『九州3県25万戸断水…全面復旧の見通し立たず』
(2016年4月17日22時58分 毎日新聞 ;趣旨・要約)
熊本地方を震源とする地震で、厚労省によると、17日午後2時時点で、少なくとも3県25万7625戸で断水が続いている。
断水しているのは、熊本県25万5734戸、大分県1791戸、宮崎県100戸。
熊本市では、導水管や送水管など水道管のうち、主要な部分を担う「基幹管路」が複数箇所で破損しているため、少なくとも18万5000戸と、広い範囲で断水が起きている。
一部、復旧が進んだ地域もあるが、水道管の破損、漏水、停電など、原因は多様で、全面復旧の見通しは立っていない。
断水が解消しても、濁りのために飲料水に使えない地域もある。
過去の地震でも、水道施設の復旧には、時間がかかっている。
1995年の阪神大震災では、兵庫県内で126万6000戸が断水し、復旧に約3カ月を要した。
2011年の東日本大震災では、津波被災地など復旧困難地域を除き、断水期間は最長7カ月に及んだ。
厚労省は水道施設の耐震化を進め、基幹管路の耐震適合率について「22年度末までに50%以上に引き上げる」との目標を掲げる。
しかし、同省の14年度の調査では、基幹管路の耐震適合率は全国平均36%にとどまっている。
http://mainichi.jp/articles/20160418/k00/00m/040/076000c
『水の復旧、見通し立たず 漏水被害多く難航』
(2016年4月21日 熊本日日新聞 ;趣旨・要約)
熊本地震が14日夜に発生してから21日で1週間となるが、県内の断水は、市町村が把握しているだけで約9万8千戸に上る。
復旧作業は、送水管からの漏水など施設被害の数が多く、難航。
断水がいつ終わるのか、関係者も見通せない状態だ。
熊本市は、通常通り給水されているのが約1万戸、断水が約4万2千戸。残り約26万8千戸は「試験通水中」としている。
ただ、市上下水道局には、試験通水中の地域から「水が来ない」という苦情が絶えない。
通水しても家庭に届かない理由は、地中を通る配水管の破損などがある。
既に1000件以上の漏水情報が寄せられ、市内29の水道工事会社や県外自治体の応援職員らが、フル稼働で対応している。
住宅など、建物の管や貯水タンクが破損している可能性もあるが、その場合は、建物の所有者や管理者が、それぞれ修理を頼むしかないという。
https://kumanichi.com/news/local/main/20160421005.xhtml
『熊本で地下水汚濁、復旧阻む 地震の強い揺れ一因か』
(2016年4月21日 7時14分 共同通信 ;趣旨・要約)
熊本県で続く断水は、地下水の汚濁が復旧の障害になっていることが、21日、被災自治体や日本水道協会への取材で分かった。
地震で繰り返された強い揺れが一因とみられる。
熊本県は全国有数の地下水源を誇り、水道水の8割を地下水で賄う。
汚泥のろ過設備がなく、自然に水質が改善するのを待つ必要があるという。
災害に強いとされてきた地下水源の弱点が露呈した形となった。
21日で地震発生から1週間。
厚労省によると、熊本県では20日現在、約9万世帯で、依然、断水が続いている。
水道管やポンプが復旧したものの、濁ったままの水が出て、飲用として使えないケースも多い。
熊本県は降水量が多く、阿蘇山の噴火で貯水能力が高い地層が形成され、多くの湧き水が飲料基準を満たしている。
ろ過をせず、滅菌と塩素処理だけで供給している自治体が多い。
菊池市では、水源を100%地下水に依存。
甚大な被害を受けた益城町や南阿蘇村と比べると建物の損壊は少なく、水道設備にも大きな被害はなかったが、水質は改善していない。
市の担当者は、「汚濁解消時期の見通しは立たない」と話す。
日本水道協会によると、川の水を浄化する地上施設に比べ、地下の取水施設は地震による損壊を受けにくく、災害に強いとされてきた。
ただ、地下水は流れが弱いため、一度濁ると元に戻るまで時間がかかる。
東日本大震災では、津波で海水が入り、地下水が使用できなくなるケースがあった。
http://this.kiji.is/95643758234173445?c=39546741839462401
『熊本は地震で深刻 「地下水汚濁」首都圏で危ない場所は?』
(2016年4月23日 日刊ゲンダイ ;趣旨・要約)
熊本県では、21日現在で、3万1000世帯が断水している。原因のひとつに地下水の汚濁がある。
だが、首都圏の在住者だって他人事ではない。
日本水道協会によると、全国の主要な水道事業を扱う事業体は約1500あるが、そのうち3分の1に当たる500の事業体が、地下水を使っている。
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の首都圏で使用量が多いおもな自治体は、別表の通りだ。
大地震が来れば、熊本と同じように汚濁して、水が飲めなくなる可能性もあるわけだ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180036
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
『水不足で悲鳴・・・透析患者対応』
(2016年4月17日 フジテレビ)
14日から続く熊本県などでの一連の地震。
給水活動が行われた学校には、校庭を埋めつくすほどの行列が出来た。
特に、病院が水不足に悲鳴をあげている。
地震で貯水タンクが破損してしまった病院もあり、特に、1回に付き100ℓ以上の水が必要な透析患者への対応に、一番困っているという。
事態は深刻で、病院は自衛隊に要請したという。
http://e.jcc.jp/news/10824863/
『西原村など断層近くの4町村で長引く断水 専門家「耐震水道管の導入検討すべきだ」』
(2016年5月16日22時29分 産経新聞)
熊本地震の影響で熊本県西原村や南阿蘇村などで断水が長引き、1カ月経っても水が通っていない地域が少なくないことで、水道管の耐震化が改めて注目されている。
これらの地域は、地震を引き起こした断層が近接しており、断層の活動が水道設備の損壊に関係したとみられる。
専門家は、災害に備えた対策が急務と指摘する。
県災害対策本部のまとめによると、断水戸数は15日現在、益城町935戸、南阿蘇村914戸、西原村388戸、御船町160戸と、計2397戸に上る。
西原村では、3週間が経過した3日の時点でも、全1975戸のうち、約7割にあたる1389戸で断水が続いていた。
福岡市水道局などが応援に入り、通水に向けた管路の復旧作業を進めているが、飲用制限もあって、全面復旧のめどは立っていないのが現状だ。
同村や南阿蘇村を走る布田川断層帯などが引き起こした地層のずれが、給水設備への損傷を拡大させたととらえる向きがある一方、県の担当者は、「原因は被害が大きかったからとしか言えない」と頭を抱える。
西原村によると、村内の上水道は、くみ上げた地下水を2系統あるタンクを経由するなどした上で、給水管をたどって家庭や施設へ届けている。
地震でタンクは破損したが、仮タンクはすでに設置されており、断水の解消は給水管の修繕の進捗にかかっている。
厚労省によると、平成27年3月現在、基幹管路(主要水道管)の耐震適合性がある管の割合は、全国平均で約36%にとどまる。
熊本県内は25.4%で、西原村では、耐震適合性を備えた管は1~2割程度。担当者は、「価格や施工技術の問題で、ほぼ採用できていない」と話す。
近畿大理工学部の米田昌弘教授(振動工学)は、「規模が比較的小さい自治体では、耐震設計の水道管がほとんど敷設されていない」とし、西原村について、「断水戸数の割合の高さからみて、管のつなぎ目同士が断層の変位による影響を大きく受けていると推察できる」と指摘する。
大きな揺れを引き起こす活断層は全国各地にある。
米田教授は、「国が主体となって耐震設計管の導入を早急に検討すべきだ」と警鐘を鳴らしている。
http://www.sankei.com/west/news/160516/wst1605160093-n1.html
(ブログ者コメント)
病院の貯水タンク破損の件、どのテレビ局だったか忘れたが、再現実験として水を入れたタンクを揺らし、強い水圧がかかる都度、タンク側壁がふくらんでいる様子が放映されていた。
当該情報を求めてネット検索したところ、当該情報は見当たらなかったが、東日本大震災でも同様な被害があったため、2012年に愛知工業大学で実験が行われたという下記趣旨の記事が、2012年11月7日に中日新聞からネット配信されていた。
『愛工大 貯水タンク 耐震実験 長周期振動、破壊寸前に』
愛知工業大の鈴木森晶教授(耐震工学)らのグループが、6日、学校や病院などのビルの貯水タンクの耐震性を調べる実験を豊田市の同大八草キャンパスで公開した。
実験では、緩やかな揺れが続く長周期振動によってタンクが破壊寸前の状態になり、グループは耐震性の研究を進めていく。
東日本大震災の際、長周期振動で多数の貯水タンクが破損したことを受け、中央大の平野広和教授と共同で研究している。
仙台市では、公立小中学校192校のうち62校で被害が出たほか、水不足になって患者の受け入れを減らす病院もあった。
実験は、地震の揺れを再現できる振動台の上に、25トンの水を入れた一辺3mの立方体のステンレス製貯水タンクを載せて開始。
震度1~3に相当する振動を、2~10秒周期で繰り返した。
揺れ幅の拡大に伴って水が波打ち、タンク内の天井や壁に水が大きな音とともに打ち付けられた。
ステンレス板の溶接部分も、通常の3mmから20mm程度に広がった。
今回の揺れ幅は最高で8.8mmだったが、耐久性の計算上では、揺れ幅が9.5mm程度になるとタンクのステンレス板に亀裂が入り、水漏れが生じるという。
鈴木教授は、「国内の貯水タンクの耐震基準は、内部の水の振動が考慮されてこなかった。南海トラフ地震でも長周期振動が起きる可能性があり、タンクの耐震対策を考えたい」と話した。
http://edu.chunichi.co.jp/?action_kanren_detail=true&action=education&no=2878
『ガス復旧依然6割弱、人海戦術で対応急ぐ』
(2016年4月26日22時1分 産経新聞 ;趣旨・要約)
熊本市など、熊本県内の2市5町の約11万2000戸にガスを供給している西部(さいぶ)ガス(福岡)によると、本震の後、約10万5千戸(空き家などを含む)へのガス供給を停止。
26日午後3時現在で5万7725戸が復旧、復旧率は57.2%となっている。
都市ガスの復旧には、契約世帯のメーターガス栓を閉めた上で、道路に埋設されているガス導管を検査。
必要に応じて修理を行い、契約世帯のガス設備を検査した後、メーターガス栓を開けるという手順が必要となる。
契約世帯を一軒一軒訪問するには、多くの人手がかかる。
このため、西部ガスは日本ガス協会に応援を要請。
東京ガスや大阪ガス、東邦ガス(愛知)など、17社から約2600人が駆けつけ、西部ガスグループの約2000人と合わせて、約4600人が復旧作業に当たっている。
日本ガス協会によると、平成23年3月11日の東日本大震災では、ガスが全面復旧したのは53日後の5月3日だった。
