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                                                       本ブログでは、産業現場などで最近起きた事故、過去に起きた事故のフォロー報道などの情報を提供しています。  それは、そういった情報が皆さんの職場の安全を考える上でのヒントにでもなればと考えているからであり、また、明日は我が身と気を引き締めることで事故防止が図れるかもしれない・・・・そのように思っているからです。  本ブログは、都度の閲覧以外、ラフな事例データーベースとして使っていただくことも可能です。        一方、安全担当者は環境も担当していることが多いと思いますので、あわせて環境問題に関する情報も提供するようにしています。       (旧タイトル;産業安全と事故防止について考える)
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2019525日付で日経ナショナルジオグラフィックから、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。

 

雷が電気であることを示したベンジャミン・フランクリンの実験から250年以上が経ち、雷雲の驚くべき秘密がまたひとつ明らかになった。

 

学術誌「Physical Review Letters」に掲載された論文によると、まったく新しい方法を使って雷雲全体の電圧を分析したところ、瞬間的に13億ボルトにも達していたという。

 

その電力は、およそ2ギガワット。

これはニューヨーク市全域に電力を30分間供給できるほどのエネルギーだと、論文の共著者で、インド、ムンバイにあるタタ基礎科学研究所の高エネルギー物理学者であるスニル・グプタ氏は語る。

 

「それだけの電圧を地上で達成させるのはほぼ不可能です。しかし、自然はいとも簡単にそれをやってのける方法を知っているようです」

 

巨大な雷雲の電気的性質をインドの科学チームが正確に分析できたのは、宇宙から降り注ぐ荷電粒子のおかげだった。

 

雷雲のエネルギーは、過去に実施されたどの値より10倍も高かった。

 

この研究結果により、宇宙と地球上で起こっていることの関係性がわかっただけでなく、高エネルギー物理学における25年来の謎も解決されるかもしれない。

 

 

【素粒子のシャワーの異変】

 

インド南部のウダガマンダラムにある宇宙シャワー現象観測施設「GRAPES-3Gamma Ray Astronomy PeV EnergieS phase-3)」。

 

物理学者たちはそこで、2001年の運用開始以来、ミュー粒子を観測している。

ミュー粒子は、宇宙線が地球の上層大気に衝突すると発生し、地上に降り注ぐ素粒子だ。

 

どういうわけか高感度のGRAPES-3は、しばしば、4月から6月の間と9月から11月の間に、ミュー粒子のシャワーがわずかに弱くなることを示す。

それが、ちょうど一年で最も雨の多い時期と重なっていた。

 

「面白いなとは思っていましたが、それほど真剣には考えていませんでした」と、グプタ氏は言う。
「私たちの研究対象は高エネルギー宇宙線と惑星間空間で、雷雲にはあまり関心がなかったものですから」

 

ミュー粒子は負の電荷を持ち、その動きは電場によって歪められる。

グプタ氏は、この性質を利用して、雷雲にどれだけのエネルギーが含まれているかを計算できないかと考えた。

 

ノーベル物理学賞を受賞したチャールズ・トムソン・リーズ・ウィルソンが1929年、ある雷雲の電場を計測したところ、1インチ(約2.5cm)の間隔で1万2700ボルトという驚きの数値が出た。

 

ということは、数kmも先まで広がる雷雲は、全体で乾電池10億個分に相当する電位差を秘めている可能性がある。

 

電圧を測るには、通常、2本の端子を対象物の両端にそれぞれ接続する必要がある。

 

だが、雲のように巨大でつかみどころのないものを相手に、どうしたらそんなことができるのか。

これまで、誰も思いついた者はいない。

 

雷雲の中に飛行機や風船を飛ばす実験も行われたが、その結果、これまでに記録されたのは、最高でも1億3000万ボルトだった。

 

今回の研究の共著者バラクリシュナン・ハリハラン氏は、GRAPES-3が検出するミュー粒子の数が変化するには、電場がどれほど強力でなければならないかを測るモデルを考案した。

 

これがあれば、観測されたミュー粒子から雲の電場を逆に推測できる。

 

次に、GRAPES-3の過去3年間のデータを使って、研究チームは184の雷雲を分析した。

 

