2018年6月26日4時11分に神奈川新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
横浜市立大学付属病院(同市金沢区)で、がんの疑いが指摘されていたにもかかわらず、情報共有不足が原因で患者が死亡する医療事故が発覚した。
病院側は、緊急性の高い疾患やがんなどが認められた場合、担当医への電話連絡を徹底するなどの再発防止策を掲げるが、失った信頼を回復するには、病院一丸となった取り組みが欠かせない。
同病院によると、亡くなった60代男性の2012年10月のコンピューター断層撮影(CT)検査は、心臓の治療を目的に実施された。
放射線科技師は、心臓が撮影された部分の画像のみを循環器内科の担当医に提供。
一方で、放射線科医師が、この画像に写った腎臓に陰影を発見し、「がんの疑いを排除することが望まれる」との内容の画像診断報告書を作成した。
しかし、循環器内科の担当医が報告書の存在に気付かず、結果的にがんが見落とされた。
同病院では17年8月、がんなどの疑いが認められた場合、放射線科医ら画像検査に関わった職員が、検査を依頼した医師に直接電話連絡をするとの基準を徹底した。
それまでは慣例的に行われていただけで、不在時の引き継ぎなどが十分に徹底されていなかった。
当時の放射線科医、担当医とも退職しており、実際に電話連絡を行ったかどうか、記憶していないと話しているという。
25日の会見で同病院は、再発防止策として、医師間の電話連絡の徹底のほか、電子カルテに未確認の画像診断報告書がある場合、注意を喚起するなどのシステム改修を挙げた。
医師が確認した時点で「既読」とする機能も追加するという。
また会見では、この男性のほかに悪性腫瘍が見落とされていた事案が、横浜市大付属市民総合医療センター(同市南区)も含め10件あったことが判明した。
うち2件は手術で腫瘍を取り除いたが、より早い段階で所見に気付いていれば、内視鏡手術など他の対応も考えられたとしている。
年齢を理由に治療を終えた90代の女性を除く9人は、現在、治療中もしくは経過観察中といい、外部委員が入った病院の医療事故調査委員会で調査している。
出典
『【横浜市大病院医療事故】引き継ぎ不徹底、がん見落とす 類似ケース少なく
なく』
http://www.kanaloco.jp/article/341444
6月25日18時6分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
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同病院で亡くなった男性は、心臓の治療で循環器内科に定期的に通院。
心臓内のカテーテル治療の実施に向け、2012年10月にCT検査を受けた。
放射線科の医師がCT画像を確認し、腎臓がんの疑いがあると診断して、翌日に報告書を作成した。
しかし、循環器内科の担当医に直接伝えることはせず、この担当医も、心臓部分が撮影されたCT画像を受け取ったが、電子カルテ上にあった報告書に気づかず、確認していなかった。
医師は2人とも既に退職している。
男性は、他の医療機関でのCT検査で肺がんの疑いがわかり、今年3月に付属病院に緊急入院。
その際、12年に撮影したCT画像の存在が発覚した。
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今回の調査では、画像診断の報告書を主治医などが確認していなかったケースが、同病院で、昨年6月までの1年間で計568件に上った。
診断結果の報告は、慣習的に、放射線科医から主治医へ電話で直接連絡するようになっていたが、ルール化されていなかった。
同病院は、再発防止策として、医師がコンピューター上でカルテを閲覧する際、目を通していない画像診断報告書の一覧を表示して注意を促すよう、システムを改修するなどとしている。
出典
『CT検査共有せず、がんで男性死亡 横浜市立大付属病院』
https://www.asahi.com/articles/ASL6T5VJ5L6TULOB00X.html
6月25日19時57分に朝日新聞からは、下記趣旨の解説記事がネット配信されていた。
CTの画像診断報告書を確認していない事例の報告は、全国で相次ぐ。
医療事故の分析にあたる日本医療機能評価機構によると、2015年1月~18年3月に36件あった。
機構によると、がんが放置された事例の多くでは、検査目的の部位と異なる所でがんの疑いが指摘されていたという。
横浜市大で死亡した男性も、心臓の病気で循環器内科を受診。
腎臓にあったがんが放置された。
検査をした放射線科医は、画像診断の結果を循環器内科の医師に伝えず、循環器内科の医師が画像診断報告書を読むこともなかった。
第三者機関の日本医療安全調査機構の木村常務理事は、こうした事故について、「1人の医師の注意不足というより、システムの問題。個人ではなく全体での対策が必要」と語る。
全国で起きている理由については、「医療機器の発達により、医師らが共有すべき情報量が増え、複雑化している」ことをあげる。
東京慈恵会医大病院(東京都港区)は、昨年発覚した患者の死亡事故を受けて今年4月、CT画像の診断報告書を患者に手渡す取り組みを始めた。
医療過誤原告の会の宮脇会長は、「各診療科の専門分化による構造的な問題で、他の病院でも多く発生しているはずだ」と指摘。
「患者も画像を確認できれば、がんが放置されるような事例を減らすことができる。患者と一緒に医療安全を進める取り組みが広がってほしい」と話す。
厚労省は今月、千葉大学病院で画像見落としがあり、男女2人が亡くなった事例が発覚したのを受け、昨年11月に都道府県などの医療担当部署に出した事務連絡を、再び、出した。
画像診断報告書の確認の徹底を医療機関に呼びかけることを求めている。
【画像診断結果放置でがん治療の遅れにつながった主な事故】
2016年12月 名古屋大病院で、肺がん女性死亡
17年 2月 東京慈恵会医大病院で、肺がん男性死亡。7月に別の男性2人の死亡も発覚
17年10月 名古屋大病院で、大腸がん男性死亡
18年 6月 千葉大病院で、腎臓や肺のがんで男女2人死亡
同 兵庫県立がんセンターで、肺がん女性治療中
※ 年月は明らかになった時期
出典
『がんの放置、なぜ起こる 検査目的の部位と異なる所で』
https://www.asahi.com/articles/ASL6T61V1L6TULBJ011.html
(2/2に続く)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。