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(ブログ者コメント)
温泉地での硫化水素中毒は本ブログでも何件か紹介スミ。
うち2015年3月の秋田県事例については下記参照。
『2015年3月18日 秋田県仙北市の温泉で源泉の湯量調節のため雪穴の中で配管の空気抜き作業中、硫化水素中毒で、救出しようとした人を含め3人が死亡 (1報2通と2報)』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4716/
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/4717/
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5490/
2025年2月18日17時28分にYAHOOニュース(テレビユー福島)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午後、福島市町庭坂にある高湯温泉で、源泉管理のため入山したホテルの支配人など3人が行方不明となり、18日に発見されましたが、全員死亡が確認されました。
警察は、3人が硫化水素ガスを吸った可能性もあるとみて調べています。
警察によりますと、死亡したのは、高湯温泉にある「花月ハイランドホテル」支配人の椛島さん(63)と、星野さん(56)、佐藤さん(67)です。
警察によりますと、3人は17日午後2時ごろ、1キロほど離れた源泉のある山の中へ向かい、その後、連絡が取れなくなり、午後8時半ごろ、ホテルの従業員が「3人が戻ってこない」と警察に通報しました。
警察と消防が、18日午前9時から20人態勢で捜索を行ったところ、正午までに3人を発見し、その後、全員の死亡が確認されました。
3人は、ホテルから直線距離で約300メートル離れた場所に倒れていて、付近は毒性の強い硫化水素ガスの濃度が高く、救助活動は専用の呼吸器を付けて、慎重に行われました。
■「硫化水素」の危険性
今回、現場近くでは、有毒な火山性ガス「硫化水素」の発生が確認されました。
火山地質学などを専門とする福島大学の長橋良隆教授は、硫化水素の特徴を次のように指摘します。
・臭いは、卵が腐った臭い(いわゆる硫黄臭)
・空気よりも重いため、くぼみや谷底にたまりやすい
・高濃度だと臭いを感じ取れなくなる
高湯温泉は硫黄泉のため、硫黄臭がしますが、問題はその濃度で、一般的に硫化水素の濃度は100ppmを超えると生命に危険が生じるとされています。
警察によりますと、捜索活動当時、現場では30ppmの濃度が確認されましたが、3人が遭難した当時の濃度は分かっていません。
福島県内では1997年に、安達太良山の火口付近で硫化水素ガスを吸った登山客4人が死亡する事故も起きています。
今のところ、今回の3人の死亡との因果関係は分かっていませんが、警察は、3人が硫化水素ガスを吸った可能性もあるとみて、今後司法解剖を行い、詳しい死因を調べることにしています。
■3人は経験豊富 関係者は「何が起きたのか」
高湯温泉は福島市西部の吾妻山麓にある温泉のひとつで、硫黄泉として知られる温泉です。
高湯温泉観光協会の遠藤会長によりますと、源泉ではパイプにスケール(湯の華)が付着し、定期的に清掃などの管理が必要ですが、3人はトランシーバーを携帯し、3人で行動するなど、リスク管理もしていたといいます。
ホテルによりますと、支配人らは2週間に1回程度、現地で作業を行っていました。
遠藤会長は「亡くなった3人は源泉管理の経験も豊富。一度に亡くなるというのは何が起きたのか」と困惑した様子でした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/06b8793ef319b51b895d055cafc2d08cd0c555f4
2月19日8時35分にYAHOOニュース(福島民友)からは、現場付近は朝から雪で1mほど積もっていた、水蒸気が水になると硫化水素が濃縮され高濃度になって危険、現地は風が強かったらしいなど、下記趣旨の記事が現場の概略地図付きでネット配信されていた。
18日に死亡が確認されたホテル関係者3人。
中には勤続20年を超えるベテランもおり、関係者は「経験も知識も豊富な人たちがどうして…」と動揺を隠せなかった。
高湯温泉観光協会長の遠藤さん(69)によると、3人のうち会社役員の男性(56)は勤続20年以上、ホテル支配人の男性(63)も勤続15年ほどのベテラン。
硫化水素に関する知識や経験も豊富だった。
現場周辺はこの日朝から雪が降り、1メートル以上雪が積もっていた。
遠藤さんは「彼らが不注意で亡くなるとは考えにくい。何か大きなトラブルが起きてしまったのか」と推し量った。
関係者によると、源泉から宿泊施設へ温泉を流す湯管の内部に温泉成分が沈殿して付着し、詰まってしまうため、1~2週間に1度、管の掃除をする必要があるという。
源泉付近では濃度の高い硫化水素が発生していることから、ガスマスクの着用や複数人での作業を義務付けるなどの対策を講じて宿泊施設ごとに作業を進めている。
事故を受け、高湯温泉観光協会は、宿の代表者を集めた緊急会議を開いて、源泉管理の方法を議論するほか、専門家を招いて現地調査することも検討している。
