2015年8月20日付で読売新聞秋田版から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
寒冷地での雪解け水による凍結、破損を防止する新しいタイプの排水管を、秋田市のリフォーム工事会社「ヨシダアニー」と秋田大学が開発し、19日、県庁で発表した。
管の内側に突起を付けることで排水の流れを速くし、凍結を抑えるという。
吉田社長は、「電気も使わないので維持費もかからない。県外や海外にも売り出していきたい」とアピールしている。
寒冷地では通常、暖房で解けた雪解け水が屋根から排水管を伝って流れるが、気温が低いと、流れる間に凍って管を塞いだり、漏水を起こしたりすることが多いという。
対策として、ひも状のヒーターを管に通して温める方法があるが、電気代がかかるうえ、破損するケースも少なくなく、同社には毎年、20~30件の修理依頼が来ているという。
吉田社長は、同大の小松喜美准教授(伝熱工学)と2011年に開発に着手。
研究の結果、排水管を流れる雪解け水の速度が遅いのが原因で、途中で凍結することが分かった。
その対策として、管の断面を見ると星の形に見えるよう内側に突起を付け、水が速く流れるようにした。
13年に完成させ、その後、北海道や岩手県、鹿角市などの寒冷地で実験。
氷点下20℃の寒さでも、排水管が凍結しないことを確認したという。
新しい排水管は、9月に発売する予定。
価格は市販のステンレス製排水管の約2倍の設定だが、電気を使わず維持費がかからないため、「長期的には割安になる」(吉田社長)という。
既存の排水管との交換工事が必要になるため、住宅や商業施設の新規着工や大規模改修に合わせてPRしていくという。
吉田社長は、「省エネ効果も高く、温暖化も防げることをPRし、3年後には年間100棟での導入を目指したい」と話している。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/local/akita/news/20150819-OYTNT50231.html
(ブログ者コメント)
2012年12月14日1時0分に日本経済新聞から、開発に成功したので商品化を目指すという、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
秋田大学大学院工学資源学研究科の小松喜美講師と防水工事業のヨシダアニー(秋田市)は、電気などのエネルギーを使わず冬でも凍結しない排水管を共同で開発した。
今後、実証実験を重ね2~3年後の商品化を目指す。
排水管の内側に、水の流れを制御できるように特殊加工した管を入れて二重構造にした。
氷点下15℃の室内で7時間排水実験したところ、通常の排水管は完全に凍結したが、開発した排水管は凍結しなかったという。
今後は、氷点下25℃の室内実験や屋外での実証実験で改良を重ね、商品化する。
寒冷地のビルなどに使う排水管は、ひも状のヒーターを内蔵し電気を使って凍結を防ぐのが一般的。
小松講師の試算によると、ヒーター内蔵の排水管を5階建ての建物1棟に使用した場合、1カ月あたりの二酸化炭素(CO2)排出量は480kg相当になるという。
今回開発した排水管は電気や熱などのエネルギーが不要のため、ランニングコストがかからないほか「CO2の排出削減効果もある」(小松講師)という
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFB13078_T11C12A2L01000/
2015年8月14日付で毎日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
工場の配管に設置する保温材の劣化により、国内の製造業が消費するエネルギーの3%程度が無駄遣いされている可能性があることが、業界団体の推計でわかった。
発電量に換算すると、原発7基が1年間フルに運転して生み出す電力に匹敵する。
政府や電力会社は九州電力川内原発1号機を皮切りに原発再稼働を急ぐ構えだが、老朽化設備の補修など徹底的な省エネ対策でエネルギー消費を抑える需要側の対策も求められそうだ。
工業用保温材の施工などを手がける約450社で作る「日本保温保冷工業協会」がまとめた。
保温材は、岩石やガラスなどから作り、蒸気が通る配管などに巻いて、熱が外部に逃げるのを一定程度防ぐ。
高温の蒸気が流れる配管や、水を蒸気に変えるボイラーなどに設置。
保温材が損傷して配管が外気にさらされたり、雨水がしみ込んだりすれば、配管内の熱が逃げ出す。
同協会は、工場で実施している保温材の検査データや、過去の保温材出荷量などをもとに、
・設置済みの保温材は計1億5700万m2
・その半分で劣化が見られる
・工場の稼働時間は年8000時間程度
・配管内の温度は150〜1000℃
などと想定し、外部にどれだけの熱が逃げているかを試算。
熱損失は、すべての保温材が健全だった場合の約1.5倍に上り、年間220ペタジュール(ペタは1000兆、ジュールはエネルギー量の単位)が余計に失われていると推計した。
これは、出力100万KWの原発7基が1年間稼働した場合の発電量約613億KW時に匹敵する。
配管を通る熱源は、製造工程の化学処理や暖房などに使われる。
製造業はここ数年、国内全体の4割に上る年間6000ペタジュール前後を消費しているが、その3%程度が無駄遣いされていることになる。
事業者や自治体向けに啓発事業などを行う一般財団法人「省エネルギーセンター」の判治理事は、「設備が老朽化し、製造現場のエネルギー管理が甘くなっている事例は多い。省エネには最新鋭の設備導入も重要だが、老朽化設備の補修なども求められる」と指摘している。
出典URL
http://mainichi.jp/shimen/news/20150814ddm001020148000c.html
(ブログ者コメント)
この種の推定は、前提条件次第でどうにでもなる。
今回の推定では、特に「半分で劣化がみられる」という条件が気になった。
かなりシビアな条件ではないかと感じたが、想定した根拠はあるのだろうか?
