2016年12月22日23時32分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
新潟県糸魚川市で22日、約140棟が延焼した火災は、東日本大震災を除いて、過去20年で国内最多の焼損棟数となった。
火災は、火元から北へ約300m、東西約250mにわたって燃え広がった。
消防士らは火元の火の勢いを抑えようとしたが、狭い道も多く、住宅密集地でもあるため、放水作業ができる箇所が限られていたという。
小野・消防防災課長は、「風が強く、どんどん飛び火して、消火作業が追いつかなかった」と説明する。
当時、日本海の低気圧に向かって強い南風が吹いていた。
気象庁によると、糸魚川市では、午前10時過ぎに14.2mの最大風速を記録し、最大瞬間風速は正午すぎに24.2mに達した。
この強風で「フェーン現象」が起きたと気象庁はみる。
山を越えた風が日本海側に吹き下ろす際、空気が乾いて気温が上がる現象だ。
糸魚川市では、正午までに20℃近くまで気温が上昇。
隣の上越市では湿度が40%台と、乾いていた。
現場付近は商業地域に指定され、建ぺい率や容積率が住宅地より高く、木造の建物が密集する要因にもなっていた。
準防火地域でもあり、耐火性を高めなければならない防火地域より、規制が緩かった。
県内と富山県の計18の消防本部が応援に加わったが、火勢は夜まで衰えなかった。
消火活動が長引き、企業の生コン車や国交省の散水車も集めて水を補給した。
総務省消防庁の担当者は、「現場に到着した消防隊は、真っ先に火元から周辺への延焼防止にかかる。今回は、それを上回る状況だったかもしれない」と話す。
火災の規模と比べて、けが人が少ないとみられる点については、「昼間の火災で周囲の住民が早く気づき、避難ができたのでは。夜に起きていれば、人的被害が増えた恐れがある」とみている。
出典
『「風強く、どんどん飛び火して…」 糸魚川の大規模火災』
http://www.asahi.com/articles/ASJDQ5FP8JDQUTIL02F.html?iref=com_rnavi_arank_nr04
12月23日10時21分にNHK首都圏NEWS WEBからは、初期消火活動状況などが、下記旨でネット配信されていた。
12月23日1時36分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
糸魚川市消防本部によると、最初に火災を知らせる119番通報が入ったのは、23日の午前10時28分だった。
その7分後、午前10時35分に最初の消防車が現場に到着。
消防本部では、所有する6台の消防車すべてを投入して、消火活動にあたった。
現場は、雪よけのためのひさし「雁木(がんぎ)」が連なる市の中心部で、木造の商店や住宅が密集している。
消防士によると、(出火した)ラーメン店は隣接店との間に隙間がなく、多方向からの放水が難しかった。
現場到着時には、火は既に他の建物にも広がっていた。
初期消火にあたった消防隊員は、勢いよく炎が上がるラーメン店の裏手で放水を試みたものの、その裏手に回る道の幅が狭く、消火活動が難航したと証言している。
1時間ほど消火活動が続く中、消防隊員のところに新たな情報が入ってくる。
日本海がある北に向かって、およそ100mほど離れた別々の建物2か所から火の手が上がっているという無線の連絡だった。
消防団も加わって消火にあたったが、この2か所の建物は屋根に火が回ってしまい、下からの放水では届かなかったこともあって、消火活動が困難を極めたと消防隊員は証言していた。
最初の通報からおよそ1時半後の正午ごろ、糸魚川市消防本部は、近隣の上越市などの消防本部に応援を要請する。
その後も、新潟県の各地の消防本部や、富山県、そして長野県の消防本部にも応援を要請し、最終的には、20の消防本部のおよそ1000人の消防隊員が消火活動にあたった。
しかし、折からの強風にあおられて建物への延焼はその後も続き、出火から10時間あまりたった午後9時ごろ、火はほぼ消し止められ、鎮圧状態となった。
出典
『糸魚川 消防はどう活動したか』
http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20161223/5529142.html
『糸魚川火災 100m先に飛び火、強い南風で…消防士証言』
http://mainichi.jp/articles/20161223/k00/00m/040/067000c
12月23日21時21分に毎日新聞からは、出火原因に関する下記趣旨の記事がネット配信されていた。
12月23日22時56分に共同通信からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、店主は任意の事情聴取に「開店前、中華鍋に食材を入れてコンロに火をつけたまま、失念して近くの自宅に帰った。戻ってきたら、炎が換気扇の高さまで上がっていた。大変なことをして申し訳ない」と、憔悴しきった様子で話したという。
店主は水をかけて消そうとしたが、炎の勢いは止まらず、隣の精肉店に通報を求めた。
警察は実況見分で、店主の証言通り、厨房のコンロ付近に中華鍋があることを確認した。
出典
『糸魚川火災 「コンロに鍋かけたまま自宅に」と火元男性』
http://mainichi.jp/articles/20161224/k00/00m/040/049000c
『鍋の空だき出火原因か、新潟 発生から約30時間で鎮火』
https://this.kiji.is/184766985959653385?c=39546741839462401
(ブログ者コメント)
〇出火元のラーメン店が燃えている段階で火を消し止められなかったばかりに、これほどの大火になってしまった。
裏手からの消火活動が難航したということだが、結果的には、発災後の拡大防止活動がうまくいかなかったことになる。
最初の1時間でなんとかなっていれば・・・。
〇テレビでは、防火槽のマンホールにコンクリートミキサー車から水を補給している様子が映し出されていた。
本ブログでは、過去に何回か、大規模火災時の消火用水確保のため、地方自治体が生コン業者と協定を締結する動きがあると紹介している。
今回、糸魚川市でもそのような協定を締結していて、そのために水の補給がスムースにいったとすれば、それは事前に構築していた拡大防止策が功を奏したことになる。
〇別のテレビでは、周囲の家は焼け落ちているのに、1軒だけ無事だった、比較的新しく見える家が紹介されていた。
(映像によれば、外壁などに若干黒い部分があるものの、家の中は全く無事)
その理由として、以下の解説があった。
・家の周囲に、駐車場とか2~3m幅の道路といったスペースがあった。
・強風に備え、窓を二重にしていたので、ガラスが割れなかった。割れていれば、そこから火が中に入った。
(映像によれば網入りガラス。ヒビが入っていたが割れてはいなかった)
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。