2019年12月23日2時0分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事が実験装置などの写真付きでネット配信されていた。
防衛装備庁電子装備研究所は、高出力のマイクロ波をビーム照射してドローン(小型無人機)を撃ち落とす実験に成功した。
マイクロ波によってドローンの電子回路に誤動作を起こす。
ビーム照射の方向を素早く切り替えられる技術を使うため、多数のドローンが同時に襲ってくる攻撃にも対応できる可能性がある。
テロリストによるドローン攻撃や、無人航空機・巡航ミサイルによる攻撃に対処する新しいタイプの装備として開発を進める。
ドローンなど標的の位置を探索する機能と、ビームを標的に照射する機能を切り替えながら操作できる「高出力マイクロ波発生装置」を試作した。
マイクロ波の放射部に「アクティブ・フェーズドアレイ(位相配列)」という方式を採用したのが特徴。
マイクロ波の発信部を機械的に動かすことなく、ビームの向きを変えることができる。
マイクロ波を発生させるパワーモジュールを340本並べ、エックス帯(8~12ギガヘルツ)周波数のマイクロ波のビームを左右45度ずつの範囲で走査する。
実用化段階では、艦船などに装置を4台向きを変えて積むことによって、全方向をカバーすることを想定している。
ドローンを探す「探索モード」では、パルス長の長いマイクロ波を使って、レーダーと同じ原理で標的の位置を知る。
その方向に短パルスのマイクロ波を照射してドローンを撃ち落とす。
実験は、周囲の電波の影響を遮断した「電波暗室」に高出力マイクロ波発生装置を置き、市販のドローンで実施。
小型ドローンで4回、中型ドローンで3回、計7回実験を行った。
マイクロ波の発信部から約10メートル先にドローンを約2.5メートルの高さでホバリングさせた。
その方向にマイクロ波を照射したところ、7回すべてで、ドローンは照射直後に墜落するか、制御機能を失った。
実験では、マイクロ波の照射によってどこが障害を受けたかを確認するため、ドローンはひもでつるして落下後も床に衝突しないようにして、回収・調査した。
7回のうち通信系の異常が原因で墜落したケースと、センサー系の異常で制御不能になったケースがそれぞれ3回ずつ。
残り1回は電源系の異常による墜落だった。
いずれも電子回路をマイクロ波のエネルギーで焼き切るような形でダメージを与えたわけではなく、墜落・制御不能になったドローンは、すべて通信が復旧したり、再起動できたりする状態だった。
もともとドローンは安定して飛行するために、操縦者やGNSS(測位衛星システム)からの電波を受けながら、様々なセンサーを使って姿勢を制御している。
このため、ある程度強いマイクロ波パルスによって誤作動が誘発され、墜落・制御不能になったとみられる。
実験でドローンが受けていた電界強度(電波の強さ)は4.2kV/mレベルだった。
「もしドローンがすぐに墜落せず、しばらく耐えることができれば、長い時間マイクロ波が当たって電子回路が焼き切れることもあり得るが、実際にはそうなる前にすべて落ちた」(防衛装備庁の担当者)という。
ドローン攻撃に対しては、妨害電波によってドローンを制御できなくする方法が試みられているほか、高出力のレーザーを照射して、機体や電子回路を損傷させる方法が研究されている。
このうち電波妨害の場合は、ドローンなどが使っている電波の周波数を知っておく必要がある。
これに対して、マイクロ波照射は、相手側の電波周波数などの情報を知らなくても、一定以上の強度の電波によって電子回路の誤動作を起こせる。
また、レーザーの場合は、機体や電子回路に損傷を与えるのに、1機当たり2秒程度の時間が必要だという。
このため多数のドローンが一斉に押し寄せてきた場合には、対処が難しくなる。
今回のアクティブ・フェーズドアレイ方式なら、ビームの向きを短時間で切り替えることで、複数のドローンを連続して撃ち落とすことができるという。
今回の成果は、個人のパソコンやデータセンターの操作・妨害などに適用できるものではない。
防衛装備庁はマイクロ波を、ドローンや無人飛行機、ミサイル攻撃に対して、既存の迎撃手段を補完するものとして期待している。
「多数の攻撃機が押し寄せて来る場合、マイクロ波による迎撃で、できるだけ数を減らす。生き残った相手に対しては、他の手段で迎撃する」(防衛装備庁)という。
ミサイルの場合、迎撃を回避するための軌道を通ってくることがあり、これをマイクロ波によって無効化できれば、迎撃しやすくなるという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53543810Z11C19A2000000/?n_cid=NMAIL007_20191223_A
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
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