当該協会のHPを調べてみたが、今回推定に関する記事は見つからなかった。
2015年6月17日7時9分に読売新聞から、下記趣旨の記事がマンガ付きでネット配信されていた。
松江市東出雲町の住宅街で、今春、車のワイパーが壊される被害が約40件相次いだ。
被害届を受けた島根県警松江署が、延べ約50人の捜査員を投入するなど捜査。
警戒のため設置した防犯カメラに映っていた“犯人”は、カラスだった。
巣作りに利用した可能性があり、松江署も「カラスじゃ逮捕もできない」と困惑気味だ。
被害は今年2月頃に始まり、約300m四方の住宅街で、車に取り付けられたワイパーのゴムが引きちぎられるなどの被害が続いた。
松江署は、日中には住宅街で覆面パトカーを頻繁に走らせ、夜間も警察官が張り込むなど、万全の警戒体制で犯人を待ちかまえ、防犯カメラも設置した。
5月下旬、防犯カメラが、車のボンネットにとまり、ワイパーをつつく黒い姿を捉えた。
目撃情報などの証拠もそろい、同署は、カラスの仕業と断定した。
その後、被害は沈静化したが、地元自治会では、来年の繁殖期も警戒するという。
カラスの生態に詳しい杉田昭栄・宇都宮大教授(動物形態学)は、「カラスはクッションとして軟らかい素材を巣作りに使うことがある。しかし、これほど狭い地域に集中的に被害が発生するのは珍しい」と話している。
出典URL
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150616-OYT1T50097.html
(ブログ者コメント)
カラスの巣による停電事例を本ブログでは過去に何件か紹介しているが、その関連情報として紹介する。
2015年5月19日11時1分に朝日新聞から、『洗濯機「カビ臭い」、原因はカビじゃなかった ライオン』というタイトルで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
洗濯機の「かび臭い」においの原因はかびではなく、細菌がつくる硫黄化合物であることが、日用品大手ライオンの分析でわかった。
家庭で2~15年使われた洗濯機14台の内部の空気を袋に集め、かび臭いにおいの成分を調べると、生ごみに含まれる硫黄化合物だと判明した。
においがするのにかびの生えていない洗濯機が2台あったため、洗濯槽の裏側にあるネバネバした汚れを採取、遺伝子解析したところ、マイコバクテリウムという土壌や河川に広く存在する細菌の仲間だとわかった。
この細菌は14台すべての洗濯機で見つかり、細菌を増殖させる実験では、硫黄化合物が増えるのを確認できた。
かびの生えた洗濯槽もあったが、においにはそれほど関係していないという。
同社で洗濯の研究をする「お洗濯マイスター」の山縣さんによると、この細菌は、洗濯機の内部が約30℃、湿度が90%以上になると増殖しやすくなる。
洗濯機を使った後はふたを開けて湿気を逃がすのが予防につながるという。
山縣さんは、「細菌はかびより増殖が早く、日ごろの手入れが大切」と話している。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASH5L3HP6H5LULBJ007.html?iref=com_rnavi_arank_nr04
2015年4月13日19時51分にNHK前橋から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
建設現場で働く作業員の高齢化が進む中、住宅事業などを手がける「大和ハウスグループ」は、重い荷物を持った際に腰にかかる負担を軽減する装着型ロボットを、住宅の建設現場などに試験的に導入することになった。
マンションの建設現場などに試験的に導入されるのは、つくば市のベンチャー企業が開発した、腰に付ける装着型ロボット。
このロボットは、脳から筋肉に送られるごく弱い電流を腰につけた小型のセンサーで読み取り、モーターが腰を伸ばす運動を助ける仕組み。
20kgの荷物を持ち上げる際、負担を最大で40%減らすことができる上に、ロボット自体が3kg程度のため、長時間付けたままで作業ができるという。
大和ハウスグループは13日の記者会見で、装着型ロボットを5月から建設現場や工場に10台導入して、木材など重い部材を運ぶ作業などで活用し、効果を検証した上で、来年5月の本格的な導入を目指すと発表した。
大和ハウス工業の中岡技術部長は、「建設業界では作業員の減少と高齢化が課題になっている。重たい荷物を持つ負担を軽減し、作業環境を向上させることで、作業員が長く働き、若い人が多く業界に入ってくれることを期待している」と述べた。
装着型ロボットは、少子高齢化により労働人口が減る日本で、さらに導入が進むと見込まれている。
今回の装着型ロボットを作った茨城県つくば市のベンチャー企業「サイバーダイン」は、20年以上前から開発を進めてきた。
このうち、平成20年に製品化した歩行を助ける装着型ロボットは、高齢者施設など全国およそ160の施設で、歩行が困難になった患者のトレーニングに活用されている。
去年から、このロボットを導入している東京・国立市のリハビリ施設では、脳梗塞で右半身が不自由となったという男性らが、ロボットを使って歩行のトレーニングを行っている。
一方、職員の負担を軽減するため、腰への装着型ロボットを導入する介護や建設の現場も増えている。
介護の現場では、お年寄りを抱える作業で腰痛になる職員が多いということで、このロボットを導入することで、職員の腰への負担を軽くしたいとしている。
また建設現場では、ピークだった平成9年に455万人いた作業員が、去年は341万人まで減っていて、少子高齢化により、今後、いっそうの人手不足が懸念されている。
業界の関係者は、装着型ロボットの導入が広がれば、建設現場での女性の活用にもつながると期待している。
