2020年2月15日付で信濃毎日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
国土交通省が1月31日付で出した「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の一部改正に、2015年に佐久市で起きた交通事故で長男のW田樹生さん=当時(15)、中学3年=を亡くした母真理さん(48)の要望が反映されたことが14日、分かった。
総重量が3・5トンより大きいダンプカーなどに関し、サンバイザーやルームミラーなどを除く「運転者の視野の一部を遮蔽(しゃへい)する板状のもの」(装飾板)が、フロントガラスに貼り付けられていない状態であっても保安基準上「適合しない」と明記。
交通事故遺族の思いが国を動かした形だ。
真理さんが働き掛けたのは、18〜19年に地裁佐久支部であった刑事裁判が契機。
樹生さんの事故で有罪判決を受け、執行猶予中だった男性会社員(47)が、乗っていたダンプカーのフロントガラスに保安基準に適合しない装飾板を装着、改造したとして、道路運送車両法違反(不正改造)罪などに問われた。
保安基準は、道路運送車両法に基づき、車体の大きさや座席、取り付ける装置などを規定。
同支部は昨年3月、同罪について、フロントガラスと装飾板に6〜29ミリの隙間があることなどから、不正改造に当たらないとする無罪判決を言い渡した。
その後、確定した。
「隙間があろうと、(運転手の)視界の妨げになっていることに変わりはない。信じられなかった」と真理さん。
国交省がホームページで、装飾板の取り付け自体を「死角が増え、大変危険」と呼び掛けていることを確かめた。
事故を巡る民事訴訟を担当する弁護士に相談。
昨年4月、装飾板を装着する車が増えないよう防いでほしい、規制を目に見える形で伝えてほしい―との要望書を携え、同省自動車局技術政策課を訪ねた。
改正前の細目告示は「運転者席は、運転に必要な視野を有するものであること」との記載だけだった。
同課の担当者から「何らかの形で応えたい」と回答を受け、やりとりを重ねた。
同課は、「要望をしっかり受け止めた。車検の際などに(不正改造かどうかの)判断がしやすくなった」とする。
真理さんは、「無罪判決のために不正改造車が増えて事故が起きたら耐えられない。誠実に対応してもらい、救われた」と話している。
https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200215/KT200207FTI090009000.php
(ブログ者コメント)
以降は、息子さんが亡くなった事故に関する記事。
装飾板ではなく飲酒後の速度超過が原因で、運転手は救護前にコンビニで口臭防止剤を買っていた。
(水を飲んだかどうかは報じられていない)
そのような運転手がダンプに取り付けた装飾板、このままでは息子と同じ目に遭う人がでるかもと思って、母親が動いたのかもしれない。
(事故の概要 ; 2016年6月25日 9時30分 テレビ信州)
去年3月23日、佐久市の新幹線佐久平駅近くで起きた交通事故。
午後10時ころ、横断歩道を渡っていたW田樹生君15歳が、酒を飲んで運転していた男の乗用車に50メートル近くも跳ね飛ばされ、死亡した。
男は和田君の救助や警察への通報の前に、近くのコンビニで口臭防止の商品を買って飲んでいた。
しかし、呼気1リットル中のアルコール濃度0.1ミリグラムで、飲酒運転の基準値0.15ミリグラムには達しなかった。
このため罪状は「過失運転致死」で、判決は禁錮3年で執行猶予5年がつき、男は実刑を免れた。
和田君の両親は、量刑が軽いとして4万人を超す署名を集め検察に控訴を訴えたが、控訴は見送られた。
「飲酒運転で人をひいても執行が猶予されるのは全く理解できない」
さらに、「飲酒運転を隠そうとした行為があるのだから、発覚免脱罪に問うべきだ」とも訴えたが、「口臭防止の商品にアルコール濃度を下げる効果は無い」と退けられた。
刑事裁判は確定したが、W田君の両親は全国の遺族団体に参加して、民事訴訟を念頭に活動を続けている。
今回のチャンネル4では、様々な酒や薬物に起因する交通事故を取り上げ、突然愛する家族を奪われた人々の悲しみを通して自動車事故の悲惨さを伝えたい。
