掲載)
 
静電気対策を検討するうえで、まず知っておかねばならないのは、静電気がどのような場所で発生するかということです。
それを知っていれば、そのような場所について重点的に検討することができ、もって、人的、時間的に限られた制約の中で、検討を効率的に進めることができます。
以下、静電気発生場所を見つけ易くするため、主だった静電の発生形態について説明します。
 
1.摩擦帯電
 モノは、擦れ合うことで帯電します。例としては、配管の中を流れる油やローラー上を滑っていくフィルムなどが代表といえるでしょう。そして、擦れ合う力が強いほど、また面積が広いほど、発生する静電気は多くなります。
 
2.剥離帯電
  貼り付けたガムテープを剥がすなど、重なり合った物体を強制的に分離させると、剥がした、剥がされた、両方の物体に静電気が溜まります。これが剥離帯電であり、剥がした後は、片方の物体にプラスの、もう片方の物体にマイナスの静電気が溜まります。
 
3.沈降帯電
  油の中に水を注ぐと、比重の大きい水は、水滴となって油の中を沈んでいきます。そして、沈んでいく際に水滴と油とが擦れあって両者に静電気が溜まりますが、これが沈降帯電です。水滴側に溜まった静電気は、水滴は容器の底で集まって水の層を形成しますので、そちらに移りますが、その後の静電気の挙動は、容器の材質によって異なります。
容器が金属製であれば、水、金属ともに電気を通しやすいので、静電気は、容器経由で一瞬のうちに大地に逃げていきます。
それが、容器がプラスチックのような電気を通し難い物質でできていると、静電気は、しばらくは水の層の中に溜まったままで、時間の経過とともにゆっくりと大地に逃げていきます。
一方、油に溜まった静電気は、油は一般的には電気を通し難い性質を持っていますので、しばらくは油の中に溜まったまま。そのうちゆっくりと大地に逃げていきます。
この沈降帯電は、水と油の組み合わせに限ったものではなく、比重の異なる、お互いに混じり合うことがない液体同士、あるいは液体と固体といった組み合わせ時に発生します。
 
4.噴出帯電
  液体や粉をノズルから噴出させた場合、ノズルと液体あるいはノズルと粉とが摩擦することで、もしくは液滴同士、粉同士が摩擦しあうことで、ノズルや液滴、粉が帯電します。
そして、噴出後の液滴や粉が雲状に拡がり、その雲が強く帯電していた場合には、雲から近くにある突起物などに向かって放電する恐れがあります。
また、ノズルがアースされていない場合には、ノズルに溜まった静電気が近傍の機器や人体などに向けて放電する恐れもあります。


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2010627日 旧ブログ掲載)
 
静電気トラブルを防止するための対策は2つあります。
一つは、静電気を溜めないようにすること、もう一つは、万一溜まった場合でも危険な放電を起こさせないようにすることです。
なかでも、静電気を溜めないことが対策の主眼となります。

1.静電気を溜めないための方策

(1)金属製の機器や設備にはアースをとる
 機械や配管など金属製の機器や設備が静電気的に絶縁された状態にあると、発生した静電気が機器、設備に溜まり、ついには危険な放電を起こしてしまう恐れがあります。
よって、そのような状態にある機器や設備には、アースをとっておく必要があります。
もし、該当する機器や設備が多数あって、1つづつアースをとるのは面倒、という場合には、1か所だけアースをとり、他の設備は、アースをとった設備と金属線で繋いでおく、という方法でも可です。(この方法は、ボンディングと呼ばれています)

