2017年4月19日23時30分に京都新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大津市内の交差点で、昨年8月、信号の変わる周期が急に速まったため、交差点内で乗用車同士が衝突し、1人が首に軽傷を負う事故が起きていたことが、19日、分かった。
滋賀県は、信号の不具合が事故の原因と認め、事故の当事者2人に損害賠償金計150万円を支払うための議案を、26日開会の県議会4月招集会議に提案する。
事故があったのは、JR大津駅から琵琶湖方向に向かう市道「中央大通り」と湖岸沿いの県道が交わる島の関西交差点(大津市島の関、同市浜町)。
県道に並行して京阪石山坂本線が走っており、信号は市道側にある踏切と連動している。
県警によると、昨年8月25日午前7時45分ごろ、この交差点に市道から進入した乗用車が、県道を直進する乗用車と衝突した。
この事故で、県道側の乗用車の女性が首などに軽傷を負った。
捜査の結果、目撃情報から、市道側の信号が青から黄、赤へと変わる周期が通常ではあり得ない速さになっていたことが分かった。
青で進入した乗用車が交差点を抜ける前に赤に変わったため、県道側から来た車と衝突したとみられるという。
県警によると、制御機は1995年導入で、更新の目安とされる導入後19年を経過しており、老朽化が原因とみている。
県警は、事故後の8月30日に信号の制御機の基盤を交換。
さらに今年3月には新品と交換した。
しかし、この交差点では、制御機の交換後も信号が点滅に変わる不具合が相次いでいる。
県警は原因を調査中だが、昨年8月の事故とは原因が異なるといい、通行に注意を呼び掛けている。
出典
『おかしな信号で衝突、賠償へ 滋賀県、当事者2人に』
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170419000166
4月20日7時6分に産経新聞westからも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
信号機が突然黄色と赤色の点滅に変わってしまう不具合が起きている大津市島の関の通称「島の関西交差点」で、昨年8月、信号機の不具合が原因で乗用車2台の衝突事故が起こり、1人が軽傷を負っていたことが、19日、分かった。
滋賀県は、それぞれの乗用車を運転していた計2人に対し、損害賠償金152万2758円を支払う方針。
26日開会の県議会4月招集会議で、関連議案を提案する。
同交差点は琵琶湖ホテル前にあり、東西に走る県道18号と南北の市道が交わる。
県警などによると、事故は昨年8月25日午前7時45分ごろ発生。
県道を走行していた同市の女性の乗用車と、市道を走行していた同市の男性の乗用車が衝突した。
女性は打撲などで1週間の軽傷。
運転手や目撃者の証言などによると、事故時、市道側の信号は、青色から「通常では考えられない速さ」で黄色、赤色に変わった。
県道側は、直進を許可する矢印信号に変わったという。
原因は不明。
事故発生前の同年8月10日ごろ、市道側の信号が赤から青に変わらないと通報があり、信号機のメーカーは事故後の8月30日、信号機の部品を交換。
その後、不具合は起きていなかった。
ただ、今年3月新しい制御機に交換後、県道側の信号が黄色の点滅に、市道側が赤色の点滅に突然変わる不具合が確認されている。
県警などは交差点に警備員を配置し、対応している。
出典
『原因不明、信号機が突然黄色と赤色の点滅に…運転者惑わす?交差点で人身事故 滋賀県が損害賠償』
http://www.sankei.com/west/news/170420/wst1704200010-n1.html
2017年4月19日20時3分に京都新聞から下記趣旨の記事がネット配信されていた。
京都市東山区の東大路通歩道が大きく傾き、住民から「歩きにくくて危ない」との声が上がっている。
約40年前まで走っていた市電の設備が道路地下に残っているのが原因の一つで、最大で基準の7.5倍も傾斜している。
市は、本年度から改修に入る予定だが、観光客で混雑する通りで大規模な工事はできず、基準を満たすのは難しい状況だ。
東大路通は1978年まで市電東山線が通り、地下には線路の基礎部分だったコンクリートが、除去されずに埋められている。
市によると、この影響で車道中央部を頂点に盛り上がっており、歩道が傾いている。
国の整備基準では、歩道幅に対する高さの割合(横断勾配)を、標準2%に定めているが、昨年度、市が四条~五条間(1.1km)で調査したところ、大半で基準を超過し、最大で15%の場所もあった。
これを受け、市は三条~七条間(2.3km)で歩道改修する方針を決めたが、東大路通沿いには清水寺や円山公園などの観光地があり、歩道、車道とも観光客で混雑している。
市建設局は、「通行止めにするような工事はできない。できるだけ傾斜を緩くしたいが、基準を満たすのは難しい」。
市電の基礎が残った理由は、「当時はいろいろ事情があったのだろうが、詳しくは分からない」という。
一方、通り沿いの住民は不安を隠さない。
和菓子店経営の並川さん(49)は、「車いすやつえを持って歩くお年寄りにはつらい歩道。なんとか改善されないものか」と嘆き、ホームヘルパーを派遣している社会福祉法人・京都福祉サービス協会東山事務所の吉谷所長(56)は、「事務所前の歩道は観光客であふれ、歩道の傾きとともに、高齢者が訪れるのに苦労している。抜本的な解決策を急いでほしい」と話す。
もともと市は、東大路通三条~七条間で、車道を狭め歩道幅を広げる大規模改修を行う方針だった。
しかし、歩道拡幅を行った四条通で大渋滞が発生し、計画は凍結されている。
歩道改良で住民や観光客が安心して歩ける日は来るのか。
思わぬ市電の「遺産」に市の苦悩は続きそうだ。
出典
『歩きにくい歩道、改修困った 京都、観光客で混雑』
https://this.kiji.is/227263275775721478
2017年4月17日3時36分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
国土交通省は、車の「自動ブレーキ」の性能を認定する制度を、来年度に導入する方針を決めた。
現在各メーカーが示している性能は「自称」で、試験の条件などにばらつきがある。
国として「お墨付き」を与えることで、消費者が安心して車を選べるようにする。
自動ブレーキは、社会問題化している高齢ドライバーの事故対策になるとして、国交省が装備の義務化を検討。
国連が、ブレーキが利く条件や障害物検知レーダーの精度などを細かく定めた性能基準を作成予定で、これができ次第、採り入れて義務化の要件にする方針。
ただ、国際基準作成には数年はかかるため、先行して国内用の認定制度をつくることにした。
認定の基準は「事故被害の軽減効果が高いレベル」(国交省担当者)とし、具体的には、今後詰める。
基準をクリアした車は、国交省がホームページで公表する。
性能確認済みの「認証マーク」を広告などに使用できるようにすることで、メーカーに対し、安全性向上への開発を促す。
自動ブレーキは、2015年に生産された新車の45.4%に搭載されているが、性能はメーカーや車種によってまちまち。
歩行者に対する停止実験では、人形の前で止まる車と、止まれずに人形をはねてしまうものがある。
日本では、最近、高齢運転者の事故が多発。
警察庁の事故分析(15年)では、75歳以上の運転者による交通死亡事故の原因は、ハンドル操作の誤りやブレーキとアクセルの踏み間違いなど、「操作の誤り」が最多の29%だった。
自動ブレーキは、こうした事故を減らす効果が期待されている。
【追突事故の発生率3分の1】
自動ブレーキの装備車の追突事故の発生率は、非装備車の3分の1――。
国交省の調査で、自動ブレーキの事故防止効果が明らかになった。
自動ブレーキが全車搭載の乗用車の車種と全車非装備の車種を選び、約3000万台を対象に、2015年の事故発生率を比較した。
それによると、1000台当たりの昼間の追突事故は、装備車が0.35件、非装備車が3倍強の1.14件だった。
夜間は、装備車が0.18件、非装備車が0.51件だった。
対人事故では、昼間の装備車の事故発生率は、非装備車より約21%、夜間は40%も低かった。
出典
『自動ブレーキの性能認定制度、来年度導入へ 国交省』
http://www.asahi.com/articles/ASK443RPRK44UTIL01G.html
(ブログ者コメント)
最近、車の自動運転に関する報道が目立つ。
警察庁の無人自動車公道実験許可、八千代市での自動運転車試乗時の事故の顛末に続き、これで3件目だ。
2017年4月15日10時32分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