https://www.tsb.jp/tsb-bangumi/ch4/20160625/ アカスミ
(事故の詳細 ; 2019年3月18日14時49分 朝日新聞)
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15年3月23日午後10時20分ごろ。
佐久市佐久平駅北の自宅マンションの外で、善光さんが叫んだ。
塾に行った樹生さんの帰りが遅いのを心配して、様子を見に出た直後だった。
真理さんも外に飛び出した。
樹生さんがひどいけがを負っていることは、一目で分かった。
いくら名前を呼んでも、反応はない。
救急車が到着するまでの時間が、とてつもなく長く感じた。
「早く来て!」。
真理さんは、何度も消防に電話した。
死なないでくれ。
善光さんは必死に祈った。
だが、その願いは届かなかった。
約1時間後、樹生さんは亡くなった。
脳挫傷、心破裂……。
命に関わるけがを、いくつも負っていた。
判決で認められた事故の状況はこうだった。
同日午後10時7分ごろ。運転していた男性は飲食店で酒を飲み、二次会の会場に向かう途中だった。
法定速度60キロの道路を、時速70~80キロで運転。
横断歩道を歩いて渡っていた樹生さんに気づかずにはね、樹生さんは約44・6メートル飛ばされた。
男性は救護や通報をせず、近くのコンビニエンスストアへ。
アルコールのにおいを消すため、口臭防止用の商品を買っていた。
両親によると、男性はこの後、倒れていた樹生さんのそばに移動、善光さんが駆けつけた際には、人工口呼吸をしていたという。
長野県警と長野地検の捜査では、事故30分後に検出されたアルコールは、呼気1リットルあたり0・1ミリグラム。
酒気帯び運転の基準値(0・15ミリグラム以上)を下回っていた。
速度超過は適用されず、起訴したのは自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪のみ。
15年9月の判決で長野地裁佐久支部は、事故の主因を男性の「前方左右の不注視」と認定し、禁錮3年執行猶予5年を言い渡した。
「道交法違反で起訴されていない速度超過などについて、刑事責任を加重させる事情として過大に評価することはできない」などとの判断だった。
地検も男性も控訴せず、判決はそのまま確定した。
善光さんと真理さんは、釈然としない思いだった。
なぜ、地検は道交法違反(速度超過)を罪名に含めなかったのか。
そもそも、なぜ事故は起きたのか。
樹生さんの普段の様子や性格から、「左右を確認してから渡ったはず」と2人は考えていた。
本当に時速70~80キロだったのか――。
真相は明らかになっていないと感じていた。
「樹生の最期を、本当のことを明らかにすることしか、もう親としてしてあげられることがない」
2人は独自に事故を調べ始めた。
判決後、地検に控訴を求めて行った署名活動でできた人のつながりが助けになった。
近所の人たちからは、男性の運転についての情報が寄せられ、同じように事故で家族を亡くした人からは、調査に向けたアドバイスをもらった。
その中で、手がかりとなる映像が見つかった。
事故直前、事故現場の近くを走る男性の車。
速度を割り出そうと、2人は測量や映像解析、交通事故のプロに自費で協力を依頼した。
現場にも何度も来てもらった。
1年半後、導き出された結論は、事故当時の速度が時速110キロに達していたというものだった。
「よけられるはずがないじゃないか」と2人は感じた。
男性が1年後に免許を再取得し、車を改造していたことも判明した。
(以下は有料)
https://www.asahi.com/articles/ASM3J4VTCM3JUOOB00B.html
※以下は遺族の控訴が棄却されたという記事。(記事転載は省略)
(2019年3月18日17時44分 朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASM3J6HXLM3JUOOB00P.html?iref=pc_extlink
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。