2019年1月19日2時41分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午後10時25分ごろ、北海道当別町茂平沢の無職、古市さん(男性、66歳)の自宅玄関の数10cm手前で古市さんが倒れているのを、警察官が見つけた。
古市さんは搬送先の病院で死亡が確認された。
死因は低体温症による凍死だった。
現場付近は、当時、吹雪で視界が遮られる「ホワイトアウト」で、古市さんは玄関前にたどりつきながら、力尽きたとみられる。
そばには玄関の鍵が落ちていた。
当別町は札幌市の北側にあり、札幌管区気象台によると、当時の当別町内の気温は不明だが、隣接する石狩市は氷点下11.2℃にまで冷え込んでいた。
警察によると、古市さんから17日午後4時20分ごろ、「車が雪山に突っ込んだ」と110番があった。
「自力で脱出できる」とも語ったが、その後、連絡が途絶えた。
署員が捜したところ、午後10時過ぎ、自宅から約120mの路上で雪山に突っ込んだ車を発見。
自宅に向かい、古市さんを見つけた。
古市さんは1人暮らし。
運転中にホワイトアウトで視界が利かず、雪山に数回突っ込んだ後、車を置いて徒歩で自宅に向かっていたとみられる。
出典
『猛吹雪「ホワイトアウト」で家見えず 自宅数十センチ手前で凍死 北海道当別町』
https://mainichi.jp/articles/20190118/k00/00m/040/201000c
1月18日21時11分にNHK北海道からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
17日午後4時20分ごろ、当別町茂平沢の古市さん(66)から、「雪山に車が突っ込んでしまった」と携帯電話で警察に通報があった。
警察官6人が携帯電話の位置情報を元に、自宅を含む半径およそ3kmの範囲を中心に捜索したところ、およそ6時間後の17日午後10時すぎになって、古市さんが自宅の玄関前で倒れているのが見つかった。
また、同じころ、車も自宅からおよそ100m離れた路上で見つかったという。
古市さんはまもなく死亡が確認され、警察が調べた結果、18日午後になって死因は低体温症とわかったという。
警察によると、当時、現場周辺は吹雪で視界がほとんどない状態だったという。
また、捜索を始めた当初は、自宅やその近くに車も古市さんの姿もなかったということで、警察は、古市さんが自ら車を雪山から出したあと、自宅に戻ろうと周辺をさまよっていた可能性もあるとみて、当時の状況を詳しく調べている。
古市さんを発見するまでにおよそ6時間かかったことについて、対応にあたった北警察署は、「男性の通報内容では現場の特定につながる情報が得られなかった上、その後、繰り返し電話をかけても通じず、発見に至らなかった。残念な結果となったが、当時は暴風雪に伴う事故などが相次ぎ、人員が限られる中で捜索にあたったもので、最善は尽くしたと考えている」とコメントしている。
出典
『自宅前で男性が低体温症で死亡』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190118/0007152.html
(ブログ者コメント)
前も見えないほどの暴風雪で命が失われた事故として、6年前の特に湧別町の事例を思い出した。
(2013年3月3日付 日本経済新聞)
想像を超える暴風雪の猛威が、家族の命を次々と奪った。
北海道中標津町で母子4人が車内に閉じ込められ、湧別町では寒さから守るように父親が娘に覆いかぶさったまま力尽きた。
「もう少し早ければ」。
救出に当たった隊員は唇をかんだ。
「車が雪に埋もれ、人が中に閉じ込められている」。
2日夜、4人が閉じ込められた中標津町の現場近くの人から119番があった。
中標津消防署によると、隊員18人が救急車や指揮車に分乗し、署を飛び出した。
現場まで約11km。
猛吹雪で視界はなく、除雪車の先導で向かった。
通報から到着まで約2時間。
隊員の一人は「30年やっているが、こんな雪と風は初めてだ」と話した。
現場周辺は2~4mの雪に埋もれ、隊員はスコップで掘り進んだ。
車内にMさん(40)と子供の姿があったが、心肺停止の状態。
病院で死亡が確認された。
Mさん方の近所に住む酪農業の女性(59)は、「Mさんは、私が1カ月ほど入院したとき、代わりに犬の散歩をしてくれる、親切で明るい人だった。子供たちも、挨拶をするいい子だった」と、声を落とした。
湧別町の農業用倉庫前では、2日夜から車を残し、行方不明になっていた近くの漁師、Oさん(男性、53歳)と長女のKさん(9歳)が倒れているのが見つかった。
Oさんは、倉庫の扉と自分との間にスペースを作ってKさんを入れ、覆いかぶさっていた。
Kさんは問い掛けに泣き声を上げたが、Oさんは搬送先の病院で死亡が確認された。
凍死だった。
捜索を指揮した遠軽署幹部は、「風雪から娘をかばったのだろうか」とつぶやいた。
3日の夜明けから始まった捜索。
「どこかの建物に避難していてほしい」。
遠軽署員らは祈るような気持ちで、周囲に点在する住宅や牧場を徒歩で回った。
途中、車体が雪に埋まり乗り捨てられた車を何台も見かけた。
〔共同〕
出典
『体張り9歳の娘守った父が凍死 風雪猛威、命奪う』
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0301E_T00C13A3CR8000/
(2019年1月26日 修正1 ;追記)
2019年1月25日18時54分にNHK北海道から、下記趣旨の検証的音声情報がネット配信されていた。
「雪山に車が突っ込んでしまった」と警察に通報してきたが、名前や具体的な場所は言わないまま、電話は切れた。
携帯電話の契約者情報から男性の身元がわかり、携帯電話の位置情報を頼りに捜索を始めた。
しかし、位置情報でわかるのは自宅周辺の半径3kmの範囲まで。
猛吹雪で見つけられないまま6時間が経った頃、車と男性を見つけた。
数年に1度の猛吹雪で、立ち往生の車が少なくとも23台(去年までの3年間は2台だけ)あったため、警察などは対応に追われ、男性の捜索に当たれたのは警察官6人だけだった。
道内で9人が犠牲になった平成25年3月の暴風雪を教訓に、町は警察や消防などと連携して対応する新たな仕組みを作ったが、今回は活用されなかった。
町の仕組みでは、車が立ち往生するなどした場合、町の建設課が警察や消防から一元的に情報提供を受けることになっている。
町は、この情報をもとに、除雪車を出動させたり救助を要請したりといった対応にあたり、その結果を関係機関に提供して情報を共有する。
現場がはっきりわからない場合は、町がパトロールの車を出すこともあるという。
しかし今回、警察から町に連絡があったのは、男性が見つかった翌日だったということで、町が対応する余地がなかった。
警察は取材に対し、町に連絡する必要はないと考えていたと話している。
町の関係者は、仕組みができてから5年以上たち、関係機関で認識が薄れていた可能性があるとしている。
一方、関係機関への周知不足も背景にあったとみられ、町は今回の事態を受けて、近く、関係機関が顔を合わせて話し合う場を設けたいと考えている。
出典
『猛吹雪の中死亡 そのとき何が』
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20190125/0007350.html
(ブログ者コメント)
以下は映像の1コマ。
新たな仕組みを使った訓練などは行われていたのだろうか?
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。