【事故の概要】
2024年1月2日20時34分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東京都大田区の羽田空港のC滑走路で、日本航空(JAL)の516便から発火、炎上した事故について、政権幹部によると、JALの機体と衝突したのは海上保安庁の飛行機だった。
海保の飛行機は能登半島地震の被災地に救援物資を届ける予定だったという。
海保の飛行機に搭乗していたのは6人で、うち5人の死亡が確認された。
JALや東京消防庁によると、516便の乗客・乗員計379人全員が脱出し、うち4人が負傷した。
海保や東京消防庁によると、海保機も炎上。
警視庁によると、搭乗していたのは6人で、機長1人が負傷、5人の死亡が確認された。
https://www.asahi.com/articles/ASS126CW1S12UTFK010.html
【海保機への指示は「1番目、滑走路停止位置まで走行せよ」】
1月6日1時0分に産経新聞からは、管制官から海保機には1番目で滑走路停止位置まで走行せよとの指示だった、副機長も聞いていたはずなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
交信記録によると2日午後5時45分、管制官が「1番目。C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください」と海保機に指示。
機長は8秒後に「向かいます」と復唱したが、そのまま滑走路に進入し、約40秒間停止。
直後に着陸した日航機と同47分に衝突した。
海保関係者によると、当時、海保機には機長と死亡した5人の計6人が搭乗。
全員がヘッドホンとマイクが一体化した航空用ヘッドセットを装着し、管制塔との無線交信を聞き取れる状況だった。
通常、管制からの指示は機長と副機長が仰ぐことになっており、機長はこれまでの聞き取りに「許可を得て進入した」と説明。
その後の聞き取りで「他のクルーにも(管制指示を)確認した」と話したという。
国交省によると、離着陸の順番を示す管制用語に優先離陸を促す特別な用語はない。
海保機は能登半島地震の被災地へ支援物資を運ぶ予定だったが、交信記録には滑走路への進入を許可した記載はなかった。
https://www.sankei.com/article/20240106-WUBKW2V5BBNHXMJXBM3RUYXNIY/
【長く停止していたため機体の灯火が他の灯火と混じってしまった?】
1月4日21時25分にNHK首都圏からは、NHKのカメラによれば海保機は誘導路から止まることなく滑走路に出た、滑走路での停止時間が長かったため機体の灯りが他の灯火と混じってしまった可能性も考えられるなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海上保安庁の機長は事故のあと、「エンジン出力を上げたところ後ろから突っ込まれた」と話していることが関係者への取材でわかりました。
・・・
専門家は、日本航空機のパイロットが事故を避けるための時間は一定程度あったとしたうえで、「長く停止していたことでかえって見えづらくなった可能性もある」と指摘しています。
NHKが羽田空港に設置したカメラには、事故を起こした海上保安庁のものとみられる航空機の衝突前の様子が映っています。
この航空機は誘導路からほとんど止まることなく、C滑走路に進入しています。
そして、滑走路に入ったあと、日本航空機と衝突するまで滑走路上でおよそ40秒間、停止していました。
日本航空の元機長で航空評論家の小林宏之さんは、「停止していた時間が比較的長かったことで機体の明かりがほかの灯火と混ざってしまい、かえって日本航空機のパイロットや管制官から見えづらくなった可能性がある」と指摘しています。
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20240104/1000100732.html
【滑走路と誘導路の管制官は別、当時は2~3分に1本離着陸】
1月6日5時0分に朝日新聞からは、C滑走路は滑走路と誘導路を別の管制官が担当、当時2~3分に1本離着陸していたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
当時、管制塔全体は14~15人の管制官で担当していた。
事故が起きたC滑走路は、滑走路と誘導路をそれぞれ1人ずつで担当していた。
現状では、管制官は1人で複数の機体を監視している。
事故当時、C滑走路では、2~3分に1本のペースで航空機が離着陸していたという。
https://www.asahi.com/articles/ASS157FMLS15UTIL011.html
【ハリーアップ症候群の可能性も】
1月5日20時32分にYAHOOニュース(テレビ朝日)からは、背景にハリーアップ症候群があるかもしれないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中部国際空港や那覇空港で管制官をしていた田中さんに、管制官の目線から事故をひも解いていただきます。
田中さん:
「様々ある背景の中で一因として考えられているのが、「ハリーアップ症候群」です。
急ぐがあまり通常の判断ができない、あるいは自分に都合の良い解釈をしてしまう衝動で、その可能性があると思います。」
