2020年2月16日付で毎日新聞東京版から、『報道のパンデミック 一辺倒のニュース要注意』というタイトルで、藻谷・日本総合研究所主席研究員の意見が下記趣旨でネット配信されていた。
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されている。
発生源となった中国では14日までに感染者数が6万人を超え、1000人以上が死亡した。
日本では、感染した80代女性の死亡が13日に発表され、中国湖北省などへの渡航歴が確認されていない日本人の感染が相次いでいる。
この感染力は侮れない。
このようなときこそ問われるのは、各人の「メディアリテラシー」。
つまり、「メディアで流れる情報に受け身にならず、自分の頭で客観的に判断できるか」ということである。
たとえば、昨年秋から冬にかけて猛威を振るっている別のウイルス感染症をご存じだろうか。
昔からある病気で、予防接種も普及しているが、それでも子どもや老人を中心に多くの感染者が確認されている。
人口動態統計によると、同感染症による死者数は2018年で3325人に上り、年間の交通事故死者数に近い。
19年も、9月までの累計で3000人を超えている。
新型よりもよほど眼前の脅威だが、テレビではこちらの死者数は語られない。
しかも、このウイルス感染症は、いま、米国内で大流行している。
米疾病対策センターの推計によると、この冬に少なくとも2200万人が感染し、1万2000人もの死者が出ている。
感染者は、単純計算で米国民15人に1人程度。
それでも「米国からの入国を制限しろ」とのヒステリックな声が聞こえないのは、日本人も意外に冷静なのか。
いや、あおられた方向にしか動かない国民なのか。
もうお分かりかと思うが、この恐ろしい感染症は、旧来型のインフルエンザだ。
「昨年末に12歳の子どもがインフルエンザをこじらせ、2週間も集中治療室に入り、最悪の事態も覚悟した」という話も身近で聞いた。
幸い、その後に全快したそうだが、もしこれが新型コロナウイルスへの感染であれば、ずっと軽症だったとしても大々的に報道され、患者を病原菌扱いするような心ない中傷までをも受けたかもしれない。
なぜテレビもネットも、既存インフルエンザの死者数に触れないまま、新型の脅威だけを騒ぐのだろうか。
新たな脅威が海の向こうからもたらされることに対する、島国の住民としての本能的な忌避感も背景にあるのだろう。
11年に原発から漏出した放射能については冷静に見ていた人が、今回のように外国発の病原菌には過度に敏感になっているのを見ると、特にそのように感じる。
だが、日本という化石燃料資源のない島国に住んで外貨を稼ごうとする以上、島外との密接な経済交流、人的交流は避けられない。
日本人の約4分の3はパスポートを持っていないのだが、増え続ける訪日客と接する機会は増えている。
東京五輪・パラリンピックのある今年はなおさらだ。
訪日客の利用が収益源という、ある地方都市のタクシー運転手は、「ウイルスのパンデミック(大流行)よりも、報道のパンデミックの方が大打撃だ」とこぼしていた。
敗戦から19年後の1964年に前回の東京五輪という平和の祭典を挙行した諸先輩の努力をしのび、日本人も、もう一段、世界に心を開く度合いを広げようではないか。
・・・・・
※以降は政治案件(検事総長定年延長)に関する意見につき転載省略。
https://mainichi.jp/articles/20200216/ddm/002/070/046000c
(ブログ者コメント)
〇インフルエンザのほうが、より注意すべき感染症だという報道は、これまでにも散発的にあったが、それらは新型コロナウイルスの感染者がまた増えたというセンセーショナルな報道に打ち消されてきた。
これまで打ち消されてきた報道の代表として、この記事を紹介する。
〇実際、わが国のインフルエンザ患者数は、以下の報道によれば、過去5年、1月末の1週間で14~26万人だ。
(2020年2月13日 木曜 午後7:20 FNN PRIME)
・・・・・
ここで注目したいのは、本来だと感染のピークを迎えているはずのインフルエンザウイルス…新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、疾患が大きく減っているのだ。
国立感染症研究所によると、2020年第5週(1月27日~2月2日)の患者報告数は7万76人。
2019年の同時期、21万4592人と比べると約3分の1に減少していて、ここ10年間でも最も少ないという。
それでは、なぜインフルエンザの流行が抑えられているのか?
暖冬を理由に挙げる人もいるが、新型コロナウイルスへの予防対策が関係していると見られる。
・・・・・
https://www.fnn.jp/posts/00050266HDK/202002131920_livenewsit_HDK
それに対し、今回発表されている新型コロナウイルスの患者数は下記で、過去のインフルエンザ患者数よりもはるかに少ない。
(2020年2月21日12:00現在 厚労省HP)
患者数 79人 (国内69、チャーター便帰国者10 ;クルーズ船除く)
無症状病原体保有者 14人
〇一方、致死率だけでいえば、新型コロナウイルスはインフルエンザの20倍という報道もあった。
(2020年2月12日掲載 ナショナル ジオグラフィック)
中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスは、世界中で4万人以上の感染者を出している。
しかし、この新しいウイルスは、他の感染症ウイルスよりも危険なのだろうか?
・・・・・
こうした感染症の危険度を互いに比較するには、複雑な計算が必要だ。
感染のしやすさ、致死率、症状の重さ、地域の封鎖に伴う社会的・経済的な影響の大きさなどを勘案することになるからだ。
単純に致死率を比較するだけでは、どれが最悪の感染症かを判断しがたい場合もある。
例えばインフルエンザは、従来型のものであれH1N1のような新型のものであれ、感染者は何百万人にも上りうるが、死亡に至る割合は比較的低く、そのうち0.1%ほどだ。
対して、SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、そして今回の新型コロナウイルス感染症「COVID―19」は、致死率の点でははるかに深刻だ。
ただし、SARSは致死率が10%ほどに上ったが、感染が確認されたのはわずか8000例ほどだった。
現時点で、新型コロナウイルスの感染者数はSARSを大きく上回っている。
そのうち死亡に至るのは2%ほどだ。
致死率でいえば、インフルエンザの20倍ほどということになる。
・・・・・
もし新型コロナウイルスの感染が何百万人という単位に拡大すると、非常に危険な事態になる恐れがある。
・・・・・
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/021100089/
患者数?致死率?
何をもって危険と判断するか?
産業安全的に考えれば、リスクとは事故の「発生確率」×「重篤度」なのだが・・・。
〇3日前、朝一番でホームセンターに行った時のこと。
平日でチラシも入ってないというのに、30~40人が行列していた。
もしかして・・と思い、見ていたら、案の定、ほぼ全員がマスク売り場目指してダッシュしていった。
買えた人がいたかどうかは不明。
それ以前に、マスクが並んでいたかどうかも不明。
石油ショック時のトイレットペーパー騒ぎもかくやと思わせるほどの騒動、これほどだとは思わなかった。
石油ショック時とは違い、ネットに個人出品できるようになった現状、転売目的の人もいるのかもしれない。
一方、18日には福岡市の地下鉄車内で、マスクせずに咳をしていた人と注意した人とが口論になり、非常通報ボタンが押されるというトラブルまで出現した。
https://www.sankei.com/west/news/200220/wst2002200014-n1.html
未知のものへの恐怖感も相まって、こと程左様に市民生活に大きな影を落としている、今回の新型ウイルス騒動ではある。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。