すると、ミュー粒子の数値から、2014年12月1日に発生した雷雲の電圧は瞬間的に13億ボルトに達していたことが、はじめて明らかになった。

 

 

【次は落雷のエネルギー】

 

ミュー粒子を使った、この測定法なら、雲の広い範囲を測定できるので、飛行機や風船による実験よりも正確だ。

 

ということは、以前のデータは実際よりも数値が低く、その多くは数10億ボルトのエネルギーを含んでいた可能性がある。

 

さらに、大気物理学者を長いこと悩ませていた謎も、これで解けるかもしれない。

 

1994年、遠い銀河で発生する強力なガンマ線バーストの観測用に作られたNASAのコンプトンガンマ線観測衛星が、地球の大気から放射される高エネルギーを検出した。

 

宇宙でも最大級のエネルギーを発する現象に似たことが、なぜ地球で起こっていたのかについて、誰も説明をつけられなかった。

 

雷が関係しているとは考えられていたが、過去の実験で観測された雷雲のエネルギーは、ガンマ線バーストに匹敵するほどの強さはでなかった。

 

それが今、GRAPES-3による10億ボルト級の測定結果により、地球上の雷雲にもこの謎の現象を起こせる可能性があることが初めて示唆された。

 

グプタ氏は、この関連性をさらに裏付けるために、ガンマ線検出器を導入したいと考えている。

また、落雷によって雷雲のなかの電圧がどれくらい早く消散するのかも調べたいという。

「放電についても調べたいです。これが最も大きな災害を引き起こしますから」

 

だが、今回の研究結果だけでも、既に他の研究者から高い評価を受けている。

 

「これまで誰も考えつかなかった方法です」。

米ルイジアナ州立大学バトンルージュ校で高エネルギー宇宙線とガンマ線を研究するマイケル・チェリー氏は言う。

同氏は、この研究には参加していない。

 

超強力な宇宙線が、比較的ありふれた雷などの影響を受けるといわれても、以前なら、ほとんどの研究者が懐疑の目を向けていただろうと、チェリー氏は付け加えた。

 

しかし、雷が、地球上の物理学者の手が届く最も強力な天然の粒子加速器のひとつであることを、この研究結果は示唆している。

 

「こうした高エネルギーを研究できる対象は、はるか遠方にあるブラックホールや超新星に限りません。空を見上げればすぐそこにある雷でも研究できるのです」

 

出典

10億ボルト超に達する雷雲の電圧 新手法で解明

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO44823730V10C19A5000000?channel=DF130120166020&style=1&n_cid=NMAIL007 

 

 

 

(ブログ者コメント)

 

以下は、雷の電圧に関するブログ者手持ち資料中の記述。 

そこには、30億ボルトといった単純計算値が記されている。

 

A子;最近、小型ロケットを打ち上げて、雷の観測をしているという話を聞いたことがあります。

 

博士;それは、長い電線つきのロケットで、雷雲めがけて飛ばし、雷を誘発して、種々の測定をするんや。最近、各国で行われている。

これらの観測は、すべて、基本は電流の測定や。

 

博士;ところで、その雷の電流やが、季節、雷雲の規模、高さなどによっても異なるが、数1000アンペアから最大20万アンペアの範囲にあって、平均値は5万アンペアぐらいといわれている。

 

さて、雷の電圧やが、正確な測定はできないが、おおまかな推定ならできる。

さっき、空気の破壊電圧は1cmあたり3万ボルトといったが、多分、距離が長くなると、この値は小さくなるはずや。

 

今、仮に空気の破壊を1cm1万ボルトとし、雷雲の高さを3kmとすると、電圧は電界かける長さにつき、単純計算では雷の電圧は30億ボルト必要となり、多くの学者や研究者がいろんな方法で推定している。

 

それによると、実際の雷電圧は、1億ボルトぐらいではないかといわれている。

 
      

出典

『謎だらけ・雷の科学』 速水敏幸 講談社 ブルーバックス 19962月 第1刷

 

 

 

 

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化学関係の工場で約20年、安全基準の制定、安全活動の推進、事故原因の究明と再発防止策立案などを担当しました。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。

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