2023年10月31日8時15分にYAHOOニュース(;Response)から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
バネメーカー大手のC発条の藤岡工場(愛知県豊田市)内で発生した爆発事故から半月が経過。
取引先のトヨタ自動車の完成車工場が、国内で延べ10日間にわたって8工場13ラインで稼働停止に追い込まれるなどの影響が広がった。
その爆発事故の原因について、C発条によると、10月16日昼過ぎに自動車の足回りに使用する「シャシばね」の製造ラインで、ばねを乾かす「乾燥炉」で発生。
乾燥炉へ送り込む熱をつくる「燃焼室」が高温となる異常があり、燃焼室のバーナーへ供給する空気の量を調整していたところ火が強まり、そこで発生した不燃ガスが乾燥炉に届いてガスへ引火したという。
きょうの日経なども詳しく報じているが、燃焼室が高温となったのは、乾燥炉との間のダクトのフィルターが目詰まりしていたためで、フィルターは6月の点検時には異常はなかったが、9月に実施した近くの設備の撤去工事により粉じんがたまったとみられる。
また、設備の老朽化も事故の一因で、バーナーへ供給する空気の量を一時抑えたところ、燃焼室からガスが発生し、乾燥炉内に流入して滞留したそうだ。
事故のあった乾燥炉は古く、ガスがたまりやすい構造で、再発防止のため、全装置にガスの滞留を検出する機器を設置するとも伝えている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd48902a2e60db94f9e908c29d384941febec73c
10月30日17時22分にYAHOOニュース(共同通信)からは、乾燥炉バーナーの火で引火したという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
フィルターの目詰まりにより燃焼室内が高温になったが、燃焼室を停止せず操作を続けたところ不燃ガスが発生し、乾燥炉内に流入。
バーナーの火が引火した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e2944ce4e9822968009e6f373ca288106775592b
10月30日19時0分にYAHOOニュース(中京テレビ)からは、従業員2人がけがをした、高温異常で炉が止まる機器を設置する予定など、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
10月16日に、愛知県豊田市の藤岡工場で起きた爆発事故。
従業員2人がけがをして、ばね部品の生産ができなくなりました。
C発條によりますと、爆発が起きた工場は復旧し、10月21日からばねの生産を再開しています。
爆発の原因については、ばね部品を乾燥する炉があるエリアでガスが滞留し、そこにバーナーの火が引火したためということです。
今後、作業手順の見直しや従業員の再教育を徹底し、高温異常を検知したら炉が止まる機器を設置するなど、二度と事故が起こらないよう管理と対策を進めるとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/db60532d85009ffc9d44ca32547fe17e43d88660
10月31日5時15分にYAHOOニュース(中部経済新聞)からは、燃焼室の想定外温度上昇に対処するためのマニュアルを策定するなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
C発条の小出社長は30日、藤岡工場(豊田市)で16日に起きた乾燥炉の爆発事故の原因について、燃焼室での「想定外」の温度上昇に対して適切な対応がとれなかったことが原因だと明かした。
異常な温度について対処するマニュアルを整備していなかった。
小出社長は「仕組み上のミスだった」と述べた。
マニュアルの策定や安全教育の徹底などで再発防止を図る考えを示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f31cad1051e7b6d24d267f118c2b3f9aea282763
(2024年3月28日 修正1 ;追記)
2023年11月6日付で日本経済新聞クロステックからは、燃焼室と乾燥炉の間を循環する空気のダクト内に設置されていたフィルターが目詰まりを起こしたため熱風が出ていきにくくなり燃焼室が異常高温、対策として空気供給を減らしたところ未燃ガスが発生、それが乾燥炉内に蓄積していったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中央発条が2023年10月30日、自動車用ばねを生産する藤岡工場(愛知県豊田市)で起こした爆発・火災の原因について発表した。
