2021年8月31日21時43分に産経新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
みずほ銀行でシステム障害が相次いでいる問題で、みずほフィナンシャルグループ(FG)が基幹システムの開発などを担当する人員を全面稼働後に約6割削減していたことが31日、分かった。
障害の多発や、原因究明の遅れの背景として、システムの保守管理に関わるノウハウが十分に引き継がれなかった可能性も指摘されており、信頼回復に向けた取り組みは時間を要しそうだ。
みずほの基幹システム「MINORI(みのり)」は令和元年7月に全面稼働した。
これに伴う人事異動などによって、平成30年3月末時点で1143人だった担当者は今年3月末時点で491人となり、3年間で57%減った。
6月の第三者委員会報告書では開発段階から関与していた担当者の減少に言及して、「システム構造のブラックボックス化」が進んでいると指摘していた。
みのりは、みずほ銀の前身である第一勧業、富士、日本興業の旧3行が利用していた富士通、日本IBM、日立製作所のシステムを存続させる形で統合し、他の大手行の基幹システムより複雑で取り扱いが難しいとされる。
担当者の減少で現場に保守管理のノウハウが不足し、トラブルの原因究明も遅れた可能性がある。
一方、銀行システムに詳しい静岡大の遠藤正之教授(金融情報システム)は、「みずほは障害発生時に、システム全体をみる司令塔の役割を果たせていない可能性がある」と懸念を示す。
今年発生した計6回のトラブルで、複数のエリアにまたがるシステム障害に円滑に対応できていないケースがあったからだ
トラブルの再発防止には、複雑なシステムを見渡して迅速に対応できる体制づくりが欠かせない。
一度崩れた組織の立て直しや人材育成には時間が必要で、みずほの信頼回復の道は混迷を極めている。
https://www.sankei.com/article/20210831-VTV7EGCZ7NLS7BAXCF6ZAZ43ZM/
※これまで起きたトラブルの概要などは、下記報道参照。
(2021年8月20日12時0分 朝日新聞)
みずほ銀行は20日、システム障害が新たに発生し、全国の約460店舗の窓口で入金や振り込みなどの取引の受け付けや処理ができない状態になったと発表した。
店舗が開いた後の午前9時50分ごろ、一部の取引をのぞいて復旧した。
みずほ銀のシステム障害は今年に入り5度目だ。
同行は午後にも記者会見を開き、詳しい原因などを説明する方針。
同行によると、19日夜に店頭業務に関わる機器に障害が発生。
同じ機器を使うみずほ信託銀行の約60店舗も含め、システムを使用する店頭の幅広い業務が停止した。
両行は、顧客に対してはATM(現金自動出入機)やインターネットバンキングの利用を促し、手数料の差額はみずほ側が負担するとした。
ATMの利用限度額を超えた現金の出金や融資の一部などは、一時、対応できなくなった。
みずほ銀は「お客さまに多大なご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申しあげます」とのコメントを出した。
みずほ銀では、ことし2月から3月にかけて、ATM障害など4件のシステム障害が相次いだ。
第三者委員会の報告を受け、親会社みずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井社長や藤原・みずほ銀頭取らグループの役員11人を減給処分とし、再発防止を誓った矢先だった。
過去には2002年と11年にも大規模なシステム障害を起こし、金融庁から業務改善命令を受けている。
東京都新宿区にある、みずほ銀の飯田橋支店では20日午前、行員が来店者に「システム障害のため窓口での取引ができない状態になっています」と呼び掛けていた。
店舗を訪れた40代の男性会社員は、取引先への振り込みを諦めて別の銀行に向かった。
今回は問題なかったが、20日までに振り込む必要がある取引先もあったといい、「金曜だから週明けまで何もできないし、20日締めだったらお手上げ状態だった」。
度重なる障害に「いくらなんでも多すぎる。システムの専門家が少ないとか、態勢がしっかりしていないんじゃないか」と苦言を呈した。
◇
みずほ銀行の2~3月のシステム障害
2月28日の日曜日、稼働予定だったATMの8割にあたる4318台が止まり、通帳やカードが取り込まれたままになる被害が5244件起きた。
定期預金のデータ移行に伴う容量オーバーが原因。
インターネットバンキングの取引が成立しなかったり、外貨建て送金が遅延したりするなど4件の障害が2週間で相次いだ。
https://www.asahi.com/articles/ASP8N32BXP8NULFA003.html
※その後、9月8日に7回目のトラブルが発生した。
(2021年9月8日12時22分 産経新聞)
みずほ銀行は8日、ATM(現金自動預払機)の一部とインターネットバンキングが一時、利用できなくなる障害が起きたと発表した。
システムの機器の不具合が原因で、一時使えなくなったATMは最大約100台に上ったという。
みずほ銀行の障害は今年に入って7回目。
みずほ銀行によると、障害は8日午前9時20分ごろに発生。
午前10時半までに復旧した。
ATM27台で現金が取り込まれた。
キャッシュカードや通帳の取り込みはなかった。
みずほ銀行では2月から3月にかけて4回のシステム障害が発生。
8月に入って20日に全国の店舗窓口で取引が一時できなくなり、23日には最大130台のATMが一時停止した。
https://www.sankei.com/article/20210908-ZNJBAX224BOIPDNSND2JOYZJ4I/
※以下は、さらなる解説記事。
(2021年9月8日20時37分 YAHOOニュース;時事ドットコム)