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/5dcc9252d15e7565e56b01a509a17706edc7596a
【画面の注意表示を見落とし?混雑ゆえ同じ滑走路で離着陸運用】
1月6日21時41分に毎日新聞からは、着陸機接近中に離陸機が滑走路に出ると画面に注意喚起されるが警報は鳴らない、混雑する羽田では着陸機接近中でも同じ滑走路から別機を離陸させる運用を行ってきたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
羽田空港には、レーダーなどを使って滑走路や誘導路を監視するシステムがあり、システムには「滑走路占有監視支援機能」という注意喚起を表示する機能がある。
着陸機の接近中に離陸する機体が滑走路に進入すると、画面上で滑走路が黄色に点滅し、機体は赤色に表示される仕組みだ。
警告音は鳴らないという。
当時もこの機能は正常に作動し、注意表示も出ていたとみられ、管制官が表示を見落とした可能性がある。
ただ、注意表示は今回のような重大事故につながる事態のみに出るわけではない。
航空機の発着が多い羽田空港では、着陸機が接近している場合でも、着陸前に同じ滑走路から別の機体を離陸させる運用を普段から行っており、こうした際にも注意表示が出ることがあるという。
この点、国交省の担当者は、「管制官が機体の位置を常時把握するという規則はなく、画面を凝視することを求められるものではない。モニター画面は目視での監視を補助するものだ」と説明する。
・・・
https://mainichi.jp/articles/20240106/k00/00m/040/220000c
【機体は炭素繊維強化複合材製だった、今後安全への寄与度を検証】
1月5日15時35分にニューズウイークからは、機体が炭素繊維強化複合材製だったことにも注目が集まっているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故は、炭素繊維(カーボンファイバー)で強化した複合材を使った新世代旅客機の大火災時の安全性を検証する初めての機械になろうとしている。
・・・
A350は、胴体や尾翼と主翼の大部分など全体の53%に炭素繊維強化複合材が使われている。
複数の専門家は、機体構造が維持されていた間に、乗員乗客全員が安全に脱出したという事実は、特別な条件付きで認証されたこの複合材に対する信頼を新たにすることになると話す。
とはいえ、現時点ではまだ、A350の外殻がどのように火災から一定時間持ちこたえたのか、あるいはどんな技術的教訓が得られるか、全面的な結論を導き出すのは時期尚早だとくぎを刺した。
・・・
航空業界の情報を扱うフェルム氏は、炭素繊維強化複合材の機体はアルミ製機体に対して幾つかの優位性があると説明する。
例えば、アルミは摂氏約600度で溶解して熱を伝導するが、炭素繊維はその約6倍の高熱に耐え、溶解せず炎も出さずにくすぶり続けるという。
・・・
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/01/post-103344.php
【過去事例の教訓が活かされ消火開始まで4分だった】
1月6日16時58分に産経新聞からは、衝突4分後に消火活動を開始していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
空港消防は衝突4分後に消火活動を開始していた。
・・・
常の消防車両とは異なり、いち早く現場に着くために100キロ以上のスピードが出る「空港用化学消防車」を使用。
走行しながらの消火活動ができるほか、強力な放射力を有するという。
・・・
平成19年に那覇空港(那覇市)で起きた中華航空機の炎上事故を機に、国交省はすべての空港で消防車の通行訓練を行うことを通達。
管制官との連携などを強化している。
離着陸の多い羽田空港では夜間帯などに定期的に行われているという。
https://www.sankei.com/article/20240106-QLK5LQCDZRLTXPYX4SZMD6EYGI/
【CAが自己判断でドアを開けたのは想定外にも備えた訓練の成果】
1月3日22時53分にYAHOOニュース(J-CASTニュース)からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
海保機に乗っていた6人中5人が死亡する一方で、JAL機は乗客乗員379人の全員が脱出に成功した。
国外でもこの事故への注目度は高く、この脱出劇を「奇跡」だと評価する報道が相次いだ。
・・・
後方のCAは、さらに踏み込んだ判断を迫られた。
安全推進本部長の堤氏によると、「前方からの(脱出)指示を待っていたが、ないということだった。着陸の際に機内に煙が入り始めて、かなり濃い煙が充満してきたということだ。外を窓越しに見たところ、オレンジ色のものが見えたので、火だと認識した」。
右側後方のR4は「火が見えたため開けられない」として、他のドアに誘導。
左側後方のL4は「火災がなく、脱出シュートを展開する余裕もあった」ため、ドアを開けた。
本来ならば機長の指示が必要だが、インターホンが使えないため、「最終的に脱出指示を自分で判断してお客様を外にご案内した」という。
ただ、こういった手順は事前に決まっており、その手順を訓練してきた成果が出たとみている。
