2020年2月14日7時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が写真と地図付きでネット配信されていた。
南海トラフの巨大地震が起きると、揺れだけでなく、津波によって東海地方の沿岸に大きな被害が出ると考えられている。
その津波の威力を抑える要は、「海」での対策だ。
2月初旬、愛知県弥富市の南端の海岸を訪れた。
コンテナ置き場などを通り過ぎ、伊勢湾に突き出す岸壁に着いた。
海の中には「高潮防波堤」が立ち、まっすぐ沖に続いている。
防波堤の上部は、かさ上げされた岸壁とほぼ同じ高さだ。
この防波堤は、1959(昭和34)年9月に名古屋港で3・89メートルの高潮を観測した伊勢湾台風を受け、その5年後につくられた。
全長約7・6キロメートル。
船の出入りのため2カ所で途切れているが、人工島を挟んで、弥富市と対岸の同県知多市を直線状に結ぶ。
完成当時、防波堤は最も高いところで海面から6・5メートル。
この壁で高潮によって押し寄せる波を弱め、港内の潮位を約3割低くできると期待された。
高潮だけでなく、津波にも対応できるというが、港の防災設備を管理する名古屋港管理組合の担当者は、「やっかいなのは地震の揺れ」と言う。
防波堤は海底の砂の上に立つ。
巨大地震の揺れで液状化が起これば海底に沈み込み、津波を阻むことができない恐れがある。
2009年からの国の調査では、最大で3・4メートル沈むことが判明。
劣化により、建設時よりも約1メートル沈んでいた部分もあったという。
13年から実施された補修工事では、液状化現象で高潮防波堤がある程度沈んでも津波を阻めるよう、かさ上げをした。
110億円の費用をかけ、海面からの高さを8メートルにした。
備えは湾内の設備だけではない。
陸との境界線には防潮壁がある。
防潮壁の高さは海面から6~6・5メートル。
伊勢湾台風の直後から工事が始まり、名古屋港を囲むように庄内川河口の東側から天白川河口の北側までと、湾内の人工島、ポートアイランドの周囲など、計26・4キロメートルにわたる。
こちらも弱点は同じだ。
防潮壁が立つ海沿いは埋め立て地が多く、液状化する危険性が高い。
海岸保全基本計画などでは、9・6キロメートル分の補修工事が必要とされている。
液状化が起きても役目を果たせるよう、壁のかさ上げをする方法や、地中に鉄鋼製の板を通して固定した壁を新設する方法などがある。
工事は19年3月末時点で1・1キロメートル分しか進んでいない。
「防潮壁のすぐ裏に建物などがある場合も多く、工事スペースの確保が難しい」(名古屋港管理組合)ためという。
ただ、「海抜ゼロメートル地帯」などでは、地盤沈下や堤防の損壊によって、津波が来る前に浸水が始まる恐れがある。
名古屋港管理組合は、「日ごろから避難場所を防災マップなどで確認し、命を守る行動をとってほしい」と話す。
【水族館で地震、どうすれば?】
名古屋港を守る防潮壁だが、その外にも工場や倉庫、レジャー施設がある。
名古屋市の想定では、地震発生から津波が港に到達するまで最短で96分。
防潮壁の外側にいる時、どう避難すればよいのだろうか。
ガーデンふ頭の一角にある名古屋港水族館(名古屋市港区)は、「まず屋上に避難を」としている。
北館と南館があり、北館3階は屋外だ。
イルカショーを見るための階段席があり、2500人が座れる広さがある。
同水族館では2009~15年、2千人の観客を招いて津波を想定した避難訓練を実施した。
館内にいる観客たちを20分以内で誘導したという。
土日などの休日は館内に2500~3千人がいるといい、同水族館は、「想定以上の津波が来る場合や、来場客の混乱が大きい場合も考えられる。何があっても避難場所に安全に誘導できるよう、誘導の質の維持に努めたい」としている。
https://digital.asahi.com/articles/ASN2D42WVN1YOIPE001.html?pn=5
(ブログ者コメント)
本件、名古屋港だけの話しではないと拝察する。
ネットで調べたところ、沿岸防波堤以外、河川の堤防でも液状化が問題になっている。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。