2020年夏に開かれる東京五輪・パラリンピックに備え、大阪工業大などの研究グループが、気象データに個人の体格や運動量などを組み合わせて熱中症の危険度を測定する暑さへの「ストレス度」を算出する方法を考案した。
観客やボランティアスタッフ一人一人の生体情報に合わせたオーダーメードの暑さ対策に役立つ可能性がある。
環境省は、現在、気温や湿度などの気象データから算出した暑さ指数(WBGT)を公表している。
ただ、熱中症の発症には体格や活動時間といった要素が大きな影響を及ぼすため、実際の危険度には個人差がある。
そこで、生体情報を反映した精度の高い指標を作ろうと、大阪工大の高山成准教授(気象環境学)らが、人体への熱の出入りを数値化する計算式を作ることに取り組んだ。
周囲の「気温」「湿度」「風速」に、個人の「身長」「体重」「活動時間」などを加味して暑さの負荷の計算式を考案し、その数値を「暑熱ストレス度」と名付けた。
次に、学生に夏場の屋外で給水なしで
(1)歩く
(2)自転車で移動
(3)縄跳び
(4)ダンス
と種類の違う活動を約20分間ずつしてもらい、発汗量を調べた。
すると、活動の種類にかかわらず、暑熱ストレス度が高くなるほど汗の量も増加した。
発汗量は熱による負荷を示していると考えられ、計算式が熱中症の危険性を的確に示すことができると結論づけた。
高山准教授は、「暑熱ストレス度は、個人が受ける暑さの負荷を的確に表すことができる。身につけて、リアルタイムで一人一人の熱中症の危険度を測定できるウエアラブル機器の開発につなげたい」としている。
出典
『暑熱ストレス度 熱中症の危険度を測定 大阪工大など開発』
http://mainichi.jp/articles/20170415/k00/00e/040/217000c
2017年4月13日17時29分に朝日新聞から、基準案の解説図付きで、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
車の自動運転の実現に向け、無人の車が遠隔操作で公道を走行実験できることになった。
警察庁が13日、開発者が実験するための基準案を公表した。
▽一般の通行に支障がない時間や場所で実施する
▽事故が起きた場合の態勢を備える
▽実験車両であることを表示
といった内容になっている。
同庁は、14日から5月7日まで基準案に対する意見を募集。
5月中に正式に基準を定め、早ければ今夏にも開発者側の申請が始まる。
道路交通法は、車の走行には運転者が必要としている。
自動運転の実用化に向けた公道での実験も、現在は、免許を持った人が運転席に乗るなどの条件下で認められている。
一方、政府は東京五輪までに、無人の自動運転による移動サービス実現を目標に掲げ、開発者側も技術開発を進めている。
道路交通に関するジュネーブ条約の作業部会も、昨年3月、「車をコントロールできる人がいれば、車中にいるかどうかは問わない」との見解を示した。
このため警察庁は、どういう条件を備えれば公道での無人自動運転の実験が認められるか、専門家を交えて検討を重ねてきた。
基準案は、まず、無人車を遠隔で操作する人が運転者と同じ法的義務を負うと明示。
その上で、
▽無線通信システムが途絶えない場所で実施する
▽事前にテストコースなどで安全を確かめる
▽実験する地域の住民らにあらかじめ説明する
などの条件を課している。
不測の事態への対応も、開発者に求める。
緊急時に現場へ急行できる態勢の整備、賠償能力の確保、記録の保存などだ。
法的には、開発者側に道交法の道路使用許可を取らせることで、特例的に公道での無人自動運転を認める仕組みになっている。
【開発急ぐ自動車大手】
日本の自動車大手は、安全面への配慮から、米IT企業などに比べ、無人運転にはより慎重な姿勢をとってきた。
公道実験の基準が明確になれば、開発を積極的に進めやすくなる。
無人運転の研究をリードしてきた米グーグルとの間で共同研究を始めると昨年末に発表したホンダは、今回の基準案の整備について、「基本的に歓迎する」との立場だ。
最大手のトヨタ自動車は、無人運転についての開発計画を明らかにしていないが、今後は、各社の水面下での技術競争も激しくなりそうだ。
日産自動車もIT大手ディー・エヌ・エー(ⅮeNA)と組み、今年から国家戦略特区で無人運転の技術開発を始めることを明らかにしている。
【遠隔型の無人自動運転で公道実験をするための主な基準案】
◇開発者への要請
・遠隔操作をする人が運転者に課された法的な義務を負う
・使用する無線通信システムが途絶えない場所で実験する
・一般の通行に著しい支障を及ぼす場所・日時を避ける
・事前にテストコースなどで安全を確認
・実験車両であることを表示
・実験の内容などを地域住民に事前に広報
◇事故が起きた場合の備え
・現場に急行できるような態勢の整備
・システム不具合が原因の場合、適切な記録の保存
◇許可期間
・原則として最大6カ月
出典
『無人の自動運転車、公道実験解禁へ 警察庁が基準案公表』
http://www.asahi.com/articles/ASK4D5WGJK4DUTIL02Z.html
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
4月13日13時45分に毎日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
警察庁は13日、遠隔操作で走る自動運転車について、新たに定めた道路使用許可の審査基準を満たせば、公道での実証実験を許可することを明らかにした。
無人の車が公道を走るのは初めてとなる。
政府は、地域の人手不足や移動弱者を解消するため、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、運転手が乗車しない自動走行の実現を目標に掲げている。
警察が公道での実験を認めることで、実用化に向けた動きが加速しそうだ。
警察庁は審査基準の内容について、14日から来月7日まで国民から意見を募り、その結果を踏まえ正式決定する。
その後、各都道府県の公安委員会規則を改正し、今年夏には実験走行の申請が可能になる見通しで、最長6カ月間の実験を認める。
審査基準では、車を遠隔操作する人を「道路交通法上の運転者」と位置づけ、同法に課せられた義務を負うとした。
運転免許がなければ遠隔操作はできず、車内にも免許の写しを置くことを求めた。
その上で、遠隔操作する「操作者」には、緊急時に車両を停止させられることや、モニター画面などで通常の車の運転者と同程度に周囲の状況を把握できるようにすることも求めている。
車が制御不能になった場合などを想定し、あらかじめ安全対策を策定することも要求している。
また、1台ずつの申請が必要だが、1人の操作者が複数の車を遠隔操作することも認めた。
操作者は、複数のモニターを監視しながら同時に複数の車を走らせることが可能になる。
事故があった場合、操作者に過失があれば、道路交通法の責任を負う。
遠隔操作システムに不備があることが分かれば、一般車の事故と同様に、開発者に責任が及ぶ可能性がある。
警察庁は、「事故責任のあり方は、通常の事故の扱いと同じになる」と説明している。
審査にあたっては、実験走行する区間で警察官が同乗し、安全に遠隔操作できるか事前に確認する。
日本が加盟する道路交通に関するジュネーブ条約は、「車両には運転者がいなければならない」と定めている。
しかし、16年3月に開かれた国際連合欧州経済委員会の作業部会で、走行実験であれば無人車を認めるとの見解が示されたため、遠隔操作が可能になった。
【ことば「自動運転車」 】
カメラやセンサーで周囲の状況を把握し、人工知能などを駆使して、適切なアクセル、ハンドル、ブレーキの操作を行う。
日本政府の定義では、
▽自動化の度合いに応じ、3つの操作のうちどれかを自動化した「レベル1」
▽複数を行う「レベル2」
▽3つの操作を自動で行いながらも、必要な時は運転手が関与する「レベル3」
▽乗る人が運転に全く関与しない「レベル4」
がある。
警察庁は、今回の遠隔操作による公道実験は「レベル2」に当たると説明している。
日本政府は、2020年代に「レベル3」の実用化、20年代後半以降に「レベル4」の試用を目指す。
出典
『自動運転 遠隔操作公道実験へ基準 クリアなら警察庁許可』
http://mainichi.jp/articles/20170413/k00/00e/040/232000c
2017年4月13日10時16分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
大規模なマラソン大会のコース近くに住んでいる人が開催日に心臓発作を起こした場合、別のエリアの人に比べて1カ月以内に死亡するリスクが13%以上高いとする研究結果を、米ハーバード大のチームが米医学誌に13日、発表した。
