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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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20222221745分にYAHOOニュース(AUTOCAR JAPAN)から下記趣旨の記事が、EV車火災対策用コンテナなどの写真付きでネット配信されていた。

【消えない火 有毒ガスの発生も】

欧州を中心に成長を続けるEV(電気自動車)市場。
道路を走るEVが増えるにつれ、その安全性、特に火災のリスクに注目が集まっている。

ガソリン車やディーゼル車でも火災を起こす可能性はあるが、EVの火災(2019年にはロンドン市内で54件発生)は比較的注目を集めやすい。

その理由は、真新しさからくる興味関心だけではない。

EVの火災は複雑で、しばしば「ヒュー」という音と毒性の高い煙で前兆を示し、場合によっては爆発が起こる。

自然発生的に起こることや、消火が非常に難しいことなども理由の1つだ。

鎮火したかと思うと、数時間後、数日後、あるいは数週間後に再び出火する場合がある。

このように考えると、EVの火災を心配する人が増えても不思議ではない。

ありがたいことに、消防当局はEV火災に対処するための戦略を練っている。

例えば、英国のベッドフォードシャー消防局は、EVが絡む交通事故や火災が発生した場合、「消防車の1台が(EVを回収した)レッカー車に追従し、火災に備える」と発表している。

また、消防隊員が、事故に巻き込まれたEVの車種と、バッテリーや絶縁スイッチの位置を特定できるシステムを開発したという。

EV火災にどう対処するかについては専門家の間でも意見が分かれているが、一般的には、大量の水でバッテリーパックを冷やし(ただし、これで再び火が出るのを防ぐことはできない)、ファイヤーブランケットで炎を抑え、消防隊員は有毒な蒸気から身を守るために呼吸装置をつけるのがスタンダードな方法であるという。

あるいは、炎が自然に消えるのを待つしかない。

不活性ガスで消火しようとしても、化学物質による炎なので酸素を必要としないため、効果はない。

爆発によってバッテリーパックから飛び出したセル(バッテリーを構成する部品)が自然発火する可能性もあるため、周囲をよく点検する必要がある。

そして、燃え尽きたEVや部品を撤去し、建物や他の車両から離れた場所に保管しなければならない。

水に浸しておくことも対策に挙げられるが、塩素ガスが発生する可能性があるため、海水は使用できない。

 

【熱暴走 空のバッテリーでも危険】

消費者がEVを避ける理由ともなりそうな、憂慮すべき問題だ。

英ニューカッスル大学の純粋応用電気化学の教授で、全英消防署長協議会の上級顧問であるポール・クリステンセン氏は、EVの火災安全性に対する懸念を払拭するため、EVの利点や火災対策について熱心に説明している。

「日産自動車のバッテリー工場設立を支援した者として、もし余裕があれば、明日にでも日産リーフを購入したい。
EV
の火災は少ないので心配する必要はありませんが、注意は必要です。
リチウムイオンバッテリーは、非常に小さなスペースに大量のエネルギーを蓄えています。
2008
年以降、このようなバッテリーの採用は、そのリスクに対する我々の理解を上回りました。
我々は遅れを取り戻そうと努力しており、追いつくことができるでしょう」

クリステンセン氏は、消防隊員のEV火災リスクに対する認識を高めるため、これまでに英国(50局のうち30局)をはじめ、欧州、オーストラリア、ニュージーランドの消防局で講演を行ってきた。

講演ではまず、リチウムイオンバッテリーのセル構造について説明する。

正極(カソード)と呼ばれるアルミニウムの薄片は、混合金属酸化物でコーティングされている。

その上に、グラファイトでコーティングされた銅の負極(アノード)が乗っている。

2つの間には、有機溶媒に浸したプラスチックのセパレータがあり、そこに少量の添加物が含まれているのだが、その正体はバッテリーメーカーにしか分からないという厄介なものだ。

バッテリーの充電・放電に応じて、リチウムイオンが正極と負極の間を移動する。

満タンの状態では4.2Vの電荷があるが、空の状態でも2.5Vの電荷が残っている。

この話は消防隊員にショックを与えるそうだ。

日産リーフは約192個のセルで24個のモジュールを構成し、テスラ・モデルS16個のモジュールに7000個以上のセルを積んでいる。

車内のディスプレイに「空」と表示されているときも、かなりのエネルギーを保持しており、これが熱暴走につながると考える科学者もいる。

熱暴走とは、発熱により水素や酸素などの可燃性ガスが発生し、セルが燃え始め、破裂してしまう現象だ。

この時、有毒な蒸気が発生し、爆発する危険性もある。

一度、熱暴走が始まると、バッテリー制御システムやサーキットブレーカーでは止めることができない。

「バッテリーの火災は制御できても、消すことはできないのです」とクリステンセン氏は言う。

 

【経験値が低い今、あらゆる場所に対策を】

クリステンセン氏は、衝突事故などでバッテリーパックに穴が開くと発火することを実験で実証し、「EVのバッテリーケースがへこんでいたら、危険だと思わなければなりません」と注意を促す。

バッテリーパックは、過熱や充電中に発火することが知られている。

さらに心配なのは自然発火で、製造時に不良品のセルが1つでも混入すると火災になる可能性がある。

「どんなに経験豊富で注意深いメーカーが、品質管理に細心の注意を払っていても、欠陥のあるバッテリーセルは存在する」という。

バッテリーの炎はガスバーナーのようなもので、通り道にあるものを素早く発火させることができる。

そのため、クリステンセン氏は、クルマが並んで駐車されている地下駐車場やバス車庫などでEVの安全性を考慮するよう求めている。

「ドイツでは、過去半年あまりの間に3つのバス車庫が炎上しました。
トンネル、フェリー、駐車場、EVを運ぶ貨物船など、EVを見かける場所はすべて安全上のリスクと考え、適切な措置を講じる必要があります」

また、使用済みのリチウムイオンバッテリーで走るように改造されたクルマ(クラシックカーなど)についても懸念している。

「中古のリチウムイオンバッテリーの安全性は誰にもわかりませんし、それを示す標準的な試験もまだ考案されていません。
違法な解体工場で取り外され、再び市場に流通するバッテリーもあります。
安全性はどうなのでしょうか?
リチウムイオンバッテリーの安全性については、さまざまな研究が行われていますが、今はまだ、学習曲線が非常に急なため、全員で協力する必要があります」

 

【万が一の時は?】

デンマーク・コペンハーゲンの消防当局は、火災が発生したEVやそのおそれのあるEVを、トラックに搭載して封じ込める方法を開発した。
EV
を入れたコンテナを平台のトラックに載せて保管するというものだ。

コンテナの床と側面にはノズルがあり、ポンプで水を注入することができる。
満杯になったコンテナは安全な保管場所に運ばれ、危険性がなくなるまで、場合によっては数週間放置される。
その後、抜いた水はろ過され、安全に廃棄できるよう処理される。

ジョン・エバンス(執筆) 林汰久也(翻訳)

https://news.yahoo.co.jp/articles/4894290258a298251e278713315e751bd3ce80fe

 

(ブログ者コメント)

EV車火災の特殊性については、今年2月に本ブログで紹介したばかり。

立て続けに報道されたということは、それだけ危険性の認識が高まってきている、ということかもしれない。

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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