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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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202312202330分にYAHOOニュース(テレビ朝日)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

認証試験における不正について、自動車メーカーの『ダイハツ工業』が20日に緊急会見を開きました。

・・・

事の発端は今年4月、衝突試験で用いたドアに、本来の仕様とは異なる加工を施していたことが、内部告発で発覚したことでした。

これを機に作られたのが、外部の専門家による第三者委員会。

調査を始めると、すぐに別の不正が見つかり、委員会は調査範囲を拡大。

その結果、ダイハツが数々の不正を繰り返し行ってきた実態が判明しました。

第三者委員会:
「認定した不正行為は合計174個。そのうち、虚偽記載類型が143個」

それらは、開発段階で行われる認証試験の場で起きました。

一部の例をみていきます。

国交省の依頼を受けた企業が“生産された車”の衝突時の安全性テスト。
ダイハツが行った時、こんな不正があったと指摘されています。

調査報告書:
「試験の時点で、自力着火式のエアバッグが開発されていない段階だったため、タイマー着火式のものを用いた」

つまり、本来は衝撃を感知して作動するエアバッグなのに、タイマーで開くようにしていました。

他にも、運転席側の衝撃試験をせずに、助手席側の試験データを流用。

試験時の速度を偽って報告。リハーサル時のデータを試験本番のデータに差し替えるなど。

どれも、搭乗者の安全に関わる重要な試験です。

なぜ、このような不正が横行したのか。

調査委員会が指摘したのは“異常な”開発スケジュールです。

第三者委員会:
「余裕がない日程で開発スケジュールが組まれ、仮に問題が生じた場合でも、販売日程にまで影響及ぼすことから、当初の開発スケジュールを柔軟に先送りすることは、到底困難というのが実情だった。
(試験は)不合格は許されない一発勝負の強烈なプレッシャーにさらされながら業務を行っていた。
短期開発の強烈なプレッシャーの中で追い込まれた従業員が不正行為に及んだもの。
経営の犠牲になったともいえ、強く非難できない。
したがって、本件問題でまずもって責められるべきは、不正行為を行った現場の従業員ではなく、ダイハツの経営幹部であると考えている」

なぜ、こうしたスケジュールが当たりまえになっていったのか。

ひも解くヒントは、不正が増えだしたタイミングかもしれません。

第三者委員会:
「一番古いものは1989年ですが、2014年以降に件数が増加している」

2014年。
7
年連続で軽自動車販売数トップだったダイハツが、2位のスズキに追い抜かれた年です。

軽自動車業界の激しいトップ争いが、過密な開発スケジュールに結び付いたのでしょうか。

さらに…。

トヨタ自動車 中嶋副社長:
2014年以降、小型車を中心に、海外展開車種を含むOEM供給車が増えたことが、開発・認証現場の負担を大きくした可能性があること、認識できておりませんでした」

奥平社長:
「不正の背景には、増加する開発プロジェクトを短期日程で進める中で、経営陣・管理職が現場の負担や、つらさを十分に把握せず、困った時に声を上げられない職場環境・風土を放置してきたことにある。その全ての責任は経営陣にあります」

・・・

https://news.yahoo.co.jp/articles/f7745f36adfc3fc13d41fd10bc6304ef75ab7e89

 

1220207分にYAHOOニュース(FNN PRIME)からは、内部調査では不正が社風と考えている社員が半分ぐらいいたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

・・・

具体的には、どのような不正があったのか。

公表された報告書にあった不正の1つは、ヘッドレストの衝撃試験で、助手席の試験結果を試験成績書に運転席の結果として虚擬記載したというもの。

第三者委員会は、報告書の中で不正行為が発生した原因について、「担当者はやむにやまれぬ状況に追い込まれて不正行為に及んだ、ごく普通の従業員である」とした上で、「コスト削減の観点から利用できる試験車両の数に制限のある状況にあり、絶対に合格しなければならない、不合格は許されないという、まさに一発勝負の強烈なプレッシャーに晒されながら業務を行っていた」と結論づけた。

専門家は、不正が横行していたダイハツの企業風土についてこう指摘する。

自動車評論家・国沢光宏氏:
「内容も悪質だし、命を預けるものなので、ありえないですね。
ダイハツの内部調査の中にも出てきますけど、(不正が)社風って考えている人が半分くらいいるんですね。」

(「イット!1220日放送より)

https://news.yahoo.co.jp/articles/176d694c3f194672d697a9453fb74d4e003cbb08

 

1223815分にYAHOOニュース(Merkmal)からは、調査報告の概要など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

・・・

【第三者委員会の調査報告概要】

報告書では、実務を担当する係長級までの関与はあったものの、部室長級(管理職)からの指示や黙認といった「組織的な不正」は認められず、「やむにやまれぬ状況に追い込まれたごく普通の従業員」が不正を行ったとし、直接的な原因として

●短期開発スケジュール(2011年のミラ・イースの成功体験が常態化)が生む極度のプレッシャー

・認証試験は合格して当たり前、不合格で販売計画を変更することはあり得ない
・不具合があっても、トップの決断がなければ、役員でさえ変えられない販売計画

●現場任せで管理職が関与しない態勢

・管理職が(管理スパンが広すぎて)多忙で、認証に関する問題解決能力もなく、相談しても「で、どうするの?」と問い返されて、結局担当者が抱え込む

●チェック体制の不備

・認証業務はブラックボックス化し、不正やごまかしが見つからない。担当者頼み

●法規の理解が不十分

・過去のグレーな方法の踏襲と、勝手な判断のまん延

●現場担当者の法令順守意識が希薄

・認証関連の研修はあったが、法規認証室の人員削減で、不十分だった

の五つを挙げている。

 

【厳しい指摘と問題の根源】

さらに、これらの原因を生み出した「真因」として、次の二つが挙げた。

●不正対応の措置を講じることなく「短期開発」を推進した経営の問題

・不正行為に関与した従業員は経営の犠牲になったといえ、強く非難することはできない
・ダイハツの経営幹部のリスク感度は鈍かったといわざるを得ない
・経営幹部は認証業務の経験がなく、認証プロセスに対する関心も薄い

と厳しく糾弾し、

●ダイハツ開発部門の組織風土の問題

・実務者と管理者との乖離(かいり)、部署間の連係不足、失敗すると個人を責める、開発人員不足等の課題を産む背景には「自分や自部署(自工程)がよければ、他人がどうであっても構わない」という風土がある。

と指摘する。

これは、前工程と後工程にも気を配る、「品質は工程でつくり込む」という原則に基づくトヨタの「自工程完結」とは正反対だ。

以下は、第三者委員会が不正のあった部署の役職者を対象に実施したアンケートの自由意見の一例である。

「子会社化により新興国向け車両を任され(トヨタの遠心力と呼ばれる)(中略)失敗の挽回策と余裕のない日程が(中略)担当者や役職者に相当なプレッシャーをかけ(中略)身の丈に合わない開発を、リスクを考えずに進めたことが大きな要因だと思う」

・・・

https://news.yahoo.co.jp/articles/159576d015edc2e878b759b265d13c8cd5fed468

 

(ブログ者コメント)

一昔前、企業の環境データ捏造問題が大々的に報じられたことがあったが、あの時も、実務者の業務量が多くなり過ぎて・・・という状況だった。
新しい業務に取り組むのは企業として必然。
それを従来と同じ人数で、従来の業務を整理することなく対応しようとすれば、また同じような不祥事が再発するだろう。

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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