米国の11都市で2002~12年に開催された大会を調べた。
広範囲にわたる交通規制によって救急搬送時間が普段より長くなるため、初期治療が遅れて症状が悪化する可能性がある。
チームは、「心疾患の治療は一刻を争う。住民が素早く救命措置を受けられるよう、都市レベルでの対策が必要だ」と指摘。
大規模な交通規制が予想される20年の東京五輪でも、十分な備えが求められそうだ。
チームは、ニューヨークやボストン、ホノルルなど主要なマラソン大会のコース近くに住んでいて、当日に心筋梗塞や心不全を起こした65歳以上の患者約1000人を調査。
すると、1カ月以内の死亡率は他の地域や別の日の患者に比べて3%高く、統計的な分析では死亡リスクが13%超上昇していた。
救急車が病院に着くまでの時間は、交通規制で通常より平均4分半長くなっていた。
チームは、到着の遅れが初期治療の効果に影響したとみている。
日本のマラソン大会では、緊急時にコース内を救急車が通行できる措置が取られている場合がある。
ただ、実際にどのような影響が救急医療にあるかは、不明な点が多いのが現状だ。
米医学誌は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン。
【国士舘大の田中秀治教授(救急医学)の話】
マラソン大会の交通規制が救急医療に及ぼす影響を示した研究で興味深い。
米国は、大会時に広範囲に長時間、交通遮断してしまうため、こうした結果になったと考えられる。
日本の大会は、遮断を最低限にとどめたり部分的に通行させたりする工夫をしており、結果がそのまま当てはまることはなさそうだ。
ただ、建物が密集した大都市で長時間の交通規制を行う場合は起こり得ることなので、日本も同様の検証が必要かもしれない。
【九州大の永田高志助教(救急災害医学)の話】
マラソン大会でのランナーの心肺停止例は多く報告されているが、開催地の住民の救急医療に対する影響を、死亡率の増加という形で示した初の研究だ。
交通規制によって病院への到着が4分半も遅れる影響はかなり大きい。
調べれば、日本の大会でも同様の影響が出ているかもしれない。
2020年の東京五輪などに向けた一つの教訓として受け止め、大規模なイベント開催が地域社会に与える影響を考える機会にしてほしい。
(共同)
出典
『マラソン大会 コース沿い住民心臓発作死亡率高い 米調査』
http://mainichi.jp/articles/20170413/k00/00e/040/212000c
2017年4月7日19時28分にNHK北海道から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
7日昼前、北見市小泉町にある製鉄工場の社員から、「水が流れてきて工場が浸水しそうだ」と消防に通報があった。
警察や消防が駆けつけたところ、水は工場の数m手前まで達していたため、警察や消防が迂回路をつくったところ、およそ1時間後に水は引き、建物が浸水する被害はなかったという。
警察が調べたところ、工場近くの斜面には水が流れた跡があることから、高台の畑にたまった雪どけ水によって土砂が崩れ、水が流れ出たと見ている。
北見市は、5日の最高気温が17.9℃、6日が20.3℃と、6月上旬並みの暖かさだった。
ここ数日、気温が高い日が続いていることから、網走地方気象台は、今月5日から融雪注意報を出して注意を呼びかけている。
当時、工場の中にいたという男性社員は、「ものすごい音がして、気づいたら大量の水が流れてきていた。工場が浸水しなくてよかった」と話していた。
出典
『雪どけ水で工場があわや浸水』
http://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20170407/5386711.html
(ブログ者コメント)
〇映像によれば、畑の一角がえぐりとられたようになっており、そこから水が流れ出た模様。
〇雪解け水ではないが、高台に大量に降った雨が洪水のように流れ下った事例を、昨年、紹介している。
2016年7月22日掲載
『2016年7月15日 千葉県市原市で数年に一度の猛烈な雨が降り、台地から平地に向かう傾斜地に造成された住宅街の道路を水が濁流のように流れて道路アスファルト剥離などの被害』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6109/
〇一方、雪解け水による違う種類の被害は、以下などを紹介している。
2017年3月13日掲載
『2017年3月7日報道 大雪に見舞われた鳥取県では雪解け水が道路舗装の小さなひび割れなどに大量に染み込み、凍って隙間を広げて多数の亀裂や陥没発生、特に鳥取市で被害は深刻』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6883/
2016年11月23日掲載
『2016年11月15日 北海道北見市で水道の塩素濃度が基準以下となり飲用停止、雪解け水や降雨の影響で水源となる川に畑などに撒かれた肥料中のアンモニアが通常より多く流れ込んだためか?』
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6501/
2017年4月5日13時58分に毎日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
地球に接近する未知の小惑星、衝突の恐れも--。
こんな事態に備え、被害を抑える方策を議論する国際会議「プラネタリー・ディフェンス・カンファレンス」が5月、東京で開かれる。
国連が主導し、米航空宇宙局(NASA)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)が参加する、地球防御構想の一環だ。
日本上空を通過する仮想の小惑星をシミュレーションし、落下の危険があれば場所を特定して住民避難を呼び掛ける机上演習を行う。
JAXAの吉川真(まこと)准教授は、「可能性は低くても、起こり得る災害。人類が生き残るため、できる対策から取り組むべきだ」と話す。
約6500万年前にメキシコのユカタン半島に直径10km程度の隕石が落下し、恐竜を絶滅させたとの説は有名。
1908年には、シベリア上空に数10mの隕石が突入した可能性がある爆発が発生。広範囲で森林火災が起きた。
こうした事態に備える必要性は指摘されていたが、2013年にロシアで隕石が爆発して議論が加速。
直径は約20mだが激しい衝撃波が発生し、けが人や建物被害が出た。
国連は同年10月の総会で防御構想を承認。
各国の宇宙機関や天文台が連携して未知の小惑星をいち早く発見する「国際小惑星警戒ネットワーク(IAWN)」と、衝突を防ぐ方法を探る「宇宙ミッション計画助言グループ(SMPAG)」の2組織が動きだした。
JAXAによると、人類の存亡にかかわる直径1km以上も含め、地球に接近する小惑星は約1万5000個。
いずれも軌道が分かっており、現時点で衝突の恐れはないという。
心配なのは、都市が壊滅する恐れがある数10~数100mのもの。
スピードが速く暗いため見つけにくく、未発見のものが多いとみられる。
吉川さんは、「小惑星を早く発見し、軌道を割り出すことが重要だ。衝突が避けられなくても、落下場所と日時が分かれば避難を呼び掛けられる」と話す。
将来は、小惑星の軌道を変えることも構想されている。
探査機を体当たりさせたり、近くで核弾頭を爆発させたりするアイデアがある。
会議は5月15~19日、日本科学未来館で開かれる。
[小惑星と隕石 ]
主に太陽を周回する軌道上で火星と木星の間に点在する小さな天体を小惑星と呼ぶ。
太陽系の誕生直後にできたとされる。
小惑星やその破片が地球に飛び込み、大気圏で燃え尽きず地上に落下したものが隕石。
火星や月から飛来するものもある。
出典
『小惑星 地球守れ…衝突被害への備え、東京で5月国際会議』
http://mainichi.jp/articles/20170405/k00/00e/040/265000c
2017年4月2日11時51分に朝日新聞からも、同趣旨の記事がネット配信されていた。
《新たな小惑星が見つかった。
国際天文学連合は「2017PDC」と命名し、軌道計算から、地球に衝突する可能性がある「潜在的に危険」と分類された。
NASA(米航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機関)は、10年後に衝突の可能性があると推定。
直径は100~250mとみられる。
当初、4万分の1だった衝突確率は、各国の観測機関の追跡観測の結果、2カ月あまりで1%近くに上昇した。