温泉の化学分析を専門とする中央温泉研究所(東京都)の滝沢研究部長は「冬は源泉などの上に雪が積もってかまくら状になり、硫化水素や水蒸気を含むガスがたまることもある。水蒸気が水になると硫化水素が濃縮され、高濃度になって危険だ」と話した。
火山防災に詳しい磐梯山噴火記念館(北塩原村)の佐藤館長は、福島県内の火山から発生するガスのほとんどが硫化水素だとし、「聞く限りでは当時、風が強かったはず。かなり濃度が高かったか、(源泉のほかの場所からも)ガスが発生した可能性がある」と指摘した。
環境省が2017年に定めたガイドラインでは、硫化水素が検出される場所で作業を行う場合、複数人で作業することや防毒マスクを着用することなどを示している。
硫化水素による事故を巡っては、15年3月に秋田県仙北市の乳頭温泉郷で作業をしていた3人が死亡した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/125ffe1f19c5c2f0f5eb3394bcfbd753c9eb9c80
2月18日19時12分にNHK福島からは、積もった雪が硫化水素の流れに悪影響を及ぼしたとか、地熱で雪が溶けた窪地に硫化水素が溜まっていた可能性も考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同じ温泉の同業者は、一帯に積もった雪が源泉付近から出ている硫化水素の流れに悪影響した可能性を指摘しています。
高湯温泉観光協会の遠藤会長は、自身も宿に温泉を引く配管に詰まった「湯の花」を取り除くために源泉に行くことがあるといい、「亡くなった3人は源泉に向かう際には、いつもトランシーバーを持つなど日頃から装備を整えていた。今回も3人のグループで行動していて、硫化水素のリスクを回避しようとしていたと思う」と話しました。
18日の捜索で、3人が倒れていた現場付近で硫化水素の濃度が高いという情報があったことについて、「源泉の周辺にはたくさんの雪が積もり、きのうも雪も降っていたので硫化水素のガスがたまるなどの原因になったかもしれない」とし、一帯に積もった雪が源泉から出る硫化水素の流れに悪影響した可能性を指摘しました。
火山ガスに詳しい東海大学の大場武教授によりますと、現場周辺には活火山の吾妻山があり、源泉や周辺から非常に高い濃度の硫化水素が出ていた可能性があるということです。
また、雪が積もっている場合は、地熱で一部がとけてくぼ地ができ、そこに空気より重い硫化水素が滞留するおそれもあると指摘しています。
2005年12月には、秋田県湯沢市の温泉で雪のくぼ地にたまっていた硫化水素を吸って一家4人が死亡する事故が起きています。
大場教授は、硫化水素は目に見えず臭いも近づくまでそれほど強くない一方、濃度が1000ppmを超えると即死状態になる可能性もある非常に危険なガスだとして、火山や温泉の近くで息苦しさを感じた場合、息を止めてできるだけ高いところに移動することが重要だとしています。
大場教授は、「積もった雪に穴があいていても近づいてやっと分かる場合があり、火山ガスが出ている場所や源泉の周辺は本当に危険だということを十分認識してほしい」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20250218/6050028856.html
2月19日14時3分にFNNプライムオンラインからは、地面からの熱で雪が溶け、雪の壁ができていた可能性もあるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
高湯温泉の旅館の施設管理を行う 本田さん:
「源泉の周りはあたたかく、お湯が出ておる。地面から出ておってあたたかいので、周りの雪が解けてしまうんですね。雪壁ができるんですね。」
専門家は、この“雪の壁”が、今回の事故に影響している可能性を指摘します。
法科学研究センター 雨宮所長:
「雪の壁みたいなのができると、密室まではいかないですけども、それに近いような状態、つまり硫化水素がたまるような空間、これができやすくなってきます。」
通常は風に流されるため、大量の硫化水素がその場に溜まることはほぼないといいます。
しかし、“雪の壁”ができて風通しが悪くなり、硫化水素が大量にたまったエリアが発生した可能性があるというのです。
18日午前7時半時点の高湯付近の積雪は、146cm。
相当量の雪が積もっていたことがわかります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f7a0aab15e869b737a0d4b9c333420cdd12daf71
2月20日8時9分にYAHOOニュース(福島民友)からは、硫化水素は高濃度になると臭いを感じ取れなくなってしまうなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3人が倒れていた場所は周辺より低いくぼ地だったことが19日、関係者への取材で分かった。
市消防本部によると、硫化水素の濃度は、くぼ地の手前でも消防の活動基準を超えていたため、空気ボンベを装備してから救助に当たった。
3人はくぼ地手前から目視できる範囲に倒れていたという。
火山防災に詳しい磐梯山噴火記念館の佐藤館長(69)は、硫化水素の危険性について「濃度が高くなるにつれ臭いを感じ取ることができなくなる点」と説明。
