2022年2月21日19時58分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
岸田文雄内閣の重要課題である先端技術の海外流出を防ぐ「経済安全保障」をめぐり、関係機関の取り組みが加速している。
警察当局は企業や研究機関に対し、具体的なスパイの手口などを解説し、個別相談にも応じたりするアウトリーチ(訪問支援)活動を精力的に展開する。
【〝おじさん〟に注意】
「1人で知らないおじさんについていかない」
「SNSのアカウント名の真偽を確認する」
小学生への安全講和ではなく、実際に起きた産業スパイ事件の手口を基に警視庁が企業に呼びかける対策の一例だ。
1月中旬、日産自動車本社ビルの一室で、警視庁公安部の増田参事官が情報流出事件の手口を解説していた。
「ハニートラップ」という言葉が広く浸透し、突然近づいてくる外国人女性は警戒しても、日本語の堪能な外国人男性への警戒心は薄まるのだという。
過去には、通信大手社員が退勤時に偶然を装って話しかけてきたロシア人の男に営業秘密を渡した事件があった。
この手口はほかの企業でも確認されている。
転職を検討している際に経歴などを載せたビジネス用SNSを通じて中国人からアプローチされ、情報漏洩(ろうえい)した事件も紹介。
米英などでは頻繁に確認されている手口だという。
対策として、
▽退勤時などに声をかけてくる〝おじさん〟についていかない
▽SNSに経歴やプライベート情報は掲載すればするほどスパイを利する
などが挙げられた。
増田氏は、相手は訓練を受けたプロのスパイと強調し、「機微な情報に接することができる社員の外形的な変化を見逃さないでほしい」と呼びかけた。
【全国で展開】
同様の活動は大阪府警や愛知県警でも始まっている。
かじ取りを担うのが警察庁だ。
警察庁は令和2年に専門班を立ち上げ、今年4月に「経済安全保障対策室」を新設する方針だ。
スパイ事件などの蓄積がない県警でもできるよう、警察庁は昨年、都道府県警の担当者に講習会を開催。
活動方法を説明し、生かしてもらおうとしている。
警察庁の吉田氏は、「最先端技術を取り扱う企業は全国にあり、警察庁が情報集約して均質的な情報提供体制を築く必要がある」と話す。
他省との連携にも力を入れる。
昨年12月中旬には、一般社団法人「日本機械工業連合会」で、警察庁と経済産業省が合同でオンライン講演を実施。
経産省は、法律を基に営業秘密の保護について解説。
警察庁は、経済安保をめぐる海外の動きについて、過去の諜報事件を挙げながら紹介した。
【ジレンマも】
企業にとっても、社をかけて開発した技術情報が盗まれるのは死活問題だ。
企業によっては、経済安保専門の担当者を置いたり、社内情報システムの管理を徹底するなど、対策に力を入れている。
警視庁のセミナーを受けた日産自動車の後藤渉外担当役員は、「自社の技術を守っていくのは当然のこと。経済安保については各企業とも同じ方向を向いている」とする。
一方で、経済活動などへの影響は懸念材料だ。
とくに中国との経済面でのつながりは深まり、日本の貿易に占める対中比率は過去最高となるなど、両国の関係は切っても切れない。
各企業とも外国人社員は多く、特定の国を警戒することは、優秀な人材を逃すことや外国人差別につながりかねない。
後藤氏は、「中国は巨大な市場。失うことなく国益を守っていくのは非常に重要な経営課題」とし、「先端技術を悪用されないよう、オールジャパンで対策を進めていきたい」と力を込めた。
https://www.sankei.com/article/20220221-MZD5JPNELJI5LOM6QDG5M3KFC4/
2月21日18時0分に産経新聞からは、転職サイトを通じて接触を受けた人の経験談など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
先端技術情報を持つ化学メーカーに勤務する男性技術者が産経新聞の取材に応じ、中国企業から転職サイトを通じ接触を受けた経験を語った。