西部ガスでは、5月8日までの全面復旧を目指している。
http://www.sankei.com/affairs/news/160426/afr1604260039-n1.html
『西部ガス、30日にもガス復旧 熊本』
(2016年4月28日7時2分 産経新聞 ;趣旨・要約)
西部ガスは、27日、熊本地震での都市ガス復旧作業について、30日にも完了する見通しを明らかにした。
西部ガスは、16日未明の「本震」の後、熊本市や益城町など2市5町で、約10万世帯への供給を停止した。
このうち、27日正午時点で、約6万8千世帯を復旧、復旧率は67.9%となっている。
当初、復旧完了は5月8日を見込んでいたが、悪天候などの影響がなく、順調に作業が進めば、今月30日までに対象世帯でガス供給の再開が可能という。
また、ガス管の耐震化を進めており、当初想定よりガス管の破損が少なかったという。
復旧作業には、東京ガスや大阪ガスからも応援が駆けつけている。
記者会見した酒見社長は、「(ガス各社から)派遣をいただき、復旧完了が前倒しできた。非常に心強く思っている」と述べた。
http://www.sankei.com/region/news/160428/rgn1604280055-n1.html
『手間取るガス復旧 開栓前に安全確認・住民立ち会い必要』
(2016年4月29日9時46分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
熊本県内の都市ガス供給エリアでは、倒壊家屋などを除き、8割近くまで供給が可能になったが、実際に使えるようにする開栓作業は手間がかかる。
「ガスの開栓にうかがいました」。
26日午後、熊本市中央区の住宅街では、西部ガスの社員が、2人1組で各戸を訪問していた。
1人がガスメーターを解除し、もう1人が室内で異常がないかを確認する。
この住宅街では、10日ぶりにガスが復旧した。開栓をした家に住む舛田さん(73)は、「何とかしのいできたけど、本当に助かります」と話した。
ガスを多く使う飲食店では、復旧の効果は大きい。
同区の創作和食店では、27日朝にガスが復旧した。
これまではメニューを絞り込み、プロパンガスなどでしのいだ。同日夜から通常のメニューに。
店のチーフの増満さん(28)は、「仕事が元通りにできるのがうれしい」と語った。
ガス会社は、地震の揺れが一定の基準を超えると、ガス漏れによる災害を防ぐため、ガスの供給を止める。
熊本地震では、大きな被害を受けた益城町をはじめ、熊本市など、供給エリアの大部分が被災して供給を停止。
ガス管の安全を確認したうえで、再開している。
ただ、実際にガスが使えるようになるには、住民の立ち会いによる開栓作業が必要だ。
避難所に避難している住民もいて、平日は、訪問しても半分ほどがいないこともある。
開栓まで完了したのは、5割強という。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4V7J03J4VTIPE04P.html
『熊本県内の都市ガス、10万戸すべてで供給可能に』
(2016年4月30日19時39分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
西部ガスは、30日、熊本地震のため供給を止めた熊本県内の都市ガスについて、倒壊家屋などを除く約10万戸すべてで供給が可能になった、と発表した。
ガス管の損傷が想定より少なかったほか、全国のガス会社の応援を得られたこともあり、当初見込んでいた5月8日から大幅に前倒しして作業が終わった。
ただ、実際にガスを使えるようにするには、住民の立ち会いのうえで開栓する必要がある。
不在の場合も多く、供給が可能になったところでも、2割ほどの開栓が終わっていない。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4Z5J2WJ4ZTIPE021.html
『停電がほぼ解消 阿蘇地区は発電機車で臨時的に』
(2016年4月21日0時1分 毎日新聞 ;趣旨・要約)
九州電力は、20日、熊本地震による停電がほぼ解消したと発表した。
一部で、電柱から家庭への引き込み線で断線している可能性もあり、引き続き作業を続ける。
16日の本震後、熊本、大分、宮崎3県で、最大約20万戸が、一時、停電した。
大規模な土砂崩れで、熊本県阿蘇地区に電力供給している6万6000ボルトの送電線が使えなくなっており、全国の電力会社から発電機車の派遣を受けて、臨時的に復旧した。
送電線の代替ルート確保のために、仮鉄塔の組み立ても、今後1週間程度で終えたい考えだ。
http://mainichi.jp/articles/20160421/k00/00m/040/090000c
『「余震だ!」揺れる高所作業車 電力復旧過酷な現場「早く明かりを」』
(2016年4月29日7時5分 産経新聞熊本版 ;趣旨・要約)
熊本地震では、電柱の倒壊や電線切断によって、最大48万世帯が停電した。
「被災地に明かりを」。
九州電力グループは総力を挙げて復旧作業にあたり、16日未明の「本震」発生から5日後の20日午後7時には、ほぼ復旧を終えた。
九電福岡配電センターの社員が、28日、産経新聞の取材に応じ、余震が続く過酷な現場での作業について語った。
取材に応じたのは、同センターの淵上さん(54)、吉村さん(45)、永井さん(43)。
3人は、「本震」直後から1週間程度、大きな被害が出た熊本県阿蘇市や益城町、熊本市内で復旧作業に従事した。
地震の爪痕は大きかった。
大規模な土砂崩れや地割れで、阿蘇地方を中心に15基の鉄塔が傾いたり、基礎が被害を受けた。
送電網の遮断は、数え切れないほどだった。
仮復旧を急いだ。
電源となる高圧発電機車を配置し、新たな送電ルート構築で停電を解消しようとした。
淵上さんは、「緊急地震速報が鳴る中、土砂が崩れのすぐ近くに立ち入って作業した。過酷な現場だった」という。
吉村さんと永井さんは、住宅地で復旧作業を担った。
作業現場のすぐそばでは家屋が倒壊し、がれきが散乱していた。
高さ15mにもなる高所作業車での作業中、余震が襲う。作業員は、左右に大きく揺れるかごにしがみついた。
九電グループは、復旧作業の経験を積んでいるが、多くは、台風など風水害によるものだ。
台風なら、事前にある程度のルートが分かって、準備ができる。過ぎ去った後は天候も回復する。
一方の地震は、発生時間は分からず、余震がいつ終息するかも読めない。
九電や九電工などグループ会社は、3千人態勢で作業にあたった。
電力他社からは、600人を超える応援が来た。
出動させた高圧発電機車は、169台に達した。
作業員の多くは、事業所の会議室や、現地のテントで寝泊まりした。張り詰めた緊張感や余震で熟睡はできなかった。
風呂にもほとんど入れず、トイレの確保が難しいため、飲み水を控える人もいた。
渋滞もひどく、車で100m進むのに1時間かかることもあった。
そんな過酷な作業を、被災者が支えた。
「電気をこんなに早く付けてくれてありがとう」。住民から、こう声をかけられた。
食事を差し入れてくれた住民もいた。
渋滞の中で、九電の作業車を優先しようと、道を譲る車にも出会った。
永井さんは、「現場に着けば、眠くてもきつくても、使命感で体が動いた。過去の災害で培ってきた九電のDNAが、グループみんなにあるんです」と語った。
http://www.sankei.com/region/news/160429/rgn1604290009-n1.html
(ブログ者コメント)
発電機車による停電解消作業については、以下のような支援も行われた。
停電した地域には、九州電力などがディーゼルエンジンなどで発電する電源車計137台を配置している。
石油元売り大手で構成する「石油連盟」は、電力供給が途切れないよう元売り各社に要請し、小型のタンクローリーやドラム缶で電源車に給油している。
※①支援物資配布システムの早期構築が課題(1/2)参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5906/
『「ペット無料預かり」を訂正…環境省「誤解生じさせ、おわび」』
(2016年4月23日22時34分 産経新聞 ;趣旨・要約)
環境省は、23日、熊本県で地震に見舞われた被災者から「ペットを無料で一時預かりする支援を23日から始める」とした22日の発表を、「一時預かりの相談窓口を23日から設置する」と訂正した。
無料で預かるかは、決まっていなかったという。
同省は、「被災地の皆さまに誤解を生じさせたことを、おわび申し上げます」と謝罪した。
環境省は、22日、日本獣医師会が全国の獣医師会に被災ペットの無償預かりを要請し、それを受けて、熊本県獣医師会が23日に熊本市役所などに相談窓口を設け、受け入れを開始予定と発表。
その際、被災者から無料でペットを預かり、環境省が相談対応や移送などを支援すると説明していた。
しかし、23日、相談窓口を設けて対応は始めたが、無償かは決まっていないと発表を訂正。受け入れ条件などは今後検討していくとした。
http://www.sankei.com/affairs/news/160423/afr1604230035-n1.html
『「人の水もないのに犬に飲ませるのか」 ペット同伴避難、トラブル相次ぐ 唯一のペット避難所へ殺到』
(2016年4月25日5時30分 産経新聞 ;趣旨・要約)
熊本地震の被災地で避難所生活の長期化が懸念される中、ペット連れの被災者が行き場に困っている。
一般の避難所では、鳴き声や糞尿をめぐるトラブルが絶えないためだ。
熊本市は、「殺処分ゼロ」をいち早く掲げた“動物愛護先進都市”。
ペット連れの避難者を受け入れる動物病院も登場しているが、疲労がたまる避難所生活での“共存”の難しさが浮かぶ。
【避難所追い出され…】
「避難所内で犬がおしっこをしてしまい、周囲から離れた場所へ行ってほしいといわれた。居づらくなってその日に出ました」
熊本市内で被災した無職、牧田さん(68)は、そう振り返る。
愛犬のマル(10歳、雄)は、避難生活でも欠かせない存在だといい、「家族の一員だから一緒にいないと精神的にもたない」と話す。
牧田さんが避難生活を送る熊本市中央区の「竜之介動物病院」は、3、4階部分を被災地唯一のペット同行避難所として開放している。
これまで、約230人が犬や猫など計約300匹を連れて訪れた。
23日現在も、約80人が、約100匹と避難生活を送る。
同病院の徳田院長は、東日本大震災の被災地でペット連れの被災者が避難所に入れない実情を見て、病院を耐震構造に建て替え、1週間分の備蓄を準備したという。
徳田院長は、「熊本市は動物愛護先進都市として注目されている。全国に見本を見せないと」と決意を語る。
【専用避難所に殺到】
厚生労働省などによると、熊本県の犬の登録数は、約11万2000匹(平成24年度)。
人口100人当たり6.19匹と、九州地方で最も多い。
熊本市動物愛護センターは、26年に初めて殺処分ゼロを実現した“動物愛護の街”でもある。
地震発生以降、既に同センターには,避難中にはぐれたとみられる迷い犬などが約35匹保護された。
地震前に約120匹を保護していた愛護センターは、満杯状態に。