今後は、農業や運送業などでもロボットの普及が進むことを見据えて、ほかの企業も装着型ロボットの開発に乗り出していて、民間の調査会社「シード・プランニング」は、装着型ロボットの市場規模が、去年の3000万円程度から、5年後には342億円まで拡大すると予測している。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/1066820161.html?t=1428959515049
4月14日6時0分に日本経済新聞からも、関連記事が写真付きでネット配信されていた。
大和ハウス工業は、サイバーダインが開発・製造する「ロボットスーツHAL」の3商品を、2015年5月1日から販売する。
対象となるのは全国の介護・福祉施設などで、レンタル販売のみとなる。
個人向けには販売しない。
ロボットスーツHALは、身体を動かすときに発生する生体電位を装着者の皮膚表面から読み取り、歩行や関節の動作をアシストする装着型ロボット。
今回は、「ロボットスーツHAL自立支援用(下肢タイプ)」、「ロボットスーツHAL自立支援用(単関節タイプ)」、「ロボットスーツHAL介護支援用(腰タイプ)」を用意する。
自立支援用の下肢タイプは、下肢に障がいがある人や、脚力が弱くなった人の歩行や立ち上がりなどの動作をサポートする。
サイズはS・M・L(身長150~190cm)、重さは約14kg(バッテリー含む)。動作時間は約60分となる。レンタル価格は、5年レンタルの場合で、月額18万8000円(税別、以下同)。
自立支援用の単関節タイプは、膝や肘に装着してトレーニングに使用する。座った状態や寝た状態でも利用できるため、より自由度の高いトレーニングができる。
サイズは1種類のみで、重さは約1.3kg(制御部とバッテリーを除く)。約120分間動作する。両側セットの5年レンタルで、初期導入費用は40万円、レンタル価格は月額13万円。
介護支援用の腰タイプは、介護者が介護をする際に装着する。腰部への負荷を減らすことで、腰痛などのリスクを軽減できる。これにより、病院や介護現場での労働環境改善、労働災害防止を目指す。
1サイズのみで、重さは約2.9kg(バッテリーを含む)。動作時間は約180分。3年レンタルで、初期導入費用は10万円、レンタル価格は月額7万8000円となる。
出典URL
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO85608620T10C15A4000000/
2014年12月4日23時15分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)は4日、脳波を使い「念じる」だけで動かすことができる装着型ロボットの試作機を公開した。
家電や車いすと組み合わせ、高齢者や障害がある人の日常生活を補助するのが狙い。
ロボットは、脳と機械をつなぐ「ブレーン・マシン・インターフェース」(BMI)と呼ばれる技術の一種で、ATRとNTT、島津製作所などが共同で開発した。
電動車いすに座り、頭に脳波を読み取る装置をつけた利用者が水を飲む実験では、黙ったまま念じると、約6秒で脳波を解析。電動車いすが室内にある水道水の蛇口の前まで移動した後、上半身に装着したロボットが、利用者の腕を伸ばしたり曲げたりして、コップに水をくんで口元まで運んだ。
研究チームによると、「水を飲みたい」という脳波はあいまいで読み取るのが難しいため、利用者には「手を動かすイメージ」を念じてもらい、スイッチとして使用。
実験用の部屋にセンサー約3000個を取り付け、蛇口と利用者の位置などを把握して制御した。
ATRの石井信・認知機構研究所長代理は、「脳梗塞の後遺症がある人などの生活の支援につなげたい」と話した。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/ASGD466FWGD4PLBJ004.html
(ブログ者コメント)
ここまで進んでいるのかと思い、関連情報をネットで調べたところ、様々な組織で同じような研究がなされていた。
以下は、昨年3月に日本経済新聞からネット配信されていた、産業技術総合研究所の研究例。
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO53268060X20C13A3000000/?df=2
今後、安全分野にも応用される可能性なきにしもあらずと思い、参考までに紹介します。
2014年5月30日20時18分にmsn産経ニュースから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
インターネット上に掲載された個人情報の削除を求める「忘れられる権利」をめぐり、米検索大手グーグルは30日、欧州の利用者から検索結果に含まれる自分の情報へのリンクの削除要請をウェブサイト上で受け付けるサービスを始めた。
英紙フィナンシャル・タイムズなどが伝えた。
欧州連合(EU)司法裁判所が今月、プライバシー保護の観点から、グーグルなど検索企業は一定の条件下でリンクを削除する義務があると判断したことに対応した。
同社のサイトは、要請があった場合「検索結果が(もう表示に値しない)古い情報を含むか検討する」と説明。
一方、前科や政府職員の業務上の行為など人々の知る権利に関わる情報かどうかも考慮するとしている。
同紙によると、削除開始は6月中旬以降の予定。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140530/erp14053020180005-n1.htm
(ブログ者コメント)
「忘れられる権利」については、過去に何回か報道されてきた。
ブログ者も、本ブログ作成に当たっては最初からその点に配慮し、有識者などは別にして、事故関係者の氏名は伏せてきた。
しかし企業名まで伏せると、事故データとしての価値が半減するかと思い、原則、企業名は掲載してきた。
ただ、たまにこれは・・・と思う案件があった時には、企業名を伏せることもあった。
全て伏せたほうがよいのか?それとも全て記載すべきか?