国内技術者が海外機関の諜報活動にさらされるケースは後を絶たず、男性も「同様の誘いは多いはずだ」と訴える。
日本にはスパイ行為自体を取り締まる「スパイ防止法」がなく、政府は民間の技術情報漏洩(ろうえい)に対する罰則を含む経済安全保障法制の今国会提出を目指している。
《貴殿のご経歴を拝見し、是非、我々の事業にご参画いただきたく思い、ご連絡をさせて頂きました》
数年前、化学メーカーに勤務する男性の元に、登録していた転職サイトを通じ、ある中国企業からこんなメールが届いた。
転職サイトでは、男性の研究ジャンルや経歴などを企業向けに記載していた。
男性は「転職の誘いかな」と、特に違和感を抱くこともなく、面談に応じることにした。
中国企業の複数の担当者に会うと、「技術顧問になってほしい」と持ち掛けられた。
男性が「中国には行けない」と伝えると、「アドバイザーとしてメールで教えてくれればいいですよ」と応じた。
さらに一般的な技術論について何度かやり取りをした後、勤務先メーカーの営業機密に関わる内容を質問された。
不審に思った男性が「答えられない」と言って面談を終えると、その後は連絡が途絶えた。
しばらくして男性の方から「アドバイザーの話はどうなったのか」と問い合わせたが、中国企業側は「このテーマは終了した」と返してきた。
「要求に応じず、用済みになったのだろう」と男性は振り返る。
警察庁によると、民間企業の情報漏洩を含む営業秘密侵害事件の摘発は、平成26年に全国で11件だったが、令和2年には22件に倍増。
捜査幹部は、「摘発で表面化したのは氷山の一角に過ぎない」と指摘する。
男性は、職場の複数の同僚も中国側から同様の誘いがあったとし、「こうした誘いは他にもいっぱいあるだろうし、漏洩はあちこちで起きていると思う」と述べた。
先端技術をめぐる国際競争が激化する中、海外機関による官民を通じた諜報活動は、すでに蔓延(まんえん)しているとみられる。
男性は、「誘いに乗るのを防ぐには、研究者の意識を変える必要がある。そのためには企業も研究者を大切にし、働きやすい環境を整えるべきだ」と話している。
【スパイ脅威、大阪府警も企業に訴え】
経済安全保障対策を進めようと、昨年末に発足した大阪府警のプロジェクトチーム(PT)は、府内の企業や研究機関を対象に、産業スパイの具体的な手口を説明するなどして注意喚起を行っている。
「先端技術を保有する研究機関は、規模や所在地に関わらず、常に外国から狙われている」
1月中旬、大阪市内で開かれた企業経営者らの会合で、PTメンバーの男性警部はこう呼び掛けた。
出席した経営者ら約50人はメモをとるなど、熱心な様子で耳を傾けていた。
警部の念頭にあるのは、近年摘発された事件だ。
令和2年1月、在日ロシア通商代表部幹部の求めに応じ機密情報を不正取得したとして、警視庁は大手通信会社「ソフトバンク」元社員を逮捕。
同年10月には、大手化学メーカー「積水化学工業」のスマートフォン関連技術を中国企業に漏洩(ろうえい)したとして、大阪府警が元社員を書類送検した。
それぞれの事件のきっかけは、街中で声をかけられたり、会員制交流サイト(SNS)で接触を受けたりと、さりげない日常での出会いだった。
警部は「ひとたび産業スパイに捕まると、情報を渡すまで逃げられなくなる」と、経営者らに警鐘を鳴らした。
出席した男性経営者は「うちも思い当たる節がある」と打ち明ける。
経営する精密機械メーカーで1年前、営業先の中国企業が商品の生産量など未公表の情報を詳細に知っていたという。
男性は「機密情報が社外に流出した恐れがある」とし、会合の内容も踏まえ、社内の情報管理体制を見直す方針だ。
PTは今後も企業や研究機関に対する啓発を続ける。
府警幹部は、「企業担当者らと面談し把握した最新の手口や対策を伝え、技術流出のより効果的な抑止につなげたい」と話している。
https://www.sankei.com/article/20220221-EJKL7N4Y35OVNFP7URNW4ZA62I/?579694
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。