そこで、北九州市の協力を得て、犬16匹、猫10匹を譲渡し、全て引き取り手が見つかった。
「災害時だからといって、方針を曲げたくなかった」と、村上所長は話す。
そんな熊本市でも、避難者からは、「家に置いてくるよう説得された」、「人に飲ませる水もないのに、犬に飲ませるんかといわれた」との声があがる。
避難所へ入れず車中泊を続け、犬が熱中症になるケースもあるという。
熊本市によると、市が作成した避難所運営マニュアルには、「避難所側がペット同行者に配慮」するように記載されているが、担当者は、「周知不足は否めない。受け入れへ向けて意識を変えていかなければならない」と話す。
防災アドバイザーの高荷さんは、「避難所はペット受け入れを前提に開設しなければならない」とした上で、「『家族の一員』だからこそ、飼い主側もペット用の物資をあらかじめ準備するなど自己責任を示す姿勢が必要」と指摘する。
http://www.sankei.com/affairs/news/160425/afr1604250003-n1.html
(ブログ者コメント)
飼い主は家族のように思っていても、犬や猫が嫌いな人にとってはストレスの原因。
パブリックスペース的な避難所への同行は、無理があるのではないだろうか。
『外国人もHELP 案内不足に増す孤独感』
(2016年4月20日12時22分 毎日新聞 ;趣旨・要約)
地震が相次ぐ熊本、大分両県のほとんどの避難所で、日本語以外の案内がなかった。
急増する外国人観光客の安全確保のため、政府は、外国人を障害者と同様、「災害時要援護者」と位置付けるよう求める。
だが、実際は意思疎通できず、孤独を感じながら避難所に身を寄せるのがやっとの人も。
災害時の外国人支援の課題が浮き彫りとなった。
「どう寒さをしのいだらいいのか分からず、眠れなかった」。
外国人にも人気の由布院温泉で知られる大分県由布市の小学校。
本震翌日の17日、タイから来たソンさん(54)は戸惑いを隠せずにいた。
一家8人で熊本城を観光後、由布市に。
在日タイ大使館に連絡、避難所に向かうよう指示された。
だが、英語を話せる人は見当たらない。
大分県別府市の避難所では、ディランさん(21)がスマートフォンに見入っていた。
3月に米国から短期留学で来たばかり。
フェイスブック上で友人に翻訳を頼んでいた。
「滞在先が海に近く、津波が怖くて帰れない」と不安そうだった。
特に、観光客の場合、日本に不慣れな上、地震を経験していない人もいる。
観光庁は、2014年、訪日客の安全確保手引を作成、各自治体に通訳ボランティアを避難所に派遣できる体制をつくるよう求めた。
一部では、防災無線を多言語で伝えるなど、積極的な動きもみられる。
ただ、多くの自治体の防災計画は、「日本人優先となりがち」(政府関係者)だ。
別府市は立命館アジア太平洋大などがあり、約3300人の留学生を抱え、外国人も加わって防災訓練を実施する。
災害時には、4カ国語で簡単な意思疎通を図るのを手助けする「多言語シート」の使用を決めていたのに、今回、十分活用されなかった。
熊本、大分両県いずれも、外国人への配慮を防災計画でうたいながら、国籍や避難者数を正確に把握できずにいる。
多くで外国人への対応が後手に回る中、熊本市国際交流会館では入り口に5カ国語の案内を表示し、スタッフが英語で対応した。
中国や英国からの外国人約50人が避難。
バングラデシュからの研究生ワリウルさん(26)はイスラム教徒で、食べ物に宗教上の制限があり、調理のため帰宅する。
だが、「全然ストレスを感じない。ここは安心できる」と語る。
会館を統括する勝谷さん(47)は、「外国人のほとんどは自分が避難所に行っていいのかなという気持ちを抱えている。できるだけストレスがかからない言語で対応できるようにしたい」と話す。
その国の文化も把握してサポートすることが必要と指摘する。
政府は、20年時点の外国人誘客目標を2000万人から4000万人に引き上げたばかり。
観光庁幹部は、「今回の地震をしっかり検証する」と述べ、防災担当の他省庁や自治体への呼び掛けを強める考えを示した。
http://mainichi.jp/articles/20160420/k00/00e/040/192000c
『熊本、被災外国人が苦悩 言葉の壁で情報得にくく』
(2016年5月2日13時39分 日本経済新聞 ;趣旨・要約)
熊本県を中心に相次ぐ地震で、被災した外国人が困難に直面している。
言葉の問題などから避難所で孤立したり、新たな住まいが見つからなかったりするケースもある。
「クマモトに住み続けられるのか」。異国の地で不安を募らせている。
「罹災証明書はどうすればもらえるのか」。
1日、熊本市国際交流会館で、地震後に初めて開かれた外国人被災者向け生活相談会。
同市内で被災したエジプト人のバドルさん(46)は、相談会を主催した市国際交流振興事業団の担当者にたずねた。
同市内で英会話教室を開くバドルさんは、8年前に来日した。
地震発生後は、どこに避難すればよいのか分からず、余震におびえながら数日間、野宿。
外国人の友人から、同会館が外国人向け避難所になっていると聞き、たどり着いた。
日本語は片言程度で、「地震や避難に関する言葉はふだん使わないので、よく分からなかった」と話す。
同事業団によると、熊本市内では、約4500人の外国人が生活。
同会館には、一時、80人ほどの外国人が避難した。
同会館は多言語で情報発信しており、イスラム教の戒律に配慮した食事も配っている。
一般の避難所などで生活する外国人にも、動揺が広がっている。
熊本市の40代の中国人通訳の女性は、自宅近くの学校に避難したが、日本人避難者の中には、露骨に居場所を離す人もいた。
居づらくなり、公園で夜を明かしたこともあるという。
知人の中国人は、10数人が帰国した。
「マンションに(応急危険度判定の)『要注意』の紙を貼られた。引っ越したい」。
スリランカ人女性のディヌーシャさん(39)は、住まい探しを心配する。
4月に崇城大(熊本市)の教員となり、夫や小学生の子供2人と、福岡市から移り住んだばかりだった。
子供は福岡の知人に預け、夫婦は熊本市内の友人のトラックのコンテナで寝泊まりする生活。
家族4人の暮らしに戻るため安全な住居を探しているが、なかなか見つからない。「外国人だからか対応が冷たい不動産店もあった」とこぼす。
同事業団の八木事務局長(54)は、「言葉の問題などで外国人は情報が得にくい。避難生活の長期化を見据えたニーズを把握し、公営住宅の入居などを後押ししたい」と話す。
熊本県は、「事業団の調査を踏まえ、支援につなげたい」(国際課)としている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG02H0R_S6A500C1CC0000/?n_cid=NMAIL002
『言葉の壁・避難所って?… 外国人被災者、支援に課題』
(2016年5月11日9時30分 朝日新聞)
一連の地震で、熊本市国際交流会館は、異国の災害で困窮する人々のよりどころになってきた。
ただし、そのニーズは多岐にわたり、実際に被災者を受け入れたことで見えた課題もある。
同館は本来、市指定の避難所ではない。
市の地域防災計画では、在住外国人や旅行者に各言語で情報提供する「避難対応施設」の位置づけで、最寄りの避難所を案内する役割だった。
実際には、母国語での情報や同じ境遇の仲間を頼って避難してくる外国人が多く、ピーク時は約80人に上った。
同館を運営する事業団の八木事務局長は、「在住期間が短い留学生など避難所の存在を知らない人も多かった。防災訓練に参加してもらったり、災害時の対応を知ってもらったりするのが課題」と話す。
http://digital.asahi.com/articles/ASJ5935RCJ59TIPE00K.html?rm=461
『福祉避難所、機能せず 災害弱者、利用104人 周知なし、人も足りず』
(2016年4月25日 毎日新聞東京版朝刊 ;趣旨・要約)
熊本地震で4万人近くが避難する熊本市で、高齢者や障害者ら「災害弱者」を受け入れる福祉避難所の利用者が、24日現在で、わずか104人にとどまっている。
市は、国の方針に従って176施設を福祉避難所に指定し、災害時には約1700人を受け入れられるとしていたが、実際は、施設側の準備や要支援者への周知はほとんどされなかった。
多くの災害弱者が、設備やサポートのない場所で過酷な生活を余儀なくされている可能性がある。
福祉避難所の必要性は1995年の阪神大震災でクローズアップされ、厚生省(当時)が、97年、全国の自治体に指定を推奨。
2007年3月の能登半島地震で、初めて設置された。
国によると、13年6月現在で福祉避難所を指定している市区町村数は1167で、全体の約67%に達する。
熊本市は、災害時に自力での避難が難しい市民が約3万5000人いると想定し、福祉施設を受け入れ先として活用できるよう、14年度までに社会福祉法人など8団体と協定を締結。約1700人の受け入れ枠を確保したとしていた。
だが、16日の本震を受けて市が福祉避難所を開設できたのは、受け入れ先とされていた176施設のうち、34施設。
市は、「施設に問い合わせが殺到し、現場が混乱する」として市民に広く開設を知らせず、避難所を巡回する市の保健師が聞き取り調査で介護などが必要と判断した場合のみ、施設ごとに交渉していた。
それでも、「対応する人も足りず、入所者がいるので場所もない」(市内の福祉施設)などの理由で断られることも多かったという。
20日段階で36人しか受け入れていないことが判明し、市は21日になって指定していなかった県身体障がい者福祉センター(同市東区)を福祉避難所として開設。
有料で貸し出していた個室を、災害弱者は無料で利用できるようにした。
市は、「協定を結んでいる施設の受け入れ態勢が整わなかった」と説明する。
【福祉避難所】
高齢者や障害者、妊産婦ら、配慮が必要な被災者向けに、災害時に開設される避難所。自治体が災害救助法に基づき、福祉施設や公共施設などを指定する。
国の指針によると、紙おむつや医薬品、車椅子などを備蓄し、対応にあたる「生活相談職員」を置くことが望ましいとされる。
http://mainichi.jp/articles/20160425/ddm/041/040/164000c
『「福祉避難所」ようやく機能 熊本市』
(2016年4月28日 熊本日日新聞 ;趣旨・要約)
熊本市で、「福祉避難所」がようやく機能し始めた。
27日現在で、41施設が207人を収容。
だが、避難が必要な人の数はまだ見通せず、「これ以上は無理」と訴える施設もあり、先行きは不透明だ。
福祉避難所は、災害時に高齢者や障害者、妊婦らを受け入れる施設で、熊本市は176施設と協定を結んでいる。
しかし、建物が被害を受けたり、スタッフが確保できなかったりしたため、本震発生直後の16日の受け入れは、わずか5施設で5人だった。
ライフラインの復旧などとともに受け入れが増えて、27日は、41施設で207人になった。
中央区の社会福祉法人リデルライトホームでも、25日から受け入れを開始。
発生後およそ1週間は、関連施設の利用者や住民の避難対応に追われて、福祉避難所は開設できなかった。
「福祉施設として地域のつながりも大切。スタッフ自身も被災しており、市の要請に対応するのは難しかった」と小笠原理事長。