今回の報道に接し、改めて考えてみたが、よい考えは浮かばなかった。
よって、従来の中途半端なやり方を続けることにする。
2014年4月3日17時26分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が掲載されていた。
石油化学コンビナートに隣接し、高度成長期に大気汚染公害に悩まされた三重県四日市市の市立塩浜小学校でこの春、新たな校歌が生まれる。
東日本大震災による原発事故で科学技術への信頼が揺らぐ時代だが、自然と科学が共生し、公害のない豊かな時代を切り開いてほしいとの願いが込められた。
塩浜小は、北隣に昭和四日市石油が立地する。高さ200メートルの煙突がそびえ、ガスタンクなどの石油精製設備がひしめく。
1960~70年代、工場群が排出した二酸化硫黄による大気汚染で50人以上の児童がぜんそくを発症。市内の小学校で最大の被害が出た。
コンビナート企業の社宅移転や少子化などで児童が減った三浜小との統合が決定。7日、現在地に新しい塩浜小として開校する。
両校の保護者らでつくる統合準備委員会では昨年夏から暮れにかけて、公害の歴史を刻んだ校歌を変えるかどうかを議論した。
61年に作られた校歌の歌い出しは「港のほとりならびたつ 科学の誇る工場は 平和を護(まも)る日本の 希望の希望の光りです」だった。
だが、大気汚染が深刻化し、保護者から「『コンビナート賛歌』はふさわしくない」との声が上がる。72年、「南の国から北の国 港出てゆくあの船は 世界をつなぐ日本の 希望の希望の象徴(しるし)です」と貿易港として発展する四日市港をうたう内容に改めた。
統合準備委が保護者に実施したアンケートでは「校歌の改変は、四日市公害を学ぶ授業でもとりあげられている」と、新しい校歌を作ることに反対意見もあったが、三浜小の児童が新たな一歩を踏み出しやすいようにという意見も根強く、新たに作ることにした。
出典URL
2013年12月23日5時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事が図解付きでネット配信されていた。
ペットボトルで太陽光を集めたら「電球代わり」にならないか――。
12年前、ブラジルで自動車修理工がふと考えた。そのアイデアがいま、はるか遠いアジア各国で、貧しい家庭の生活を明るく照らす。
れんがやブロックを積み上げ、板やトタンをかぶせた家が長屋のように並ぶ。フィリピンの首都マニラ近郊のサンペドロ市の生活保護地区。6人家族のグロリア・モレスさん(47)宅は間口が3メートルほどで窓がない。
昼間でも玄関のドアを開けておかないと真っ暗。居間に蛍光灯があるが、毎月の電気代が建設作業員の夫の日当(350ペソ=約800円)の4日分にもなるため、できるだけ電気をつけずに過ごしてきた。
暮らしが変わったのは3年前。地元のNGOの協力で「ペットボトル照明」を寝室と納戸に設置した。
屋根に穴を開け、漂白剤を混ぜた水を入れたペットボトルを頭の部分が屋外に出るように取り付ける。差し込む太陽光が水中で屈折や反射をして散乱し、容器のおしり部分が突き出た屋内を広く照らす。末っ子のマークくん(12)は「捜し物がすぐ見つかるようになった。家で宿題もできる」とうれしそうだ。
照明は1本約500円。作業員に工賃約140円とおやつのスナック菓子を渡せば5分で付けてくれる。月の電気代は約780円に減った。
区画整理で土地を追われた約1万1千世帯が暮らす近くの集落では既に約1千世帯に普及。ジョセリン・ビラリノさん(52)は、お金がなくて電気を止められた時も、台風で停電した時も「我が家のトイレは明るかった」。
地元慈善団体の支援でさらに1千世帯に設置する計画も進む。「誰が発明したか知らないけど、感謝したい」
■度々停電し閉口…雑談中ひらめいた 発明者モーゼルさん「喜ばれるなら満足」
2001年、ブラジル南東部ウベラバの自動車修理工アルフレド・モーゼルさん(62)は頻発する停電に閉口していた。薄暗いガレージで仕事がやりにくい。
ある日、妻の親戚宅で雑談していてハッとした。窓から差した光が、テーブルに置いたペットボトルを通して乱反射し、テーブルや壁を照らしていた。
早速、清涼飲料水用の1・5リットルのペットボトルに水を入れ、ガレージの屋根に穴をあけて取り付けてみた。「こんなに明るいかと驚いた」。専門家に測定してもらうと、晴天時は60ワット電球ほどの明るさだった。
設置作業は、屋根のスレートやトタン板に穴を開けてボトルをはめ、雨漏りを防ぐシリコーンで接合部を埋めるだけ。1カ所10分ほどでできる。原価は1個1レアル(44円)足らずだ。
友人の間で評判を呼び、近所のスーパーの倉庫や民家に取り付けを頼まれるようになった。地元では「モーゼルランプ」の名で親しまれる。
漂白剤を混ぜるのは、水が濁らず輝きを保つため。ボトルのふたに黒いフィルムケースをかぶせて、日差しでふたが劣化するのを防ぐ。試行錯誤の末の「発見」で、「こうすれば10年近くもつ」という。
このアイデアを知り、3年前からフィリピンで普及を始めたNGO「マイシェルター」(本部マニラ)のイラック・ディアスさん(41)は「この照明はローコストで自然に優しく持続可能。日本もぜひ支援を」と話す。
今ではフィリピンの14万世帯をはじめインドやバングラデシュなど計10カ国以上で約35万人が使う。
改良型としてソーラーパネルで蓄電し、LED電球を光源にする「夜用」の普及も進みつつある。
マイシェルターは、台風被害で停電が続くフィリピン中部レイテにも数百個を贈った。
修理工の収入約700レアルと、妻の両親が残した建物の家賃収入でつつましい生活を送るモーゼルさん。特許取得を考えたこともあるが、金がかかるのであきらめた。「世界中で喜んでもらえるならそれで満足。でも、もしかなうなら、その国を訪ねてみたいね」と話した。
出典URL
http://www.asahi.com/articles/DA2S10894722.html?ref=nmail
(ブログ者コメント)
安全に関する情報ではないが、省エネのヒントとして、ご参考まで。
2013年12月18日9時35分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