みずほ銀行でまた、現金自動預払機(ATM)などが一時利用できなくなるトラブルが発生した。
同行でシステム障害が表面化したのは今年だけで7回目。
しかも今回は、8月下旬に起きた障害の原因を解明する途上で障害を繰り返したことになる。
止まらない失態に、同行に対する利用者の不安は一段と高まりそうだ。
みずほ銀では、2月末から2週間足らずで4件の障害が発生。
6月には再発防止策を発表し、みずほフィナンシャルグループの坂井社長は「二度とこうした事態を起こさない決意」を強調したが、8月下旬に再び2件の障害を引き起こした。
特に8月20日に全店舗窓口で取引が一時停止した障害では、ハード機器の故障に加え、バックアップ機能が働かなかったことで影響が拡大。
同行関係者は「原因は複合的」と指摘しており、現在も原因解明の作業が続いている。
今回の障害は約1時間で復旧。
ATM27台で現金が取り込まれる事案が発生したが、その場で対応し限定的な影響にとどめるなど、一連の障害の反省から顧客対応では一定の改善もみられた。
しかし、入出金や振り込みなど、日常生活を支える重要なインフラで障害が頻発するのは異常な事態。
度重なる障害に顧客からは、「みずほを使うのは不安」(50代女性)との声が上がっていた。
早期に原因を特定し、安定性を確保できなければ、深刻な顧客離れが進みかねない状況だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/35fac91e8efdafbbba615d046c62147ecff2c0b7
(2021年9月17日 修正1 ;追記)
2021年9月17日7時2分にYAHOOニュース(現代ビジネス)からは、同行ではシステム担当の地位は低いなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
数え切れないほど障害を起こしても、改善の気配がない。
ミスや事故にしては多すぎる。
他の銀行なら起こり得ないことが、なぜこの銀行では起きるのか。
序曲は平成の大再編で、すでに聞こえていた。
【19年前の予感】
「お前らがダメだから、あんなことになったんだよ!」
第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併し、みずほ銀行が誕生した直後の'02年夏。
本店の至近距離、銀座の外れにあるクラブで、酔ったみずほのシステム担当者が大声をあげた。
絡まれているのは、接待する富士通のシステムエンジニアだ。
勧銀時代から、みずほの勘定系(預金・融資・為替の処理と計算を担う銀行の基幹システム)の開発は富士通が請け負っている。
―お前こそ底辺のクセに、たかりやがって。
内心そう毒づくが、みずほは大得意先だ。
愛想笑いを浮かべるしかない。
今夜の会計もこちらが出すしかない。
19年前のこの年の春、みずほは大規模障害を引き起こし、総叩きに遭っていた。
4月1日に勧銀、富士銀、興銀の各システムを統合した矢先、ATMが急停止。
二重引き落としや給与振り込みの遅れ、誤送金が相次いで、トラブルの総数は250万件にのぼった。
「こんなアホなことあるかいな。図体ばかり、でかくなって」
時の財相・塩川正十郎は、合併初日の失態を叱った。
不眠不休で対処にあたるベンダー、つまり富士通や日立の現場エンジニアには、「とても手に負えない」と逃げ出す者、過労で入院する者が続出した。
みずほの行員は右往左往するばかりだった。
もっとも、みずほシステム部員の居丈高な態度は、不遇の裏返しでもある。
企画部を頂点とする銀行のヒエラルキーで、彼らは最下層にいた。
みずほHD発足によって社員数は約3万人に膨れ上がったが、システム担当者はごくわずかだ。
「システムなんて、普通に動いて当たり前。でもトラブルがあれば大減点」
それがみずほ内部の常識だから、やる気が出るはずもない。
「利益ゼロのコストセンター」と笑われるストレスを、ベンダーのエンジニアにぶつけているというわけだ。
罵声を浴びながら、富士通のエンジニアは思った。
システムはなんとか復旧したが、本当にこれで終わりなのか。もっと大きな病が、この銀行の奥底には巣くっているのではないか―。
その予感は19年後、現実となる。
今年に入り、みずほは半年間に6回もの大規模システム障害に見舞われた。
一昨年、鳴り物入りで本格稼働を始めた新システム「MINORI」がうまく動かないのだ。
ATMでおカネがおろせない程度ならまだマシで、2月下旬の障害では通帳やカードが機械に吸い込まれたまま戻らず、後日、ぶしつけに郵送で返却され、顧客を怒らせた。
8月31日、みずほは内部調査報告書を金融庁に提出した。
中身は一言で要約できる。
「原因不明」である。
〈もう、みずほダメじゃん〉
〈またかよ。何回目だ〉
〈15年みずほを使っていたけど、これを機に三井住友に変えました〉
ネット上にはそんな言葉が並び、「みずほ離れ」の兆しさえ見える。
そして誰もが、薄々気づきはじめた。
みずほのシステムには、どこかに根本的かつ致命的な不具合が隠れているのではないか。
でなければ、これほどトラブルを繰り返すはずがない―と。
しかし、その後、驚くべき現実に直面する。
その経緯を、【後編】「これから「みずほ銀行」に起こる、ヤバすぎる現実…システムの「爆弾」を誰も処理できない」でお伝えする。
『週刊現代』2021年9月11・18日号より
https://news.yahoo.co.jp/articles/e97788874499731d6ec7127c90585147c24a54f4
(ブログ者コメント)
「普通に動いて当たり前。トラブルあれば大減点」という表現。
縁の下の力持ち的部署には、おしなべて当てはまりそうだ。
しかし、その部署がなければ、会社は維持できない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。