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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2022615715分にYAHOOニュース(ITmedia)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

魚介類にひそむ寄生虫「アニサキス」による食中毒被害が相次いでいる。
胃を突き刺すように侵入し、下腹部の激しい痛みや嘔吐を引き起こすとされる。

この食中毒を防ぐため、創業以来30年以上に渡り、アニサキスと戦い続けてきた水産加工会社がある。

「日本の生食文化を守りたい」との一心で試行錯誤を重ね、昨年6月、切り身に電気を瞬間的に流してアニサキスを殺虫する画期的な装置を開発した。

開発秘話を社長に聞いた。

「暗闇の中で一筋の光が差したような気持ちでした」  

開発の成功をこう振り返るのは、福岡市の水産加工メーカー、ジャパンシーフーズの井上社長だ。

同社は1987年設立。
主にアジやサバの生食加工品を手掛け、スーパーマーケットや飲食店に卸している。
アジの生食用加工食品で国内トップシェアを誇る。

ジャパンシーフーズが熊本大学などと連携し開発した「アニサキス殺虫装置」は、切り身に100メガワットの電気を瞬間的に流すことで、アニサキスを殺虫する仕組みだ。
一度に3キロのアジの切り身を6分で処理できる。

開発までには、血のにじむような試行錯誤の連続だったと井上社長は明かす。

 

【アニサキス加熱報道で売り上げ大幅減も】

近年、盛んに話題に上るアニサキス食中毒だが、この食中毒自体は、かつてから存在する。

アニサキスは、サバやアジのほか、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生。
白色で少し太い糸のような見た目をし、長さは23センチ、幅は0.51ミリと、目視できる大きさだ。

もともと魚介類の内臓に寄生しているが、魚介類が死亡し時間が経つと、内臓から筋肉に移動することが知られている。

厚生労働省がまとめた21年の食中毒発生件数は717件。

新型コロナウイルス対策による衛生意識の向上などで、発生件数は過去20年で最少となったが、このうち半数近い344件が、アニサキスによるものだ。

次いで、カンピロバクター(154件)、ノロウイルス(72件)と続く。

食中毒の発生件数は、アニサキスを原因とするものが18年以来、4年連続1位となっている。

17年にはお笑いコンビ「品川庄司」の庄司智春さんがサケイクラ丼を食べ、8匹のアニサキスが胃に入り、激しい腹痛に襲われたというニュースが盛んに報じられた。

こうしたアニサキス食中毒をめぐる盛んな報道で、消費者の生食への警戒感が高まり、ジャパンシーフーズの売り上げは、20%近く落ち込んだこともあったという。

「生食をやめて、すべて冷凍にする必要があるかもしれないという思いが常に頭をよぎっていました。そうなると、売り上げも落ち、何より日本の食文化である刺身がなくなってしまいます」

井上社長は、そんな危機感が常にあったと振り返る。

 

【アニサキスに人工カミナリを打つ計画も】

アニサキスの有効な殺虫方法は、冷凍(マイナス20℃で24時間以上)するか、加熱(70℃以上、または60℃で1分)するかだが、それでは刺身の品質や鮮度が落ちてしまう。

生食の品質・鮮度を保ちつつ、アニサキスを撲滅できる方法はないか――。

井上社長はさまざまな手立てを講じた。

独自開発した紫外線LED(発光ダイオード)を加工ラインに導入し、切り身に紫外線を照射、付着したアニサキスを目視で発見しやすいようにした。

しかし、これでは、身の中に潜り込んだアニサキスを見つけ出すことはできず、対策は十分ではなかった。

このほかにも、近赤外線、超音波装置……と、さまざまな実験を重ねた。

福岡大学に依頼し、アニサキスに人工雷を打たせて殺虫する実験も実施したが、雷がうまく切り身に当たらず、成功には至らなかった。

試行錯誤を続ける中、18年に福岡大学から「アニサキス問題を解決できるかもしれない」と、熊本大学の浪平隆男准教授を紹介してもらった。

冷凍・加熱以外でアニサキスを殺虫する方法として、「パルスパワー」という瞬間的な超巨大電力を用いた新たな殺虫方法を開発。

こうして、世界にも類例がない悲願の「アニサキス殺虫装置」が誕生するに至った。

 

【次世代機の開発にも着手】

現在、ジャパンシーフーズの工場ではアニサキス殺虫装置1台が稼働する。

昨秋から、装置で殺虫処理をした生食用刺身の出荷を始めている。

一方、装置は実験機との位置づけで、1日あたりの殺虫処理能力は、アジの切り身で約5060キロ。

ジャパンシーフーズは1日あたり約4トンの加工食品を生産しており、殺虫処理能力としてはまだまだ十分ではない。

不足分は、今も水流でアニサキスを弾き飛ばしたり、紫外線を使った目視検査のほか、身に潜らないように鮮度管理を徹底したりする――などの対応を重ねている。

ジャパンシーフーズは現在、実験機に代わる次世代型の、大量処理が可能な装置の開発も進めている。

現状は、切り身を装置に入れて、処理後に装置から取り出すといった人手を使う作業が必要だが、次世代機はコンベアを用いた流れ作業の中で、電流を加える仕組みを採用するという。