衝突危険エリアは北太平洋から東京、韓国、中国、ロシア、英国北部にまで広がる。
人類はどう対処するのか。》
世界の専門家が集まり、天体の地球衝突を議論する「第5回プラネタリー・ディフェンス・カンファレンス(PDC)」が5月、東京・日本科学未来館で開かれる。
冒頭のシナリオは、この会議の演習に使われる。
2017年3月6日に小惑星を見つけた、という想定だ。
天体衝突が現実の脅威として共有されたのは、1994年のシューメーカー・レビー第9彗星がきっかけ。
約20個に分かれた直径1~4kmの破片が次々と木星を直撃。
大火球やキノコ雲が、地球からも観測された。
もし地球に衝突したら――。
96年、地球に接近する天体を発見し対策を立てるための国際組織「国際スペースガード財団」が発足。
日本でも、研究者を中心に「日本スペースガード協会」ができた。
地球に接近する天体は、これまでに約1万6000個発見され、現状では、地球に衝突する可能性はない。
ただ、小さなものほど暗く観測しにくい。
都市・地域に壊滅的な被害を与える100mサイズのものは、推定数の3~4割しか見つかっていない。
日本協会の浅見敦夫副理事長は、「未知の天体が衝突する可能性はある」と話す。
実は、地球に衝突することが事前に分かったケースがある。
2008年、米アリゾナの観測チームが発見した天体は、NASAやESAによって約20時間後にアフリカ・スーダンに落ちると予測され、その通りにヌビア砂漠上空で爆発した。
2~3m程度と小さく、被害はなかった。
天体の発見と観測経過は、国際天文学連合の専門家向け電子メールで逐一通知されたが、一般には知らされなかった。
浅見さんは「予測場所が東京やワシントンだったら、情報公開がこれでよかったか」と話す。
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
【隕石落下、市街地に衝撃波】
13年2月15日、ロシア南西部の都市チェリャビンスク近郊に落ちた隕石では、大きな被害が出た。
電気通信大の柳沢正久教授(地球惑星科学)によると、地球大気に浅い角度で秒速19kmで突入し、大気による減速に耐えきれず、高度30kmで爆発した。
圧縮された空気が衝撃波となり、約2分後に市街地を襲った。
半径30~40kmの範囲で窓ガラスが割れ、1500人以上のけが人が出た。
直径は約20m、爆発規模は原爆の約30倍だった。
1908年6月30日に中央シベリアに衝突した隕石の爆発(ツングースカ大爆発)では、東京都に匹敵する約2000km2に渡って、樹木がなぎ倒された。
大規模な天体衝突は、地球規模の大災害を引き起こす。
6600万年前、メキシコ・ユカタン半島沖に直径10km程度の天体が衝突した際は、直径200kmのチチュルブ・クレーターができた。
巻き上げられた土砂が太陽光を遮り、高さ数100mの大津波が発生。
炭酸塩岩や硫酸塩岩が衝撃と熱で溶けて、大量の二酸化炭素や硫黄が放出。
硫酸の雨が降り、地球環境を激変させた。
恐竜などの大量絶滅の引き金になったと考えられる。
【破壊せず軌道そらす方法】
天体の衝突が予測される場合、何ができるのか。
宇宙航空研究開発機構で「はやぶさ2」ミッションマネージャの吉川真准教授は、「破壊しても破片が広がり、大きな被害が生じる」と話す。
議論されているのは、天体の軌道を変えることだ。
一つは、天体に無人の宇宙船を衝突させる方法。
NASAは05年に、宇宙船「ディープインパクト」を彗星に衝突させる実験に成功した。
ただ、宇宙船の重さや衝突速度が必要で、限界が指摘されている。
天体に宇宙船を一定の距離で並走させて、万有引力で緩やかに軌道を変更する方法なども考えられている。
国連宇宙空間平和利用委員会は、13年に、地球に接近する天体の観測を行う「国際小惑星警報ネットワーク」と、対策を検討する「宇宙ミッション計画アドバイザリーグループ」を設置した。
昨年末には米オバマ政権が、天体衝突に備えるための国家戦略を公表した。
だが、国連の会議に参加する吉川さんは、「観測は進んできたが、対策の検討は始まったばかり」。
情報伝達や避難指示は、誰がどのように行うのか。
衝突回避のための宇宙船の打ち上げ費用は誰が負担するのか。
予測が外れたり、回避策が失敗したりして、被害が拡大した場合の補償などの論点が山積している。
「日本は、天体衝突に組織として対応できていない。低頻度で起きる巨大災害にどう対応するか、共通する課題だ」と話す。
【「生命の起源」説も】
昨年、国際チームによるチチュルブ・クレーターの掘削調査が行われた。
掘り出した当時の地層から、隕石による1300℃を超す高温で大陸地殻が一瞬にして溶け、液体のように振る舞ったことが分かった。
参加した東邦大学の山口耕生准教授(地球化学)は、焼き尽くされたクレーター内でどのように生命が復活していったかを研究する。
地球に飛来した天体が運んだ有機物が生命の起源になったと考える研究者もいる。
「天体衝突は脅威だが、結果的に生命の進化を促してきたのではないか」と話す。
出典
『小惑星衝突危機、そのとき人類は 100m級でも大被害』
http://www.asahi.com/articles/ASK3962BQK39ULBJ00T.html
(ブログ者コメント)
原発事故も、低頻度で発生する恐れのある巨大災害だと思っていたが、今回話し合われるのは、それとは比べ物にならないほどの巨大災害。
結論らしきものは出るのだろうか?
2017年4月4日15時24分にNHK首都圏から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
多くの花見客が集まっている東京・墨田区の公園では、園内に設置した災害用のマンホールを活用したトイレが、トイレの混雑緩和に一役買っている。
東京スカイツリーを望む東京・墨田区の錦糸公園は、桜も見頃となり、4日も大勢の花見客でにぎわっている。
区は、毎年この時期、トイレの確保に頭を悩ませていたが、ことしからマンホールを活用した災害用のトイレを5つ設置した。
このトイレは、マンホールが下水道管とつながっていて、いわば水洗トイレと同じような構造となっている。
利用者からは、清潔でにおいも気にならないと、好評だという。
都の下水道局によると、災害時などにトイレとして使われるマンホールは、23区内におよそ6800か所設置してあるという。
利用した人は、「去年よりもきれいでにおいもしないので良かったです」と話していた。
墨田区の道路公園課の齋藤課長は、「このトイレを日頃も使うことで、いざという時にも使えると思うので、今後もこのようなイベントで活用していきたいです」と話していた。
出典
『花見客トイレに災害用マンホール』
http://www.nhk.or.jp/shutoken-news/20170404/5265941.html
(ブログ者コメント)
映像を見ると、「災害用トイレ」と書かれた看板の横に一列にトイレボックスが並べられていて、その中には洋式便器が設置されている。
これなら臭わないはずだ。
2017年4月2日9時9分に読売新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
あいさつをするだけなのに、顔色をうかがわなきゃいけない先輩。
印鑑をもらうたびに、機嫌を気にしなきゃいけない上司。
目をつけられないように、じっと黙っている会議・・・。
実務以外のことでも心をすり減らす「感情労働」が、職場を蝕んでいると言われる。
感情労働とは何か。
東京成徳大学准教授で心理学者の関谷大輝氏に解説してもらった。
【出勤前にため息ひとつ】
「自動ドアが開くとき、意識的に深呼吸をひとつして・・・、いや、ため息をひとつついて、それから階段を上りながら、少しずつ気持ちを整えて、業務の開始に備えます」
インタビューに応じてくれた市役所職員のAさんは、毎朝、仕事前にこのように心を落ち着かせるそうです。
表情を明るくしたり、人当たりを良くしたりしようと心がけているAさん。
その一方で、「この生活がいつまで続くんだろう」「ほかにいい仕事はないだろうか」と考えていると言います。
福祉関係の職場で、担当するある高齢者が亡くなった時のこと。
人の死という出来事にもかかわらず、Aさんは「これで、仕事が減る。よかった」と頭をよぎった、と打ち明けました。
その表情には、深い疲労の色が浮かんでいました。
【「感情労働」のせいかも】
あなたは、普段の仕事で「疲れ果てた」と感じることがありますか?
もしかすると、それは「感情労働」のせいかもしれません。
この言葉は、まだ一般的にあまり広く知られているわけではありません。
しかし、近年は、働く人の多くが「感情労働」に携わるようになっていると言われています。
あなたも、例外ではないかもしれません。
では、「感情労働」とは何なのでしょう?
