2024年9月10日22時0分にYAHOOニュース(TBS NEWS)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10日、JR貨物は、貨物列車の車輪と車軸からなる「輪軸」を組み立てる際に、データを不正に改ざんしていたと発表しました。
不正が行われていたのは、北海道、神奈川、広島の3つの車両所で組み立てられた貨物列車560両、機関車4両のあわせて564車両で、JR貨物の全車両の1割近くにあたるということです。
JR貨物は9日から、不正のあった車両の運転を順次取りやめ、安全性が確認されるまでは運行を停止することにしていて、貨物の輸送に影響が出る可能性があるということです。
不正は、車輪と車輪をつなぐ車軸を押し込む際に、基準となる圧力よりも強い圧力をかけて組み立てられたにもかかわらず、基準内に収まるようにデータを改ざんしていたということです。
基準を超えて組み立てを行うと、車軸に傷がつき、強度が弱くなる可能性があるとしています。
国土交通省は、JR貨物に対し、「このような不正行為は、鉄道輸送の安全確保を根底から覆す行為であり、極めて遺憾」としたうえで、JR貨物が所有する全車両およそ7500車両の緊急点検を指示するとともに、11日、不正行為が行われた3車両所に鉄道事業法に基づく立ち入り検査を行うとしています。
JR貨物によりますと、今回の不正は今年7月に山口県のJR新山口駅構内で発生した貨物列車の脱線事故を受け、広島車両所での組み立て作業の確認を進めていた際、社員から不正の申告があり、発覚したということです。
JR貨物は、データの改ざんと脱線事故の因果関係については「現在、運輸安全委員会が調査中の為、コメントは差し控える」としました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/09f51131fd3587507f8a62d6adfb7597af49584f
9月12日6時18分にYAHOOニュース(日テレNEWS24)からは、作業を失敗すると部品廃棄になるので不正を行った、新たに300台の調査対象車両が見つかったため全貨物列車が運行停止、物流に影響が出ているなど、下記趣旨の記事が輪軸組み立て作業の模式図など付きでネット配信されていた。
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不正があったのは、車輪などを車軸にはめて「輪軸」を組み立てる作業です。
車輪などを押し込む際の圧力が「基準を超えていた」にもかかわらず、検査記録表には「基準値に収まる数値」に書き換えるなどしていたというのです。
基準以上の圧力がかかった場合、軸に傷がついて金属疲労が早まり、最悪の場合、折れる可能性があるといいます。
なぜ不正が行われたのか…
JR貨物 西田車両部長 :
「作業を失敗すると、少しコストというか、部品が廃棄になることを(社員が)気にかけた」
JR貨物 小暮取締役 :
「もともとある程度の圧力が必要な作業なので、きっちりと締まっていることへの基準超えに対しての認識が甘かった」
不正が行われていたのは、貨物列車などあわせて564両。
ただ、11日になって新たに調査が必要な車両が300両見つかったため、JR貨物は全ての貨物列車の運行停止を発表しました。
この時期は、北見産のタマネギを全国に運ぶ通称“タマネギ列車”が走るなど、北海道産野菜をはじめさまざまな物流で重要な役割を担っていた貨物列車。
タマネギ農家 :
「ある程度まとまった量を一気に出したい時期なので、JR貨物、
タマネギ列車がないと不便」
JR貨物は安全が確認できた車両から順次運行を再開していますが、すでに影響が出ています。
ヤマト運輸は10日、11日に発送された、関東から九州・北海道宛ての荷物、九州・北海道から関東宛ての荷物の配達が1日以上遅れる見込みだとしています。
また、佐川急便でも現在預かっている全国から北海道、東北、関東、北陸、関西、九州宛ての荷物に遅れが生じる可能性があるということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/693176565e1a50da20e4fc144fe7e80198e97041
9月13日5時45分にYAHOOニュース(MONOist)からは、基準値超えのデータを基準値内のデータに差し替えたり、記録表には基準値上限の値を記入するなどしていた、いずれの車両所でも基準超過は問題なしと認識していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
・・・
