2021年11月9日7時30分にYAHOOニュース(COURRiER JAPON)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
英紙「フィナンシャル・タイムズ」の東京特派員レオ・ルイスが、先日の京王線刺傷事件について、日本の企業文化に焦点を当てた興味深い考察をしている。
ルイスによれば、日本のワイドショーでは、犯人があの紫のスーツをいくらで購入したかが話題になったりしていたが、この事件でもっと注目されるべきだったのは、規則を守ることが優先され、個人のイニシアティブが発揮できない日本の企業文化だったかもしれないという。
この事件では、携帯電話で撮影された電車内を逃げ回る乗客たちの姿や、コミック「バットマン」の悪役ジョーカーに扮した容疑者がタバコをくゆらせる映像が、人々の恐怖をかき立てた。
だがルイスは、もう一つのおぞましい光景として、容疑者の服部K太とは関係のない、むしろ「京王線のスタッフが関与していた」映像を挙げる。
燃える電車の小さな窓から必死で脱出しようとする乗客たちを捉えた場面だ。
乗客が非常通報ボタンを押したために電車は緊急停止したが、車掌と運転士はドアを開けなかった。
何が起きているか事態を把握できなかったため、そして、自殺や事故防止のために設置されているプラットフォームのドアとぴったり一致する場所で電車を停止させることができなかったためだ。
ルイスは、この京王線スタッフの判断について、「順応性のなさ」を指摘する。
「恐怖を覚えたのは、あの正気を失った一匹狼に対してだけではない。臨機応変な対応が求められる時があることを認識していない制度的欠陥にも恐怖心を抱いた。緊急時だけでなく、どんな状況であれ、組織のルールや慣習から外れた解決策が必要とされる時があるのだ」
【出る杭は打たれる】
ルイスは、都内の電車や地下鉄網の清潔で定刻通りのサービスを称え、それは無数の信頼の上に成り立っている東京の巨大なシステムの好例だと指摘する。
人々、制度、企業間の信頼が重なり合っているからこそ、東京という大都市がうまく(おおむね平和に)機能しているというのだ。
ただし、その信頼ゆえに個人で判断ができなくなってしまっているところがあり、今回の京王線刺傷事件でそれが浮き彫りになったと懸念する。
「そうした懸念はリアルである。というのも、東京で会社に勤める人たちは、企業内で個人がイニシアティブを発揮しようとすると抑圧される問題があることを直感的にわかっているからだ」とルイスは指摘している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d2dcb0eae64e1d6414a676205f46b72a2a556be
(ブログ者コメント)
〇外国では事故の原因を個人に求める傾向が強いと聞いていたが、この特派員の方、背景や組織にまで言及している点に興味を抱いたので紹介する。
〇しかしながら、ホームドアのある位置に扉がくるよう電車を停められなかったのは、車掌がすぐに事態を把握できなかったこと以外、乗客が非常ブレーキを作動させたためシステム上、ピタリと停められず、電車を動かそうにもホームドアに足をかけて脱出中の乗客がいたので断念した・・・そういった理由は本ブログでも紹介したところだが、それらの情報が、この特派員の方には届いていなかったとみえる。
(そういった情報を知る前の考察だったのかもしれないが)
ブログ者も、これまで、不足している情報だけで事故原因を推測するコメントを何度も書いている。
中には、かなり、ピント外れのコメントになっていることも多いことだろう。
しかし、それを承知で、推測コメントを書き続けている。
それは、
①本ブログで事故情報を紹介している目的の一つは、類似事故再発防止のための情報を提供すること。よって、可能な範囲でそのヒントを提示したい。たとえピント外れであっても、読者の皆さんにとって何らかの参考になるかもしれないし・・・。
②事故を報じるメディアの人にコメントを読んでいただければ、こういったニーズがあるのだなあと認識していただけるかもしれず、そうすれば、もう少し、事故の原因や背景についての報道が増えるのではないか?
と考えていることが理由だ。
ともあれ、今回の情報を他山の石として、コメント記載時には、より一層の注意を払うことにしたいものだ・・・そういういう意味で、自戒を込めて、この情報を掲載した。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。