足場やクレーンが必要となる橋梁検査の負担を減らそうと、大阪市立大のチームが検査ロボットを開発した。水平方向から垂直方向に移動できるのが特徴。
現在は試作段階で、3年後の実用化を目指す。
橋梁は5年に1度、近接目視による定期検査が必要だが、足場や特殊なクレーンが必要となるなど負担が掛かる。
検査用ロボットの研究開発が進められているが、障害物を乗り越えながら十分に動けるものは実用化されていない。
チームは、ヤドカリが木を登る様子を参考に、無線操作のロボット「バイリム」を開発した。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20131218k0000m040163000c.html
2013年12月13日4時0分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都大物質−細胞統合システム拠点の北川進教授(錯体化学)らの研究グループは12日、混合ガスから一酸化炭素(CO)を効率よく分離・回収できる新技術を開発したと発表した。
実用化されれば、工場や車などの排ガスからCOだけを取り出して資源として利用できるほか、二酸化炭素(CO2)の排出量削減につながる可能性があるという。
13日付の米科学誌「サイエンス」電子版に掲載される。
研究グループによると、COは中毒を引き起こす毒性のガスとして知られるが、産業界では合成樹脂など化成品の原料として使われている。
工場の排ガスにも含まれるが、窒素と性質がよく似ているため分離するのが難しく、大半は利用されないままCO2に変換され、大気中に放出されている。
研究グループは、約1ナノメートル(ナノは10億分の1)の隙間が規則的に並ぶ高分子化合物「多孔性金属錯体(PCP)」を合成し、混合ガスからCOだけを吸着させることに成功した。
合成には、COと結合する性質がある銅イオンなどを使用し、極めて微細な隙間に効率的にCOを取り込めるようになったという。
北川教授は「ガスを有効利用する技術を発展させれば、資源に乏しい日本にとってプラスになる」と話している。
出典URL
http://mainichi.jp/select/news/20131213k0000m040132000c.html
2013年11月27日8時21分にNHK関西NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
下水管を流れる水の熱を、給湯や暖房に活用できるとする実験結果がまとまり、研究グループは実用化を目指すことにしている。
この実験は、NEDO=新エネルギー・産業技術総合開発機構から委託を受けた大阪市立大学や関西電力などの研究グループが、大阪・大正区の下水処理場で行い、26日、自治体の関係者などを対象に実験結果の説明会が行われた。
下水管を流れる水の温度は、冬は外の気温より10℃ほど高く、研究グループは、下水管の内側などに熱を集める装置を置いて、どれだけ利用できるか調べた。
その結果、通常の大きさの下水管に装置を置くことで、給湯では65℃の湯を一般家庭の約60世帯分、暖房では約15世帯分、賄うことができたという。
ホテルや入浴施設などに導入した場合、電気やガスの消費量を4割ほど減らせるということで、研究グループは実用化を目指すことにしている。
大阪市立大学の中尾正喜特任教授は、「燃料の消費を抑えられる技術で、まずは入浴施設や宿泊施設に普及させ、将来は住宅にも広げていきたい」と話している。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20131127/3269661.html
(ブログ者コメント)
先に、仙台市での動きを紹介したが、全国いろいろなところで同様の研究が進められているようだ。
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/3440/
2013年11月15日2時12分にmsn産経ニュース宮城から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
マンホールの下にある下水道管から熱だけを取り出し、その熱で会社や家庭で使うお湯を沸かす-。そんな新しい再生可能エネルギーの利用法が仙台市で実現しようとしている。
市と積水化学工業は今月から、大型スーパーで下水道管の熱を利用して給湯する日本初の実証実験を開始。
東日本大震災後の被災地の新たなエネルギー源としての活用が期待される。
仙台市の下水道管は東日本大震災で、割れたりゆがんだりするなどして全長102kmが破損。被害総額は約718億円に上った。
しかし、震災後の国交省の対策委員会で、「これだけ壊れたのだから単純な復旧はない」(市職員)と、下水道管に新たな価値を付加する構想が登場。
復旧・耐震工事の際に、下水道の熱をエネルギーとして利用できる仕組みを取り付けることが提言され、国の補助金と積水化学工業の技術支援を受けて、仙台市が実証実験に踏み切った。
下水は風呂の残り湯が流され、外気にさらされないことから、冬でも約15~20℃を保つ。
市によると、同様の取り組みは以前から注目され、下水処理場で導入された例はあるが、市街地を走る下水道管を利用するのは初めて。
今後の研究でコスト面や立地条件などの課題をクリアすれば、民間利用も可能という。
実証実験は、同市若林区にある大型スーパー「ヨークベニマル若林店」で8日から実施されている。
近くを走る全長45m、直径約1.2mの下水道管の内部に、耐震工事のためらせん状に補強部材を巻き付ける際、部材の中に「熱回収管」を通した。
この管に不凍液を循環させて下水で液を温めた後、その熱をヒートポンプに送って上水道の水を温める仕組みだ。
市によると、店の調理場などで1日に使用する4600ℓのお湯を十分まかなえているといい、ガスによる給湯と比べて25%の二酸化炭素削減、78%もの費用節約となる。
市は、実証研究での結果次第で「企業などによる導入も視野に入れ、新たな再生可能エネルギー政策として市に普及させていきたい」としている。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/region/news/131115/myg13111502120000-n1.htm
