2019年1月27日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9285/
(2019年2月1日 修正1 ;追記)
2019年1月27日付で秋田魁新報から、現場は消火活動が困難な場所だったという下記趣旨の記事が、現場周辺の見取り図付きでネット配信されていた。
火元となった男性(94)宅は、細長く特殊な構造をしていた。
周辺が木造住宅の密集地域だったこともあり、消火活動が難航したとみられる。
男性宅は、木造一部2階建ての店舗兼住宅。
北側の市道に面した店舗の奥に、男性が暮らす住宅があった。
店舗と住宅がクランク状に屋根でつながり、奥行きは約40m。
火元とみられるボイラー室は、店舗と住宅の中央付近に位置していた。
消防によると、家同士がほぼ密着していたほか、男性宅のボイラー室から煙が上がっていたため、屋内から進入する必要があると判断。
亡くなった消防士長・藤田さん(32)と消防副士長・佐藤さん(26)の隊を含む2隊が店舗脇の車庫から、残る1隊が家屋の西側から、それぞれ進入した。
同本部は、「消火活動の難易度が高い現場。かなり支障があった」と説明する。
男性宅の火の燃え広がりや隊の行動を調べる上で、間取りを正確に把握する必要があるが、男性宅に入ったことがある付近住民も少なく、警察と消防は調査に時間がかかるとみている。
出典
『能代火災の火元住宅 特殊な構造、消火活動難航の可能性』
https://www.sakigake.jp/news/article/20190127AK0002/
(2019年8月29日 修正2 ;追記)
2019年8月28日付で秋田魁新報から、フラッシュオーバーが発生した証拠はないなどとする報告書が公表されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。 (新情報に基づき、第1報ともどもタイトルも修正した)
能代山本広域消防本部は28日、原因究明や検証のため設置した調査委員会の報告書を公表した。
消火活動中の2人が巻き込まれた原因を、「急激な濃煙に囲まれ、退避できない状況で炎にさらされたか、煙と同時に流れ込んだ炎にさらされた」と推定。
出火原因については、総務省消防庁消防研究センターの分析が続いているため、「調査中」とした。
公表した報告書によると、7時35分に出火場所とみられるボイラー室付近で、別の隊員らが黒煙の噴出を確認した直後、数秒間で炎が走り、延焼が急拡大。
しかし、爆発的な燃焼現象「フラッシュオーバー」が発生した証拠はないとしている。
火元の店舗兼住宅が、増改築を重ねた上、密閉性が高く、消火活動が難しかった点も指摘。
指揮系統について、同消防本部は「問題はなかったと断言できないが、目いっぱいの対応だった」とした。
再発防止策として、指揮体制や部隊管理体制を強化し、火災状況の変化に応じた危険予知や緊急退避などの訓練を充実させるとした。
報告書は県を通じ、消防庁に提出する方針。
https://www.sakigake.jp/news/article/20190828AK0034/
8月28日20時29分にNHK青森からは、退避命令を出した記録なしなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書には、2人への退避指示について記載されず、消防本部は記者会見で、2人に退避命令を無線で伝えた記録はないものの、消火にあたったほかの隊員はそれぞれが判断して退避したとして、当時の指揮対応に大きな問題はなかったという認識を示した。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/akita/20190828/6010004687.html
8月29日3時0分に朝日新聞からは、殉職した2人の消火活動状況などに関し、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
報告書によると、藤田さんと佐藤さんは午前7時7分の119番通報からまもなく、別々の車両で火災現場に到着。
火元の住宅兼店舗の奥のボイラー室周辺で煙が上がっているのを確認し、藤田さんと佐藤さんは建物に入った。
ボイラー室付近の物置部屋で藤田さんが放水していたところ、7時27分ごろ、別の経路でボイラー室にたどり着いた隊員と合流。
約3分後、建物の構造について情報を共有すると、藤田さんと佐藤さんの2人はその場を離れた。
その後の2人の活動は不明だが、36分に佐藤さんは放水を求める無線を送信。
約2時間後、2人の遺体が物置小屋付近で発見された。
佐藤さんが無線を送信した頃、他の隊員たちは黒煙や炎を確認し、濃い煙の後には火が燃え広がる危険性が高いことから、退避した。
実際、35分ごろから急速に延焼が拡大したという。
2人が死亡するに至った状況について、報告書では「急激な濃煙の流入と瞬間的な火炎の流動により(中略)退避できない状況に陥ったところへ室内全体に流動した火炎にさらされた」もしくは「濃煙と同時に流動した火炎にさらされ、致命的な損傷を受けた」と推定している。
会見で、今回の火災は「建物構造と延焼の拡大の仕方が我々の経験を逸脱していた」と表現された。
火元の建物は、1921(大正10)年ごろに建築されてから2010年代にかけて増改築を繰り返しており、一つの屋根の下に店舗や住宅、物置などが入り組む複雑な構造だった。
長門・八峰消防署長は、「あくまで『推定』」と強調した上で、その複雑な構造ゆえ、延焼拡大の直前まで煙に気付けなかった可能性を指摘した。
また、消防が建築物の消防上の問題点などを確認する「消防同意」を、火元の建物が届け出ていなかったことが会見で明らかになった。
そのため、建物内に入るまで複雑な構造を把握できなかったという。
今回の事故を受けて消防本部は、現場でより正確な指揮をとるため、指揮隊を常設。
これまでは、人員に余裕があるときのみ出動させていたという。
その他、研修や訓練も増やした。
伊藤消防長は、「今後、二度とこのような惨事を繰り返すことがないよう、安全対策等について逐次取り組む」としている。
消防本部は火災の2日後に調査委員会を設け、署員への聞き取りや、無線連絡の記録確認などをもとに調査した。
当初、調査報告書を3月末をめどにまとめるとしていたが、検証が難航したことや「複数の殉職者が出る火災は全国的にも例が少なく、報告に慎重を期した」ことから、火災から約7カ月後の公表となった。
https://digital.asahi.com/articles/ASM8W5WNSM8WUBUB00D.html?rm=376
(2020年2月22日 修正3 ;追記)
2020年2月22日6時40分に秋田魁新報から、多くの個人情報が含まれているので、出火原因が明らかになっても公表しないという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
能代山本広域消防本部は21日、現在も調査中の出火原因について、判明しても公表はしない方針を示した。
同日の能代山本広域市町村圏組合議会2月定例会で明らかにした。
消防本部は昨年8月に調査報告書を公表したが、出火原因については消防研究センター(東京)による調査が長引いているなどとして「調査中」とした。
議会の答弁で伊藤消防長は、「内容に多くの個人情報が含まれており、本部としては公開しない方針。ただ、情報公開請求などには応じる」と述べた。
同本部予防課によると、公表済みの調査報告書は任意で作成。
出火原因の調査結果を盛り込んだ火災報告書を消防庁へ提出しなければならない。
出火原因の調査は「終盤に入っている」としており、火元住民や殉職した消防署員の遺族らの調書などに多数の個人情報が含まれるという。
通常は出火原因を公表していないとして、今回も同様に対応するとした。
https://www.sakigake.jp/news/article/20200222AK0001/
(ブログ者コメント)
事故原因が世に出ない理由が、また一つ明らかになった。
個人情報の秘匿よりも再発防止のほうが重要だと思うのだが・・・。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。