2019年3月8日18時44分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
8日午前9時50分ごろ、愛知県武豊町の町立中央公民館の講堂で緞帳(どんちょう)が落下し、舞台にいた町立竜宮保育園の園児ら8人がけがをする事故があった。
警察や町などによると、園児らは10日にある町福祉まつりで披露する健康体操のリハーサルをしていた。
町職員が電動のボタンを操作し、緞帳を最上部まで上げた際に異音がして、緞帳が閉まるように一気に落下したという。
緞帳を巻き上げるチェーンが切れており、上部から緞帳をつるすワイヤの一部も切れたという。
舞台にいた34人のうち、園児6人と保育士2人が頭や体を打つなど軽いけがをし、うち園児4人が病院に運ばれた。
多くは緞帳の裏側にいて直撃は免れたが、驚いて舞台から落ちたり、泣いたりした子もいたという。
町教育委員会生涯学習課によると、緞帳は長さ約11m、高さ約5.5m、重さ約350kg。
公民館が完成した1976年5月から使われていた。
1年に1度、保守点検をしており、昨年12月22日の点検でも異常はなかったという。
同課の伊藤課長は、「小さなお子さんにけがをさせ、精神的なダメージを与えてしまい申し訳ない。各家庭を回っておわびしたい」と話した。
出典
『公民館の緞帳が落下、舞台にいた園児ら8人けが』
https://www.asahi.com/articles/ASM384W77M38OIPE00Y.html
3月8日19時0分に日本経済新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
警察によると、緞帳を支えるワイヤ5本のうち、2本が切れていた。
町によると、舞台の設備の点検は年1回で、直近の2018年12月の点検時に異常はなかった。
出典
『緞帳下がり園児6人けが 愛知・武豊町の公民館』
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4220990008032019CN8000/
3月8日13時1分に中日新聞からは、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
町によると、緞帳は公民館が建設された1976(昭和51)年に設置され、その後、ワイヤは適宜交換されているというが、直近の交換時期は不明。
年1回の保守点検を実施しており、昨年末の点検では異常がなかったという。
出典
『緞帳が落ち園児4人搬送 愛知・武豊の公民館』
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019030890122757.html
(ブログ者コメント)
定期点検項目に「ワイヤーの健全性」といった項目は入っていたのだろうか?
(2020年1月12日 修正1 ;追記)
2020年1月10日19時29分にNHK東海から、巻き上げチェーン1本が切れていた、開館した昭和51年以降、部品交換などの対策がとられていなかったなど、下記趣旨の記事がネット配信されていた。(新情報に基づき、タイトルも修正した)
どんちょうは重さが約350キロあり、巻き上げるための金属製のチェーン1本が切れていたため、警察は、安全対策に問題がなかったか捜査してきましたが、公民館が開館した昭和51年以降、部品を交換したりチェーンを二重にしたりするなどの対策が取られていなかったことがわかったということです。
このため、警察は、年1回の定期点検の実施で事故は起きないと考え、十分な落下防止対策を怠っていたことが事故につながったとして、10日、公民館の58歳の館長を業務上過失傷害の疑いで書類送検しました。
調べに対し、館長は容疑を認めているということです。
武豊町は、「今後、町内の施設の安全点検を徹底し、町民の皆様に安心して利用していただけるよう努めていきます」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20200110/3000008474.html
1月11日7時30分に朝日新聞からは、緞帳の落下事故は全国で起きているなど、より詳しい下記趣旨の記事がネット配信されていた。
愛知県武豊(たけとよ)町の町立中央公民館で昨年3月、重さ約350キロの緞帳(どんちょう)が落下して保育園児らがけがをした事故で、愛知県警は10日、公民館長の男性(58)=武豊町=を業務上過失傷害の疑いで書類送検し、発表した。
容疑を認め、「定期点検をすれば事故は起きないと考えていた」と説明しているという。
事故は昨年3月8日に発生。
町職員が電動ボタンを操作して講堂の緞帳を最上部まで上げた際に緞帳を巻き上げるチェーンが切れ、閉まるようにして落下した。
舞台上にいた保育士4人と園児6人が肩を打つなど、軽傷を負った。
書類送検容疑は、緞帳の安全対策を怠り、落下事故で園児らにけがをさせたというもの。
緞帳を巻き上げるチェーンは1本だけで、チェーンを複数付けるなどの対策を講じる必要があったと判断した。
半田署によると、1976年に開館してから部品などを交換しておらず、経年劣化で切れた可能性があるという。
町によると、緞帳は幅約11メートル、高さ約5・5メートル。
裾には重りの鉄の棒が入っていた。
点検は年1回実施しており、事故前年の18年12月時点は異常がなかった。
緞帳(どんちょう)が落下する事故は、各地で起きている。
全国公立文化施設協会(東京)などによると、2010年以降、今回の武豊町の事故を含めて全国で5件発生。
群馬県伊勢崎市の文化センターでは13年、緞帳の鉄パイプを包む布が破れて緞帳が落下し、風圧で倒れた幼稚園児4人が軽傷を負った。
横浜市でも18年、公会堂の緞帳をつり下げる部品が経年劣化で破損して落下した。
部品交換の目安は、チェーンを含むモーター部分が約20年、緞帳をつり下げるワイヤが約10年とされる。
同協会の松本辰明専務理事は、「点検で大丈夫でも、目に見えない部分の劣化が進んでいる。定期的な部品交換は必要だ」と指摘する。
課題はコストだ。
舞台装置の大手メーカーによると、緞帳を含む舞台の設備機材は、小規模な公民館でも1千万円かかる。
モーターを交換すれば、300万円ほどするという。
文部科学省の調べでは、全国にある約1万3千カ所の公民館のうち、30年以上前に建てられた公民館は約6割に上り、施設の老朽化が進んでいる。
公共施設マネジメントに詳しい東洋大の根本祐二教授(公共政策)は、「経年劣化による事故のリスクは日に日に高まる。財政事情が厳しく修繕が難しければ、施設の統廃合も視野に入れるべきだろう」と話す。
https://www.asahi.com/articles/ASN1B4TP6N1BOIPE013.html
(ブログ者コメント)
以下は、NHK映像の1コマ。
両記事中、切れたワイヤーに言及されていないことから考えると、緞帳の重みを支えていたのはチェーンだけだったということかもしれない。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。