加熱方法にガスを使った事故だった。
日経クロステックが報じた「保守作業に不備があり、ガスによる爆発・火災に発展した」という専門家(製造業の工場の運営・経営に携わった経験者)の見立ては当たった。
同社は再発防止策も発表。
だが、結論を述べると、再発を防ぐには懸念点が残ると言わざるを得ない(後述、図1)。
爆発・火災に至ったのは藤岡工場の第4工場。
事故の発生原因は、ダクトのフィルターの目詰まりだ。
中央発条は当初、爆発・火災が起きたのは材料であるばね鋼に1次加工を施す中の熱処理工程であると説明していたが、実際には「塗装工程における乾燥炉」だった。
この乾燥炉はダクトを介して燃焼室とつながっている。
燃焼室でガスをバーナーで燃やし、その熱を乾燥炉に送り込んでワーク、すなわちばね部品に塗った塗料の焼き付けを行う。
ダクトは燃焼室と乾燥炉との間を循環する空気の通路を形成しており、ダクトの内部にはフィルターが搭載されている。
このフィルターが目詰まりを起こした(図2)。
「隣接エリアにおける撤去工事で発生した粉じんの影響」(同社)だという。
この工事の際に生じた大量の粉じんが何らかの理由によってダクト内に入り込み、フィルターに捕捉されてフィルターが目詰まりを起こした。
これにより、空気の循環が悪化。
燃焼室内から熱風が流れ出なくなったため、異常な高温に達した。
この異常事態を受け、中央発条はバーナー燃焼における空気の供給を減らした。
火力を抑えて温度を下げようとしたとみられる。
ところが、未燃焼ガスが発生*。
この未燃焼ガスが燃焼室から乾燥炉内に流入し、蓄積していった。
その後、乾燥炉内の温度が下がり過ぎたのを受けて、同社は燃焼室側の空気の供給を増やした。
すると、バーナーの火力が増加。
その火が乾燥炉内の未燃焼ガスに到達し、引火・爆発を起こした。
その後、火災に発展した──。
これが、中央発条による事故分析である。
*中央発条は「不燃ガス」と説明するが、引火を引き起こしているため、酸素が不十分で燃えずに残ったガスだとみられる。
併せて、同社は再発防止策も発表した。
(1)高温異常時の設備停止ルールの徹底
(2)作業手順の見直し
(3)作業者への安全に関する再教育
(4)不燃ガス検知器の設置と自動停止機能の追加
などである。
フィルターの目詰まりを見逃すという、ささいな保守作業の不備が招いた事故だが、代償は高くつきそうだ。
トヨタ車の完成車工場が10日間ほど停止(図3)。
これにより、トヨタ自動車は十万台規模の生産遅延を余儀なくされたとみられる。
これに伴い、1次部品メーカーであるデンソーは「中央発条の事故によって、売上高で100億円ほどが喪失した」と説明した。
仮に、こうした取引先の工場を止めた損害賠償の請求をそのままのめば、中央発条は深刻な経営危機に陥るのは必至だ。
ただでさえ中央発条の足元の業績は厳しい。
同社が期初に公表した2024年3月期(2023年度)の業績予想は、売上高が970億円で、営業利益は13億円。
営業利益率はわずかに1.3%しか見込めていなかった。
ここに事故の発生により、先の取引先への賠償に加えて、建屋や設備の復旧・回復費用や、関係会社でのバックアップ生産に伴うコストの増加分がのしかかる。
実際、乾燥炉だけではなく、塗装の前処理の設備や塗料を塗布する設備も破損している。
たまらず同社は「総コストについては算定中」であるとして、同年度の業績予想を2023年10月30日に「未定」に修正した。
追い打ちをかけるかのように、中央発条が打ち出した再発防止策についても不安視する声が上がる。
「このままでは再発を防げない恐れがある」(専門家)。
同社の再発防止策には、3つの懸念点が抜け落ちているというのだ。
・・・(以下は有料)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/08584/
2024年3月28日5時15分にYAHOOニュース(中部経済新聞)からは、再発防止のため2年ほどかけて社内全ての乾燥炉に未燃ガス検知装置を導入するなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中央発条(本社名古屋市)は、昨年10月に藤岡工場(豊田市)で発生した爆発事故を受けて、社内全ての乾燥炉に未燃ガス検知装置を導入する。
4月から2年程度かけて国内外の工場に約100基設置する。
投資額は約5億円。
再発防止の取り組みを幅広く進めており、二度と同じ事故が起きないよう対策を徹底する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/627e7a8a85873416008386bc4640d62ca12d07c6
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。