2021年10月22日19時9分に読売新聞から、下記趣旨の記事が現場写真付きでネット配信されていた。
山梨県北杜市須玉町の2か所に放置され、県の行政代執行でセメント材によって固定された産業廃棄物から悪臭が発生し、県が調査していることがわかった。
放置時には人体に有害な高濃度の硫化水素が検出されており、周辺住民が再び不安を募らせている。
長崎知事は21日、現地を視察し、産廃自体の撤去を検討する考えを示した。
県によると、固定された産廃は東向地区の縦81メートル、幅46メートル、高さ8・5メートルと、大蔵地区の縦110メートル、幅25メートル、高さ5・4メートル。
セメント材を交ぜて固めることで硫化水素の発生を抑え、表面にモルタルが吹き付けられている。
放置されたのは、市内の業者らが野積みした汚泥や廃石こうボード粉など約2万立方メートル。
致死量を超える最大13万ppmの硫化水素が発生したものの、業者らが撤去命令に応じなかったため、県が2018年10月、行政代執行に着手した。
総事業費は約7億5000万円。
県は代執行以降、硫化水素など有毒物質は確認されていないとしている。
ただ、モルタルの表面から茶褐色の液体が漏れており、今年に入り、「悪臭に耐えられない」などと、周辺住民から県や市に苦情が寄せられている。
県は8~9月、周辺で臭気や水を採取し、分析を進めている。
周辺の住民男性によると、今年5月頃に近くで悪臭が漂い、7月には北方向に約1・5キロ離れた自宅にまで広がってきたという。
男性は「苦痛を感じる臭いがする。健康や米作りに影響はないのか」と心配している。
長崎知事は21日の視察後、読売新聞の取材に「硫化水素が発生しないよう対策は講じているが、臭いがひどく、環境面で問題がある。産廃は本来、この場所にあるべきではない。撤去することも選択肢に対応を検討したい」と述べた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20211021-OYT1T50445/
※当該野積み産廃については5年前、2016年3月24日7時1分に産経新聞から、全量撤去の措置命令が県から出されたなど、おおよその状況が下記趣旨でネット配信されていた。
県は22日付で、北杜市須玉町に大量の産業廃棄物を野積みにしていたとして、業者2社に対して廃棄物処理法に基づき、平成30年3月までに全量撤去の措置命令を出した。
23日の発表によると、2社は、有機肥料製造販売のバイオ・テック・ジャパン(北杜市須玉町)と産業廃棄物処理業者オカムラ(静岡県島田市)。
バイオ社はオカムラから処分委託を受け、24年2月から下水汚泥、動植物性残渣や廃石膏ボードなどの産廃1万9882立方メートルを、自社敷地内の2カ所に野積みしていた。
措置命令によると、両社は全量のうち、1カ所分の6259立方メートルを29年2月までに、残る1万3623立方メートルも30年3月21日までに撤去する。
県は27年3月、野積みされた産廃から人体に有害な硫化水素の発生を確認し、4000ppm以上の高濃度に達していることも判明した。
県は同月、両社に廃棄物の全量撤去を勧告したが、その後も放置されたままになっていた。
県によると、付近に人家はなく被害は出ていないという。
https://www.sankei.com/article/20160324-IBP6QOHTFZPYJJAZIDAM2NODM4/
※3年前、2018年4月27日付で毎日新聞山梨版からは、県は全量撤去も検討したが費用の安いセメント工法を採用した、業者は産廃ではなく肥料だと主張しているなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
北杜市須玉町の2カ所で野積みされ、有害な硫化水素の発生が確認されている産業廃棄物の処理について、県は26日、セメントと廃棄物を混ぜ固めて封じ込める「セメント安定化工法」で行政代執行を行うことを決めた。
早ければ今夏にも工事が始まる。
県によると、全量撤去も検討したが、より費用が安いセメント安定化工法を採用した。
封じ込めた後は、そのまま現地に据え置く。
処理費用は約6億4000万円と見込んでおり、2018年度の一般会計予算に盛り込んでいる。
産廃は、下水汚泥などを含む「混合汚泥肥料」。
同市須玉町東向に約1万4000立方メートル、同市須玉町大蔵に約6000立方メートルが野積みされている。
12年ごろから産廃処理・肥料製造の「バイオ・テック・ジャパン」(北杜市)が県外の業者から受け入れ、同社の敷地内に放置していた。
県が15年に調べたところ、産廃内部から高濃度の硫化水素ガスが検出されたため、廃棄物処理法に基づいてバイオ社と県外業者の計3社に撤去命令を出した。
しかし、一部の撤去のみにとどまっていることから、県は17年に代執行を行うことを決め、工法の技術検討を進めてきた。
費用は全額、業者側に請求する。
バイオ社の佐田代表(71)は取材に、「野積みしているのは産廃ではなく肥料であり、財産だ」と主張。
県環境整備課は、「生活環境保全のために、安全かつ速やかに代執行ができるように準備を進めたい」としている。
https://mainichi.jp/articles/20180427/ddl/k19/010/294000c
※同じく3年前、2018年10月9日9時34分に産経新聞からは、セメント固化工事が始まった、業者は有罪判決が確定しているなど、下記趣旨の記事が工事開始の写真付きでネット配信されていた。
山梨県は9日、同県北杜市に放置された産業廃棄物から硫化水素が漏れる恐れがあるとして、行政代執行法に基づき、流出を防ぐためにセメントで固める工事を始めた。
産廃は下水道汚泥を含み、市内2カ所で計約2万立方メートルが放置されている。
工事完了まで1年かかるという。
県によると、汚泥は平成24~26年にかけて北杜市の産廃収集会社「バイオ・テック・ジャパン」の敷地に持ち込まれた。
内部で硫化水素が発生し、県が28年3月以降、同社と静岡県内の関連会社2社に撤去を命令したが、従わなかった。
バイオ社を巡っては、同社の代表取締役が廃棄物処理法違反容疑で27年に逮捕、起訴され、有罪判決が確定している。
https://www.sankei.com/affairs/amp/181009/afr1810090003-a.html
(ブログ者コメント)
〇7億5000万円かけてセメント固化した費用が全くの無駄になるかもしれない。
そして、対策費の二重払いになるどころか、セメント固化したがゆえに、固化前に産廃を撤去した場合よりも多額の費用がかかることも考えられる。
表面だけ覆っても、地下浸透の問題もあるだろうに・・・。
当時、どの程度、突っ込んだ検討がなされたのだろうか?
〇そういった問題とは別に、排出元については、どのような調査がなされたのだろうか?
調べてみたが、情報は見つからなかった。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。