2019年4月13日16時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
燃料を積んだタンクローリーにホースで直結できる移動式の給油機を、兵庫県姫路市の石油販売会社が開発し、販売を始めた。
東日本大震災で多くのガソリンスタンド(GS)が被災し、給油できない状況を目の当たりにした社長が「タンクローリーをGS代わりに」と考えた。
資源エネルギー庁によると、タンクローリーと直結してガソリンも扱える給油機は、全国で同社製が初めて。
災害時だけでなく、GSの廃業が相次ぐ過疎地の給油対策でも活用が期待されるという。
名称は「どこでもスタンドⅡ」。
見た目も操作方法も、広くGSに普及している給油機とほぼ同じ。
転倒を防ぐため約400kg重さがあるが、クレーンでつる金具やフォークリフト用の穴を備え、トラックで運べる。
危険物を扱う資格を持つ運転手がタンクローリーを横付けし、耐油ホースでつなぐと即席のGSができる。
開発したのは「横田瀝青(れきせい)興業」。
同社は、2011年の東日本大震災の発生直後から2カ月余りの間、携帯電話基地局の発電機や緊急車両、重機などの燃料をタンクローリーで連日、宮城県へピストン輸送した。
横田社長(57)は、全国から救援に駆けつけたタンクローリーの多くが、震災で倒壊・水没したGSにガソリンや軽油を下ろせない状況を見た。
タンクローリーと直結できる移動式給油機の開発を思い立ち、GS用の給油機メーカーに改良を依頼。
14年3月に初期型を完成させた。
消防法は、GSなどの施設以外での給油を、原則、認めていない。
しかし、地元消防から10日以内に限って給油できる例外規定を適用してもらえば、タンクローリーに直結する移動式給油機を運用できる。
同社は関西の自治体などに売り込んだが、「前例がない」としてなかなか採用されず、初期型は16年に姫路市が災害時の公用車への給油用に1台を約770万円で購入しただけだった。
改良版の「Ⅱ」は、素材をアルミからステンレスに変更し、重さを約100kg増やして安定性を高めた。
車の衝突防止用ポールを土台の4隅に立てるなどして、安全性も向上させた。
昨年11月、総務省消防庁の外郭団体「危険物保安技術協会」による性能評価で安全性が確認された。
車の燃費性能向上などで全国的にGSの廃業が相次ぐなか、地下タンクなどの建設が必要なく、空き地などに短時間で設置できる同社の移動式給油機に、国も注目している。
資源エネルギー庁は昨年11月~今年1月、浜松市の山間部で実証実験をした。
同庁石油流通課の担当者は、「過疎地などでGSがなくなり車を動かせなくなれば、死活問題になる。日帰り給油販売などに活用できる」と期待する。
総務省消防庁は昨年12月、「(例外規定を認めても)差し支えない」と各都道府県に通達した。
1台の価格は消火器などもセットで1000万円。
問い合わせは同社(079・233・0555)へ。
出典
『タンクローリー、どこでもスタンド 災害時も過疎地でも』
https://www.asahi.com/articles/ASM3G6G3HM3GPIHB01V.html
(ブログ者コメント)
〇以下は、製造元の横田瀝青工業が作成したと思しき、同設備に関する説明資料。
出典は不明だが、urlから推察するに、経産省の会議か何かで使われた資料なのかもしれない。
『タンクローリー直結型緊急時用計量機 「どこでもスタンド」』
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/jisedai_nenryo/pdf/002_03_00.pdf
〇浜松市山間部での実証実験は、本ブログでも昨年11月に紹介スミ。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。