(2)作業者は静電靴を着用する
 モノとモノとが接触したり摩擦を受けたりすると、必ず静電気が発生します。
その接触という観点から、人間が歩くという動作を考察してみると、歩くたびに足の裏と地面とが接触している、ということに気が付きます。
すなわち、歩く都度、私たちの身体には静電気が発生しているのです。
そして、発生した静電気は、普通の靴を履いているだけでは、なかなか逃げていかず、身体の中に溜まっていき、ついには、何かに近づいた拍子に放電。その放電が火災とか電撃ショックといったトラブルを引き起こすのです。
私も、過去、ホテルの部屋に入るためキーをカギ穴に差し込もうとした時に、青白い火花が走ったのを目撃したことがありました。
それは、廊下を歩くことで私の身体に静電気が発生し、かつ廊下には化学繊維のジュータンが敷かれていたため、発生した静電気は私の身体に溜まっていた。その静電気がキーを経由して、カギ穴部に向けて火花放電した、ということなのです。
仮に、ガス漏れなどでカギ穴部周辺に可燃性ガスが存在していたとしたら、爆発していたことでしょう。人体に溜まった静電気が原因で火災になった、爆発したという事故は、案外に多いのです。
そういった事故を防ぐには、人体に発生した静電気を、遅滞なく大地に逃がしてやることが必要です。そのための代表的な方策が、可燃性雰囲気になる恐れのある場所で作業する人には静電靴を着用させる、ということなのです。
静電靴は、身体に溜まった静電気を適度なスピードで大地に逃がすように設計されたもので、いろんなメーカーから発売されています。ただし、、靴底が汚れていたり、あるいは電気を通し難いプラスチック製の床の上で作業するなどしては、せっかくの性能が発揮されなくなりますので、使用時には注意が必要です。

(3)帯電防止剤を添加する
 これは、本来は電気を通し難い性質を有する液体(油など)や固体(プラスチックなど)を、電気を通しやすい性質に変えるための対策です。帯電防止剤としては各種あり、対象となる液体や固体の種類に応じ、添加割合などを変えて使用されています。

2.危険な放電を起こさせないための対策

 たとえば、飛行機は飛行中に空気と接触することで機体に静電気が溜まります。
この静電気を放置すれば、放電時の電気ノイズが計器を狂わせ、大事故になりかねません。
かといって空を飛んでいますので、アースをとるとか静電靴を履かせるわけにもいきません。そこで、危険な放電を起こす前に、危険の小さいコロナ放電を強制的に起こさせ、静電気を空中に逃がす、スタチックディスチャージャーという、先端が尖った棒状の設備を複数つけています。
こういった、わざと安全なコロナ放電を起こさせることで危険な放電が起きないようにするという方法は、産業界でも多方面で活用されています。

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2010718日 旧ブログ掲載記事)
 
粉じん爆発を防止する基本は、なんといっても、粉じんが舞い上がるような環境を作らないことです。
そのためには、粉を取扱っている現場では設備のシール状態を強化すること、また、床や柱の上、ダクトの中などに溜まっている粉を定期的に清掃しておくことが大切です。
 
一方、粉じんが舞う恐れがある場所付近の着火源管理も大切です。
具体的には、粉じんが舞う恐れのある場所に現にどのような着火源があるか、あるいは、非定常状態時に予想されるかを把握したうえで、その着火源の排除に努める、といった対策をとっておいたほうがよいでしょう。
 
それらに加え、粉じん爆発の原理から考えると、粒を大きくして熱の伝わり方を悪くするとか、不活性物質を混ぜてそれに熱を吸収させるといった対策も、また、効果が期待できるものです。
 

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2010716日 旧ブログ掲載記事

202133日 タイトルともども全面修正

 

粉じん爆発の原理から考え、従来は、活性炭のように可燃性の揮発分を含んでおらず、ガス化もしない粉は粉じん爆発しない、と言われていました。

 

しかし今では、莫大なエネルギーが付与された場合には粉じん爆発することが知られています。

 

 

(2021年3月3日 修正1 ;全面修正)

 

読者の方からコメントを頂戴したことを機に、記事の内容を再吟味した結果、全面修正することにいたしました。

再吟味状況は下記を参照ください。

 

 

*******

2021
32日、元記事に関し、読者の方から、活性炭の最小着火エネルギーについて教えてほしいというコメントが書き込まれました。

コメント欄で返信するには長すぎるので、本文に追記する形で回答します。

 

(返信)

 

静電気安全指針2007で活性炭の粉じん爆発データを確認しましたが、最小着火エネルギー(MIE)のデータ(右から2列目)はありませんでした。

褐炭だと、平均41μmでMIE160mjといったデータはあるのですが・・・。

 