一般の避難者がほぼ帰宅して、やっと受け入れ態勢が整ったという。
市は、各避難所に保健師を派遣して支援が必要な人の情報を集め、各施設に受け入れを要請している。
27日現在では21人が待機中で、まだ増える見込みだ。
ただし、今後も受け入れがスムーズに進むかは不透明だ。
福祉避難所として3人を受け入れたケアタウンかわしりには、市の要請以外にも、病院や高齢者の家族から入所申し込みが相次いでいるという。
中村施設長は、「通常でも満床に近く、スタッフも疲弊している。これ以上の受け入れは難しい」と話す。
ある施設からは、「福祉避難所は、台風や水害など、一部の地域が被害を受けると想定していた。これほど大きな災害のイメージはなかった」との声が漏れた。
http://kumanichi.com/news/local/main/20160428007.xhtml
『高齢者続々、もう限界 熊本地震、入居断る福祉施設も』
(2016年4月29日5時0分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
28日夕、熊本市の複合型老人福祉施設「ケアタウンかわしり」は、約130のベッドがすべて埋まっていた。さらに、会議室などに300人余りが、段ボールや毛布を敷いて避難していた。
「困った人を助けたいが、能力的に限界。共倒れになりかねない」。中村施設長は、訴えた。
「今はまだ頑張れているが、長期になったら心が折れてしまう」。
益城町で最大規模の特別養護老人ホーム「ひろやす荘」の永田施設長も、悲鳴をあげる。
周辺施設はどこも人であふれ、移転先を探すのは至難の業だ。
デイサービスなどを手がける熊本市の小規模多機能施設「健軍くらしささえ愛工房」は益城町に近く、職員約20人には、被災した人も多い。
宮川施設長は、「復旧に伴い、利用者が増えれば、人手が不足しそう」。
すでに、同種施設の連絡協議会を通じて、2日間、新潟県と千葉県から2人の介護職が支援に入ったという。
一方、同じグループの特別養護老人ホームは、地域の高齢者ら、約60人の避難を受け入れた。
小笠原理事長は、「職員と利用者の配置など関係なくとにかく受け入れた。パニックになった利用者を家に帰すわけにはいかない」と話す。
小笠原さんは、さらに利用者の増加が続くことを予想し、被災した職員の疲労が蓄積して適切なサービスを提供できなくなる恐れを指摘した。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12334116.html?rm=150
『被災者を支援、企業や個人のテント提供が広がる』
(2016年4月28日21時9分 読売新聞 ;趣旨・要約)
熊本地震で、避難所や車中泊生活を続ける被災者を支援しようと、企業や個人がテントを提供する動きが広がっている。
熊本県内では余震が続いており、避難生活の長期化で体調に不安を抱える人も多い。
このため、アウトドア用品メーカーの「モンベル」(大阪市)が南阿蘇村で自社のテントを無料で貸し出しているほか、アルピニストの野口健さんが益城町の被災者にテント約100張りを提供している。
28日には、読売新聞社などが阿蘇市黒川の公民館敷地に、無償提供するテントハウス1棟(6m四方)を設置した。
読売新聞社が協力を求め、テント製造販売会社「もちひこ」(静岡市)がテントハウスを、家具製造販売大手「ニトリホールディングス」(札幌市)がマットレスなどの内装品をそれぞれ提供し、輸送会社「日恵物流」(埼玉県所沢市)が資材の輸送などを担った。
30日までに、阿蘇市内で計5棟を設置する計画だ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160428-OYT1T50231.html
『屋内恐れ車中泊…想定外の駐車場不足』
(2016年4月18日10時17分 毎日新聞 ;趣旨・要約)
熊本県災害対策本部の17日午前9時半現在のまとめでは、県内の避難者数は約18万人に膨らんだ。
避難所では、救援物資が追いつかないだけでなく、入りきれなかったり、さらなる地震を恐れて屋外の車で寝泊まりしたりする「車中泊避難」に駐車場の収容台数が追いつかないという課題が浮上している。
町の指定避難所は約10カ所あるが、町広報担当者は、「建物への避難しか考えていないので、駐車可能台数は把握していない」と話す。
益城町西部にある県の「グランメッセ熊本」の駐車場(2200台収容)も、16日夜、避難者の車や緊急車両で全て埋まっていた。
指定避難所ではないが、町職員4人が避難者の対応に尽力する。
ある職員は、「避難所なら宿泊者名簿に名前や住所を書いてもらうが、車中泊避難は熊本市内の避難者もおり、出入りも激しい。人数の把握が難しい」と明かした。
本震後に急増したため、必要な救援物資量をうまく算出できず、用意した朝食用のパン500食分はすぐに底を突いた。
夜には、急きょ、仮設トイレ9基を設置した。
町は、車の台数などから、約1万人が身を寄せていると推定している。
http://mainichi.jp/articles/20160418/k00/00m/040/102000c
『車中泊1人死亡 エコノミー症候群23人搬送』
(2016年4月19日14時34分 毎日新聞 ;趣旨・要約)
熊本県を中心に14日から続発している地震で、車内に避難していた熊本市西区の女性(51)がエコノミークラス症候群で死亡した。熊本市が19日発表した。
今回の地震での同症候群による死者は初めて。
毎日新聞の調べで、同症候群の疑いで少なくとも23人が熊本市内の病院に搬送され、複数が重体となっている。
熊本市によると、同じ姿勢を取り続けることで、血液中に血栓(血の塊)ができ肺などの血管に詰まるエコノミークラス症候群で死亡した女性は、18日に自宅で車の中に自主的に避難していた。
車を降りた際に倒れ、熊本市の国立病院機構・熊本医療センターに搬送され、典型的なエコノミー症候群と診断された。
同症候群は、同様に車中泊が目立った2004年の新潟県中越地震の際も問題となった。
医療機関は、同症候群となるのを防ぐため、まめな水分補給や軽い運動を勧めている。
http://mainichi.jp/articles/20160419/k00/00e/040/184000c
『熊本地震現地ルポ 本紙記者も痛感した「車中泊」の苦しみ』
(2016年4月21日 日刊ゲンダイ ;趣旨・要約)
震度7を記録した益城町で車中泊を続ける40代女性は、疲れた様子でこう話す。
「避難所に入れなかった人だけでなく、空き巣が入らないか心配な人も自宅前に車を止めて寝泊まりしています。人が多くて騒がしい避難所で寝られない人は続々と車中泊を始めています」
夜の熊本市内を車で移動すると、コンビニや道路、スーパーの駐車場に多くの車が止まっているのを目にした。
車内では、老若男女がシートを倒し、寝づらそうにしていた。
本紙記者も、本震があった16日から、2泊3日をコンパクトカーの中で過ごした。
「安全を保証できない」という理由で、熊本市内のホテルに宿泊を断られたためだ。
16日の夜は熊本市内のコインパーキングに止め、助手席のシートを倒して横になったが、足を広げることができない。
何度も足の位置を動かさなければ落ち着かず、眠気はやって来ない。
それに、余震がとにかく多い。
30分に一度は揺れを感じ、眠気が来てもそのたびに恐怖で目が覚めてしまう。
豪雨の音がうるさかったこともあり、ほとんど眠ることができなかった。
エコノミークラス症候群の予防には水を飲むことが重要だという。
しかし、周りのトイレが使用できず、なるべく水を飲まずに我慢していた。
たった2泊だったが、ストレスが重なり、疲労はピークに達した。
記者には帰る場所があるが、被災者は、今後もつらい車中泊を続けるしかないのか。
熊本市内の40代男性は胸の内をこう明かしてくれた。
「地震で家の中が崩れ、死ぬ思いをした。トラウマになり家で眠ることができません。そういう人は多いと聞きます。避難所も人がいっぱいで、仕方ないから車中泊で過ごすしかないんです」
心の傷の方が深い。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179843/3
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
『車中泊の車にトラブル相次ぐ JAFが無料点検』
(2016年4月24日16時20分 NHK NEWS WEB ;趣旨・要約)
大勢の人が車での寝泊まりを余儀なくされるなか、バッテリーが上がるなど、車のトラブルが相次いでいて、JAFは、熊本県益城町で緊急の無料点検を行っている。
緊急の無料点検は、多いときにはおよそ2000台の車が集まり、今も大勢の人が車で寝泊まりしている益城町の「グランメッセ熊本」の駐車場で、JAFの職員6人が行った。
JAFによると、熊本県内では、地震のあと、バッテリーが上がるなど、車のトラブルが相次ぎ、緊急の出動件数はおよそ370件と、ふだんの5倍に増えたという。
具体的には、夜間、エンジンをかけずにスマートフォンを充電したり、テレビを見たりしてバッテリーが上がったとか、車の荷物の重みでタイヤの空気圧が低下したといったトラブルが多いという。
JAF九州本部の前川さんは、「バッテリーを上げないためには定期的にエンジンをかけて走らせるなどの対応が重要で、不安な場合はすぐに相談してほしい」と話していた。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160424/k10010496541000.html
『避難「余震怖いから」最多 熊本地震調査 長期車中泊も』
(2016年4月27日5時2分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
一連の地震から10日を機に、朝日新聞は、避難生活を送っている約100人に「困っていること」などを尋ねるアンケートを実施し、取材した。
震度7が14日と16日の夜間に2度起き、余震が続いていることから、避難者の多くが「余震が怖くて建物にいられない」「眠れない」などと訴え、車内で夜を過ごす「車中泊」をせざるを得ない現状が浮かんだ。
23、24両日に、避難所、計34カ所で実施。
熊本市41人、益城町35人、南阿蘇村21人、西原村11人の、計108人から回答を得た。
自宅の被災状況は全壊と半壊が2割ずつ、一部損壊が4割強、「被害なし」「わからない」とした人もいた。
避難している理由(複数回答)は、「余震が怖いから」が半数を超え、「自宅が壊れ住めなくなった」「自宅の水道、ガス、電気が止まっている」と続いた。
熊本市では「余震が怖い」が9割近くだった一方、益城町では6割超が「住めなくなった」と答え、地域差がみられた。
一連の地震が心に与える影響(同)では、6割が「眠れない、眠りが浅い」、5割が「夜になると不安になる」、4割が「怖くて一人でいられない」と回答した。
避難所で困っていること(同)は、「お風呂に入れない」が4割強と最多で、「情報が入らない」「プライバシーがない」「寒い」と続いた。
足りない物資では、3割弱が「衣類や下着」を挙げ、「薬」「ラジオ」が続き、洗濯機やテレビと答えた人も複数いた。
