2019年3月19日20時0分に日本経済新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
米ボーイングの小型旅客機「737MAX」の墜落事故に関連し、機体を自動制御する「MCAS」と呼ぶシステムについて、操縦士が十分な説明や訓練を受けていなかった可能性が浮上している。
米メディアによると、同社はフライトシミュレーター訓練を提供せず、端末を用いた2時間程度の簡易訓練を実施したのみだったという。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、従来機種の「737NG」での飛行経験がある操縦士には、737MAXのフライトシミュレーターによる訓練を不要とした。
ボーイングが用意したのは、タブレット端末を用いて従来モデルとの変更点を説明する2時間ほどの教材と、13ページのマニュアルだったという。
新型機の導入時には、通常、操縦士は実際のコックピットを模したフライトシミュレーターを使って疑似飛行訓練を受ける。
だが、米連邦航空局(FAA)は737MAXを旧モデルの派生機種と認め、端末による簡易訓練で足りると認めた。
アメリカン航空の操縦士らはフライトシミュレーターによる訓練を求めたが、機材やデータがそろわないなどの理由で聞き入れられなかったという。
737MAXは昨年10月のライオンエア(インドネシア)に続き、10日にはエチオピア航空が墜落。
エチオピアの墜落現場から回収したブラックボックスの分析にあたったフランス航空事故調査局(BEA)は18日、「インドネシアの事故との明確な類似点が報告された」と発表した。
事故原因が単純な人為ミスではなく、機体やシステムの何らかの不具合だった可能性が強まった。
インドネシアの墜落事故ではMCASに用いるセンサーのデータに誤りがあり、システムが誤作動を起こした可能性が指摘されている。
操作マニュアルでは、MCASに不具合が生じた場合は手動操縦に切り替えて運航を継続することになっていたが、操縦士が新システムの操作に習熟していなかった可能性がある。
FAAは昨年10月のインドネシアの墜落事故後、ボーイングに操作マニュアルを改定するよう求めたが、訓練内容は変えなかった。
エチオピア航空の事故を受けて、FAAは制御ソフトの改修を指示。
操縦士の記憶に頼らない操作手順への変更を指示し、訓練要件の見直しも義務付けていた。
ボーイングのデニス・ミュイレンバーグ最高経営責任者(CEO)は18日のビデオメッセージで、「間もなくソフトウエアを更新して、新しい訓練方法を導入する」と語った。
格安航空会社(LCC)の台頭や燃費性能に優れた小型機の便数増で、旅客機のパイロットは恒常的に不足している。
新型機の受注競争では、時間のかかるフライトシミュレーター訓練が必要な機種より、端末による簡易訓練で済む機種が有利とされる。
習熟不足が2度の大惨事を招いたとすれば、簡易訓練を認めたFAAの安全管理が問題視される可能性もある。
出典
『ボーイング墜落事故原因、新機能の習熟不足が浮上』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42656750Z10C19A3TJ2000/
3月19日20時9分に朝日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
5カ月間に2度の墜落事故を起こした米ボーイングの最新鋭小型機「737MAX」をめぐって、米連邦航空局(FAA)の事故前後の振る舞いに、疑念の目が向けられている。
米議会などの検証が本格化しそうだ。
昨年10月にインドネシアで起きた最初の事故は、機体の傾きを測るセンサーから誤ったデータが送られ、航空機の失速を防ぐ飛行システムが誤作動。
自動的に機首を下げようとして墜落した。
今月10日のエチオピアの事故でも、「はっきりした類似点」(モゲス運輸相)が指摘されている。
このシステムは737MAXに新たに採用された。
従来の737型機よりも大きなエンジンを積んだせいで、機首が上がるなど機体が不安定になるのを防ぐためだったが、墜落事故を招いた可能性が疑われており、FAAが2017年に与えた型式認証の手続きが適切だったか、問題視されている。
米紙シアトル・タイムズは、FAAが審査手続きの中で、このシステムの安全性評価をボーイング自身に委ねていた、と報じた。
当時はライバルの欧州エアバスが「A320neo」で新型小型機の開発競争をリード。
複数のFAA関係者は、737MAXの認証を急ぐよう幹部から圧力があったと同紙に語った。
重要プロセスの一部をボーイングに「丸投げ」することにより、審査時間の短縮を図った可能性がある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルなどによると、FAAの上位組織にあたる米運輸相の監察官は、FAAの認証手続きに問題がなかったか調査に入った。
米司法省の刑事部門も捜査に入った。
裁判所の大陪審を通じ、関係者に電子メールなどの記録提出を求めたようだ。
両省が連携しているとの情報もある。
FAA職員らは、関連資料や通信記録などを削除しないよう指示されたという。
737MAXを操縦するパイロットに、新システムを扱う訓練をFAAが義務づけなかったことにも米議会から疑問が出ている。
ボーイングは顧客の航空会社に対し、従来の737型機のパイロットなら最低限の訓練だけで737MAXも運航できるという経済性をアピールしていた。
米下院運輸インフラ委員会は、今後、FAAの認証手続きをめぐる調査に入り、訓練を見送った経緯を問いただす方針だ。
エチオピアでの事故を受け、世界の航空当局が737MAXの運航停止に踏み切る中でも、FAAは「安全性を疑わせるようなデータはない」などとして停止措置に抵抗。
自国の主要産業であるボーイングへの配慮を疑う声も出ていた。
FAAは事故3日後の13日、主要国では最後に運航停止を決めた際、二つの事故の類似性を示す新データが得られたためなどと説明した。
だが、米紙ワシントン・ポストによると、FAAは当該データを事故翌日には入手していたという。
トランプ米大統領は運航停止を発表する中で「大変な決断だった」と語り、自身の関与を強くにおわせたが、決定の遅れに批判が高まるにつれ、この話題に触れなくなった。
世界の航空当局で範を示す存在だったFAAだが、737MAXの墜落事故を機に、その立ち位置が問われ始めた。
出典
『安全性評価、ボーイングに丸投げ? 墜落事故で新疑惑』
https://digital.asahi.com/articles/ASM3M4GW0M3MUHBI00K.html?rm=367
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。