2019年1月28日20時25分にNHK NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
廃止される計画の、茨城県東海村にある使用済み核燃料の再処理施設で、放射性廃棄物を安全に取り出す方法を検討するため、イギリスの技術者を招いて意見交換が行われた。
茨城県東海村にある使用済み核燃料の再処理施設「東海再処理施設」は、解体に70年かかり約1兆円の費用が見込まれるなどとした廃止に向けた計画が認可され、放射性廃棄物を貯蔵施設からどのように安全に取り出すかが課題となっている。
28日、この分野で研究が進んでいるイギリスの国立原子力研究所から5人の技術者が招かれ、実際の貯蔵施設とほぼ同じ構造で作られた試験設備を視察した。
イギリスの技術者は施設の担当者から、廃棄物が貯蔵されている容器は水の中でさまざまな方向を向いているため取り出すのが難しいとか、遠隔でアームを動かす装置を今後試験導入する予定だ、と説明を受けた。
このあと、双方の技術者が非公開で意見交換し、イギリスですでに実用化されている小型のロボットを使った技術を日本の施設で応用できるかなどについて検討したという。
日本原子力研究開発機構再処理廃止措置技術開発センターの大森センター長は、「イギリスの技術を利用して、廃止に向けたプロジェクトを進めたい」と話していた。
出典
『放射性廃棄物 取り出せる? 日英が検討 東海村の再処理施設』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190128/k10011794401000.html
1月29日付で東京新聞茨城版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
日本原子力研究開発機構は28日、東海再処理施設(東海村)内にある高放射性固体廃棄物貯蔵庫(HASWS)の廃止に向けた検討会を開いた。
技術的に先行している英国の国立原子力研究所(NNL)関係者を招き、3日間にわたって技術提案を受ける予定。
HASWSは、使用済み核燃料の再処理過程で溶け残った燃料被覆管などの保管を目的に1972年に完成。
被覆管は直径75cm、高さ90cmのステンレス製ドラム缶、約800本に入れられ、施設内のプール2基で貯蔵されている。
しかし、建造当時は取り出しまで考慮しておらず、必要な設備が備え付けられていない。
その上、高線量の可能性もあるドラム缶はプールに乱雑に沈められ、容易に取り出せない状態にある。
800本すべてを取り出さない限り、廃止措置は進まないため、機構は超音波や水中ロボットなどを使い同様の問題に対処した実績のあるNNLに助言を仰ぐことにした。
会の冒頭、大森・再処理廃止措置技術開発センター長は、「先行事例を取り込み、安全かつ早期に実行できると期待している」とあいさつ。
NNLのキャット・レノックス営業統括本部長は、「事の重要性を認識しており、できるだけの協力をしたい」と応じ、機構職員らとドラム缶を遠隔操作で取り出すための試験用施設を見学した。
機構は、2024年度から2年がかりでドラム缶を取り出し、新設する中間貯蔵施設に移す方針。
ただ、ドラム缶の最終的な処分先は決まっていない。
出典
『東海村の高放射性固体廃棄物 貯蔵庫廃止へ検討会』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201901/CK2019012902000167.html
(ブログ者コメント)
原子力関係では、もんじゅでも完成を急ぐあまり廃炉が念頭になく、ナトリウムの抜出しを考慮しないまま設計して、今になって大いに難儀している。
今回報じられた設備も、もんじゅと同じような状況だったのだろうか?
2017年12月6日掲載
『2017年11月29日報道 高速増殖原型炉「もんじゅ」が冷却用ナトリウムの抜き出しを考慮していない設計だったことが判明、数100トンが抜き取れない模様』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/7822/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。