2015年3月27日4時58分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
札幌ドームでプロ野球の試合を観戦中、ファウルボールに当たって右目を失明した札幌市の30代女性が、主催者の北海道日本ハムファイターズとドームを所有する札幌市などに約4700万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は26日、球団などに約4200万円の支払いを命じた。
長谷川裁判長は、「ドームの設備は、観客の安全を確保するのに十分ではなかった」と指摘した。
判決によると、女性は2010年8月、家族で一塁側内野席の前から10列目で日本ハム―西武戦を観戦中、家族の様子をうかがうために目を離した直後にファウルボールが顔面を直撃し、右目を失明した。
判決で、長谷川裁判長は、ドームの管理は内野席の防球ネットを取り外すなど臨場感の確保に偏っていたと指摘。
打球が女性の座席に到達するまでは約2秒だったと認定した上で、アナウンスなどで打球への注意喚起をしていたが、「わずかな時間で打球を避けるのは不可能。防球ネットなどの安全設備を設ける必要があった」とした。
原告の女性は判決後の会見で、「球場の安全対策を強化してほしい」と話した。
球団は、「プロ野球観戦の臨場感が失われることを懸念する。野球界全体に及ぼす影響も十分考えられ、控訴を視野に検討していく」とのコメントを出した。
出典URL
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150327-00000011-asahi-soci
3月27日0時47分に産経新聞westからも、解説的な下記趣旨の記事がネット配信されていた。
札幌ドームでプロ野球観戦中にファウルボールが当たって右目を失明した女性に、計約4650万円の賠償を支払うよう北海道日本ハムファイターズなどに命じた26日の札幌地裁判決。
「カープ女子」や「オリ姫」といった女性らをターゲットにファン層の拡大を目指す野球界にも、波紋を広げそうだ。
阪神タイガースの本拠地で、高校野球が開催中の阪神甲子園球場では、運営する阪神電鉄の担当者が、「危険性は常にあるという認識で観戦してもらいたい。ボールから目を離さないようにお願いしたい」と率直に訴える。
27日にセ・リーグ開幕戦の阪神-中日戦が行われる京セラドーム大阪でも、担当者は、「できる限りの安全対策はしている」と困惑気味だ。
観戦チケットの裏面には、ファウルボールなどによる事故に主催者側が責任を負わない旨が記載されているが、札幌地裁の裁判長は、「初めて観戦に訪れる者や幼児、高齢者も安全に楽しむことができる安全設備が施されるべきだ」と指摘している。
これに対し、スポーツ評論家の玉木正之氏は、「ネットを目の前に見る野球なんて野球ではない。テレビ観戦と同じ感覚で球場に行くのは違うのでは」と、試合の迫力を楽しみたいファンの声を代弁する。
平成20年には、クリネックススタジアム宮城で、目にファウルボールを受けた男性が視力が低下したとして楽天野球団などに損害賠償を求めた裁判で、1審仙台地裁は請求を棄却、2審仙台高裁もこれを支持している。
日本大の福田充教授(危機管理論)は、「安全安心を優先しすぎると野球自体を楽しめる環境が損なわれる。野球を楽しむことを優先すれば安全が損なわれる。観客側と球場側の責任の線引きは難しい。野球に詳しくない人に対する防護策を講じ、注意喚起を徹底すべきだ」と指摘する。
出典URL
http://www.sankei.com/west/news/150327/wst1503270015-n1.html
(ブログ者コメント)
○安全管理というもの、ここまで求められることがあるという事例として紹介する。
それにしても・・・という感はあるが・・・。
○これまで、産業活動中とは言い難い場面で起きた事例であっても、参考になりそうなものは、紹介してきた。
しかるに、その数が結構増えてきたため、一般の産業災害事例とはカテゴリーを分けておいたほうが過去事例検索時に使い勝手がよいだろうと思い、新たに「商業施設、イベント等」カテゴリーを作成した。
該当する過去記事も、新カテゴリーに編入中。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。