肺塞栓症(エコノミークラス症候群)の危険性が指摘される車中泊については、6割強が「した」と回答。
このうち6割強は発生直後の1~2泊だったが、7泊以上の長期にわたる人も2割いた。
その理由を聞くと、「余震の時に屋内は怖い」「避難所に入れなかった」「衛生、プライバシー面」などと答えた。
避難所を出た後、当面の住まいのめどが立っていない人は6割弱。
2割が仮設住宅、1割強が民間の賃貸住宅か公営住宅を希望し、「まだわからない」とした人も多かった。
http://digital.asahi.com/articles/ASJ4T4645J4TUTIL02C.html?rm=454
『熊本地震 車中泊、8割孤立化 「行政の接触ない」』
(2016年5月9日7時30分 毎日新聞)
熊本地震の被災者を支援している熊本県内外のNPO法人など約30団体で組織する民間ネットワーク「こころをつなぐ『よか隊ネット』」(本部・熊本市)が、県内の車中泊の避難者131人に実施したアンケートで、行政からの接触がなかったとした人が約8割に上っていることが分かった。
避難の長期化で健康に不安を抱く人も多いことから、ネットは、9日、熊本県や熊本市に早期の生活再建支援や健康・心のケアを求める提言書を出す。
アンケートは、車中泊を続ける避難者の生活改善につなげようと、稲月正・北九州市立大基盤教育センター教授(社会学)が責任者となり、熊本市や益城町、御船町、大津町で4月26日〜5月4日に実施。
車中泊で困っていることや、今後の生活の見通しなどを聞いた。
自治体職員が事情を聴いたり、支援などの説明をしたりするため訪れたことはあったかという問いに、103人(78.6%)が「まったくなかった」と回答。「あまりなかった」の6人を加えると、8割を超えた。
自由記述では、「仮設住宅がいつできるのか情報がほしい」、「役所が機能しておらず、相談する先がない」と、孤立化を示す意見があった。
「体や腰が痛くて眠れない」、「糖尿病の持病があり、食生活の変化が心配」と、健康不安の訴えも目立ち、行政の医療・福祉の支援が必要な状況が浮かんだ。
熊本市は、現在は、各区役所で車中泊者も含め、避難者の支援のニーズを聞いて回っているとした上で、「小規模の駐車場にもいる車中泊者に対応するため、専門職員を配置すべきだろうが、避難所の対応に追われ、十分、手が回らない」としている。
http://mainichi.jp/articles/20160509/k00/00m/040/102000c
『紙と布で作った間仕切りを避難所に設置』
(2016年4月24日13時41分 NHK NEWS WEB ;趣旨・要約)
熊本市内の避難所で、避難者のプライバシーを保つため、世界的建築家が考案した紙と布で作った間仕切りを設置する作業が行われた。
間仕切りは、世界的な建築家として知られる坂茂さんが考案した。
24日午前、避難所となっている熊本市中央区の帯山西小学校で設置作業が行われ、坂さんやボランティアの人たちが組み立てを行った。
間仕切りは、紙で作った高さ2mほどの支柱の間に白い布製のカーテンを張ったもので、坂さんたちは体育館の中に、周囲の人の視線を気にしなくて済む2m四方の空間を60、作り出した。
この避難所では、教室や運動場で避難生活を送る人たちの一部を、今月28日以降、間仕切りを設けた体育館に移すことにしている。
6歳と8歳の子どもがいる母親は、「避難所での生活は周囲に気を遣って、自分も子どももストレスを感じます。間仕切りはプライバシーがある程度保たれるのでいいと思います」と話していた。
設置を行った坂さんは、「避難所での生活を嫌がって体調が悪くなる人を減らすために、多くの避難所に早く間仕切りを設置していきたい」と話していた。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160424/k10010496391000.html
(ブログ者注記)
骨組みの組み立ては、まるで賞状入れのように、2つの筒同士をスポッとはめ込む方式。
これなら、素人でも簡単に組み立てられるだろう。
『過密解消へ3避難所を新設 カーテンで仕切り 益城町』
(2016年5月3日20時46分 産経新聞 ;趣旨・要約)
地震で大きな被害を受けた熊本県益城町は、3日、避難所の過密状態を解消するため、3カ所を新設した。
プライバシーに配慮し、町内の避難所では初めて、カーテンで世帯別のスペースを区切った。
町内12カ所の避難所には、約4900人が身を寄せており、新たな3カ所は計116人分。
町は、移動希望者を募っている。
町の防災計画は、総合体育館を2千人分の避難所として指定していた。
ところが、体育館内のメーン施設が被災して使用できず、約630人がロビーや廊下、階段などで生活。駐車場も車とテントで約650人が寝泊まりしている。
他の施設も過密状態にあり、支援に入っている医師団から対策を求められていた。
新たに臨時指定した3カ所は、男女共同参画センターと公民館分館2カ所。公民館分館の1カ所以外は、水道が復旧していない。
http://www.sankei.com/affairs/news/160503/afr1605030027-n1.html
『段ボールベッド 100個など発送 つくばみらい市』
(2016年4月20日 茨城新聞 ;趣旨・要約)
つくばみらい市は、19日、熊本地震被災者の支援として、熊本市内に段ボールベッド100個など、救援物資を送った。
http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14610791302726
『日赤が簡易寝具セット送る』
(4月20日12時6分 NHK長野 ;趣旨・要約)
熊本県では、車の中で避難を続けていた女性が「エコノミークラス症候群」を発症して死亡するなど、手足を伸ばして寝ることができないための深刻な影響が出始めている。
このため、日本赤十字社長野県支部では、空気を入れるだけでふくらむ簡易的な枕やマットレスなどが詰められた寝具セットを熊本県に送ることになった。
20日は、長野県松本市の倉庫にボランティア12人が集まり、箱詰めされた2150セットの寝具を次々と大型トラックに積み込んでいった。
日本赤十字社長野県支部では、今後も現地からの要請に応じて、追加の発送ができる用意があるということで、車内や避難所の狭い空間で長時間同じ姿勢で寝ることの解消につなげてほしいとしている。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagano/1014683221.html?t=1461189876830
『段ボールベッドで暖を、エコノミー症候群防止も期待…組み立て10分、まず150床を被災地へ 八尾のメーカー』
(4月21日8時45分 産経新聞west ;趣旨・要約)
大阪府八尾市の段ボール箱メーカー「Jパックス」が、段ボール製の簡易ベッドを熊本県の被災地へ送る支援を始めた。
エコノミークラス症候群などを引き起こす血栓を防ぐ効用を訴え、避難所での二次被害を減らそうと活用を呼び掛けている。
2011年の東日本大震災の際、体育館などの冷たい床の上で被災者が寝ている姿をテレビで見て、開発に着手。
東北の避難所を回り、約2800台を提供した。
その後も、14年の広島市の土砂災害で約400台、昨年の茨城県常総市の豪雨災害では約650台を届けた。
熊本地震では、鹿児島県の段ボール業者に製造を依頼し、既に約150台を持ち込んだ。
考案した水谷嘉浩社長(45)は、「避難所のベッドの必要性は、ほとんど認知されていない。提供を続け、避難所では雑魚寝をするという『常識』を変えたい」と話す。
畳んだ状態で現地に運び、10分ほどで組み立てられる。
長さ195cm、幅90cm、高さ35cmの大きさになり、プライバシー保護用のついたても付く。
現在は、より簡単に組み立てられるよう、改良中。
同社は、災害医療の専門家と連携し、避難所のベッドの必要性を訴えてきた。
高齢者らは床での寝起きが困難で寝たきりになり、血栓を発症することもある。
ベッドの利用で寝起きが楽になり、運動が促進されれば、発症リスクの軽減につながる。
一方で、被災した自治体にベッドの提供を申し入れても、多忙のため断られたケースも。
水谷社長は、東日本大震災以来、自治体と段ボール業者の団体の間で、災害時にベッドを提供する協定を結ぶ活動を開始。
これまでに約220市町村、7府県と協定を結んだ。
水谷社長は、「普及は始まったばかり。少しでも快適な睡眠を提供し、被災者のためになりたい」と意気込んでいる
http://www.sankei.com/west/news/160421/wst1604210020-n1.html
『段ボール用品に高まる関心 熊本地震、長引く避難生活受け』
(4月22日 信濃毎日新聞 ;趣旨・要約)
熊本、大分両県で相次ぐ地震で被災者の避難生活が長期化していることを受け、段ボールを使った災害用品の引き合いが、県内の関係企業に相次いでいる。
段ボールは、軽量で保管や持ち運びが容易なだけでなく、強度や保温性に優れるのが長所。
地震後に関心が高まっているとみられ、各社は、ベッド用として供給の相談に応じたり、簡易トイレの注文を受けたりしている。
「非常時にベッドとして、段ボールを使用したい」。
若穂紙器(長野市)には、長野市内の病院から、こんな相談が持ち掛けられた。
通年で在庫があるリンゴ用の段ボール箱なら必要なだけ届けられると提案。
星沢社長が21日、病院を訪ね、具体的な供給や活用法について打ち合わせた。
内部に補強用の段ボール片を入れた箱を12個並べ、1床分にする想定。価格は、1床分で2千円程度という。
病院側は100床分の供給を求めており、星沢社長は、「需要次第で、ベッド用に備蓄することも考えたい」と話す。
コスモス工業(茅野市)には地震後、1000個を超える段ボール製の簡易トイレ「エコ・トイレット」の大口注文が舞い込んだ。
同製品は、東日本大震災後の2011年秋に発売。担当者は、「ここまでの大量注文は経験がない」と驚く。
組み立てると便座になる段ボール板や、用を足すためのポリ袋、後処理用の薬剤がセットで、一式2480円。
ポリ袋や薬剤は他社から仕入れているため、在庫が足りず、発送が追い付かない状態という。
被災地の避難所では、プライバシー確保も問題となっている。
アリマックス(伊那市)は、こうした状況を受け、自社製品の間仕切りのPRを強化する方針。
90cm×60cmの段ボール板24枚がセットになっており、専用の留め具で自由にレイアウトできる仕組みだ。
伊沢社長は、「簡単に持ち運べ、非常時にプライバシーが保てる。災害用品として浸透させたい」としている。
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160422/KT160421BSI090017000.php
(ブログ者コメント)
報道されていなくても、同じような支援をしている会社、団体は数多くあるのだろう。
災害時に段ボールベッドを供給する協定を自治体と締結する動きは、過去にも本ブログで紹介済。
2016年4月4日掲載
2016年3月29日報道 岐阜県恵那市は、恵那市の段ボールメーカーが開発した避難所向けベッドなどの段ボール製品を災害時に供給してもらう協定を、同メーカーと締結
