2019年4月12日6時58分に東京新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
「消防設備士」の国家資格を保有する東京消防庁職員の多くが、消防法で義務付けられた定期講習を受けず、消防法違反の状態であることが、複数の同庁関係者への取材で分かった。
講習は同庁が実施し、受講していない消防設備業者などには減点処分をしている。
講習を受けるよう指導する側が、身内の違反を見過ごしていたことになる。
消防設備士は、スプリンクラーや自動火災報知機、消火器などの工事や整備、点検を行う資格。
大規模なデパートやホテル、飲食店などは、半年に一度の機器点検をはじめ、消防設備士らによる定期点検を受け、都内では東京消防庁に報告するよう、消防法で定められている。
講習は、消防設備士の免状を交付された後、最初に迎える4月1日から2年以内に受けるよう、同法で義務付けられている。
新たな知識や技能の習得が目的で、その後も5年以内の間隔で受講する必要がある。
東京消防庁によると、職員約1万8000人のうち、少なくとも約8600人が消防設備士の資格を保有。
署長ら幹部は、9割以上の約420人が持っている。
しかし、取材に応じた複数の同庁職員は、資格を持っているのに、法律で定められた期間内に講習を受けていないことを認め、周囲の多くの職員も受講していないと指摘した。
消防設備士に違反を通告し、減点処分をする立場の消防署長ら幹部の中にも、受講していない人がいた。
本紙が東京消防庁に、受講義務違反の職員数などを文書で尋ねたところ、同庁広報課は「任意に取得された資格で、個々の職員の受講状況を把握していない」と回答。
消防法違反を指摘し、調査を求めたが、同課は「調査の予定はない」と拒んだ。
総務省消防庁予防課の担当者は、「消防設備士の講習は、資質の維持、向上のためにある。最新の法令基準や設備の不具合に関する情報を得るため、受講する必要がある」としている。
<消防設備士>
1965(昭和40)年の消防法改正で、消防設備の工事や整備は消防設備士でなければ行えないと規定され、翌年から資格制度が始まった。
都道府県知事から委託を受けた一般財団法人「消防試験研究センター」が試験や免状の交付をしている。
消防白書によると、消防設備士の数(免状作成件数の累積)は甲種(工事・整備)、乙種(整備)合わせて約117万人。
違反の減点が3年間で20点に達すると、免状を返納するよう命じられる。
減点は、講習を受けなかった場合5点、設備の性能が著しく損なわれていた場合8点など。
出典
『指導側なのに消防法違反 消防設備士、講習受けず』
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019041290065815.html
4月12日付で東京新聞夕刊からは、下記趣旨の続報記事がネット配信されていた。
消防設備士の国家資格を持つ東京消防庁職員の多くが消防法で義務付けられた講習を受けていなかった問題で、同庁が過去3年間、受講義務違反で、外部の消防設備士17人を減点処分にしていたことが、同庁への取材で分かった。
一方で、減点を受けた消防職員はいなかった。
講習を受けるよう指導する立場の同庁が、身内の法令違反を見過ごしたまま、外部に権限を行使していた。
こうした実態を巡り、同庁広報課は12日、取材に「今後、資格を保有している職員に受講の必要性について指導を徹底していく」とコメントした。
総務省消防庁予防課の担当者は、「全国の消防本部を通じて、職員に受講を呼び掛けることを検討している」と話した。
複数の東京消防庁職員が本紙の取材に、資格を持っているのに講習を受けていないことを認め、周囲の多くの職員も受講していないと指摘している。
消防法17条の10は「消防設備士は(中略)講習を受けなければならない」と規定。
しかし、消防職員は業務で消防設備の工事や整備をすることはないため、複数の職員が「講習を受けなくても業務上支障がない」としている。
同庁によると、2016年2月~今年2月、民間の消防設備士17人(23件)を受講義務違反で減点処分にした。
消防設備業者側が設備の設置届や点検結果を同庁に報告した際などに、違反が発覚した。
減点が3年間で20点に達すると、都知事から消防設備士の免状を返納するよう命じられるが、返納に至ったケースはなかったという。
それ以前の処分歴について同庁広報課は、「データの保存期限が過ぎており、記録がない」としている。
出典
『東京消防庁 設備士講習違反 外部17人減点、身内ゼロ』
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201904/CK2019041202000301.html
(ブログ者コメント)
同じ消防法でも、危険物取扱者免状は、現に、あるいは新規に危険物の取扱い作業に従事している人だけが講習の対象となる。
その辺で思い込み、勘違いがあったということだろうか?
しかし、もしそうだったとしても、免状を持っている数100人、数1000人の署員が講習未受講とは、消防法を所管する部署としてお粗末すぎる。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。