さらに、パニックを抑えながら、どのドアを開けるべきか適切に判断できたと評価している。
「非常事態に関してもしっかりと訓練を受けており、その中のプログラムで、コックピットと連絡がつかない場合、どう判断するかということも、もちろん盛り込んである。そういった訓練を通して、日々ケーススタディーをしながら備えてきた成果が出たと評価している」(堤氏)
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/fdaf832374d6dc3f09da117f2943546e8be3c2fe
【JAL乗務員訓練の質は非常に高い】
1月8日6時1分にYAHOOニュース(FLASH)からは、JALの訓練の質は非常に高い、社員研修にも注力など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
世界中で “奇跡” と称されている脱出劇の要因を「CAらが夢に出てくるほど頭に叩き込んだ『STS五項目』の徹底」と語るのは、航空評論家の秀島一生氏だ。
秀島氏の言う「STS五項目」とは、離着陸の際の必須確認事項のことだ。
(1)衝撃防止の体勢
(2)乗客のパニックコントロール
(3)脱出可否の判断
(4)脱出経路の調整
(5)脱出の誘導
からなる。
「『STS』とは、サイレント・サーティ・セカンズ―不測の事態に備える『沈黙の30秒』という意味です。
この間に、脱出経路や手順を的確に判断する。
今回の脱出は、そうした日ごろから意識していた基本がうまくいったからでしょう」
実際、複数の航空評論家が「JALの訓練の質は非常に高い」と口を揃える。
・・・
JAL元パイロットの杉江弘氏は「緊急脱出に関する訓練と施設は、JALが飛び抜けている」と太鼓判を押す。
「JALの場合、パイロットとCAは、年に一度の厳しい訓練を受けないと、搭乗できないという規定になっています。
訓練施設には、CAがもたもたしていると怒鳴る『鬼教官』がたくさんいて、指導が厳しいことで有名です(笑)。
施設内には巨大な屋内プールがあり、海上着水を想定し、救命いかだを出して飛行機から避難する訓練をするんです。
私が知っている限り、海外でもプールまで造っている航空会社はありませんよ」
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JALの人材育成を、人事ジャーナリストの溝上憲文氏はこう評価する。
「JALは、人材育成にお金と時間をかける会社になったんです。
顕著なのは、社員一人あたりの研修費用。
一般企業では、一人あたり平均3万円といわれますが、2018年度のJALは約47万円なんです」
コロナ禍、CAが家電量販店のノジマに出向した際、『接客態度が素晴らしい』と、お客さんから店にお礼の手紙が届いたといいますよ」(同前)
破綻企業から、人材育成に注力する優良企業に――。
「奇跡の脱出劇」は、再建された社風から生み出されたものだった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1239929c548da110ed81cb61831b916d6e945917
【奇跡の根幹に90秒ルール】
1月3日12時33分にYAHOOニュース(ハフポスト)からは、44席以上の旅客機は特定の条件下で90秒以内に脱出できることを実証すべしというルールがあり、そのルールにのっとってJALも訓練しているらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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航空界には「90秒ルール」と呼ばれる世界基準がある。
アメリカ連邦航空局(FAA)が1967年に航空機メーカーに出した要件で、44席以上の旅客機については、いずれの機種でも特定の条件下で90秒以内に全員が脱出できることを実証しなければならないというもの。
航空機がお客さんを乗せて商用運航するには、FAAが機種ごとに出すお墨付きが必要になる。
航空機メーカーは、このお墨付きなしでは、製造した機体を旅客機として販売することができない。
90秒ルールを満たしていると示すために、航空機メーカーは実際の機体を使って緊急脱出ができると実証するか、試験と分析を組み合わせて実証するかの、いずれかの方法を用いなければならない。
実機を使っての実証では、照明や乗客役として参加しているボランティアの属性、通路に置かれたバッグや枕、毛布といった障害物の位置などについて細かな条件が設定されている。
具体的には、照明は薄暗がりであること、乗客は男女が混じっていること(4割以上が女性であること)や35%が50歳超であること、2歳以下の幼児がいるという想定で、実物大の人形3体を抱えること。
さらに、出口の半分が使えないという条件のもとで90秒で乗客全員を脱出させられると証明することが求められている。
JALもこの基準にのっとって訓練しているとされ、すべての乗客の命を救った。
・・・
https://news.yahoo.co.jp/articles/17b7040ff34fbcb6d495c6e158a2ac6fc1db0284
(2/2へ続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。