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5787/
『熊本地震 避難所トイレ環境整えて 専門家「命に関わる課題」』
(2016年4月19日7時1分 産経新聞 九州沖縄版 ;趣旨・要約)
熊本県などの被災地で多数の住民が身を寄せる避難所。
切実なのがトイレ問題だ。
断水の影響で不衛生になったり、仮設トイレの使い勝手が悪かったりすると、なるべく行かずに済むよう、食事や水分の摂取を控えてしまう場合もある。
専門家は、「健康状態が悪化する恐れがあり、命に関わる重要な課題だ」と指摘し、できるだけ快適な環境を整える必要があると訴えた。
避難所の仮設トイレは数が不足しがちな上、「離れた場所にある」、「プライバシーが守られない」、「汚い」などの問題点が指摘されてきた。
災害時の排泄問題に詳しい、さいたま市立病院の中野美和子小児外科部長は、「被災者があまりトイレに行きたがらず、食べる量を抑えたり、水分を控えたりする。そうして体調を崩す例は珍しくない」と語った。
災害時は、ストレスに加え、食事のメニューもどうしても偏りがちで、排泄の不調につながりかねない。
特に注意が必要なのは、高齢者や幼児だという。
中野氏は、「不調があっても、本人が症状を自覚していなかったり、訴えにくかったりする。周囲が気を付けてあげてほしい」とする。
「災害時のトイレ確保は命に関わる重要な課題だ。子供や女性の視点が抜け落ちやすく、トイレの管理方法を話し合ったり、被災者から相談を受けたりする場合に、女性に関わってもらうことが重要になる」
NPO法人「日本トイレ研究所」(東京)の加藤篤代表は、こう強調した。
内閣府は、東日本大震災の教訓を踏まえ、バリアフリー対応を含む仮設トイレの備蓄や、避難所での男女別トイレの確保などを盛り込んだ自治体向け指針を、平成25年に策定した。
さらに具体的な内容をガイドラインとして取りまとめ、近く公表する予定だという。
内閣府の中村参事官は、「人間にとって食べることと同じぐらい、排泄は大切」として、自治体にとって備蓄しやすい組み立て式の仮設トイレなどの活用を勧める。
http://www.sankei.com/region/news/160419/rgn1604190007-n1.html
『汚い・暗い・狭い… 避難所トイレ、環境改善どうすれば』
(4月22日5時1分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
汚い、暗い、狭い、段差あり――。
過去の大地震で課題が指摘されてきた避難所のトイレ環境が、熊本地震の被災地でも心配されている。
排泄は、我慢すると生死にもかかわりかねない。
専門家は、「困り事の情報を共有し、快適・安全に利用できる環境作りを」と呼びかける。
約850人が身を寄せる熊本県益城町の総合体育館。
屋内のトイレは断水などでほとんど使えず、屋外に仮設トイレがずらりと並ぶ。
だが、今も男女の区別がない。
介護職員の女性(36)は、「ぜいたくは言っていられないけれど、臭いもきつく、衛生面も心配です」。
ボランティアらによる掃除で環境改善に努めるが、大勢が使うのですぐに汚れてしまう。
約50のうち、座って使える洋式トイレは2つほど。
「足が悪いけん。もっと洋式があると助かるが……」。足を引きずりながらトイレから出てきた男性(74)はつぶやいた。
建物内のトイレを利用できる熊本市内のある避難所でも、洋式トイレは不足気味だ。
混み合うのを避けて深夜に利用したり、わざわざ自宅に戻ったりする人もいる。
日本トイレ研究所(東京)によると、「和式しかない」という問題は、東日本大震災でも報告された。
応急的に、プラスチック製の椅子の座面の真ん中をのこぎりなどでくりぬき、便座の代わりに使った例もあったという。
もともと、仮設トイレの多くは、建設現場で使われることを念頭に作られている。
現場には男性が多く、便座にじかに肌が触れる洋式より、和式が好まれる傾向があった。
同研究所の加藤篤代表理事は、「建設現場でのニーズをもとに作られてきたので、避難所にはマッチしない」と話す。
最近は、仮設トイレも洋式化が進みつつあるが、まだ数は多くない。
加藤さんは、「トイレ環境の悪さを嫌って食事や水分を控えるようになれば、エコノミークラス症候群や脱水症状などを引き起こしかねない」と指摘。
「トイレの困りごとは言い出しにくいが、『洋式が必要だ』などと具体的に声をあげることが大切。避難所を取りまとめている人を通じて行政に伝えて」と語る。
東日本大震災では、屋外のトイレに行くのがつらい人に向けて、生活空間に近い場所に「トイレルーム」を確保した例もあった。
体育館の倉庫のような所を一室まるごとトイレ用の部屋にして、仕切りを作ってポータブルトイレなどを置くといった方法だ。
水が流せなくても、既存の洋式トイレを利用する方法もある。
便器にポリ袋を二重にかぶせ、中に吸水用の新聞紙などを入れて用を足し、袋を取り換える。
日本トイレ研究所は、ホームページで「災害時のトイレチェックリスト」を公開。
段ボールや新聞紙を使った災害用トイレの作り方なども紹介している。
■災害時のトイレ 主な注意点
・被災者に意見を求め、トイレ環境を改善する
・男女別が基本。女性用トイレを多くする
・トイレは施錠できるように
・防犯ブザーなどを設置、または配布する
(日本トイレ研究所による)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ4M64GNJ4MUTFL00R.html?rm=451
(ブログ者コメント)
過去に本ブログでも紹介した「東京防災」の201ページに、簡易トイレの作り方が掲載されている。
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/book/main/index.html
『配送遅れ、水・食品など品薄=被災地で営業再開-スーパー、コンビニ』
(2016年4月18日18時15分 時事ドットコム)
熊本地震の被災地では、本震から2日たった18日、一時休業していたスーパーやコンビニの営業再開が進んだ。
ただ、道路の寸断や渋滞などで、店舗への商品配送は通常より時間がかかる状況で、被災者の需要が多い飲料水や食品を中心に、店頭の商品は品薄がちとなっている。
イオン傘下の食品スーパー、マックスバリュ九州は、16日に10店以上あった熊本県内の休業店舗が、18日には3店に縮小。
営業再開店舗では、被災者らが始業前から列を作ったが、「配送の遅れから欠品もある」(社長室)という。
同県内で大型スーパーも運営するイオンは応援の社員を派遣し、正確な需要量の把握に努めている。
コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンは、熊本県内の加盟店からの商品発注量が、17、18両日は通常の3~4倍に増加。
同県内の弁当・総菜工場は被災し操業を休止しているが、福岡県など隣県の工場をフル稼働させ、配送車両を増便し対応している。
ローソンは、熊本県内の店舗141店のうち、135店が営業。
全店に供給する食品を確保したが、「道路が通れず、商品を持って戻ってくる配送車両もある」(広報)という。
ファミリーマートも店への配送が難航し、「熊本の配送センターに商品は集まっているのだが」(広報)と頭を悩ませている。
被災した食品メーカーでは、山崎製パンが熊本工場(熊本県宇城市)の操業を17日に再開。品目を絞り、生産効率を上げている。
ビールやミネラルウオーターなどを製造する九州熊本工場(同県嘉島町)が操業停止となったサントリーホールディングスは、商品供給を補うため、本州など他の工場で増産態勢を組んだ。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016041800684&g=keq
『<熊本地震>6日ぶり営業再開、住民次々 スーパーやコンビニ 一歩ずつ日常へ』
(2016年4月21日11時45分 西日本新聞)
熊本地震の被災地は、ガソリンなどの品薄状況がほぼ解消され、スーパーやコンビニエンスストアなどでも商品が並び始めた。
21日朝、土砂災害で多数の死者が出た熊本県南阿蘇村に隣接する同県高森町高森のショッピングセンターが6日ぶりに店を開くと、待ちわびた住民が次々に入ってきた。
南阿蘇村の主婦河内さん(78)は、「野菜や牛乳を買いに来た。電気、水が、復旧したので家で調理したい」と話し、ほっとした様子だった。
震災直後、周辺の商店は軒並み閉まったが、徐々に物流も回復してきた。
この日、ショッピングセンターには、市場で買い付けた鮮魚や野菜果物が並んだ。
出入り口では、張り紙で「地震が起こったらすぐに駐車場に避難してください」と呼び掛け、店内には「大震災お見舞い申し上げます。みんなで頑張りましょう」と書かれた看板も。
高森町の「ローソン阿蘇高森店」の壁には、「おにぎり お弁当 サンドイッチ 大量入荷しました」の手書きの紙が張られた。
19日から、おにぎりと弁当、パン類は、地震前のように届くようになった。
住吉オーナー(36)は、「やっと落ち着いてきた。あとは余震が収まるのを願うだけだ」と強調した。
熊本県内では、現在、ガソリンスタンドもコンビニも、9割以上が営業しているという。
南阿蘇村災害対策本部近くのガソリンスタンド「JA阿蘇 久木野SS」も、19日に営業を再開した。
一時は給油待ちの車列ができたが、間もなく解消した。男性店員(21)は、「営業再開できてほっとしている」。
同県阿蘇市では、ファミリーレストランや焼き肉店も営業を始めるなど、被災地は一歩ずつ日常を取り戻しつつある。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160421-00010010-nishinp-soci
熊本地震では、今後の教訓とすべき様々な問題点や課題が浮き彫りになった。
それらの中には、災害が発生するたびに指摘されているものもあり、今回初めてクローズアップされたものもある。
また、さまざまな形での支援活動やインフラ復旧状況等も報じられた。
地震発生から、そろそろ1ケ月。そういった情報もほぼ出そろった感がある。
そこで、今後の災害対応を考える上でのヒントになるかもしれないとブログ者のアンテナにひっかっかった情報を、今後、紹介していく。
第1回目の今回は、支援物資の配布遅延問題について。
なお、報道は、震度7で被害甚大だった益城町、大都市の熊本市、それに阿蘇市中心となっており、タイトルともども、それらの地域の情報が混在した状態で紹介する。
また、報道量多大のため、次回以降の記事を含め、趣旨あるいは要約の形で紹介する。
『おにぎりに1時間並んだ 救援物資、避難所に届かず』
(4月18日5時1分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
水、食料、毛布――。
熊本地震の被災地で、物資の不足を訴える声が相次いでいる。
国や近隣の自治体から救援物資は集まりつつあるが、行政の混乱などもあり、被災者の手元まで行き渡らない。
過去の災害時の教訓を、どう生かせばよいのか。
17日午前10時、益城町の町総合体育館では、自衛隊の炊き出しに約80人が並んでいた。