【いつも、明るく朗らかに】
「感情労働」は、米国の社会学者、アーリー・ホックシールドが提唱した考え方で、簡単に定義すると、「仕事中に自分自身の感情の表し方や感じ方をコントロールしなければいけないような仕事」を指します。
「感情労働」という言葉を知らなくても、「肉体労働」や「頭脳労働」を知っている人は多いと思います。
「肉体労働」は、肉体(パワー)を使わなければいけない仕事や職業のこと。
「頭脳労働」は、専門知識や情報といった、スキルを使わなければいけない仕事や職業を指します。
「感情労働」も、これらと同様に考えると分かりやすいと思います。
つまり、与えられた仕事の中で、自らの感情をうまく使わなければ務まらない仕事や職業が、「感情労働」と呼ばれます。
仕事を進めるために、どんなに疲れていても、明るく朗らかな態度を維持したり、笑顔を絶やさず人に接したりしなければならないのです。
【本心を抑え込む】
病院で受診したときのことを考えてみてください。
もし、こんな看護師がいたらどう思いますか?
・誰かと言い争ったばかりなのか、あからさまに不機嫌な表情を見せる看護師
・夜勤続きで疲れ切っているのか、ずっと無口で無愛想な看護師
おそらく、多くの方は「別の看護師に担当してもらいたい」と思うでしょう。
つまり、私たちは看護師という職業に対して、患者が安心感を抱けるような態度を期待しているのです。
採血が上手だとか、包帯を巻くのが丁寧だとか、説明が分かりやすいといった実務に優れていたとしても、患者からすると、それだけでは十分ではありません。
穏やかに微笑み、親切に応対してくれ、優しく声をかけてくれることも、(場合によっては無意識に)求めているのです。
しかし、働く人(感情労働者)からすれば、こうした姿勢は「頑張って作り出さなければいけない」ものかもしれません。
前日に恋人とけんかをして気持ちが沈んでいるときもあるでしょう。
自分の子の夜泣きに悩まされ、睡眠不足のまま出勤しているかもしれません。
クレームばかりの苦手な患者が来ることもあります。
そのような時でも、感情労働者である看護師は、言いたいことを我慢して笑顔を作り、本心を抑え込むことが求められます。
そのためには、自分自身の「感情」を上手にコントロールしなければなりません。
これが、感情労働の核心なのです。
(2/3へ続く)
(1/3から続く)
【「感情労働」傾向が強い仕事】
・レストランのウェイター・ウェイトレス
・ホテル・旅館の受付
・コンビニの店員
・テーマパークのスタッフ
・学校の先生
・市役所の窓口担当職員
・サポートセンターのテレフォンオペレーター
・営業マン
飲食業や理美容業など、接客そのものが実務の多くを占めている仕事は、代表的な感情労働職種と言えます。
「対人援助職」とも呼ばれる、医療、福祉、教育に関わる仕事は、感情労働の程度が強い傾向が見られます。
ここに例示した職業はごく一部で、現代では、これら以外の幅広い職種もまた、感情労働的な要素を持つようになっていると考えられます。
【実はこんな仕事も「感情労働」に】
バスの運転士の本来の仕事は、「安全に時間通り、バスを運行する」ことです。
しかし、実際は、ただバスを走らせるだけではありません。
「発車しますので、手すりにおつかまりください」
「ご乗車ありがとうございます」
などと、乗客に声をかける気遣いが求められます。
脚の悪い客がいれば、手を貸すこともあるでしょう。
最近では、自動車教習所の教官が優しくなったと話題になっています。
私が自動車免許を取得した20年ほど前は、教習所には高圧的で怖い教官が多かったと記憶しています。
少子化による競争激化で、サービスの強化が求められているのです。
こうなると、受講者に対して、「なにやってんだ!」とか「ほら、目視!」などと怒鳴るわけにもいきません。
腹が立っていたとしても、本音は抑え、穏やかに諭さなければなりません。
教習前に笑顔を作る練習が教官に課されている教習所もあるそうです。
あなたの仕事は、いかがでしょうか?
【重視される「感情管理能力」】
「対人的な仕事をする人は、感情のコントロールをしなければいけない」などと指摘すると、「そんなの当たり前じゃないか。昔からそうだった」と考える人もいると思います。
では、それがなぜ今、「感情労働」という呼び名を与えられ、注目されているのでしょうか。
一つの要因は、現代は(特に日本を含む先進国では)、サービス産業が高度に発展した社会であるということが挙げられます。
その中で働くためには、私たち一人ひとりの「感情管理能力」が非常に重視されるのです。
インターネットやSNSの発展も相まって、個々の労働者はもとより、所属する組織が「クレーム」や「悪評」を恐れ、受け手の感情を逆撫でしないように、慎重な表現や応対を常に心がけるようになっています。
たとえば、対人的な仕事の代表の一つといえる教員で言えば、子どもをきつく叱ることも、かつては学校の先生の役割の一つとして甘受されていた面があったように思います。
しかし、今は、それぞれの教員はもちろん、学校や教育委員会といった組織としても、保護者や社会の反応を気にする「感情労働」を行っていると言えそうです。
【感情むき出しの人はやっかい】
これは、接客など対人サービスの仕事に限りません。
オフィスワーカーの方も、ちょっと職場を見渡してみてください。
いつもムスっとしている仏頂面の上司や、声をかけづらい雰囲気をかもし出しているお局様はいませんか。
どんなに実務能力が高かったとしても、これでは職場で「やっかいな人」と思われてしまいます。
たとえ、知識や技能に長けていても、感情管理能力が低い人は、「一緒に仕事をしたくない」、「扱いづらい」などと見られかねません。
つまり、「感情管理能力」が、労働者の人物評価に直結してしまうのです。
このような傾向は、ここ最近、特に強まってきているように感じられないでしょうか。
仕事をする上で、「感情」という要素が以前より重視され、「組織(会社)もろとも感情労働に巻き込まれている社会」になっていると言えるのかもしれません。
(3/3へ続く)
(2/3から続く)
【「感情労働」は疲れる】
「感情労働」という言葉がニュースやインターネットに取り上げられる時は、マイナスのニュアンスで扱われることがほとんどです。
というのも、感情労働に従事することは、心身の疲労に結びつく、いわゆる「職業ストレス」の大きな要因になりやすいためです。
感情をコントロールすることは、私たちに大きな心理的負荷をかける行為であることが、心理学で実証されています。
ちょっと想像してみると分かります。
何かにイライラしたり、頭にきたりした時、その感情をぐっと我慢して抑え込むと、その後、「何とも言えない疲労感」に襲われませんか?
これを仕事として行っている感情労働者は、日々の業務中に、こうした感情的ストレスを受け続けている可能性があるのです。
もちろん、接客業のような典型的な感情労働職から、一時的に感情労働を求められる職場など、職種によって程度は異なります。
同じ仕事でも、感情のコントロールが得意な人と苦手な人では、受けるストレスのレベルも異なります。
とはいえ、仕事に関して感じる「何とも言えない疲労感」の一因が感情のコントロールにある可能性は、知っておいた方が良さそうです。
【「感情労働」に疲れたら】
「感情労働に疲れた」と感じた時、私たちはどのように対処すればよいのでしょうか。
まずは、「自分に合ったストレス解消法」を知ることです。
お酒を飲む、家でゴロゴロする、甘いものを食べる、音楽を聴く、友達や家族と過ごす、温泉に行く・・・。
どんなことでも構いません。
仕事から離れて、「ありのままの自分自身」でいられる方法があるか、それはどんなものなのかを確認しておきましょう。
そして、もう一つ、ヒントを示したいと思います。
「仕事中に抑え込んだ本当の思いや感情」を、仕事が終わった後、意図的に上手に吐き出す機会を作ってみましょう。
聞いてくれる相手がいれば、誰かに話しても良いでしょう。
一人でカラオケに行って絶叫するのもありです。
紙やスマホなどに書き出すという手もあります。
その時の感情が整理されて、物事を客観的に捉える機会にもなります。
書き出したものを誰かに見せる必要はありません(特にインターネットやSNSで公開するのは避けた方がいいでしょう)。
あくまでも自分だけのために、「思った通りありのまま」に自分の本心を開放してみると、感情コントロールで蓄積されたストレスの解消に一定の効果が期待できます。
【「感情労働」を知る】
もし、あなたが来月から頭脳労働者(もしくは肉体労働者)として働くことになったら、どうするでしょう?
