2018年10月25日付で東奥日報から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察や消防によると、24日午後2時ごろ、青森県八戸市の八戸港第一工業港付近で男性が倒れているとの119番通報があった。
救急隊員が近くを調べたところ、同市河原木川目の同港に停泊していた台船の船底で、作業員の男性2人が倒れているのを見つけた。
共に意識がなく、搬送先の市内の病院で死亡が確認された。
死亡したのは、同市の会社員北山さん(男性、30歳)と国本さん(男性、31歳)。
2人と同じ場所で作業をしていた会社員男性(69)も病院に運ばれ治療を受けたが、意識があり、命に別条はないという。
警察によると、負傷した男性が自力で船底から脱出し、付近にいた人に助けを求めた。
死亡した2人に目立った外傷はない。
警察が、死因や事故当時の状況を調べている。
台船は中古船舶解体・販売会社の所有で、3人はこの会社の同僚。
事故当時、3人は船底で排水作業をしていたという。
消防によると、現場付近で異臭などはしなかったという。
出典
『八戸港で台船排水作業中の男性2人死亡』
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/105425
10月25日19時50分に青森テレビからは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
別な同僚の男性の話によると、死亡した2人は船底でボルトやネジについた錆を落としていたということだが、目立った外傷がなく、警察では、一酸化炭素中毒や酸欠になった可能性を含め、事故の詳しい状況や原因を調べている。
出典
『青森県 台船内で作業していた2人死亡』
http://www.atv.jp/news/?id=00005697
10月26日付で東奥日報からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
消防によると、24日午後2時15分ごろ、通報を受け現場に到着した救急隊員が、船底で倒れている2人を発見。
内部の安全を確認するため、船底内の酸素濃度を測ったところ、12.55%だった。
通常の空気中の酸素濃度は20~21%で、現場の濃度が低かったため、救急隊員はボンベで船底に空気を入れ、さらに空気呼吸器を装着し、救助に当たったという。
消防の担当者は、取材に「(現場の酸素濃度は)人がすぐに倒れるような低さではないが、頭痛や吐き気などの症状が出る可能性がある」と話した。
一方、死亡した2人が勤めていた、台船を所有する会社の複数の社員は、取材に「2人は船底で排水作業をしていたとされているが、(会社は)そういった指示はしていないと聞いている」と話した。
警察は、2人が酸欠で死亡した可能性も否定できないとしており、2人を司法解剖して死因を特定するとともに、会社の業務管理体制や事故の経緯などを調べる方針。
出典
『酸素濃度 通常より低く/八戸港2人死亡の船底』
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/105958
(2019年7月7日 修正1 ;追記)
2019年7月5日19時18分にNHK青森から、社長らが書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
八戸労基署は5日付けで、2人が勤めていた会社とその社長を労安生法違反の疑いで書類送検した。
書類送検されたのは、八戸市新湊にある「T金属」と、その社長の58歳の男性
同署によると、会社とその社長は、30代の男性従業員2人が台船の甲板で作業をしていた際、酸素が欠乏する危険な場所への立ち入りを禁止するなど、必要な措置をとっていなかったなどとしている。
事故当時、男性2人は、台船の船底にある「ピット」にたまった水を排出する作業をしていた。
出典
『台船内2人死亡事故で書類送検』
https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20190705/6080005320.html
(2020年2月26日 修正2 ;追記)
2020年2月25日20時38分にNHK青森から、社長が警察からも書類送検されたという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察が、2人が勤めていた会社の社長を業務上過失致死傷の疑いで書類送検していたことが、捜査関係者への取材でわかりました。
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https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20200225/6080007599.html
(ブログ者コメント)
関連情報調査結果、運輸安全委員会の報告書が公表されていた。