4カ月の子どもを抱える熊本市の女性(34)は、おにぎりを受け取った後、「1時間並んだ」と疲れた表情で話した。
支援物資が避難所や被災者に行き届いていないのは、道路事情の悪さに加え、行政の混乱や人手不足なども要因になっている。
市には、17日から、水や毛布などが大量に届き始めた。
ただ、管理場所の手配が間に合わず、市内唯一の保管所では、荷受けと搬出作業が混乱。
午後6時には、物資を積んだトラックが15台ほど並んだ。
鹿児島県から水を運んできたという男性運転手(53)は、「5時間たっても荷下ろしできていない」。
市の担当者は、「初めての事態で、混乱している」と話した。
町職員は、「人員がとにかく足りない」とこぼす。
仕分け作業などを期待されるボランティアも、余震が続いているため、「受け入れはできない」(県社会福祉協議会)という。
過去の教訓を踏まえた解決策も確立されつつある。
原則は、深刻な被害に見舞われた地域の外で、大量の救援物資を仕分けすることだ。
室崎益輝・神戸大名誉教授(都市防災論)によると、07年の新潟県中越沖地震では、当初、被災地の新潟県刈村や柏崎市が物資の集積拠点になり、輸送が滞った。
このため、手前の長岡市に拠点を変え、各避難所向けに物資を小分けにしたことで、作業がスムーズになった。
室崎氏は、「国や県、自衛隊は大量に物資を被災地に送るのは得意だが、避難者一人一人の要望に合わせるのは苦手。もっと民間に任せるという発想が必要だ」と指摘する。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4K6DX3J4KTIPE02P.html?ref=nmail
『給油復旧、業界急ぐ 輸送体制見直し 近隣県から運搬車入れ』
(4月20日 毎日新聞東京版朝刊 ;趣旨・要約)
石油元売り最大手のJXエネルギーは、同県内のガソリンスタンド240店のうち、17日は54店が休業したが、その後は復旧が進み、休業は19日現在、5店になった。
だが、石油製品を一時貯蔵する油槽所から店舗までの道路が一部で寸断したままで、タンクローリーの到着が遅れる地域がある。
このため、近隣県からタンクローリーを派遣するなど、輸送体制を見直している。
停電した地域には、九州電力などがディーゼルエンジンなどで発電する電源車計137台を配置している。
石油元売り大手で構成する「石油連盟」は、電力供給が途切れないよう元売り各社に要請し、小型のタンクローリーやドラム缶で電源車に給油している。
東日本大震災の教訓から生まれた取り組みもある。
大震災時に、被災各地のガソリン不足に石油元売り各社が連携して対応できなかった反省から、2012年に石油備蓄法が改正され、石油元売り会社は災害時に共同作業態勢を取ることが義務付けられた。
石油連盟は、16日、東京都内に共同オペレーションルームを設置。
加盟各社の製油所や油槽所の在庫情報を共有し、被災地から緊急要請があった場合、最も近い輸送ルートから供給している。
http://mainichi.jp/articles/20160420/ddm/008/040/051000c
『支援物資の受け入れ、一時中断 益城町・熊本市など』
(2016年4月23日23時44分 朝日新聞 ;趣旨・要約)
南阿蘇は、23日から物資の受け入れを一時中断した。
村に寄せられた物資が集まる旧久木野中体育館には、食品や水、紙おむつなどがうずたかく積まれている。
物資は20日ごろから急に増えたといい、自衛隊員や他の自治体職員ら、約100人が整理にあたった。
村職員は、「とてもありがたいことだが、これ以上置く場所がない」。
避難所生活は長期化する見通しで、避難所から要望があれば、食料や日用品などの受け入れを再開するという。
熊本市も、23日、受け入れ中断を決めた。21日に引き続き2度目。
受け入れ場所に支援物資が大量に集まり、トラックの積み荷下ろしに人手を取られ、避難所に届けられないためだという。
益城町も、23日、受け入れを一時中断した。
町職員は、「全国の皆さんの善意はすごい。賞味期限もあり、無駄にしたくない。もう少し待ってくださいということになった」と話した。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4R5RP8J4RTIPE02H.html
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
『避難所に必要な物資、迅速に…支援システム運用』
(4月27日13時31分 読売新聞 ;趣旨・要約)
熊本地震の避難所に必要な物資を効率よく迅速に届けるため、政府と熊本県の対策本部は、27日から、タブレット端末を使った支援システムの運用を始める。
政府現地対策本部によると、これまでは国や県、市町村の職員が避難所を回ったり、電話やファクスを使ったりして必要な物資を把握。
各避難所の要望を一覧表にまとめたうえで、避難所がある市町村の備蓄で対応できるのか、県や国が調達するのかなどを調整していた。
このため、要望を聞いてから発注するまで、1日以上かかることもあった。
導入した支援システムでは、各避難所に通信機能を備えた専用のタブレット端末を配布。
避難所に派遣された市町村の職員らが、画面上で食品やベビー用品など必要な物資と数量を選択し、「要請」ボタンを押すと、データセンターに情報が送られ、行政機関側の端末に内容が表示される。
行政側では、まず地元の市町村の担当者が対応可能かどうかを判断し、端末に回答を入力。
対応できない場合、県や国が備蓄物資を供給するか、メーカーに発注する。
避難所別に必要な物資をすぐに把握できるほか、端末には「未対応」、「発送済み」などの経過や履歴も表示され、発注の重複や聞き漏らしも防げるという。
このシステムは、東日本大震災の際、被災地によっては物資が届かなかったり、効率よく届けることが難しかったりしたことから、日本IBMが開発した。
同社によると、東日本大震災では、発生から約2か月後に導入した。
今回もそのシステムを活用し、同社がシステムを、ソフトバンクが端末1000台を無償で提供する。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160427-OYT1T50035.html
『救援物資倉庫、運送業者に一任』
(2016年4月29日 毎日新聞 東京版朝刊 ;趣旨・要約)
多数の被災者に水や食料を素早く配るにはどうすればいいか。熊本地震で突きつけられた課題だ。
今、新たな防災倉庫のあり方が模索されている。
熊本県が、物資の備蓄・分配の場所にするつもりだった熊本市内の三つの施設は、地震で損傷し、役割を果たせなかった。
指定避難所の多くも、建物が壊れて使えなくなり、ショッピングモールのような指定外の場所に住民が殺到し、物資の配給は大きく遅れた。
同じようなことは、5年前の東日本大震災でも起きた。
その反省を踏まえ、自治体と運送の業界団体が手を組む動きが出ている。
常磐自動車道水戸インターチェンジ(IC)に近い水戸市小吹町。
茨城県トラック協会の敷地に、来年3月完成を目指し、約1200m2の防災倉庫の建設が進む。
約1億6300万円の建設費や備蓄物資の購入は県が担い、いざという時の運用は協会に任せる。
自治体が管理する倉庫に業者が取りに行く一般的な方法より、格段に初動が早い。
「足のはえた防災倉庫」。災害時の物流問題に詳しい流通経済大の矢野裕児教授は、こう呼んで効果に期待を寄せる。
きっかけは東日本大震災だった。
東北の被災3県に次ぐ大きな被害を受けた茨城県は、地震発生からしばらく「食料難」に陥った。
県は、当時、流通業者らと災害時に商品を救援物資として供出してもらう協定を結んでいたが、業者の備蓄倉庫の多くが地震で壊れ、物資を取り出せなかった。
県の倉庫は無事だったが、被災者約23万人分の食事の半分しか手当てできなくなったのだ。
県外からの救援物資は東北が優先され、県内に物資が届き始めたのは発生2〜3日後だった。
大久保・防災・危機管理課長補佐は、「行政には仕分けや輸送についてのノウハウも人材もないので業者に託すしかない。ならば、できるだけタイムラグのない方法として、今回の防災倉庫を発想しました」と話す。
東海・東南海・南海地震に備える愛知県でも、同様の取り組みが進んでいる。
同県みよし市の東名高速道路東名三好ICから約1kmに建設された県トラック協会中部トラック総合研修センター。
約8万3000m2の広大な敷地に、約3300m2の防災倉庫を建設中だ。
完成予定は今年11月。
総工費約6億円は、県からの補助金でまかなう。
愛知県も、茨城県と同様に、災害時の物資輸送は県トラック協会に委託する。
県と協会は、研修センターを使って多様な有事を想定した輸送訓練も行い、全国初の「災害輸送の専門家」を育てることも目指す。
矢野教授は、熊本地震の教訓として、県の中枢が被災したときは、
▽近接の県に物流拠点を置く
▽人員に限界がある小さな自治体には、発生直後からのサポートが重要
などを挙げる。
「一つとして同じ災害はない。想定外をいかに減らすかが問われている」。
矢野教授は、救援物資を倉庫に山積みしているだけの自治体に警鐘を鳴らしている。
出典
『救援物資倉庫、運送業者に一任』
http://mainichi.jp/articles/20160429/ddm/013/040/049000c
2016年5月4日3時5分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
熊本県などの一連の地震で、熊本市内陸部の長さ約5km、最大幅100mの細長い範囲に地盤の液状化による被害が集中していることが、地盤工学会の現地調査でわかった。
現在は住宅地で、地表からは見分けがつかないが、かつて川が流れていた「旧河道」とみられる。
土砂が堆積した場所に沿って、「液状化の帯」が生じた可能性があるという。
学会調査団の村上哲・福岡大教授(地盤防災工学)らは、4月22日~5月1日、液状化の現地調査を実施。
熊本市では、南区を中心に、地中から噴き出した砂が建物の周囲や道路などに広がる「噴砂」を確認した。
建物が沈み込んで大きく傾いたり、逆に、建物の周囲が最大75cm沈下したりした場所も見つかった。
中には、応急危険度判定で立ち入り「危険」を示す赤い紙が貼られている住宅も、多数あった。
発生地点は、海岸から約8kmの内陸部。
阿蘇から有明海へ流れる白川と加勢川に挟まれた、幅約50~100mの帯状のエリアに集中していた。
地元の河川に詳しい大本照憲・熊本大教授(河川工学)によると、この範囲は、川の氾濫で運ばれた土砂が堆積してできた「自然堤防」という地形とほぼ重なり、白川の旧河道の可能性があるという。
江戸時代の絵図では郡の境界にほぼ該当し、「川が郡界として利用されていた可能性が高い」とみる。
現地調査では、熊本市の隣の嘉島町でも、旧河道だった場所で液状化が見つかった。
村上教授は、「かつて川を埋めた所が、土質や水分の影響で液状化しやすかったのかもしれない。東日本大震災では、千葉県浦安市など、沿岸部の埋め立て地で液状化が目立ったが、今回のように内陸でも発生する。家を建てる前に地盤調査をするなどの対策が必要だ」と指摘している。
出典
