2022年3月18日17時20分にNHK福島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
震度6弱の揺れを観測した福島市のスーパーでは、スプリンクラーの作動で店内が水浸しになる被害があり、18日も営業再開に向けた後片づけに追われています。
福島市のスーパーでは、地震の揺れで棚の商品が落下しただけでなく、店内のスプリンクラーが作動して、商品や床の大部分が水浸しになったりする被害が出ました。
19日の営業再開を目指して、従業員およそ130人が後片づけに追われていて、およそ750平方メートルの床を掃除したり、水にぬれた商品を廃棄して新しい商品を陳列したりしていました。
また、電気系統も故障していて、工事業者が修理にあたっていました。
佐藤店長は、「食品は生活に欠かせないものです。少しでも早く利用してもらい、地域の皆さんに迷惑をかけないよう、従業員が力を合わせています」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20220318/6050017736.html
※関連情報として、2013年8月15日11時53分に日本経済新聞からは、東日本大震災時には大規模建物の26%でスプリンクラーが破損・誤作動していたなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
東日本大震災の際に岩手、宮城、福島3県の大規模建物の26.3%でスプリンクラーが破損、誤作動したことを受け、総務省消防庁は15日までに、スプリンクラーなどの耐震基準を新設する方針を決めた。
有識者の検討部会で具体案を議論し、来年3月までに報告書をまとめる。
現在、スプリンクラーに義務化された耐震基準はない。
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〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG08057_V10C13A8CR0000/
※地震時のスプリンクラー破損原因については、エア・ウオーター防災㈱のHPに掲載されている内容が分かりやすかった。
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スプリンクラー設備に関して、地震によって引き起こされる最大の被害は「水損」です。
冒頭でもふれましたが、フロアが水浸しになってしまい、商業施設などでは商品に損害が出てしまいます。
水損の原因は、2パターンに分けられます。
①配管の断裂
地震による振動で配管が断裂してしまう理由として、配管の接続が「ねじ切り工法」で実施されていることが起因します。
ネジ切り部の配管の厚みは、どうしても他より薄くなってしまい、地震の振動による負荷が集中し、耐久力の低い箇所から断裂に至ってしまいます。
②スプリンクラーヘッドの破損
ヘッドの破損は、地震発生時の天井部の揺れとスプリンクラー配管の揺れの差異が起因します。
異なる揺れによって、天井材とスプリンクラーヘッドに擦れ・衝突・歪みが生じてしまい、損傷に繋がります。
③事例
2021年2月13日には、福島県や宮城県において最大震度6強を観測する地震がありました。
「国立病院機構 宮城病院」では、外来棟の給水配管やスプリンクラー設備が破損。院内の複数箇所で漏水が発生し、医療器具に被害が出ました。
その他にも、建物の壁や柱に亀裂などの損傷や、断水を引き起こしました
救急患者を24時間態勢で受け入れていた病院が診療再開まで1週間ほど機能が低下する事態は、病院関係者様と患者様の双方に打撃を与えました。
https://awb.co.jp/%E6%B0%B4%E6%90%8D%E3%83%BBbcp%E5%AF%BE%E7%AD%96/
※平成30年(2018年)5月11日付で消防庁から「スプリンクラー設備等の耐震措置に関するガイドラインの策定について」という通知が、各都道府県の消防宛に発信されていた。
以下は、その抜粋。
[本文]
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2 ガイドラインに基づく措置は、原則として、新築の防火対象物を対象に指導すること。
ただし、既存の防火対象物についても、建築物の大規模改修時等の機会を捉え、ガ イドラインに基づく措置をできる限り講ずるよう指導することが望ましいこと。
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[別添]
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3 要求する耐震性能
⑴ 建築物の存在期間中に数度遭遇することを考慮すべき稀に発生する地震動 (気象庁震度階級:震度5強程度)に対して、損傷が生ずるおそれがないこと。
⑵ 建築物の存在期間中に1度は遭遇することを考慮すべき極めて稀に発生する地震動(気象庁震度階級:震度6強~7)に対して、重大な損傷が生ずるおそれがないこと。
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5 立上り配管
⑴ 立上り配管は、地震による管軸直角方向の過大な変形を抑制し、かつ、建築物の層間変位に追従することができるように、耐震支持を設ける。
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9 スプリンクラーヘッド
閉鎖型スプリンクラーヘッド(コンシールド型を除く。)は、地震時にスプリンクラーヘッドの感熱部が天井ボードと接触・衝突しないように、感熱部を天井ボードより下方に取り付ける。
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/300511_yo361.pdf
(ブログ者コメント)
今回に地震では、仙台市にある2つのテレビ局の揺れ状況がユーチューブに掲載されているが、地震発生直後、机から書類やパソコンが落ちている状態でも、身を守る行動をとった人は、いずれのテレビ局でもほとんどいなかった。
強い揺れの中、動き回っている人や、中には立ったままテレビカメラを回していた人もいた。
「地震発生時は、まず自分自身の身を守る行動をとる」
そういった心構えを社会に向けて発信すべきテレビ局の筈なのに・・・。
以下は、ユーチューブ映像のワンカット。
(赤丸内がカメラを構えて室内を映している人)
https://www.youtube.com/watch?v=bqwiTSwxNVU
https://www.youtube.com/watch?v=YMqFHD59xJo
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。