2018年2月27日6時0分に日本経済新聞電子版から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
日本の津々浦々にある多くの橋は、水を含んだ緩く堆積した地盤に建てられている。
大きな地震の時に地中から水が浮き出して構造物を損傷する液状化現象は、たびたび発生する。
液状化による道路橋の損傷を防ぐ新技術の効果を確認するため、国立研究開発法人土木研究所(茨城県つくば市)は2月15日、大規模な実証実験を実施した。
実験は、防災科学技術研究所の大型実験設備「E―ディフェンス」(兵庫県三木市)で行った。
構内には、幅16m、奥行き4m、高さ4.5mの箱型の建物が用意された。
建物の中には、実際の道路橋の橋台部分とその地盤を丸ごと22%の大きさに縮小した模型が置かれた。
模型の一つは、コンクリート製の杭同士をつなぐように鋼板で壁をつくった、新技術を活用して補強した杭。
もう一方は、現状使われている、補強なしの杭だ。
「これから世界最大規模の実験を実施します」。
構内に流れたアナウンスとともに、建物が揺れ始めた。
7年前の東日本大震災の時に栃木県で観測された震度6強程度を模した揺れは、約2分間続いた。
地上6階にいた報道陣の足元にも、振動が伝わった。
肉眼ではかすかにしか確認されなかったが、揺れからわずか50秒で、地盤の一部に液状化があったという。
液状化に伴って起こる側面から橋に力を加える「側方流動」も確認。
実験は成功した。
詳しい解析の結果、実験のポイントである新技術の補強効果はあったと判断された。
特に、地中に埋まっている杭の曲がり具合を調べるデータで、顕著な結果が得られた。
土木研の橋梁構造研究グループの大住・上席研究員の説明によると、補強を施していない杭は中間部分で大きく曲がった。
補強した杭は側面からの力が抑えられ、ほとんど曲がらなかった。
橋台も、液状化後、前方へ動いていた。
特に、新技術で補強していない模型の方が、変位が顕著だったという。
大住上席研究員は、「既存の構造の側面を補強する鋼管をつけることで補強効果がみられた」と強調した。
新技術は、液状化への効果だけでなく、工事のしやすさにも利点があるという。
橋の側面に補強材料を取り付けるだけの工法なので、一から橋を造り直すことがない。
土木研の構造物メンテナンス研究センター七沢上席研究員は、「今回の工法は、道路の通行を止めずに工事ができる」と話す。
東日本大震災では、東京湾沿いなどで液状化現象が起きた。
阪神大震災でも、臨海部の橋が大きく損傷するなど、液状化現象の脅威を社会に知らしめた。
しかし、古い道路橋は、液状化の影響を考慮していない例が多い。
こうした道路橋は、日本全体の約4分の1を占める。
今後、大地震が発生すれば、大きな被害が起こる可能性がある。
液状化により既存の橋が受ける影響を精度良く評価する手法の開発など、課題は多い。
だが、橋を守る最新技術の効果が実験で確認できただけに、早期の実用化がのぞまれる。
出典
『液状化から橋守ります 「E―ディフェンス」兵庫で実験』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27250940S8A220C1000000/
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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