2019年2月13日に掲載した元記事がプロバイダーの字数制限オーバーとなりましたので、ここに新情報を第2報修正1として掲載します。
第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/9346/
(2019年2月21日 修正1 ;追記)
2019年2月14日12時24分に山形新聞から、施設の稼働時期が配管設計変更などで当初計画から2年遅れていたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
同施設は配管の変更などのため、稼働時期が当初の構想から約2年ずれ込んでいたことが13日、複数の関係者への取材で分かった。
事故時は施工業者が運営会社に引き渡す前の試運転中で、県警は工期の遅れが安全管理や工程に影響がなかったかなど、管理体制を含め、当時の状況を調べている。
発電施設はTエナジー(東京)が設計・施工を手掛け、事故時は同社が、施設を運営するYバイオマスエネルギーへの引き渡し前の試運転を行っていた。
関係者によると、当初の構想では、2017年春に操業を開始するとしていたが、熱効率を高めるため配管を変更する必要性が出てきたため、その後に運転開始時期を18年4月ごろに延期した。
ただ、各地の発電施設の点検時期と重なり、配管の設置を担当する業者が確保できず、工期は再び遅れ、稼働開始が今年の春まで、さらに1年ほどずれ込んでいたという。
出典
『発電施設、稼働時期が2年遅れ 上山・爆発事故』
http://yamagata-np.jp/news/201902/14/kj_2019021400264.php
2月15日9時11分に山形新聞からは、450m離れた民家の窓ガラスも割れていたなど、下記趣旨の記事が被災範囲を示す地図付きでネット配信されていた。
窓ガラスが割れる被害が、施設から約450m離れた民家でも確認されていたことが14日、上山市への取材で分かった。
爆風による衝撃で破損したとみられ、影響はさらに広範囲に及んでいた形だ。
同市が把握している建物被害は、同日現在までに13地点の計16棟に上った。
同市などによると、新たに被害が分かったのは、蔵王川や国道13号を越え、施設から約450m東側にある同市権現堂の2階建て住宅で、1階仏間の窓ガラスが割れていた。
住人の男性(83)は当初、破損に気が付かなかったが、8日に別に暮らす娘が訪れ、割れているのを見つけたという。
男性は、「事故当日はものすごい音だったが、まさかこんなに離れた所まで影響があるとは思わなかった」と驚いた様子で話した。
火災や爆発のメカニズムに詳しい山形大工学部の桑名一徳准教授(燃焼工学)は、「水素の爆発が起きると、圧力が一気に解放されるため、爆風の影響は半径数100mの範囲に及ぶ」と説明。
今回、新たに割れているのが見つかった窓ガラスが発電施設の方角を向き、爆風を遮る構造物などもなかったことから、破損した可能性が高いとみられる。
施設から450m北西側には県立山形盲学校や、かみのやま病院もある。
いずれも被害はなく、関係者は「不幸中の幸い」としている。
出典
『450メートル離れた民家も破損 上山・発電施設爆発、建物被害計16棟に』
http://yamagata-np.jp/news/201902/15/kj_2019021500276.php
(2019年4月28日 修正2 ;追記)
2019年4月24日9時35分に山形新聞から、最終的な?被害状況などが下記趣旨でネット配信されていた。
市によると、事故では発電施設から半径約450mの地域で建物計17棟、車両1台が被害に遭い、鋼鉄製のふたが飛んできた住宅の30代女性がけがをしている。
施設の運営を担うYバイオマスエネルギーは同日、来月11日午後7時から初めて住民説明会を開くことを明らかにした。
今月26日には設計・施工を担当したTエナジーとともに記者会見を開き、これまでの状況などを説明する予定だ。
爆発事故からは2カ月以上が経過。
住民からは「遅すぎる」、「安全対策は示されるのか」などと不安の声が上がっている。
近くに住む40代男性は、「記者会見よりも先に、住民に説明するべきではないか」と語った。
出典
『水素タンクから酸素抜き取り不十分か 今年2月発生、上山の爆発』
http://yamagata-np.jp/news/201904/24/kj_2019042400484.php
4月27日付で山形新聞からは、タンク内酸素の抜取りが不十分だったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、第1報ともどもタイトルも修正した)
YバイオマスエネルギーとTエナジーは26日、山形県庁で記者会見を開き、これまでの調査結果を報告し、住民らに陳謝した。
T社によると、爆発したのは、プラントで生成した水素ガスなどをためるタンク。
タンクや配管の酸素の抜き取りが不十分だったため、試運転でエンジンのスイッチを入れた際、タンク側に火が入る「逆火」という現象が起きたとみられる。
逆火防止装置も設置していたが、火が想定以上に広範囲に広がって機能しなかったという。
T社の社長は、「配管の酸素濃度は測っていたが、運転マニュアルに濃度の基準値がなく、現場の作業員が経験で判断してしまった」と説明。
複数の酸素濃度計の設置や逆火防止装置の性能向上、マニュアルの改訂などの再発防止策を行うとしている。
出典
『「作業員経験で判断」プラント爆発運営会社が初会見』
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201904/20190427_53024.html
4月27日付で毎日新聞山形版からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
記者会見では、水素などの混合ガスを貯蔵するタンクや配管から酸素の排気が不十分で、ガスエンジンを稼働させた際に漏れ出た炎がタンクに逆流し、爆発が起きた可能性があるとした。
事故当時、T社の4人を含む5人で作業しており、タンクとガスエンジンをつなぐ配管の2カ所で酸素濃度を計測していたが、明確な数値の基準はなく、技術担当者は「(作業員らは酸素濃度を)経験則から、爆発する可能性はないと判断してしまった」と話した。
出典
『上山の爆発事故 「酸素の排気不十分」 山形バイオマスエネ、初めて原因説明』
https://mainichi.jp/articles/20190427/ddl/k06/040/179000c
4月27日16時34分に産経新聞からは、設計施工を担当したT社が酸素濃度問題なしと判断していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
事故原因について、配管内の排気が不十分で、この残存酸素と貯蔵タンク内の水素やメタンの混合ガスが結びつき、エンジンから漏れ出した炎が伝って引火、爆発した可能性があると説明した。
T社は北海道にも同様のプラントがあり、問題は発生していないとした。
その上で、より大規模な上山市のプラントではスイッチを入れた際に火花などが発生し、エンジンからタンク側に火が逆流する「逆火」が起こったと見ている。
T社は、「酸素濃度は問題ないと判断した。エンジンからタンクへ燃え移ったのも想定外だった」とした。
配管内の酸素濃度に明確な基準は設けていなかったといい、今後、酸素濃度計を連動した安全システムを構築する。
事故現場近くの男性(65)は、「会社側が記者会見したと聞いたが、住民にはまだ説明がない」と憤りを口にし、「再稼働する前に第三者による安全性の確認をしてもらい、住民も実際に目で確認したい」と訴えた。
出典
『山形県のプラント爆発事故「酸素と結びつき爆発」』
https://www.sankei.com/affairs/news/190427/afr1904270013-n1.html
(ブログ者コメント)
〇全てのメディアで「酸素抜き不十分」と報道されているが、燃焼の支燃剤として純酸素を使っていたとは考えにくい。
タンク内空気のパージ不足ということだったのではないだろうか?
〇「これまでの経験則から問題なしと判断」した点も気に
なった。
過去の安全は未来の安全を保証するものではない。
安全の基準については、定量化できるものとできないものがあるが、今回事例の酸素濃度のように、定量化できるものは定量化しておかねばならない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。