『熊本内陸部に「液状化の帯」 全長5キロ、「旧河道」か』
http://digital.asahi.com/articles/ASJ535GVDJ53ULBJ004.html?rm=562
4月23日に「前兆かも」という意見を紹介したが、その後、それを否定する意見などが報道されたので、紹介する。
4月23日付の第1報は下記参照。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/5839/
(2016年4月24日9時15分 産経新聞 ;図解付き)
発生から24日で10日を迎えた熊本地震。
西日本の南海トラフで起きる地震の前兆ではないかと心配する声もネット上などでみられるが、専門家は、「無関係」と否定している。
熊本地震は九州以南の特異な地殻変動と関連しており、沖縄地方の地震活動に影響を与える可能性も懸念されている。
南海トラフでは、フィリピン海プレート(岩板)が陸のプレートの下に沈み込んでいる。
この影響で、西日本の陸地は北西方向に押されてひずみが蓄積しており、マグニチュード(M)8級の南海トラフ地震が近づくと活断層が動いて、内陸の直下型地震が増えることが知られている。
昭和19年の東南海地震では、発生前の数十年間に、鳥取地震(M7・2)などの直下型が多発。
平成7年の阪神大震災(M7・3)も、次の南海トラフ地震の準備過程の一つとみられる。
では、今回も“前兆”なのか。
名古屋大の山岡耕春教授(地震学)は、「内陸で地震が活発化するのは中国、四国地方までで、九州は関係ない。熊本地震が南海トラフ地震の引き金になることもない」と否定する。
九州南西沖から沖縄地方の海域には、「沖縄トラフ」と呼ばれる海底盆地が伸びている。
ここは、南海トラフと違って海溝ではなく、海底を南北に引っ張り拡大するような力が働く。
この影響は九州中部にも及んでいるとされ、熊本県などに「別府・島原地溝帯」という溝状の地形を形成。周辺に多くの活断層ができた。
熊本地震は、こうした大規模な地殻変動を背景に起きたもので、気象庁も、「南海トラフ地震とは仕組みが異なり、影響を与えることはない」とみている。
地震活動は、今後、さらに東西へ拡大するのか。
地溝帯の東側には、16世紀に広範囲で連動した中央構造線断層帯という長大な活断層が隣接しているが、東大地震研究所の古村孝志教授(地震学)は、「発生間隔は2000~3000年で、次の地震のエネルギーはまだ十分にたまっておらず、影響する可能性は低い」と話す。
一方、西側の沖縄トラフはどうか。
琉球大の中村衛教授(地震学)は、「熊本から遠い上、多数の細かい断層の集まりのため北部を除いて影響しない」とみる。
古村教授は、「沖縄トラフ北東端に近い鹿児島県の甑(こしき)島周辺では、昨年11月から今年にかけて、最大M7級の地震が続いていた。これらが逆に熊本地震に影響を与えた可能性もある。沖縄トラフの今後の地震活動は分からないが、津波を伴うM7級が発生する恐れがあり、警戒を怠ってはならない」と指摘している。
出典
『「熊本」は「南海トラフ」の引き金にはならない…専門家指摘も「沖縄」の地震活動には影響か』
http://www.sankei.com/affairs/news/160424/afr1604240010-n1.html
一方、関係があるかもしれないという意見も報道されていた。
(2016年4月21日 ダイヤモンドオンライン ;図解付き、長文の一部のみ紹介)
『地球物理学(地震学)の専門家、島村英紀・武蔵野学院大学特任教授の話し』
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災を引き起こした)や、東海地震、南海トラフ巨大地震などは海溝型。
一方、熊本地震は活断層が起こした内陸型(直下型)。
地震発生のメカニズムが違う。
ただ、私は、熊本地震が起こった背景には、南海トラフに関係するプレートによる圧力が働いた可能性がある、と考えている。
南海トラフは、静岡の駿河湾から九州の宮崎沖まで続く海底の溝(トラフ)で、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む場所。
熊本地震が南海トラフ巨大地震の引き金になるとは思えない。
小が大に影響を及ぼすことはないから。
しかし、逆に、南海トラフでの動きが九州の活断層に影響を与え、その結果として熊本地震が起きた可能性はある。
出典
『熊本地震と阿蘇山噴火、南海トラフは関連するのか』
http://diamond.jp/articles/-/89997
(ブログ者コメント)
他にも、以下の報道があったが、転載は省略する。
『熊本地震 半月 地震、やまぬ連鎖 回数は1000回超』
(2016年4月30日6時15分 毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160430/k00/00m/040/118000c
2016年4月16日付で現代ビジネスから、『「熊本地震は南海トラフ地震の前兆かもしれない」専門家が警告』というタイトルの立命館大学高橋教授の寄稿文?(各地震ステージの解説図付き)が、下記趣旨でネット配信されていた。
4月14日21時26分に北緯32.7°、東経130.8°、深さ11kmを震源とした、震度7、M6.5の地震が熊本県で発生した。
いわゆる内陸直下型地震であり、2004年に起きた中越地震同様に、多くの余震が続いている。
この地震は、非常に「いやな位置」で発生した地震である。
というのも、この震源が阿蘇山のすぐふもとを走る布田川断層であると考えられるからだ。
阿蘇山というのは、長野、静岡、愛知、和歌山から四国を突き抜け、九州に至る巨大な断層の集中帯の上にある。
このことを考慮すると、最悪の場合、長野や静岡、四国、九州で、今回と同じような内陸直下地震が立て続けに起こる可能性があるのだ。
そして、その先には、南海トラフの巨大地震が控えている。
イメージとして、今回の熊本の地震は、2011年3月11日に起こった東北地方・太平洋沖地震(東日本大震災)に先立って発生した、岩手・宮城内陸地震(08年)と類似していると考えていただきたい。
というのも、熊本地震が発生する以前、福岡の警固(けご)断層や兵庫県の山崎断層で、震度1に満たないような地震が頻発していたからだ。
これは、宮城内陸地震の前兆と似ている。
そう考えると、またひとつ大きな地震が起きる、とも推測できる。
また、熊本では、2月12日以降、深さ10kmでM1.7~M2.7の地震が発生していた。
これらの地震は規模が小さく、とるに足りないようにみえた。
しかし、これらの地震を発生させているエネルギーの流れを詳しく見ていくと、台湾~琉球諸島~西日本~中部日本~東日本の一部の位置するユーラシアプレートと、その下にもぐり込んで圧縮しているフィリピン海プレートにまでたどり着く。
こうしたプレートの動き全体をみる必要性があり、今回の熊本の地震だけでは収まらないと考えるのが、自然なのである。
事実、4月1日には、東南海地震を彷彿させるM6.1の地震が、紀伊半島沖で発生している。
さらに、4月10日には、兵庫県神戸市南東部の六甲断層系でM4.3とM3.5の地震が続いた。
ここに至り、台湾から東日本の一部までを全体として捉え、それらの地震を関連付けて考えるのは間違いでないと、確信するようになった。
筆者はすでに、プレートの動きと、内陸直下型地震、火山噴火、プレート(海溝)型地震の関係を図のように整理している。
結論を先に言うと、台湾~沖縄~西日本~東日本の一部ではステージ3以降を、東日本ではステージ4以降に注意をはらう必要がある。
【ステージ1】
フィリピン海プレートや太平洋プレートがユーラシアプレートや北米プレートに沈み込み、その圧力でユーラシアプレートや北米プレートが割れ、内陸直下型地震が生じる。
兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)などが、これにあたる。
このときのマグニチュードはM7.2で、日本では、5年に3回程度起きる地震である。
兵庫南部地震の場合、神戸という大都市直下で地震が発生したため、マグニチュードに比して震度が大きく、建物の倒壊などの被害相次いだ。
【ステージ2】
ユーラシアプレートや北米プレートにあるマグマ溜まりが圧縮されて、火山が噴火する。
口永良部島、桜島、阿蘇山などが、この例である。
この段階の火山噴火は、マグマ溜まりにあるマグマが噴出してしまえば一段落するので、それ以上大きくはならない。
2009年から現在まで続く九州各地の火山がこれにあたる。
【ステージ3】
ユーラシアプレートや北米プレートが耐えかねて跳ね上がり、巨大なプレート型(海溝型)地震が発生する。
その前に、ステージ1のように、内陸直下型地震が起きることがある。
今回の熊本の地震は、おそらくこれにあたると筆者は考えている。
【ステージ4】
プレート間の摩擦が減少したため、従来よりも数倍の速い速度で、太平洋プレートやフィリピン海プレートが北米プレートやユーラシアプレートの下にもぐり込み、二つのことが引き起こされる。
一つは、もぐり込んだプレートが溶けてマグマとなり、火山の巨大噴火を引き起こすことだ。
もう一つは、沈み込むプレートの速度が速くなり過ぎて、太平洋プレートやフィリピン海プレートがちぎれて(正断層)、再び、海底でアウターライズ型地震(再度、大きな地震が発生すること)が発生すること。
今回、もうひとつ気にかかるのは、4月14日前後に、日本だけではなく、フィリピン海プレートとインド・オーストラリアプレート境のフィリピン海、太平洋プレートとインド・オーストラリアプレート境のバヌアツ、太平洋プレートと北米プレート境のカムチャッカ半島でも、大規模な地震が起きていることである。
フィリピン海プレートは比較的小さなプレートで、その東側と北側には太平洋プレートがもぐり込んでいる。
これまで、あまり注目されてこなかったプレート同士ではあるが、フィリピン海プレートの圧力を受けている桜島の噴火が2009年頃から急増し、2011年にピークに達したことや、西之島新島が形成されたことなどをみると、今後、フィリピン海プレートと太平洋プレートの関係にも注目していかねばならない。
特に、首都直下型地震の可能性を考える場合、これらの関係は極めて重要である。
今回の熊本の地震は、ステージ3の南海トラフ地震の「前奏曲的」な意味合いが強いと考えられる。
筆者は、2020年東京オリンピックまでに、南海トラフ地震の発生が懸念される状況にあると考えている。
筆者の推計では、南海トラフ地震の津波被害者は、47~50万人である。
熊本地震を単体のものとしてとらえず、日本全体の「危機の前兆」と認識し、対策を講ずる必要があるのだ。
出典
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48455
(ブログ者コメント)
熊本地震の数日後に、南米エクアドルでM7.8の地震が起きた。
プレート図で見ると、震源は太平洋プレートの東端と境を接するココスプレートの東端のように見える。
熊本地震と何らかの関係があるのだろうか?
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。