仕事をしっかりこなすため、業務に必要な知識や技能を身につけたり、必要な資格の勉強をしたりするのではないでしょうか。
仕事に合った道具や服装をそろえる人もいるでしょう。
いざ、仕事が始まれば、疲れた体や頭を休めるために、マッサージを受けたり息抜きをしたりするのではないでしょうか。
では、感情労働についてはどうでしょう。
感情労働者であるにもかかわらず、その言葉すら知らなければ、ストレスへの事前の備えができていないことになります。
感情労働は、「感情のコントロール」という、意識的かつ持続的な労力が求められます。
普段の生活では怒りっぽい人でも、仕事中は笑顔を振りまかなければいけないかもしれません。
いま一度、自分自身の仕事を振り返り、その中に感情労働の要素がどのくらいあるのか確認してみましょう。
ストレス・マネジメントの大きな一歩になると思います。
出典
『日々疲れ果ててしまうのは「感情労働」のせい?』
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170330-OYT8T50031.html?page_no=1
2017年3月24日9時7分に毎日新聞から、下記趣旨の記事が写真付きでネット配信されていた。
大規模災害時、地域住民に速やかに緊急給水するため、埼玉県草加市や八潮市などが、小中学校の受水タンク(槽)から飲料水を提供できるよう、「蛇口」の取り付けを進めている。
隣接する自治体も蛇口付設を「研究中」といい、医療や初期消火でも“命綱”となる水を確保しようと、各自治体が工夫を凝らしている。
東日本大震災後、学校の耐震化に伴って校舎屋上にあったタンクが地上に移される動きが加速したことや、各地で進められてきた緊急用地下貯水槽の設置に比べて低予算で済むことから、蛇口を取り付ける動きが広まりつつあるとみられる。
草加市は、2013年度から3カ年で、全32小中学校のタンクに蛇口各1個を取り付けた。
それまで、災害時は市内の浄・配水場などから2台の給水車が各小中学校のゴム製の風船式貯水槽(水量0.5トン)に給水して回る計画だったが、貯水槽のゴムの劣化などが懸念されたため「蛇口」を採用。
同市は、蛇口付設を自主防災の柱の一つと位置づける。
八潮市は、4月から新年度予算324万円を充てて、4小中学校でタンク(同5~30トン)への蛇口取り付けを進める。
3年間で全15小中学校に整備する方針で、蛇口に分配ホースをつなげ、その先にさらに4つの蛇口を付けて同時に使用できるようにする。
同市の危機管理担当者は、「隣の草加市で蛇口を付けたと聞き、これだと思った。東京都区部などで始まった(アイデアの)ようだ」と話す。
災害時の緊急給水を巡っては、阪神大震災をきっかけに、自治体による「市民1人当たり1日3ℓの飲料水の確保」を求める声が上がり、八潮市もペットボトル水の備蓄などを進めてきた。
また、災害時には市内の配水場などから2台の給水車が小中学校を巡ることを想定していたが、道路寸断時に市全域をカバーしきれない可能性もあるとして、今回、蛇口を導入した。
一方、戸田市も市内5カ所に緊急用地下貯水槽を設置し、全18小中学校などに災害用井戸を整備してきたが、「水確保は二重三重に」と、13年度以降、蛇口取り付けも進めている。
また越谷市は、1987年から市内の公園や学校計22カ所に緊急用地下貯水槽を整備してきたが、管理者の越谷・松伏水道企業団は、「蛇口(の取り付け)も研究中」という。
緊急用地下貯水槽は、職員がマンホールを開けて手動ポンプで水をくみ上げる手間がいり、「どんな事態が起きるか分からず、水の選択肢は多い方が良い」としている。
出典
『受水タンク 「蛇口」取り付け災害時の水確保 埼玉』
http://mainichi.jp/articles/20170324/k00/00e/040/190000c
2017年3月22日16時23分に産経新聞westから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
クラボウは22日、大阪大、信州大、日本気象協会と共同で、センサーを組み込んだウエアで人の生体データを集め、熱中症にかかるリスクを知らせるシステムの開発を始めたと発表した。
建設業や運送業など、屋外での作業が多い企業向けに平成30年度に商品化し、将来的には、野外フェスティバルや32年の東京五輪での活用を目指す。
クラボウと信州大が、心拍数や体の表面温度などのデータを集めるウエア「Smartfit(スマートフィット)」を開発。
日本気象協会のデータや地域の緊急搬送情報と照らし合わせ、熱中症にかかるリスクが高まっているか判断するプログラムを大阪大が作る。
データは、近距離無線通信「ブルートゥース」を使って作業者本人のスマートフォンに送られ、クラウドで現場の管理者とも共有。
熱中症リスクが高まるとそれぞれに通知し、休憩を取るなどの予防策に役立てる。
クラボウの担当者は、「地球温暖化や高齢者の増加により、熱中症予防のニーズが高まっている」と説明。
同じ現場で働く数人のデータを集めれば、ウエアを着用していない他の人のリスクも判断できるという。
今年5月から、200人規模で試作品を用いたモニター調査を行う。
出典
『センサー組み込んだウエアが熱中症リスクを通知 クラボウや大阪大が開発』
http://www.sankei.com/west/news/170322/wst1703220055-n1.html
3月22日17時20分に同じ産経新聞westから、同趣旨の記事がネット配信されていた。
クラボウは22日、大阪大学や信州大学、日本気象協会と共同し、工事現場や運送作業時の熱中症リスクを管理するシステム開発に着手すると発表した。
大手建設会社など計9社、約200人を対象に、5月からモニター調査を始め、平成30年度の実用化を目指す。
新システムでは、センサーを備えたスマート衣料で心拍数や体温を測り、気象情報と合わせて熱中症の危険度を予測。
情報はネット上にデータを保存する「クラウド」に送られ、作業者と現場の監督者らがスマートフォンやパソコンで即時に解析結果を確認できるようにする。
天候や、炎天下や日陰と異なる環境にいる集団の生体情報を収集し、作業現場のリスクを管理する仕組みを目指す。
販売価格や売り上げ目標は非公表。
労働者の健康管理を想定するスマート衣料では、東レや東洋紡が先行。
東レは昨年8月、製造業や建設業向けに、心拍数や体の傾きで体調の悪化を知らせるサービスを売り出した。
出典
『工事現場の「熱中症」危険度予測・管理 クラボウや大阪大などシステム開発』
http://www.sankei.com/west/news/170322/wst1703220062-n1.html
(ブログ者コメント)
先行する東レの状況については、昨年9月に紹介スミ。
2016年9月1日掲載
2016年8月25日報道 東レは生体情報を取得できる繊維を使って建設現場などで働く人の体調を管理するサービスを開始、熱中症や事故で人が倒れていないかも把握できる
http://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/Entry/6237/
2017年3月13日付で日経ビジネスから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
いつ誰がかかってもおかしくない「身近な病」である認知症。
認知症が進行すると判断能力に支障をきたすため、仮に経営者が認知症を患えば、意思決定や契約作業に支障が出て、会社が傾くことにもなりかねない。
そんな“事件”が後を絶たない。
《認知症事件簿1》
数年前、東証1部上場のあるメーカーで異変が起きた。
高齢になった経営トップの言動に、明らかな事実誤認が増えてきた。
勘違いから他社の人間に対しても激高するといったトラブルが増えてきたのだ。
同社幹部は、「『天皇』と呼ばれるようなトップに、病院に行くことを勧められるわけもなかった」と顔を伏せる。
結局、同社は、本人の「体調不良」がひどくなり入院するまで、同トップに振り回され続ける羽目になった。
《認知症事件簿2》
ある機械メーカーの事実上の創業トップは、数年前から記憶違いや物忘れが目立つようになった。
見かねた長男が説得し、トップの座を退いた。
《認知症事件簿3》
ある部品メーカーのトップは、取締役会をドタキャンするなど、重要な予定をすっぽかすことが増えた。
高齢で出張もままならなくなっており、周囲から退任を迫られ抵抗したものの、最終的に辞任を受け入れた。
