2022年9月9日16時23分にNHK熊本から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
食中毒の原因となる魚介類の寄生虫「アニサキス」を瞬間的に電気を流して殺虫する技術を開発した熊本大学が、東南アジアのラオスで、がんのリスクにもなると問題になっている寄生虫の殺虫に応用できるか研究を進める方針であることがわかりました。
熊本大学の浪平隆男准教授らの研究グループは、生魚の身に1万5000ボルトの電圧を瞬間的に打ち込むことで、食中毒を引き起こす寄生虫「アニサキス」を殺虫する世界で初めての技術を開発しました。
この技術について、研究グループが東南アジアのラオスなどでまん延する「タイ肝吸虫症」の対策にも応用できるか、新たに国立国際医療研究センターなどと研究を進める方針であることがわかりました。
「タイ肝吸虫症」は、WHO=世界保健機関が「顧みられない熱帯病」の1つに挙げていて、胆管がんのリスクになり魚に寄生する「タイ肝吸虫」が原因となっています。
熊本市中央区の熊本大学では8日、研究者や企業の関係者が勉強会を開き、ラオスの家庭や市場でこの技術をどのように応用できるかなどを議論していました。
この技術を使った実験では、アニサキスを仕込んだアジの切り身を専用の装置に入れたあと、高電圧をかけ、アニサキスを殺虫できたかどうか確かめていました。
グループによりますと、この研究はAMED=日本医療研究開発機構とJICA=国際協力機構が開発途上国とともに進める研究プログラムに仮採択されていて、今後、ラオスとの実務協議を経て共同研究が開始される予定だということです。
浪平准教授は、「魚をおいしく、病気にならない状態で食べられるようにするのに役立ち、地球上から寄生虫による症状がなくなるような技術として発展させていきたい。今後はいかに小型で、安い価格で導入できるかが鍵になるだろう」と話していました。
「タイ肝吸虫」は、東南アジアのラオスやタイなどを流れるメコン川やその支流に生息するコイ科の淡水魚に幼虫の状態で寄生する、大きさが0.2ミリほどの寄生虫です。
ラオスの中南部では、魚を生の状態や発酵させて食べる文化があり、タイ肝吸虫が寄生した生の魚や発酵が不十分な魚を食べると、ヒトの胆管に寄生し、下痢を引き起こして最終的に胆管がんに進行することもあるということです。
WHO=世界保健機関は、開発途上国の貧困層を中心にまん延するフィラリアやデング熱、狂犬病などを「顧みられない熱帯病」として定義していますが、タイ肝吸虫症もその1つに挙げられています。
県によりますと、ことしに入り先月までに「アニサキス」による食中毒が4件、合わせて5人で起きています。
これは、去年の同じ時期を3人上回っていて、平成以降では最も多くなっています。
このうち、先月には水俣保健所管内で30代と40代の男女2人が腹痛やおう吐などの症状を訴え、体内からアニサキスが検出されました。
アニサキスは、サバやアジなどの魚介類に寄生し、生きたままヒトの体内に入ると、みぞおちや下腹部の激しい痛み、吐き気などを引き起こします。
厚生労働省は、新鮮な魚を選び速やかに内臓を取り除くこと、マイナス20度で24時間以上冷凍すること、70度以上、または60度なら1分間加熱することを呼びかけています。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20220909/5000016885.html
(ブログ者コメント)
今年6月、この技術を使った装置を福岡市の会社が開発し実験機稼働中という記事を本ブログで紹介している。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。