経緯は以下のような流れだ。
2024年7月24日に山陽線山口駅構内での貨物列車脱線事故を受けて、輪軸組立作業の確認をしていたところ、社員からの申告により、車輪と大歯車の圧入作業において、圧入力が基準値を超過していた場合、検査結果データを基準値内のデータに差し替えて、検査を終了させていたことが分かった。
そこで他の車両所でも社内調査を行ったところ、3カ所で不正が発覚したという。
北海道支社輪西車両所では、圧入作業において圧入力が基準値を超過しているにもかかわらず、検査データを検査記録表に添付し、検査を終了していた。
関東支社川崎車両所では、圧入作業において、圧入力が基準値を超過した場合、検査記録表に基準値上限の数値を記入し、作成していた。
関西支社広島車両所では、圧入作業において圧入力が基準値を超過した場合、検査結果データを基準値内のデータに差し替えて検査記録表を作成していた。
不正件数は、9月10日に発表されたものから9月12日に追加があり、北海道支社輪西車両所が貨車319両(9月10日発表分に対し10両増)、関東支社川崎車両所が貨車275両(同57両増)、関西支社広島車両所が機関車4両、貨車33両だった。
いずれの車両所でも、圧入力値が基準値を超過することについては問題がないと認識していたという。
検査結果データが基準値を超過していた輪軸を搭載した車両(機関車4両、貨車627両)は運用を停止し、車軸の検査をあらためて行う。
また、今回不正行為を行っていた車両所における輪軸組立作業は、作業体制を再整備するまで作業を停止する。
なお、9月11日に不正行為の有無の確認作業のために行った一時的な運転見合わせについては現在解除しており、全列車の運転を再開している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/24914374db41d19951db358431d6ccfa256a2c6d
(2024年10月1日 修正1; 追記)
2024年9月30日18時19分にYAHOOニュース(鉄道ジャーナリスト梅原氏の寄稿文)からは、製品の精度が上がったことが背景にあるのかもといった専門家の意見が、下記趣旨でネット配信されていた。
鉄道業界を揺るがす2024(令和6)年秋の大きな話題は、車軸に車輪を装着した輪軸(りんじく)を組み立てる際に生じた不正行為でしょう。
不正行為は、JR貨物の貨物列車が山陽線新山口駅構内で2024年7月24日に脱線事故を起こしたことがきっかけで発覚しました。
貨物列車を牽引する電気機関車の脱線は車軸の折損によるものと判明し、車軸の検査状況を調査すると、車軸に大歯車を装着したときの圧入力値が基準値を超過していたうえ、圧入力値を記載した記録簿が改ざんされたというのです。
JR貨物から報告を受けた国土交通省は、2024年9月12日に全国の鉄道会社に対して輪軸の緊急点検を指示したところ、圧入力値の改ざんは鉄道会社をはじめ、鉄道車両メーカーでも発覚しました。
輪軸の組立工程でなぜ不正が行われ、しかも多発したのか、理由はまだはっきりしていません。
2024年9月末日の段階で考えられる点をまとめましょう。
■エキスパートの補足・見解
輪軸について定めたJIS(日本産業規格)E4504では、A-Cシリーズ輪軸の組み立ての際の注意事項として「締め代(筆者注、車輪や歯車の中心の穴に設けられたわずかなすき間)と圧入力とを共に狭い範囲に規定すると、組立が困難になる場合がある」とあります。
製品の精度が上がり、車輪や歯車の締め代がほぼないなどで挿入に難儀し、結果として規定を越えた圧入力値とせざるを得なかったのかもしれません。
また、圧入力値不足も見つかっており、こちらは締め代が大きいために小さな力で車輪や歯車が車軸の規定の位置に装着されたと考えるべきでしょう。
現時点で筆者が提案する方策は、JISE4504における締め代を見直すことです。
それから、圧入力値を超えると実際に車軸にどのくらいの負担がかかり、折損に至るのかも科学的に検証する必要があるでしょう。
現実に多数の鉄道会社で規定の圧入力値を超えた輪軸が存在するのですから、そうした輪軸はどの程度の走行距離までであれば使用に耐えるのかを基準に入れ、この数値を厳密に守らせることで、安全性を確保したうえで作業の効率化も図られるのではないでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c31a7ca944d4b8fdb6b99543b999e69422ac3ffc
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。