認知症で最も多いアルツハイマー型の場合、初期に主に記憶障害が現れる。
記憶障害が起きると、自分の行動そのものを忘れてしまうため、失敗したことを自覚できず、時として、人のせいにしたり、うそをついてごまかそうとする。
「認知症の経営トップによるトラブルでよくあるのは、ついこの間、得意先から物を納めてもらったり寄付金を受けたりしたものの、その記憶がまったくなくて、『お宅からはまだもらっていない』などと平気で言ってしまうこと」。
こう話すのは、東京女子医科大学の岩田誠名誉教授。
信用問題となり、場合によっては相手とけんかになって縁が切れてしまった事例などに、多数遭遇してきたという。
企業でも、幹部社員でなければ社会的に大きな問題にならないが、責任ある立場の上の人がこうした行動を取ると、会社全体が危機にさらされることになる。
さらに岩田氏は、「とくに怖いのは、経営トップの判断力の衰えに乗じて、よからぬ企みをする人々がいることだ」と加える。
実際、こんな事例があった。
ある学校法人で、そこの学長を決めるのに、学校法人を乗っ取る計画のある人物を新学長に据えようとする動きが秘密裏にあった。
それを気付いた人が阻止したからよかったけれど、認知症を発症していた理事長には、事態を判断する能力がなかった。
「そういう例はいくらでもある」と岩田氏。
「つまり、認知症を患う経営トップは狙われやすい。狙う方は、あの人は認知機能がちょっと落ちてきているという情報をある程度つかんでいて、そこにつけ込んでくる」と話す。
経営トップが認知症のためにもたらされる悲劇。
それを回避するには、どうすればいいのか。
認知症専門の精神科病院「和光病院」(埼玉県和光市)の今井幸充院長は、「トップが変なことを言ったりやったりしたときに、周りの人がきちんとその異変に気づき、専門家による客観的な判断や指示を仰ぎながら、本人に病を自覚してもらうことが極めて重要」と話す。
認知症にはいろいろなパターンがあり、本人が記憶力や判断力が低下していることに気がつく場合もあるが、本人は異常をまったく自覚していないことも少なくない。
高齢になるほど、後者の傾向がより強くなるとも言われており、「経営者自身が異常に気づいていないのだから、周囲の人が言ってあげるしかない」と今井院長は語る。
とはいえ、本人がその団体で実力者の経営トップともなれば、周囲もちょっと変だなと思っても、それをなかなか言い出しにくいもの。
また、うっかり注意すると閑職に追いやられるなど、自分が不当な扱いを受けてしまう恐れもある。
だが今井院長は、「周囲が何もできなければ会社はなくなってしまう。そう肝に銘じて周囲は行動に移すしかない」と言う。
経営者が認知症になれば、もはや第一線での現役続行はかなわない。
混乱が生じないよう、退いてもらう必要がある。
その引導の渡し方も難しいところだが、今井院長は、例えばオーナー経営者に対しては「『この会社をつくり、成長させたのはあなたなんです。それがもしつぶれるようなことになれば、我々は困るし、あなたの名誉もガタ落ちになります』などと正直に伝えてほしい」とアドバイスする。
「認知症の人は、生活する能力は衰えるけれども、初期であれば、相手の感情とかはよくわかる。ましてや、ビジネスで成功してきた人は、損得感情に長けている。だからこそ、認知機能の低下に伴う経営リスクを具体的に挙げ、情に訴えれば、納得してくれる場合が多い」と今井院長は言う。
岩田教授も、本人の認知症の兆候に周囲がいち早く気づき、本人に対し病への自覚を促してできる限りスムーズな引退につなげることの重要性を説く。
本人への進言にあたっては、「トップが長年腹を割って話し合ってきたような人物で、直接利害関係のない先輩に当たる人がベスト」と言う。
認知症になると猜疑心も強くなりがちで、かつ、一般に、高齢になるほど、自分を認めてくれて、自分が認めた相手の言うことしか聞く耳を持たなくなるとの理由からだ。
もちろん家族でも構わないが、既に聞く耳を持っていないケースが多いという。
また、岩田教授は引退勧告の仕方について、「いろいろ工夫を凝らしてみることも大切」と話す。
岩田教授の親戚は、ある会社を興した人物で、80歳過ぎのころから、かなりはっきりしたアルツハイマーの症状が出るようになっていた。
そのときは息子が社長で、本人は会長を務めていた。
会長職だから会議に来てある程度の発言もする。
その際、せっかく決まりかけていたことを元に戻してしまうなどの弊害が生じてしまっており、社長である息子から岩田教授は相談を受けていた。
どうすべきか対応を考えていたところ、景気の低迷により、会社は業績悪化でリストラせざるを得ない状況に陥っていた。
ならばそれを使おうと思い立ち、岩田教授から本人に対し、「業績も悪くなったし、ここで会社は社員をリストラしなければいけない。ついては範を垂れてくださいませんか」と伝えた。
本人にとっては、自分が作った会社だから、会社に対する愛着はあるし、会社の業績が悪化して危機になっていることも認識できる。そのため、大事な社員の首を切るということなら、「わかった」と言って辞めてくれたという。
(2/2へ続く)
(1/2から続く)
認知症の経営者によるトラブルを避けるには、認知症を発症する前から経営トップが心がけて置くべきことも当然ある。
岩田教授、今井院長ともども、それは「風通しのいい組織つくり」と口をそろえる。
周囲が認知症の兆候にいち早く気づいて適切な診断につなげていくことが重要とはいえ、カリスマ性のあるワンマン経営者の場合、明らかな異変が見られたとしても、周囲はやはり言い出しにくい。
もともと、ワンマン経営者の周囲にはイエスマンしかいないことが多いため、自己否定されることに慣れていない。
ましてや、意見を言える人もいない。
そこに加齢が加わり、暴走に歯止めがかからなくなれば、悲惨な末路が待ち受けるばかりだ。
もちろん、本人があらかじめ認知症に対する正しい知識を持っておくことも欠かせない。
正しい知識を得たら、周りの役員などに「こんな兆候が現れたら病院に連れて行ってくれとか、私の言動にストップかけてくれとかを伝えておける」(今井院長)からだ。
今井院長の師匠に当たるドクターは、「僕がおかしいと思ったらいつでもおかしいと言え。僕は気づかないから」と言っていたという。
当初は笑い話ぐらいにしか受け止めていなかったが、実際、師匠はその後、どんな患者に対しても同じ診断名をつけるようになった。
そこで、これはおかしいと思った今井院長はもう一人の師匠に相談したところ、彼から本人に話をしてくれた。
するとその翌日、「わかった。では、私はあとは若い人に任せるから辞める。医師としての診断ができないので」とすんなり身を引いたそうだ。
「経営トップは、認知症になったらどう若い人に受け継いでいくかということを、自分の中で、また若い人と相談しながら決めておくべきだろう」と今井院長。
「少子高齢化の中、年配の方は自分のお墓のことなどは、結構考えている。それと同じにように、企業のトップは自らの引き際を考えて、格好良く終わらせてほしい。今は認知症が大きく取り沙汰され、世間の関心も集まっている。だからこそ今の経営者は自分が認知症になったときにどうすべきかというのを考えていかないと、これからの企業は成り立たないのではないか」と投げかける。
認知症はいつなるか、誰がなるか分からない病だからこそ、健康なうちに備えておく必要がある。
出典
『あなたを襲う認知症 経営が止まる 社会が揺れる 経営トップが認知症となった「悲劇」 2人の著名医師が語る現実と事態打開の処方せん』
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/031000124/031000002/?P=1
2017年3月13日3時0分に朝日新聞から、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
中国からの渡航者が日本に持ち込もうとして没収された鳥肉から、高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されていたことが、農水省動物検疫所などへの取材でわかった。
人に感染する可能性は低いが、野鳥などを介してニワトリなどの家禽に感染する恐れがある。
検疫で没収される畜産物は全体の一部とみられ、専門家は、対策強化の必要性を訴える。
調査は、世界的に鳥インフルの流行が近年続いていることから、動物検疫所と北海道大学が共同で初めて実施。
2015年6月~今年2月に羽田空港など全国9カ所の空港や港で渡航者の荷物から没収されたニワトリやアヒルの肉や卵など228検体を調べた。