(ブログ者コメント)
安全に関する情報ではないが、ご参考まで。
2013年11月14日8時16分にNHK福岡NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
福岡市では、下水を海や川に放流するために有害な物質を取り除く処理をする際に発生する汚泥を、セメントの材料などに再利用する取り組みを進めている。
福岡市では、水素を燃料とした燃料電池車が再来年から市販されることから、来年度にも、新たに、汚泥から水素を取り出して販売する取り組みを始めることになった。
市によると、汚泥から水素を作って販売まで行うのは、全国で初めてだという。
水素は、中央区の中部水処理センターから出た汚泥を発酵させて集めたメタンガスに水蒸気を反応させて取り出すことにしている。
市では、1時間あたりおよそ300m3、燃料電池車5台を満タンにし、1台あたり500km以上走行できる量の水素の製造を見込んでいて、センターに、水素を販売する「水素ステーション」を新たに設ける予定。
汚泥から生成した水素は、1m3あたり86.7円と、都市ガスから作る場合と比べ1.6円安くなるということで、福岡市では、循環型社会の実現に向けて普及を進めたいとしている。
出典URL
http://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20131114/3005761.html
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安全に関する情報ではないが、ご参考まで。
2013年9月12日2時10分にmsn産経ニュース広島から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
水質汚染事故で素早く原因物質を特定するために役立つ器材「迅速前処理カートリッジ」を、県立総合技術研究所保健環境センター(広島市南区)が開発した。
汚染被害の拡大防止に役立つと期待しており、製品化に協力する企業を求めている。
水質を分析機器で測定するためには、水から汚染原因物質を抽出して濃縮する「前処理」が必要。
現状では5時間以上かかることもあるが、新開発のカートリッジでは10分程度で完了するという。
注射器形で、中の液体が押し出される途中に、水を通さず有機溶媒だけを透過させる「疎水性膜」が張られているのが最大の特徴。
汚染水約50mℓに有機溶媒(約2mℓ)を加え、攪拌して押し出すだけ。
水に混じっていた原因物質のほとんどが有機溶媒に溶かし込まれ、疎水性膜によって水分は完全にシャットアウト。
同時に原因物質の濃度も50倍程度になり、分析機器で測定できる水準に。
従来の「前処理」でも有機溶媒を使うが、濃縮率が低く、分離した後も含まれる水分を除去するため別の薬品を使う必要があるなど、脱水と再濃縮に時間がかかっていた。
同センターによると、開発成功のポイントは、疎水性膜の使用を思いついたこと。
疎水性膜は、違う分野の実験などで日常的に使われているが、汚染水分析の前処理に利用しているケースはなかったという。
出典URL
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130912/hrs13091202110003-n1.htm
(ブログ者コメント)
本件、広島県HPにも以下の説明資料が掲載されていた。
http://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/105424.pdf
人体に有害な水銀を規制する「水俣条約」が1月に合意されたのを受け、政府は批准に向けた国内体制の整備に入る。
日本への影響が大きいのは輸出入の制限だ。
水俣病を経験した日本は、使用を減らしてきた一方で、工業などで出る水銀の多くを回収して海外に売っている。
数年後に条約が発効すると、廃棄物として保管・処分を求められる。
北海道北見市の山里にある野村興産イトムカ鉱業所。
非鉄金属の製錬工程で出た副産物から水銀を取り出す作業や、水銀を使う蛍光灯・電池のリサイクルを行う建屋が並ぶ。
銅や亜鉛、鉛の鉱石には水銀が含まれ、ここには国内17カ所の製錬所から砂状の副産物が運ばれてくる。リサイクルでは全国の自治体の半数近くと契約している。
ここで回収される高純度の水銀は年50~60トンほど。かつて水銀は化学工業や乾電池など産業界で広く使われたが、水俣病の経験を踏まえて別の物質への置き換えが進み、水銀鉱山もすべて閉山。ピーク時の1964年に約2500トンあった国内需要も、最近は年10トン程度にとどまる。
国内だけでは余るため、多くが海外に輸出されている。
日本の過去10年間の輸出量は年54~250トンで世界有数だ。輸出先はインドやシンガポールなど二十数カ国。国内外の環境NGOは「さらにほかの途上国に流れ、水銀を使う小規模な金採掘現場での健康被害につながっているのでは」と疑念の目を向け、輸出禁止を日本政府に求めている。
新条約が発効すると、貿易は条約で認められた一部製品・製造工程向けなどに制限される。
「商品」だった余剰水銀の大半は「廃棄物」となり、国内で環境に悪影響を及ぼさない形で管理・処分する必要がある。
ただ現在は、鉱石やリサイクルから取り出される高純度の水銀を廃棄物として処分する仕組みや環境面の基準はない。蛍光灯など水銀を含むごみは、水に溶け出す水銀が一定量以下なら、一般の不燃ごみや産業廃棄物として捨てられる。
常温の水銀は液体で、安全に処分するには漏れ出さないよう半永久的に安定した状態にする技術が必要。
環境省などが進める処分方法の研究に参加するイトムカ鉱業所の藤原所長は、「固体で水に溶けない硫化水銀などにすれば安定化できる」と話す。
すでに保管や処分が行われている海外でも固体にするのが一般的という。
このほか、処分のルールや環境汚染を防ぐ仕組みを定める必要があり、費用をだれが負担するのか、といった問題も避けて通れない。
環境省や関連産業などは、条約が発効する数年後に向けて、対処を本格的に検討する構えだ。
出典URL
山口県周南市のJR徳山駅そばの海沿いにあるコンビナート企業4社の明かりが22、24日に全て点灯される。市の「冬のツリーまつり」に合わせた企画。