以下は事故に至る経緯の抜粋。
内容をまとめると、最初に作業員B(死亡)が状況確認のため台船内に入って倒れ、次に倒れているのを見つけた作業員C(回復)が入って倒れ、 最後に2人を助けようとした作業員B(死亡)が倒れたということらしい。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
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本船は、A社が前所有者から約2年前に譲り受けて八戸港旧馬淵川の岸壁に係留されていたところ、右舷側に若干傾いており、甲板下に 十数区画ある空所に水が溜まっている可能性があったので、A社担当者から指示を受けた作業員Aが、排水作業の準備の目的で、作業員Bに全ての空所のマンホール蓋の‘固着した締付ボルトを溶断する作業’(以下「本件溶断作業」という。)を指示した。
作業員Cは、平成30年10月24日09時50分ごろ本船の船首側に係留しているA社所有の交通船(以下「B船」という。)に赴いたところ、作業員Bが本件溶断作業を1人で行っているのを認めた。
作業員Cは、作業員Bが左舷側の前から2番目のマンホール(以下 「左舷側マンホール」という。)の本件溶断作業を行った後、空所の水の溜まり具合を確認する目的で、左舷側マンホールから竹の棒を入 れたところ、水が約10㎝の高さまで溜まっており、また、船首側右舷寄りにある破口(以下「本件破口」という。)から竹の棒を入れたところ、水が約50~60㎝の高さまで溜まっていたので、作業員Bにその旨を知らせた。
作業員Cは、10時過ぎに作業員BがA社事務所にいる作業員Aと携帯電話で本件溶断作業に関する話をしているのを聞いた。
作業員Cは、近くにある造船所での用事を済ませ、10時40分ごろ本船に戻ったところ、作業員Bが、水中ポンプ2台をA社事務所から本船に運んであり、右舷船首側のマンホール(以下「本件マンホール」という。)の本件溶断作業を行っているのを認めた。
作業員Cは、作業員Bが用意した水中ポンプが大きくて本件破口から排水できないので、B船の水中ポンプで排水しようと思い、B船に行って水中ポンプ等の準備を始めた。
作業員Cは、11時20分ごろ、それまで本船の甲板上で作業をしていた作業員Bが見当たらなくなったので、本船の横に係留しているクレーン台船等を探したが、見当たらず、蓋が開いている本件マンホ ールから梯子を数段降りて同マンホール下の空所(以下「本件空所」 という。)の中を覗いたところ、11時30分ごろ本件空所の右舷側前部にうつ伏せで倒れている作業員Bを発見した。
作業員Cは、梯子を降りて作業員Bの所に行き、床に溜まった水に作業員Bの顔が浸かっていたので、作業員Bを仰向けにしようと試みたが、上手くいかず、手が離れた反動で尻餅をついて仰向けに倒れた 際、ふと意識を失った。
作業員Cは、13時55分ごろ意識が戻った際、本件マンホールの下に別の作業員(作業員A)がうつ 伏せで倒れているのを発見し、声を掛けたが反応がなく、床に溜まった水に顔が浸かっていたので、誰 かを判別できず、階段を昇って甲板上に出た後、13時58分ごろ作業員Aに携帯電話で連絡したものの、作業員Aが電話に出なかった。
作業員Cは、汚れた手で携帯電話を操作したので、画面が見えにくくなり、119番通報を試みたものの、上手く携帯電話の操作をできなかったので、急いで岸壁付近にいた人の所まで行き、119番通報を依頼した。
作業員A及び作業員Bは、来援した救急隊員によって甲板上に引き上げられたが、いずれも心肺停止状態であり、病院に搬送されたものの、死亡が確認された。
救助に当たった消防署によれば、本船に到着した後、14時27分ごろ本件空所の床付近(本件マンホールの下方約3m)の酸素濃度を測定したところ、12.5%であった。
A社は、主に船舶解体業務を行っており、船体を解体しながら作業を行うので、作業員が閉鎖区画に入ることはあまりなかったが、作業員に対し、閉鎖区画に入る場合には、電動送風機を用いて換気を十分に行うように指導していたものの、酸素濃度測定器を備えておらず、酸素欠乏危険作業に関する教育を行っていなかった。
作業員Cは、ふだん、B船の船長として、B船の管理及び運航に携わっており、船舶解体作業に従事することはなかった。
作業員Cは、作業員Bを発見した際、酸欠事故と考えが及ばず、作業員Bを救助する目的で本件空所に入ったが、意識を失う前に、頭痛、吐き気、めまい等を感じていなかった。
作業員Cは、作業員Bが本件空所の隔壁の状況等を確認する目的で、また、作業員Aが作業員B及び作業員Cを救助する目的で本件空所に入ったと本事故後に思った。
http://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2019/MA2019-3-11_2018sd0067.pdf
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。