その結果、中国の上海、アモイ、香港から成田、中部の各空港に持ち込まれたニワトリとアヒルの生肉3点から、高病原性鳥インフルエンザのH5N1亜型とH5N6亜型のウイルスが見つかった。
両ウイルスは中国などで人への感染が確認され、死者も出ているが、死んだニワトリなどに濃厚接触したことが原因とみられている。
また、中国や台湾、ベトナムから成田、羽田、関西、中部の4空港に持ち込まれたニワトリやアヒルの生肉9点からも、低病原性のウイルスが検出された。
検出されたH5N6とH5N1のウイルスをニワトリとアヒルに感染させると、約9割のニワトリが3日目までに死亡。
死んだニワトリの血液を調べると、全身でウイルスが増殖しており、強毒性と確かめられた。
遺伝子解析により、中国で流行するウイルスと近縁であることがわかった。
海外からの肉類の持ち込みは、家畜伝染病予防法に基づき、検査証明書がない限り認められていないが、日本で生活する人が帰省した際に本国から持ち帰ったり、土産で持ち込まれたりすることがあるという。
さらに日本は、現在、中国やベトナム、台湾など、鳥インフルの発生が報告される国・地域からの家禽の肉、卵などの輸入を停止している。
大槻公一・京都産業大学鳥インフルエンザ研究センター長によると、国内で流行する鳥インフルエンザは渡り鳥によって運ばれると考えられており、「携行品で持ち込まれる可能性は想定されていない」と指摘。
持ち込まれた肉が屋外に捨てられ、野鳥が触れたり、生肉に触れた人が農場や動物園に行ったりして感染が広がる恐れがあるという。
一方、海外から渡航者は急増しており、検疫所で没収された畜産物は、中国からを中心に15年は約6万2700件(約83トン)に上り、11年と比べほぼ倍増した。
調査にあたった北大の迫田義博教授(ウイルス学)は、「すべてを検疫で見つけるのは難しく、今回見つかったのは氷山の一角とみられる。季節に限らず常に持ち込まれているという前提で、防疫対策を進める必要がある」と言う。
大槻さんは、「東京五輪に向けて訪日客が増えることが予想されており、水際対策は重要性を増している。厳しい手荷物検査や探知犬の拡充など、検疫を徹底すべきだ」と話している。
出典
『中国から持参の生肉、鳥インフル検出 検疫に限界も』
http://www.asahi.com/articles/ASK385VTKK38ULBJ00P.html
3月13日5時0分に朝日新聞からも、下記趣旨の関連記事がネット配信されていた。
中国からの渡航者が持ち込もうとした肉から、高病原性鳥インフルエンザウイルスが見つかった。
空港などの検疫の現場では、犬を使った水際対策などが取られているが、没収できるのはごく一部とみられる。 (1面参照)
3月上旬、羽田空港国際線ターミナルの入国検査場。
上海と北京からの便が到着すると、動物検疫所羽田空港支所の本田・家畜防疫官(33)が、検疫探知犬を連れて回った。
犬が渡航客の荷物をかぎ分けながら進むと、若い男女の荷物を載せたカートの前で止まり、静かに座った。
「発見」の合図だ。
別の防疫官が窓口まで案内し、4つのトランクを開けると、ソーセージや豚肉などが出てきた。
法律で許可のない輸入は禁じられており、その場で没収。
同支所の角田次長は、「トランク一つ分持ち込もうとして没収される人もいる」という。
税関の検査で持ち込みがわかった肉類もあった。
ただ、犬がチェックできるのは一部で、中身のわからないまま通過する荷物が後を絶たない。
すべての便に対応するのは難しく、探知犬を使うのは、鳥インフルが報告される中国など、リスクの高い国からの便が中心。
禁輸品が見つかるのも、中国からの便が最も多いという。
日本で生活している人が帰郷した時に本国から持ち帰ったり、日本にいる家族や友人に土産で持ってきたりするケースのほか、業者が食材として大量に運び込もうとすることもある。
旅行客の荷物から見つかることもあるという。
出典
『追いつかぬ、肉の検疫 鳥インフル検出、水際の空港』
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12838863.html?rm=150
2017年3月10日8時27分にNHK福岡NEWS WEBから、下記趣旨の記事がネット配信されていた。
九州大学の研究グループは、ドイツで開発されたものの、まだ広く普及していない鉄鋼材料が、動物の骨に似たしなやかな構造を持ち、金属疲労に強いことを発見したと発表した。
九州大学大学院の津崎兼彰教授や小山元道助教らのグループは、ドイツの研究所が2008年に発表したものの、まだ広く普及していない鉄鋼材料に注目し、金属疲労の進み具合について実験を繰り返した。
一般的な鉄鋼と比較したところ、比較的弱い負荷をかけた場合は大きな差がなかったのに、強い負荷をかけると、ドイツの鉄鋼材料は10倍以上の強さを示したという。
このため電子顕微鏡で調べたところ、動物の骨に似たしなやかな構造を持ち、金属疲労に特有の亀裂が生じても拡大しない特徴があることがわかったという。
津崎教授は会見で、「この鉄鋼を使えば金属疲労を防ぐことができ、より安全な飛行機や車を開発することが可能だ」と話している。
この研究成果は、アメリカの科学雑誌「サイエンス」に掲載されたという。
出典
『金属疲労に強い鉄鋼材料を発見』
http://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20170310/4543481.html
(ブログ者コメント)
九州大学HPに3月10日付で、以下の記事が掲載されていた。
「サイエンス」に金属疲労関係の記事が掲載されるのは珍しいとのこと。
『骨のような壊れ方で、金属疲労に強いミクロ構造を、鉄鋼材料で発見 -安全安心に貢献する金属疲労研究の新展開-』
輸送機器や機械類の破壊事故の約8割は金属疲労が原因とされています。
このため、金属材料と金属部品の疲労特性を正しく理解し評価すること、また疲労特性に優れた金属材料を地道に開発し製造することは、地味な営みではありますが、安全安心な社会基盤の実現にとって重要です。
金属疲労破壊では、一度に加える力は小さくても何度も繰り返して加えることで、材料表面に微小なき裂が発生しそれが拡大伝ぱして次第に大きく広がり最終的な破壊に至ります。
九州大学大学院工学研究院機械工学部門の小山元道助教、野口博司教授、津﨑兼彰教授の研究グループは、この疲労き裂の発生と伝ぱを抑えるために、き裂先端部分での局所的な力学状態と金属ミクロ構造の関係に注目した研究を行いました。
き裂発生の抑制の為にき裂周囲の金属が膨張や硬化する構造、き裂伝ぱ抑制の為にき裂面同士の摩擦が起こる構造に着目して、画期的な疲労特性を示す鉄鋼を見出しました。
特に「層状形態を要素に含む階層性原子集団の金属ミクロ構造」によって、鉄鋼が動物の骨のような粘りのある壊れ方をするため、き裂伝ぱが抑えられて疲労寿命が格段に延びることを明らかにしました。
本成果は、応用面実用面への貢献はもちろん、疲労などの力学特性に優れた金属材料の開発に貢献する金属物理学、また鋭いき裂先端という特殊な力学状態を解析する破壊力学の両学問分野にとっても新展開をもたらすものとして期待されます。
本研究は米国・マサチューセッツ工科大学およびドイツ・マックスプランク鉄鋼研究所と連携して九州大学伊都キャンパスで実施され、その成果は平成29年3月9日(木)午後2時(米国東部時間)に米国科学誌ScienceにREPORT(筆頭著者:小山助教)として掲載されました。
また、本研究は日本学術振興会科学研究費補助金若手研究(B)(15K18235)および基盤研究(S)(16H06365)の支援により遂行されました。
[研究者からひとこと]
構造金属材料の疲労に関する論文がScience誌に掲載されたことは長い間ありませんでした。
本成果はそれほどに金属疲労研究として画期的であり、機械工学と材料科学の研究者がスクラムを組むことで初めて達成できました。
これを安全安心な社会基盤の構築にとって重要な金属疲労研究の活性化と新たな展開に繋げるために、今後も教育研究を続けます。
http://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/97
その間、ずっと奥歯に挟まっていたのは、他社の事故情報がほとんど耳に入ってこなかったことです。
そこで退職を機に、有り余る時間を有効に使うべく、全国各地でどのような事故が起きているか本ブログで情報提供することにしました。
また同時に、安全に関する最近の情報なども提供することにしました。