2020年7月4日19時57分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
昨年10月の台風19号による洪水被害などを受け、国は新たに、発電などを目的とした「利水ダム」でも事前放流を行うとしていたが、球磨川水系にある5基の利水ダムでは実施されなかった。
突発的な豪雨などが想定外だったためで、国土交通省は「今後の課題として検証する」としている。
国は梅雨入りを前に、全国の利水ダム620基で、電力会社などの管理者と協定を締結。
これまで実施していなかった事前放流を台風などの3日前頃から行い、雨水をためる洪水対策に活用する方針だった。
国交省によると、今回の豪雨の恐れが高まったのは、大雨特別警報が出る前日の3日夜。
「3日前頃」とした事前放流の想定と異なっていたため、実施されなかったとしている。
利水ダムの運用見直しで、球磨川水系は5基が使えるようになり、雨水などの貯水能力(洪水調節容量)は2・6倍の4700万立方メートルに増えていた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200704-OYT1T50211/
7月4日20時53分に朝日新聞からは、熊本豪雨時の被害拡大状況などを時系列で整理した下記趣旨の記事が、多数の写真や地図とともにネット配信されていた。
記事中、球磨川の水位上昇に伴い、一時は検討されたダムからの放流が、結局は実施されなかったと記されている。
また、冠水の影響かどうかは不明だが工場の炉?が火災になっているとも報じられている。
以下、当該記述以外は、主だった事象のタイトルのみ転記する、
『迫る濁流、屋根にしがみつき救助待つ 豪雨ドキュメント』
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17:00
特養老人ホームが水没、14人心肺停止 球磨村
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12:15
工場から炎、放水で爆発の可能性も
熊本県水俣市の水俣芦北広域行政事務組合消防本部によると、4日午前、同県芦北町の東海カーボン田ノ浦工場から煙と炎が出ていると複数の通報があった。
同消防本部は、工場内の炉が高温になるなどのトラブルと火災の両面で調べているが、放水すると爆発する可能性もあるとして、対応を見合わせているという。
11:50
大雨特別警報を大雨警報に切り替え
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10:30
ダムの緊急放流を中止
熊本県によると、県営市房ダム(水上村)で午前9時半から予定していた球磨川への緊急放流について、雨量のピークが過ぎ、ダムへの水の流入量が減る見通しであることから、午前10時半に中止することを決定した。
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熊本・鹿児島の8市7町5村に災害救助法を適用
11:20から関係閣僚会議
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8:00
線状降水帯発生を確認
国の線状降水帯予測研究をしている防災科学技術研究所のチームによると、九州南部では梅雨前線にともなう線状降水帯が発生していることがレーダーデータなどから確認できているという。
3日午後9時半ごろから鹿児島県周辺で発生。
熊本県南部には4日午前0時40分ごろから発生し、午前7時半の時点でも断続的に発生しているとみられる。
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九州新幹線、始発から運転見合わせ
6:30
球磨川沿いの集落が冠水
5:55
球磨川で氾濫、上流のダムで緊急放流の可能性も
九州地方整備局は4日午前5時55分、熊本県球磨村渡周辺の1級河川球磨川の右岸(北側)で氾濫(はんらん)が発生しているとして、警戒レベル5相当の氾濫発生情報を出した。
支流の小川(おがわ)との合流地点で氾濫が発生しているという。
また球磨川上流の熊本県管理の市房ダム(熊本県水上村)の水位が上昇しており、今後、緊急放流(異常洪水時防災操作)の可能性があるとして、情報に注意を呼びかけている。
5:40
津奈木町で住宅に土砂、2人と連絡とれず
5:00すぎ
球磨川の堤防が一部崩れる
4:50
熊本と鹿児島に大雨特別警報
4:00前
熊本・芦北町で土砂崩れ、女性救出
https://www.asahi.com/articles/ASN742HFNN74UEHF001.html
7月6日15時21分に熊本日日新聞からは、過去に建設中止となった川辺ダムとの関連に関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
球磨川の氾濫を受け、蒲島郁夫知事は5日、報道陣の取材に応じ、球磨川支流の川辺川ダム建設計画に反対を表明した過去の対応について「反対は民意を反映した。私が知事の間は計画の復活はない。改めてダムによらない治水策を極限まで追求する」と述べ、従来の姿勢を維持する考えを示した。
蒲島知事は2008年9月、治水目的を含んだ川辺川ダム計画に反対を表明。
翌年の前原誠司国土交通相(当時)による計画中止表明につながった。
国と県、流域12市町村は、その後、ダムによらない球磨川治水策を協議。
河道掘削や堤防かさ上げ、遊水地の設置などを組み合わせた10案からダム代替案を絞り込む協議を本格化させる予定だった。
10案は概算事業費が2800億~1兆2千億円と膨大で、工期も45~200年の見通し。
蒲島知事は、「多額の資金が必要で、この12年間で実現できなかったことが非常に悔やまれる」としたが、「気候変動は予測できず、ダムによらない治水策が未来永劫[えいごう]続く保証もない。次の世代が考えることもある」とも述べた。
https://this.kiji.is/652693329621304417
(ブログ者コメント)
利水ダムの事前放流問題については、過去に本ブログでも紹介スミ。
2019年11月28日 掲載
『2019年11月21日報道 大雨予測時のダム事前放流には利水権者全員の合意が必要、ダムの水位を下げると発電効率が低下し、雨が降らないと水不足かつ発電効率が低下したままになる』
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/10217/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。