2021年4月12日に掲載した第2報がブログ運営会社の字数制限に抵触しましたので、ここに新情報を第3報修正4として掲載します。
第2報は下記参照。
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/11553/
(2023年5月7日 修正4 ;追記)
2023年4月29日9時14分に読売新聞からは、警察は洗剤の化学反応が爆発的燃焼の原因だったとして当時の責任者らを書類送検したが会社側は防火シャッターが開いたことが原因だったとして見解が分かれているという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
県警は28日、工場内の洗剤の管理を怠ったことが出火原因とし、当時の責任者ら2人を業務上失火と業務上過失致死傷の両容疑で書類送検した。
県警は、工場1階に保管していた洗剤の原料が出火元になったとしている。
同種の洗剤で行った実験で、燃焼の可能性がある消防法上の「危険物」であることを確認したという。
甚大な被害をもたらした爆発的な燃焼は、発火した洗剤が火災の熱などで化学反応を起こしたことによるものと結論付けた。
県警は、2人は火災発生の責任があるだけでなく、不適切な管理による死傷者の発生を予見できたとしている。
火災後、レックは学者などで構成する事故調査委員会を設置したが、21年春に発表した報告書では、出火原因や出火場所の特定に至らなかったとされた。
爆発的な燃焼については、何らかの要因で防火シャッターが開いて、新鮮な空気が流入したためと推定している。
この点について、県警は「防火シャッターは閉まっていた」と否定した。
一方、レックは28日、報告書の内容を前提に、「爆発的燃焼は、消防隊の管理下で行われた消火活動中に発生した。原因は特定されておらず、両罪についての責任は問えないと考えている」などとコメントした。
死亡した消防署員の遺族は、静岡市消防局を通して、「検察や裁判所による適切な判断が行われることを望む」とコメントした。
静岡市が設置した事故調査委員会の報告書は、一部を除いて非公表のままとなっており、担当者は「捜査終了後に公表したい」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230428-OYT1T50235/
4月28日20時34分にYAHOOニュース(静岡放送;SBS)からは、SBSが専門家に検証を依頼した結果、過炭酸ナトリウムを主成分とする洗剤市販品を水と混ぜると発熱したなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
取材に当たっている和田記者の解説です。
<和田記者>
こちらは漂白剤などの洗剤につかわれる「過炭酸ナトリウム」と呼ばれる物質です。
警察は公式には「何らかの原因で化学反応が起きた」と発表しましたが、捜査関係者への取材で「何らかの原因」とは水との化学反応が発火のスタートだった可能性が高いことが分かりました。
Q.危険物と特定された過炭酸ナトリウムはどこにあったんですか?
<従業員らしき人>
「ここに2トンありました。
パレットに積んでフレコン状態で1トン、それを2段に積んでいた」
火災のあったレックの工場内の様子です。
今回、捜査機関が発火や爆発の原因としたのは、この工場内に大量に保管されていた過炭酸ナトリウム。
レックは、安全に配慮し、加工した形などで保管していたとしていますが、火災後、消防庁は4つの製品を「危険物」と判定しました。
<レックの事故調査委員会 田村昌三委員長>
「1階工場内で発生した出火原因は特定することはできませんでした」
レックが自ら設置した事故調査委員会は2021年4月、「化学反応の可能性は排除しないとしつつも原因は分からない」と発表していました。
委員の1人だったレックの幹部は…。
<レック 貝方士専務>
「過炭酸ナトリウムの製品がなくはなかったんですけども、もう本当に粉として細分化されたものですから、そこから出火するってのは到底、過炭酸ナトリウムってのは自然発火しない材料ですから」
では、過炭酸ナトリウムの製品を発火させた要因は何だったのか。
捜査関係者への取材で、水との化学反応が発火のスタートだった可能性が高いことが分かりました。
SBSでは2月、過炭酸ナトリウムが水と反応するとどうなるのか、専門家の協力を得て検証しました。
市販されている洗剤=過炭酸ナトリウムを主成分とする混合物を水と混ぜてみると1時間後…。
<静岡大学分析化学研究室 栗原誠教授>
「現在23.8℃程度です。
最初の温度が16.5℃なので7℃程度上がっています。
明らかに熱が発生していることが確認できます」
時間経過とともに温度が上昇、3時間で10℃以上上がりました。
<静岡大学分析化学研究室 栗原誠教授>