低濃度だと卵が腐ったような臭いがするが、高濃度になると、嗅覚がまひして臭いを感じ取ることができなくなってしまうという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/67019a1f836076a4997a05c6e21b6f27d70df1cb
2月19日17時22分にYAHOOニュース(テレビユー福島)からは、3人は防毒マスクを付けていなかった、捜索時の硫化水素濃度は30ppmだったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消防によりますと、3人は発見された当時、防毒マスクをつけていなかったということです。
高湯温泉の同業者は、見つかった3人は、今までも源泉で作業をする際「防毒マスク」をつけていなかったと指摘します。
環境省のガイドラインでは、硫化水素の濃度が10ppmを超える場所に立ち入る際は、防毒マスクをつけるよう示していますが、警察によりますと、18日の捜索時は、現場で30ppmの濃度が確認されていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/469d298a762e3bec509ad5c11b2e17640aff5de5
2月19日21時40分に朝日新聞からは、3人が見つかったのは雪の窪地、空気呼吸器は重く消費も早いので業務の内容によっては使用を厳密に適用するのは難しいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
19日、福島市は旅館関係者に冬場の源泉管理に関する注意喚起を通知した。
通知では、源泉管理で入山する場合は、防毒マスクやガス検知管、トランシーバーなどを持って行くことや、複数人で作業することなど、安全管理策の徹底を促した。
高湯温泉観光協会は同日、今回の事故を受けた研修会を4月上旬に開くと決めた
福島市消防本部によると、3人が見つかったのは源泉から伸びるパイプ沿いの山道にできた雪のくぼ地。
現場の硫化水素の濃度は、消防隊員の活動基準の5ppm以上だった。
公益財団法人「中央温泉研究所」の滝沢・研究部長によると、硫化水素の人体への影響は体重やその日の体調などによって異なるが、数百ppm以上の濃度になると多くの場合、一瞬で意識を失い、最悪の場合は死に至る「ノックダウン」状態に陥る。
倒れた人を助けようとして巻き込まれる「二次災害」が起きやすいのも硫化水素など火山ガスの事故の特徴だという。
2015年に秋田県・乳頭温泉郷付近の源泉施設で配管作業中の3人が亡くなった事故もそうした背景があった。
・・・
環境省のガイドラインでも濃度が高い場所では空気呼吸器の使用を推奨している。
ただ、滝沢部長は「ボンベは重く、消費も早い」とし、高湯温泉のような硫黄泉では温泉成分で詰まりやすい引き湯パイプを頻繁に清掃する必要があるため、厳密な適用は難しいと指摘する。
滝沢部長は「業界として火山ガスの恐ろしさを再認識し、事故原因を究明して今後の再発防止策の糧としてほしい」と話していた。
■火山ガスが関係した主な死亡事故
1997年9月 福島県・安達太良山の沼ノ平で登山客4人が硫化水素中毒で死亡
2005年12月 秋田県・泥湯温泉の駐車場脇で一家4人が硫化水素ガスがたまった雪の空洞で死亡
2015年3月 秋田県・乳頭温泉郷付近の源泉施設で配管作業中の3人が硫化水素中毒で死亡
2023年7月 福島県・安達太良山で登山客1人が死亡。硫化水素を吸ったとみられる
https://www.asahi.com/articles/AST2M3DZST2MUGTB001M.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
2月22日7時28分にYAHOOニュース(福島民友)からは、3人の死因は硫化水素中毒だった、作業中に二次災害が起きたらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
3人が重なり合う形で倒れていたことなどから、倒れた人を助けたり連絡が取れず状況の確認を行った人が巻き込まれたりする「二次災害」が起きた可能性が高いことが21日、捜査関係者への取材で分かった。
福島署は21日、3人の死因は硫化水素中毒だったと発表した。
同署は3人の血液検査などを行って死因を特定した。
同署などによると、3人が倒れていたくぼ地状の場所は、雪に囲まれ空気より重い硫化水素が高濃度でたまりやすい環境だった。
その場所で3人は硫化水素を吸い込み、中毒症状を起こしたとみられる。
捜査関係者によると、3人の皮膚から硫化水素中毒にみられる変色が確認されていた。
また、別の捜査関係者によると、現場の状況から3人は源泉とホテルを結ぶ配管の詰まりなどを防ぐための作業中だったとみられ、1人か2人が先に倒れ、連絡がつかなくなったことに気付いた残りの人が、現場確認のため駆け付けた際に濃度の高い硫化水素を吸い込み、立て続けに倒れた可能性が高いという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7b02efaf44ac16d65b411315da19c92d2e5032d6
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その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。