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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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201931860分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

大災害時に膨大な傷病者の中から治療の優先順位を判断する「トリアージ」でミスがあったら・・・。

 

東日本大震災で亡くなった被災者の遺族が病院を提訴した。

 

トリアージに特別な免責規定はなく、法的整備を検討すべきだとの声もあった中での提訴で、災害医療関係者には波紋が広がっている。

 

日本災害医学会は、近く、法制化に向けて議論を始める。

 

裁判は、東日本大震災で被災し、搬送先の病院で亡くなった宮城県石巻市の女性(当時95)の遺族が、病院正面玄関で行われたトリアージに過失があったとして、石巻赤十字病院を仙台地裁に提訴。

約3200万円の損害賠償を求め、1月に口頭弁論が始まった。

 

訴状などによると、女性は治療不要の「緑」と判定され、避難所への搬送まで院内の待機エリアで待つ間に、脱水症で死亡した。

 

しかし、自立歩行や適切な意思疎通ができない要介護5の認定を被災前に受けていたことから、少なくとも中等度の「黄」とされるべきだったと指摘。

必要なケアを受けられないまま搬送3日後に死亡したのは病院に責任があると主張する。

 

病院側は取材に、「トリアージは手順に沿って、医師か看護師が適切に行ったと考えている。治療不要と判断された人は自宅に帰るか避難所に移ってもらうのが本来のあり方」と説明。

 

当時、最大約600人の被災者が院内にいたといい、「乏しい物資の中から、女性に点滴を1本打ったが、精いっぱいだった」と話す。

 

この訴訟を注視するのが日弁連・元災害復興支援委員長の永井幸寿弁護士。

災害トリアージの課題を指摘し、立法措置を訴えてきた。

 

「混乱状態の災害時であっても、医療に求められる注意義務を平常時より軽減する規定はない。

やむを得ない判断ミスでも責任を問われる可能性がある」

 

看護師や救急隊員が医師の代わりに担当した場合、治療や搬送の優先順位の判断を「診断行為」とみなされれば、医師法違反になりかねないという。

 

「災害時の医療の萎縮を防ぐため、故意や重過失がない場合、責任を問われないといった規定が必要では」

 

国の判断はあいまいだ。

 

厚労省の「災害医療体制のあり方に関する検討会」の報告書(2001年)でも、

①災害時の状況下の合理的判断であれば、一般に法的責任は生じない

②救急救命士や看護師などは、緊急時のやむを得ない行為(緊急避難)として違法性は問われないのではないか

と、現行法の解釈の可能性を示すにとどまる。

 

厚労省が委託するDMAT(災害派遣医療チーム)の事務局長で、日本災害医学会代表理事の小井土雄一医師は、「極めて短時間で、診断ツールも使えないなか、100%正しい判断は困難。間違いの責任をと言われると、トリアージができなくなってしまう」と訴える。

 

医療訴訟に長く関わってきた明治大学学長特任補佐の鈴木利廣弁護士は、「災害トリアージは、医師個人や病院の責任で何とかできる分野ではない。個人責任を追及しても再発防止につながらず、医療者がこの分野から手を引いてしまう恐れもある」と指摘。

 

「患者に犠牲を強いてしまった場合の公的救済制度を整えたうえで、医師や病院の免責を法律で明記する必要がある」と語る。

 

日本災害医学会は18日からの総会で法制化を訴える声明文を検討するなど、議論を提起する方針だ。

 

     ◇

 

〈トリアージ〉

 

フランス語の「選別」が語源で、治療の優先順位を判断すること。

 

大災害時は、最初に専門医の治療を必要としない人(緑)と、既に死亡しているか蘇生の可能性のない人(黒)を除外し、治療を必要とする人のうち、迅速な医療を必要とする重症患者(赤)と、治療が多少遅れても生命には危険がない中等症患者(黄)を分ける。

 

1人30秒以内が目安とされる。

 

中尾博之・岡山大教授(災害医療マネジメント学)は、「通常の救急医療は『点の医療』つまり個人を救うものだが、災害医療は『面の医療』つまり集団として生き延びることを考える医療。その違いを踏まえて、トリアージを理解する必要がある」と話す。

 

出典

災害トリアージ、ミスの責任あいまい 法制化を議論へ

https://www.asahi.com/articles/ASM3F4S3NM3FUWPJ004.html 

 

 

ちょっと前、2019122日付で河北新報からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

遺族が病院に約3220万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、仙台地裁であり、病院は請求棄却を求めた。


病院は答弁書などで、「震災時は傷病者や避難者、要介護の被災者が殺到し、限られた医療資源でできる限り対応した。当時の状況を踏まえれば、女性の死亡は病院の対応に原因があるとはいえない」と反論した。


遺族は、「病院の主治医は、女性が自力での飲食が困難だと震災前から把握していた。病院は女性の生命維持に必要な措置を講じる義務を負っていた」と主張している。


訴えによると、女性は2011年3月14日、自宅周辺が津波で水没し孤立していたところを救助され、病院に搬送された。

 

震災前、日常生活に全面的な介助が必要とされる要介護5の認定を受けたが、病院は治療の優先度を決めるトリアージで、女性を軽症患者を意味する「緑」と判定。

女性は搬送から3日後の同17日に脱水症で死亡した。


閉廷後に仙台市内で記者会見した石橋院長は、「当時は、震災前のカルテを参照する余裕がなかった。トリアージに法的根拠はなく、緊急的な対応の結果で責任を負うことになれば、災害医療が萎縮しかねない。遺族と認識にずれが生じているのは残念だ」と述べた。

 

出典

<被災搬送後死亡訴訟>石巻赤十字「対応した」 請求棄却求める

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190122_13039.html 

 

 

20191211211分に産経新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。

 

遺族側は、「飲食にも介助が必要だったのに、病院が放置した」と主張し、昨年10月29日に提訴した。

 

石巻市は津波で沿岸部の病院が被災したため、内陸にあり被害を免れた赤十字病院がけが人や患者の多くを受け入れ、震災直後の災害医療の拠点となった。

 

出典

治療優先度誤りと日赤提訴 津波被災の90代女性死亡

https://www.sankei.com/affairs/news/190121/afr1901210007-n1.html 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

混乱の極みだった東日本大震災直後の医療現場で、通常に近い対応を期待するのは無理な話しだ。

 

遺族側の感情も解らなくはないが、使命感をもって、おそらくは寝る間も惜しんで救急医療に当たったであろう病院が訴えられたとは、ちょっと信じられない。

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
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