日頃は節電で5~6割程度に抑えてあるが、午後5時半~10時にすべてつける。
百貨店閉店や映画館休館など暗い話題が続く市を元気づける狙いがある。
「工場萌え」をPRする市は、来秋の夜景サミットも誘致した。
「うちは工場と街の近さが売り。宿泊型の観光でネオン街にも訪れて」と担当者。
出典URL
http://www.asahi.com/national/update/1203/SEB201212030019.html
(ブログ者コメント)
コンビナートの灯りといえば、某所の人から、ふた昔も前には、転勤者が乗った列車が工場のそばを通過する時刻に合わせ、フレアーの炎を大きくして見送った・・・そんな伝説を耳にした覚えがある。
高度成長期には、そんな感じだったのかもしれない。今は昔の話だ。
イタリアは、科学者にとって、今も居心地の悪い国だ。ガリレオの時代だけではない。
およそ400年前、地動説を唱えたガリレオは、1616年と1633年の2度にわたりローマの異端審問所に呼び出され、地動説を唱えないことを宣誓させられた。
そのガリレオ裁判と似たような判決が2012年10月22日、イタリアの裁判所で下された。
同裁判所は、2009年4月6日にイタリア中部ラクイラで300人以上が死亡した地震を適切に予測できなかったとして、科学者ら7人に求刑を上回る禁錮6年の判決を言い渡した。地震予知をめぐる実刑判決は異例のものだ。
禁錮刑とは自由刑の一種で、受刑者を監獄に拘置するが定役を科さないものである。無期と有期に分かれ、主に政治犯や過失犯について科せられる。
今回の件に対して、各国の専門家などから、「地震学者が客観的な予知がしづらくなるのではないか」、「科学者が政府に進言しにくくなる」、といった懸念や批判の声が上がっており、波紋が広がっている。
2009年4月6日午前3時32分(現地時間)、マグニチュード6.3の地震がイタリアのラクイラの町を襲った。
死者308人、負傷者は1600人に上り、レンガ造りの家屋の倒壊は2万戸以上、避難を余儀なくされた人は6万5000人という被害になった。
3年がたった今も、街には崩れた建物が残り、数1000人が避難生活を余儀なくされている。
ラクイラを襲った大地震の前に、約1年半にわたり、小規模な群発地震が続いていた。
群発地震の回数は2009年1月に69回、2月に78回、3月には100回と次第に増加し、本震の約1週間前の3月29日にはマグニチュード3.9の地震があった。
3月29日のマグニチュード3.9の地震の後、24時間以内に大地震が来ると予測し、今回の裁判の被告が所属する国立地球物理学火山学研究所(INGV)に伝えた市井の研究者がいた。ジャンポーロ・ギリアニ氏だ。
ギリアニ氏は、巨大地震の発生前に岩盤のひずみからラドンガスが漏れ出て、地中のラドンガス濃度が上がると6~24時間後に地震が発生するという事実を突き止め、ラドンガス濃度計測器を地中数か所に埋めて地震発生の場所と時間を独自に予想し、マスコミにも発表していた。
ギリアニ氏の巨大地震予知をテレビで知った多くの人々が、3月29日の夜、野外にテントを張り、一夜を過ごした。
しかし、3月30日午後に発生した地震はマグニチュード4.1で「巨大地震」とは言えず、INGVは、彼を住民に不要な恐怖を与える偽地震預言者と決めつけ、以後、彼が地震予想をマスコミに発表することを禁じた。
そうこうしているうちに4月4日、マグニチュード5.9の大きな地震が発生した。
今回の裁判の被告の1人であるボッシィ博士(ボローニャ大学教授)らは、3月30日の専門家会合で、「これ以上の地震を心配する必要はない。地震は収束に向かっている」と発表した。
INGVは緊急の会合を招集し、怯えている人々を落ち着かせるため、この地震でほとんどのエネルギーが放出され、これ以上大きな地震が発生する危険がなくなったと、安全宣言を出した。
しかし4月5日、ギリアニ氏のラドンガス濃度測定器が再度急上昇した。
その夜(6日午前3時32分)、マグニチュード6.3の本震が発生した。
全体を見ると、正確な地震予知ではないかもしれないが、ギリアニ氏が予知できた大地震の危険性を市民に知らせる機会を奪い、逆に安全宣言を出して多数の住民の大惨事を招いた被告のボッシィ博士ら著名科学者の行為は、間違った情報を流布した過失により多数の死傷者を発生させた「過失致死罪」にあたるとして、検察側は7人全員に禁錮4年を求刑していた。
検察側は、専門家会合の見解について「不完全で、不正確で矛盾したものだった」と主張していた。
アラン・レシュナー サイエンス誌出版社最高経営責任者(CEO)兼エグゼクティブは、6月にイタリア大統領に宛てた書簡の中で、この事件について深い懸念を表明した。
「自国の著名な地震学者は長年にわたり研究を行ってきた。差し迫った災害発生を市民に警告することができる地震予知の科学的な方法は、まだ実証されていない。現時点で科学に多くの期待を寄せるのは不合理である」とレシュナー氏は書いている。
地球物理学分野での世界最大の学会であるアメリカ地球物理学連合(AGU)は、裁判所の判決を非難した。
AGUは、「自然災害を理解し、関連するリスクを軽減するための国際的な努力を害するものだ。訴訟のリスクにより科学者は政府に進言しにくくなる懸念がある。また地震学及び地震リスク評価の分野に携わる人材が少なくなる可能性がある」と述べた。
さらに、責任を問われた地震のリスクを評価する国の専門家委員会を今年1月から率いるルチアーノ・マイアニ委員長は23日、判決に抗議の意思を示すため辞表を提出した。
マイアニ委員長は、辞任理由について、「このような複雑な状況では、委員会として冷静に仕事ができず、科学的な助言を国に与えることは不可能だ」と述べた。
「科学者は知っていることを共有して、知らないことを認める必要がある。刑事上の責任を負わされるかもしれないという恐れなしに地震予知を行うべきだ」とマイケル・ハルパーン氏はブログ記事に書いている。
彼は、10万人以上の市民と科学者から成る国際的な非営利団体「憂慮する科学者同盟」に所属している。
判決は、イタリアで過失致死罪の定義を拡大するのだろうか。
気象学者は、天気予報をはずしたら起訴されるのだろうか?