「大量にあると熱がこもったりするので、大量にある時には気を付けた方がいいと思います」
捜査関係者によりますと、レックの工場内では過炭酸ナトリウムの製品が数百度まで上昇し、他の可燃物を燃やしたとみられています。
(※音声情報のみ)
水がどこからきたのかは、取材ではまだ明らかになっていません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/14b5a128cac045b19d995b9a654e6a61d0467b47
5月1日20時22分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、警察は爆発的な火災の原因は過炭酸ナトリウムから発生した大量の酸素だとみているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
爆発的な火災の原因について、警察は洗剤に含まれる過炭酸ナトリウムから発生した大量の酸素が工場内に充満したことで起きたとみていることが、捜査関係者への取材で分かりました。
警察などは過炭酸ナトリウムを使った実験も行い、室内に酸素が充満することを確認したということです。
SBSでは2月、専門家の協力を得て過炭酸ナトリウムの特性を検証しました。
警察は過炭酸ナトリウムが何らかの原因で水と混じり化学反応を起こしたとみていることから、水との反応を実験。
過炭酸ナトリウムから発生した気体を瓶の中に集め、そこに火のついた線香を入れてみると…。
<和田記者> :
「あーすごい、激しく燃え上がりました」
<静岡大学分析化学研究室 栗原誠教授> :
「明らかに違いが見えると思います。酸素が多くあると激しく燃える」
炎を激しく燃え上がらせたのは酸素。
過炭酸ナトリウムが水と混ざると酸素が発生し、確かに燃焼を助長しました。
警察は、この現象に加えて、火災の熱による化学反応がさらに燃焼を大きくしたとみています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ec8696178c70b7551b0e77aa79c03b50593b2e3
5月2日20時17分にYAHOOニュース(静岡放送)からは、警察はブレンダーと呼ばれる機械の乾燥不十分が原因だったとみているらしいなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
火災の原因は、洗剤の原材料を混ぜる機械の乾燥が不十分だったことだとみられることが、捜査関係者への取材で明らかになりました。
重大な結果をもたらしたこの火災で出火原因として浮上してきたのが、「ブレンダー」と呼ばれる機械の存在です。
ブレンダーは原材料を混ぜて製品化する機械ですが、捜査関係者によりますと、火災の前にブレンダーを洗浄した後の乾燥が不十分で、水分が残ったまま洗剤を製造していたとみられることが分かりました。
今回の現場では、洗剤の主成分・過炭酸ナトリウムがブレンダーに残った水と化学反応を起こして、結果的に数百度の熱が発生。
この熱がほかの可燃物を燃やし、工場火災につながったとみられています。
<レック 貝方士専務> :
「1回攪拌した(かき混ぜた)場合は洗浄して水で洗う。マニュアルにきれいに水をふき取るようにと書いてあるんですね」
Q.ふき取ったかどうか、ちゃんとふき取っていたかどうかは(従業員に)聴き取りしている?
「してます。してます」
Q.問題なかったという認識?
「はい」
この際、水が混入するような過失はないと説明していました。
ただ、レックの事故調査員会は報告書で、「水分混入等のリスクを想定したアセスメント(評価)能力が不足していた」と指摘した上で、委員も記者の問いかけに「従業員への指導が十分とは言えない」と発言していました。
レック側は水の危険性を認識していたとした上で、化学反応による出火の可能性は低いのではないかと反論します。
<レック 貝方士専務>
「水分を帯びれば熱がどんどん上がっていく認識はあった。水分は消炎効果があるわけですから、水浸しのところは出火しませんよね。頃合いがいい状態で出火に至るのはかなり偶発的な」
一方、警察は化学反応の危険性などに注意し、適正に管理がされていれば火災は防げたとして、当時の責任者には過失があったと判断したとみられます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cb5e2a41a4e72a2308db35aff6a5924942610eac
(ブログ者コメント)
過炭酸ナトリウムの火災爆発危険性について数社のMSDSを確認したところ、おしなべて、不燃性、火災時には酸素を放出して火災を助長、消火には水を使用などと書かれていた。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。