次世代機は3年後の25年の完成を目指しているという。

 

【サンマの刺身が店頭に並ぶ日も】

次世代機も工場用途を目的とした装置だが、さらに小型化を実現し、飲食店などでの設置を目指した開発も視野に入れている。

「当初、サンマの刺身がスーパーの店頭にも並んでいましたが、アニサキスが盛んに報じられるようになってからは、全く見なくなりました」(井上社長)

サンマやイワシなど小型の魚は、冷凍すると品質が著しく劣化する。

漁獲量の減少などの影響もあるが、冷凍に向かない魚は店頭から消えてしまった。

飲食店向けの小型装置が実現すれば、サンマの刺身の販売も可能になる。

「アニサキスへの懸念からなくなってしまった刺身を復活できるかもしれない」と、井上社長は期待を込める。

「日本の生食文化を守りたい」――。

そんな社長の執念から生まれた装置が実用化され、アニサキス食中毒を撲滅する日はそう遠くないのかもしれない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f6a7dfefa9eac8135a8853d0b424601796737cdd

 

(2023年12月25日 修正1 ;追記)

202312211557分に読売新聞からは、鯵で技術が確立した、今後は違う魚種やアニサキス以外の寄生虫、ジビエ肉にも研究の幅を広げていくなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)

魚介類に寄生して食中毒をもたらす「アニサキス」を死滅させるため、熊本大が電気エネルギーを使った殺虫方法の研究を進めている。

アジでは、刺し身の品質を損なわずに感電死させる技術を確立した。

併せて対象魚種の拡大や、別の寄生虫への応用も目指しており、関係者は「生魚や生肉を安全においしく食べられるようにしたい」と話している。

長さ2~3センチ、幅0・5~1ミリ。
白い糸のように見える物体がくねくねと動く。
アジやサバなどに寄生するアニサキスの幼虫だ。

国は死滅させる方法について、マイナス20度で24時間以上冷凍するか、60度で1分加熱することを推奨している。

ほかに目視で除去する方法がある。

刺し身は冷凍すると食感が悪くなり、色あせも早い。

除去では取り逃がす可能性がある。

冷凍せず消費者に安全な生魚をどう届けるか。

水産業界は紫外線やX線、超音波、高圧力などを試したが、有効な手段は見つからなかった。

注目されたのが、瞬間的に発生させた巨大電力「パルスパワー」の活用だ。
コンデンサーに蓄積した電気エネルギーを一気に取り出す。

この技術を研究してきた熊本大産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授(電気工学)が、福岡市の水産加工会社からの依頼で、2021年に技術を確立させた。
4年を費やしたという。

技術はこうだ。

塩水に浸したアジの切り身に電子レンジ10万台分となる1億ワットの電力を瞬間的(100万分の1秒)にかける。
約200秒間にわたり、300~350回繰り返す。

電流は一瞬のため、身の温度が上がらず、刺し身の品質を保ったまま殺虫できる。

浪平准教授は「感電死なので、加熱死と比べてアジへの影響が小さい」と説明する。

現在は、アジより身が軟らかいサバや、骨が多いサンマ、身が厚いサーモンを対象としている。

特徴に合わせて品質とアニサキスの殺虫を両立させる技術の確立を目指す。

アニサキス以外の寄生虫の殺虫も視野に入れる。

シラウオの顎口虫、ヒラメのクドア、ホタルイカの旋尾線虫などを想定する。

馬刺しや、狩猟で獲たイノシシやシカなど野生動物の肉「ジビエ」も寄生虫の恐れがあり、生肉での殺虫技術の確立に挑む。

 

【研究費、寄付募る】

研究費について、熊本大はクラウドファンディング(CF)を活用している。

対象魚種の拡大に400万円、魚介類でアニサキス以外の寄生虫への研究に1000万円、野生動物向けなどに1600万円と、それぞれ寄付額の目標を設定した。

締めきりは26日。
約40日間で計約1100万円が集まっている。

アジで確立した技術は、依頼した水産会社が活用しており、約2年で数十トンを出荷した。

熊本大は、今後の研究についても、殺虫装置の実用化を目指す。

浪平准教授は「研究対象を広げることで、生でおいしく安全に食べられる選択肢を残したい。CFで関心が示されれば、現実化の後押しとなり、装置をつくるメーカーが出てくれることにも期待したい」と力を込める。

 

【食中毒の6割566件】

アニサキスによる食中毒は増加傾向にある。

厚生労働省によると、届け出項目にアニサキスが加えられた2013年は88件だったが、22年には566件となり、過去最多となった。

22年に国が把握した食中毒の報告数は全部で962件。
アニサキスは6割近くを占め、カンピロバクター(185件)やノロウイルス(63件)を上回った。

ただ、実際のところ、アニサキスでの食中毒の患者数はさらに多いとみられる。

国立感染症研究所の杉山広・客員研究員(寄生虫学)がレセプト(診療報酬明細書)に明記された病名を解析。

10年前後の患者数は年間で推計約7000人だったが、17、18年は約2万人に増えた。

アニサキスが食中毒の原因物質に加わったことや、芸能人がアニサキスで食中毒を発症して認知度が上がり、受診が増えたことが大きいという。

https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231221-OYTNT50108/

 

  

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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