免疫学者は、新しいインフルエンザウイルスの流行を抑止できなければ殺人容疑をかけられるのだろうか?
イタリアの刑事裁判では判決理由は後日開示されるため、裁判所の判断の詳細は不明だ。
有罪判決を受けた科学者ら7人は「科学的な観点から可能性を示しただけで過失はなく、極めて不当な判決だ」として控訴する方針だ。
地震予知の今後に影響を与えかねない裁判の行方が注目される。
出典URL
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1025&f=it_1025_001.shtml
(ブログ者コメント)
□この記事を読むまでは、なんとも浮世離れした判決を出した裁判官よ・・・と思っていたが、そう単純な話しでもなさそうだ。
判決文は後日ということだが、予知が外れたからではなく、ギリアニ氏の予想をマスコミに発表することを禁じた措置が、国民の知る権利を阻害したと判断された可能性もある。
□今回の騒動で思い浮かんだのが、今年8月に本ブログに掲載した電気通信大学の研究だ。
従来の伝統的研究から外れた異端の研究には、どの国でも冷たい風しか吹かないということかもしれない。
仕事中にけがしたのに、健康保険も労災保険も適用されずに制度の「谷間」に陥り、医療費が全額自己負担になる人について、厚労省は、健康保険を適用する方向で調整に入った。
今月中に結論を出す。健康保険法の改正も視野に入れる。
焦点は、働いている時以外の病気やけがについて給付する、という健康保険法の規定。
法改正か解釈を変えることで、インターンシップ中の学生などが仕事中にけがをした場合も対象にする。
これまでも、2003年に、労災の対象外になる零細企業の社長が仕事中にけがをした時の医療費を支払うよう通知を出したことがある。
ただ、その場合には、関係団体の同意が得られるかが懸念材料だ。
この問題は、シルバー人材センターから庭木の手入れを委託された奈良県の男性が作業中にけがしたことで明らかになった。
個人事業主には、労災保険は適用されない。
男性は、娘が入る協会けんぽの被扶養者だったため、協会けんぽを使って治療した。ところが、後に「業務上のけがは対象外」として、医療費約60万円を請求された。
通常、個人事業主は市町村国保に加入しており、仕事中のけがでも医療費の7~9割の給付を受ける。
一方、勤めている人が入る組合健康保険や協会けんぽは、仕事中のけがは労災で対応するよう、健康保険法が定めている。
現在の制度で医療費が全額自己負担になる可能性があるのは請負などで働いている人で、家族が加入する企業の組合健保や中小企業の協会けんぽの被扶養者だったり、退職後もかつての勤め先の健康保険に任意で継続加入したりしている場合。
インターンシップ中の学生がけがをすると、同じ問題が起きる可能性がある。
厚労省によると、組合健保などの被扶養者と任意継続者は約3千万人。
全国シルバー人材センター事業協会は、会員約15万人が市町村国保に入っていないと推計している。
健康保険を適用する以外に、労災の適用を拡大する選択肢もある。
そのためには労災が対象とする「労働者」(=勤めている人)の定義を変える必要がある。
大きな法改正になり、「制度の根本をゆるがす」(厚労省幹部)と反対意見が多い。
個人事業主が労災に特別加入できる制度はあるが、任意だ。
〈シルバー人材センター〉
高年齢者雇用安定法が定める公益法人。全国に約1300ある。
会員制で、原則として定年退職後の人が対象。臨時で短期間の簡単な仕事を会員に提供する。
ほとんどの会員は請負で働き、配分金をもらう。センターと会員に雇用関係はない。
出典URL
http://www.asahi.com/politics/update/1020/TKY201210200007.html
ブログ者にとっては初耳の概念につき、紹介する。
パイロットが学習する概念に「権威勾配」と呼ばれるものがある。機長と副操縦士が適切な力関係を保つためのマネジメントだ。
機長の権威が強すぎると(勾配が急)、機長の判断が誤っていても副操縦士が指摘しにくい。
機長の権威が弱すぎると(勾配が浅い)、運航を管理できない。
ミスを防ぐには、適度な勾配が必要なのだ。
実際に1977年に起きたジャンボ機同士の衝突は、機長の間違いに航空機関士が気付きながら、強く主張できなかったのが一因。
あるベテラン機長は「昔はパイロットも徒弟制。副操縦士が適切な指摘をしても、機長から一蹴されると、それ以上は言いにくい雰囲気だった」と話す。
機長には、周囲から有用なアドバイスを引き出す能力や人格が求められるのだ。
(ブログ者コメント)
3日前、葛丸ダム死亡事故の原因と背景について、過去記事修正連絡したが、その中に「防災航空隊という特殊な業務で、後輩隊員が先輩隊員に意見を言えない雰囲気があり、有意な意見が訓練の改善につながらなかった」という記述があった。
それこそが「権威勾配」というものなのだろう。
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。