その他にデータがないか調べたところ、以下の報文の末尾に「1m3試験装置において約1.8KJ以下の着火エネルギーでは活性炭を爆発させることはできなかったが・・・」という記述がありました。

ただ、平均粒径は数10μmと、元記事に記したような超微粒子ではありませんでした。

https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/rr/RR-94-8.pdf

 

当該記述、また数10年前までは粉じん爆発は起きないと言われていた点から考えると、私見ではありますが、活性炭のMIEは、一般の粉じんの数10~数100mjといったオーダーではなく、その倍万倍あるいはそれ以上といった、かなり大きな値ではないかと思います。

 

 

(反省)

 

2010年に書いた元記事は、上記報文の著者である松田氏から、おそらくは1990年~2000年ごろに教えていただいたことを、その後の研究の進展を確認しないまま、書いてしまったものです。

 

考えてみれば、静電気安全指針2007版を見た時点で、考えを新たにしておくべきでした。

 

よって、本文ならびにタイトルを、この機をとらえ、全面変更いたしました。

 


(参考;元記事は下記)

『活性炭は超微粒子のみ粉じん爆発危険あり』


粉じん爆発の原理から考え、従来は、活性炭のように可燃性の揮発分を含んでおらず、ガス化もしない粉は粉じん爆発しない、と言われていました。

しかし、最近の研究によれば、超微粒子状態の活性炭は粉じん爆発を起こす恐れがある、ということです。

超微粒子状態になれば、粉であってもガスの分子と同じ挙動を示すということかもわかりません。

 

 

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2010716日 旧ブログ掲載記事)
 
一次爆発とは、空気中に漂っている粉じん雲そのものが爆発すること、二次爆発とは、一次爆発で発生した爆風によって付近に溜まっていた粉が舞いあがり、その粉じん雲に着火して爆発することです。
 
過去の事故を検証すると、一次爆発による被害よりも二次爆発による被害のほうがケタ違いに大きいかったことが少なからずありますので、一次爆発の防止はもちろんのこと、二次爆発の防止にも気を配っておく必要があります。
 
二次爆発を防止するには、現場に溜まっている粉を定期的に清掃しておくことが大切です。床や梁、桟はもちろんのこと、ダクトなどの中も定期的に清掃しておくことが望まれます。


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2010712日 旧ブログ掲載記事) 

違う物質であれば、粉じん爆発のしやすさ、激しさといった特性が異なるのは当然ですが、同じ物質であっても、さまざまな因子により、爆発特性は違ってきます。
以下、代表的な因子について説明します。
 

1.粒径 

粒径は、小さければ小さいほど爆発しやすく、大きければ大きいほど爆発しにくくなります。
どのくらい以下になれば爆発するようになるのか、その境界を明確に区切ることはできませんが、一般的には、平均粒径が400~500ミクロン以下になれば、爆発する可能性が出てくると言われています。     

また、同じ平均粒径であっても、微粉の割合が多い粉ほど爆発しやすく、逆に大きな粒子の割合が多い粉は爆発しにくくなります。
 

2.粒子の形状

 同じ物質が球状になっている場合と金平糖状になっている場合とを考えると、後者のほうが空気と接触する面積が大きいため、爆発しやすくなります。
したがって、たとえば、粉の製造方法を変えたことで粒子の形状が極端に変化した・・・といった場合には、変化後の粉の粉じん爆発特性を評価し直しておいたほうがいいかもわかりません。
 

3.成分 

粉じん爆発の原理上、可燃性揮発分が多く含まれている粉ほど、爆発しやすくなります。その割合は、粉の種類や揮発分の種類によって大きく違ってきますが、文献に数点掲載されているデータから推察すると、1~10%以上といったところではないでしょうか。
一方、不活性物質や水分は燃焼を抑制する効果がありますので、多く含まれているほど爆発しにくくなります。これも、粉などの種類などによって、爆発しにくくなる割合は大きく違ってきますが、数点のデータから推察するに、超概略の目安としては、不活性物質で30~60%以上、水分で10~40%以上といったところではないでしょうか。


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魚田慎二
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自己紹介:
化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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