2019年5月21日10時0分に伊勢新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
ベルトコンベヤーに非常停止装置を設けなかったことで労働者が重傷を負ったとして、三重県の伊賀労基署は20日、安全衛生法違反の疑いで、伊賀市新堂のI産業と、同社の男性課長(31)を伊賀区検に書類送検した。
送検容疑は昨年12月10日、コンベヤーに非常停止装置を設置しないまま、労働者にコンベヤーの清掃作業をさせた疑い。
これにより、コンベヤーに巻き込まれた男性労働者(47)が右足の大腿部を切断する重傷を負った。
同署によると、同社は養鶏業を営み、鶏ふんを運ぶためにコンベヤーを設置していた。
非常停止装置は1カ所にあったが、男性労働者が届く場所にはなかったという。
男性課長は容疑を認め、「法律を知らなかった」と話しているという。
出典
『非常停止装置設けず労働者重傷 伊賀労基署、容疑で養鶏業者ら書類送検 三重』
https://this.kiji.is/503372651395482721?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
〇この事例を機に調べ直したところ、以下の同種事例が見つかった。
(2015.12.08 労働新聞;趣旨)
大分労基署は、ベルトコンベヤーに非常停止装置を設けなかったとして、港湾運送業のN港運(株)と同社現場係長を労安法第20条(事業者の講ずべき措置等)違反の疑いで大分地検に書類送検した。
労安則では、ベルトコンベヤーを使用するに当たり、労働者の身体の一部が巻き込まれるおそれがあるときは、非常時に直ちに運転を停止できる装置を備えなければならないとしている。
平成26年6月、同社労働者がベルトコンベヤーに付着した塊を取り除こうとしたところ、ベルトコンベヤーの下に設置されていたローラーに体の一部が巻き込まれ、死亡している。
労働者は1人で作業しており、手の届く範囲に非常停止装置がなかった。
『コンベヤーに非常停止装置設けず送検 大分労基署』
https://www.rodo.co.jp/column/894/
〇上記報道で触れられている「非常時に直ちに運転を停止」という労安則の条文は下記。
第二編 安全基準
第一章 機械による危険の防止
第二節 コンベヤー
(非常停止装置)
第百五十一条の七十八
事業者は、コンベヤーについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置(第百五十一条の八十二において「非常停止装置」という。)を備えなければならない。
これは、報道内容からすると、周囲にいる人ではなく、巻き込まれた労働者本人が「直ちにコンベヤーの運転を停止させられる装置」という意味だと思われる。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。